TarZの日記: パンがなければお菓子を食べればいいじゃないメソッド 2
何らかの困難な作業があったとして、「それが難しいなら、○○なら簡単では?」と提案してくる人がいる。
提案はありがたいのだが、それは元の作業と比較してその「○○」という提案がより簡単な場合にだけ成り立つのであって、提案内容がもっと困難だと意味がない。
実際に先日、仕事でこうしたシチュエーションがあって、それぞれの困難さを比較して説明したのだが、そもそも相手は困難さを理解していないからそんな提案をしてくるわけで、説明する側としては疲れるだけで利益のない作業だ。ということで、より簡単に済ませるために、こういった提案に名前を付けることにした。
「それは、パンがなければお菓子を食べればいいじゃないメソッドですね」
目的・効果としては、誰でも知っている有名な例を持ち出すことで、「それはトンチンカンな提案ですよ」と相手に気づいてもらうことが1つ。加えて、「トンチンカンだ、という取っ掛かりの情報は伝えたのだから、それを疑うなら自分で検証してみてね」ということが1つ。
使用例:
「処理が面倒なゴミ(核廃棄物だとか、寿命の尽きた宇宙探査機とか、地球温暖化防止の太陽光遮蔽構造だとか)を捨てるために、太陽に投げ込むなんてのは割に合わないでしょう。地球軌道から太陽に突入する楕円軌道へ遷移させるのは大変な速度変化が必要なんだし」
「楕円軌道が難しいなら、双曲線軌道にすれば簡単なのでは?」
↓
いままで:
「いやっ、その、あのねっ、地球から打ち上げたペイロードは、太陽に対してデフォルトで地球の公転速度と同じ約30km/sの軌道速度を持っていてですねっ、こういう速度をもった物体が太陽に突っ込むような双曲線軌道に遷移するためには、まあ1つの軌道に定まるわけじゃないんですけど、例えば、…どーたらこーたら…、それこそ地球軌道半径を遠日点とする楕円軌道より遥かに、…あーたらこーたら…」
これから:
「それは、パンがなければお菓子を食べればいいじゃないメソッドですね」
うーむ、簡単簡単。お手軽すぎて、つい使ってしまう誘惑に抗いきれないかもしれない。(でも、使ったら負けだと思ってる自分がいる)
wikipediaに面白い記述が… (スコア:2)
自分でも無粋なツッコミだと思ったりするのだけど…。
「パンすら入手できないのに、ケーキなんかあるわけがないだろ!!」
というわけで、今では庶民の怒りを買ったロクでもない発言ということになっていますが、
この発言には異説がいろいろあるらしいですね。 [wikipedia.org]
パンのかわりとなるケーキ、というか原文ではブリオッシュという名前のパンなんですが、
>18世紀初頭まではチーズやバターなどの各地方の特産物を生地に混ぜて栄養性と保存性を高めた
>保存食という乾パン的位置づけであるため、その元ネタとなる発言は時代によって大きく意味が
>異なることには注意したほうがよい。
>そのため、ルイ16世の妃の発言説だと、当時の為政者としてはごく当たり前な
>(むしろ民衆を気遣う内容の)発言であったのを後世の人間が歪曲して引用したということになる。
そもそも、彼女が言ったかどうかも不明という。
>彼女に対する悪評は、その殆どが中傷やデマだということが判明している。
ハードルを分離した説明 (スコア:0)
A→B→Cという各段階のハードル(コスト)という説明の仕方をすれば
問題になっているのがA→Bであって、そこでB→Cという提案をされても解決策には
ならないというのはすぐに理解してもらえる。それをまぜてA→Cという説明をしていたら
堂々巡りに陥りがち。
つまり、作業の段階を分けて説明することが必要。
今回の事例だと分離できる話のことなのだから。
#分離できない話であれば単純比較で済むが、今回のはそれではない。