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aitoの日記: 1月13日 マルチメディア情報ハイディング研究会@東北大学

日記 by aito
○モノづくりによる価値創造の可能性(北大)
青木先生。相変わらずフリーダム。この人の発表は既存の枠にはまらないところがすごい。
モノづくりの話題。運指キャプチャーギター、サイバー鳴子。北海道版ライトセーバー。
MAKE:Tokyo Meetingの話題。Arduino。モノづくりの復権。
機能と形の融合。ヒット商品は形に価値がある。初音ミクの話。
ファブラボ(MIT)。あらゆるものをつくる。世界的な広がり。
「仮想世界で価値を作り、現実世界で回収する」
仮想世界を現実化。観光資源。ヨーロッパの観光資源も「仮想世界→現実」だという指摘は鋭い。キャラクタービジネス。
質疑応答で鈴木先生とのディスカッションででてきた「アクチュアリティ(それらしさ)」の議論はおもしろかった。その他の質疑も大変盛り上がった。

○色情報のコード化を用いた撮影画像の色復元(豊橋技科大)
最初にPC不調で時間がとられる。
内容は、撮影した画像の色を実際の色に自動的に調整する手法。被写体に情報コードをつけて、そのコードに被写体の元々の色の固有空間の情報を埋める。補正時には、固有空間の情報を使って色転写技術により色補正を行う。また、固有値と固有ベクトルの情報を圧縮するための方法。圧縮によって、被写体の色空間情報を105ビットで表現する。埋め込みのための情報コードは、2色のパターンによる画像枠として実現する。

○画像推定誤差のガウス仮定の妥当性(山口大)
画像電子透かしを検出するときに使う推定画像の推定誤差がガウス分布するのかどうかを調べた。通常の理論的検討ではこの誤差はガウス分布するとされることが多い。透かし方式は拡散符号を用いたスタンダードなもの。拡散符号長により結果が違い、拡散符号長が短い場合は尖度が高い。検定の結果、自然画像で拡散符号長が長い場合にはガウス分布の可能性があるが、それ以外の時はガウス分布ではない(より尖っている)ことがわかった。しかし、透かし検出を実際に行う場合、分布のガウス性を仮定した場合のビット誤り律の理論値と実測の値の差はそれほど大きくなく、画像の違いによる差の方が大きいので、要するにガウス性を仮定しても問題ない。質疑では、結果が画像推定手法(ここでは平均フィルタ)に依存するのではないかという指摘があった(篠田先生)。

○カメラ付き携帯電話向け動画電子透かしによる映像外縁への電子透かし埋め込みにおける映像領域検出精度向上の検討(NTTサイバー研)
テレビ映像やデジタルサイネージに透かしを埋めて、携帯電話でそれを撮影することで透かしを利用するという枠組み(モバイル電子透かし)。そのためには、携帯でコンテンツを撮影したときに、対象となる四辺形領域の検出が必要になる(検出した後に射影変換によって正面画像を作ってから処理をする)。しかし撮影した画像にはさまざまな四辺形が写るので、対象になる四辺形を特定するために、対象領域の枠にビジュアル電子透かし(縁電子透かし)を使う。

○招待講演:電子透かし及びその評価基準に関する一考察(岩村惠市:東京理科大)
研究会が主催して、電子透かしの評価と標準化を行う枠組みを作っていこうという提案。
・電子透かしの安全性:アルゴリズムが公開できない(古典暗号と同じ水準)
        理論的安全性の根拠が確立されていない・評価基準がない・標準化が困難
        結託攻撃に対して安全な方式がない
・電子透かし及びその評価基準策定・標準化のための検討
・過去の評価スキーム
        電子透かし評価ツールの作成(Stirmarkなど)
                評価ツールTuskmark
        評価基準の標準化委員会
        電子透かし評価コンテスト
                BOSS (Break Our Steganography System)
                BOWS (Break Our Watermarking System)
                        特定の透かしの破壊の具合を競う
・提案するスキーム
        公開の場による電子透かしのコンテスト
        評価ツールを作成
        研究会を通じて企画・実行
        透かし提案フェーズと、透かし攻撃フェーズ

