aitoの日記: 音響学会3月10日「原点回帰」セッションメモ
日記 by
aito
○超音波による定量診断技術の進展(蜂屋弘之:東工大)【超音波】
超音波の利用の歴史:1880(キュリー兄弟)~
日本では超音波研究会1949(信学会),1951(音響学会)
超音波による生体診断
利点:リアルタイム、高分解能、放射線がない、安価
問題点:断面像しか得られない、主観評価、診断に個人差
→組織定量診断へ
組織性状診断
生体高分子測定(1968~)
臨床的検討の開始(1980~)
組織性状診断の進歩
ディジタル信号、3Dデータ
音響特性と生体組織の変化は対応しているのか?(生体組織の音速)
通常状態の音速、密度などの特性は安定
脂肪肝・肝硬変組織では脂肪との間の特性が見られる
病変による超音波エコー画像の変化
画像データの振幅がレイリー分布に従う
肝硬変組織の分布はレイリー分布から外れる
音響特性によるエコー信号の変化(シミュレーション)
シミュレーションによる病変の進行と観測信号の関係が実測とよく合う
実際の肝臓を使う
超音波エコー画像の観測点からレイリー分布にあうものを除去
画像の各ピクセル(実際の値の対数)から局所平均を引いて閾値処理
剖検資料では超音波エコーと実物の顕微鏡観察結果が良く合う
臨床データからの線維組織悪性度の評価
○音響キャビテーションとソノルミネセンス(崔博坤:明治大)【音響化学】
音響キャビテーション:超音波による気泡の発生
音圧が1気圧より大きいと、負の位相で水に引張り応力が発声
音の強度が同じでも、水は密度が高いので音圧は3000倍
気泡に働く表面張力:気泡が小さいほど大きい
気泡発生の核:水中のごみ、壁の傷にガスが付着していて、それが核となる
気泡半径Rについての方程式:Rayleigh-Plassetの式
気泡が収縮するときの気泡の温度:2万度以上
水分子が分解、OHラジカルが発生
発光が起こる
気泡の運動観察(超高速度撮影 4000~10000frame/s)
気泡の合体、分裂など複雑な動きをしている
気泡クラウド
気泡からの発光:ソノルミネッセンス
1930年代に発見:現像過程で
マルチバブル:多数の気泡からの発光
シングルバブル:1個の気泡からの発光 (1990~) 1963年にすでに音響学会で報告
なぜ発光するのか
アルゴン精留説:気泡の気体が水に溶けてアルゴンだけ残る
なせ高温?
ホットスポット(断熱圧縮)説(2万度)/ 衝撃波説(100万度)
真の機構はまだ不明
マルチバブルソノルミネッセンス
溶液によって違う光が出る
いまだにキャビテーションの機構は解明されていない
○音声情報処理における研究の原点と今後に目指すもの(山下洋一:立命館大)【音声】
音声研究の原点
(1)単語・文から対話音声へ
DPマッチングによる孤立単語→対話音声へ
(2)ルールからコーパスへ
ルール:規則合成、スペクトルリーディング
コーパス:データ、モデル+アルゴリズム
同じデータとモデルなら誰でも同じ結果、高性能
コーパスの整備:1986ATR設立~2004CSJ
(3)精度から頑健性へ
認識率・明瞭度→頑健性、適応
(4)要素技術から応用へ
今年度のSP研究会オーガナイズドセッションからみるテーマの流行
今後の展望
コーパスを利用する手法は強力
大規模なコーパス利用は容易ではない
Webデータの利用、言語間適応
「意味」「意図」を扱う研究はあまり進まなかった
○ピアノとクラヴィコードの物理モデルについて(西口磯春:神奈川工大)【音楽音響】
音楽音響研究会(1977~)
音楽音響学の役割
楽器の設計・制作への寄与
楽器や歌の演奏技術に関する知見
楽器の物理モデルの構築
ピアノ
1700年頃発明、音量変化が可能、当時は木のフレーム (現在は金属性フレーム)
ハンマー打撃による発音
クラヴィコード
14世紀に誕生、16世紀から18世紀まで主に使用
歴史上評価が高い楽器
タンジェントが弦に接触して発音、弦の片側の進行波はフェルトに吸収されて消える
タンジェントの接触位置が音の高さを決める
発音中はタンジェントが弦に接触し続けている
ピアノの物理モデル
シミュレーションは難しい
様々な非線形性、さまざまな要素の相互作用
クラヴィコードの物理モデル
2度打ちが予測できる物理モデル→熟練演奏者の演奏解析ができる物理モデルを
○非拡散音場における残響理論構築の可能性(羽入敏樹:日大)【建築音響】
室内音響設計:コンサートホールからそれ以外の室まで
壁面の吸音率(残響設計)
壁面の拡散処理(凹凸)
建築音響学の成り立ち
セイビン(1900):吸音材と残響時間の関係
残響理論の発展
吸音率1の場合に残響時間が0になるように
完全拡散音場を前提とする:吸音が偏在する場合に実測と大きく違う
非拡散音場での残響とは?シミュレーション
吸音だけでなく壁面の拡散が影響する
室形状も影響する
非拡散音場における残響理論構築の試み
鏡面反射だけを考えた場合(従来は完全拡散)
1次元・2次元・3次元残響
吸収がないと1次元→2次元→3次元と広がる
吸収がないと3次元から2次