○半開示スクランブル動画の不正な再利用防止のためのMPEG再圧縮に耐性を持つ電子透かし技法(北大)
動画が見える程度のスクランブル(半開示スクランブル)において、鍵によってスクランブル解除した画像の不正利用を防ぐために、スクランブル解除前の動画に電子透かしを埋める。スクランブル解除処理とMPEG再エンコードに対して耐性を持つ。ただし、MPEGは再量子化しか想定していないので、解像度を変えたりすると無力。

この発表の方式自体はいろいろ問題があると思うが、考えさせられることもあった。暗号化してあるコンテンツを鍵で復号化すると、必然的に透かしが入ってしまうような方式が作れたらおもしろいと思った。

○動画像半開示スクランブルにおける視覚特性の補正に関するパラメータの考察(北大)
前の発表と同じ方式。スクランブルの知覚的な強さを制御するため、スクランブルされた画像を視覚特性に基づいて評価し、一定の知覚的品質になるようにスクランブルをかける。動画の変化による知覚的品質のばらつきを抑えることができる。

○モノラル/ステレオ音信号のAmbisonic符号化による音響データハイディング(NICT)
西村さん。IIH-MSPで聞いたのと同じ話。空間マスキングを用いるデータハイディング。カバー音信号と空間的に近い位置にデータを埋めることで知覚できなくする。信号の空間的位置を制御するためにAmbisonicsを使う。ステレオの原信号をAmbisonicsに変換し、それに透かし情報を入れる。埋め込み方式は、ホスト信号のエコーの変調による。

○音響バリアフリーシステム構築に向けた電子透かし技術の応用可能性(国立特別支援教育総合研究所)
棟方先生。音情報にデータを埋め込んで、それを携帯端末で検知するためのシステム。今流れているアナウンスと同じ情報が音声から文字として得られることがバリアフリーにつながる。エコー法によるデータハイディングを利用しているが、思った以上に使える模様。単独では性能の高い拡散エコー法を使うとかえって脆弱になる。

○音響信号に対するスピーチプライバシー保護機能の埋め込み方法(大日本印刷)
茂出木さん。カウンターなどでのプライバシーを含む会話を、担当者以外に聞こえなくする技術。BGMなどを流して会話をマスキングするが、その効果が高くなるようにBGMに手を加える。マスキング効果が高く、かつ音楽自体は小さい音にするために、平均的な音声とかぶる周波数成分を大きく、そうでない成分を小さくする。ウィーナフィルタの逆みたいな感じ。評価を以前見た音声のMIDI符号化でやっていて、なんかよくわからない感じ。実際に調剤薬局で運用をしてみた。学術的な評価方法としてはいまいちだけど、実用化という点では大変意味のある評価をしている。

○混合音における付加情報を用いたボーカル音声操作システムの検討(東北大)
うちのMJこと佐々木君が発表。F0を音楽信号の付加情報として送ることで、受信側でボーカル信号のみを増減させる。ナイーブな方法なので、まだまだ改良が必要。空間情報によるボーカル抽出と組み合わせたらよいのではという指摘が篠田先生からあった。NICT西村さんからはウィーナフィルタを使ったらどうかという想定通りの質問。

○定量的な音質制御を可能とするオーディオ半開示スクランブルにおける音質の劣化制御に関する考察(北大)
先ほどの半開示スクランブルの音版。どの程度スクランブルをかけるかを、目標SNRによって制御できるようにする。対象はMP3。目標SNRを達成するまでMDCT係数を操作する。各グラニュールについてSNRを時間領域ではかっているらしいのだが、それでいいのだろうか?MDCTで変換した信号はグラニュール単位では完全には元に戻らないと思うのだが。質問してみたが、埒があかなかった。
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い

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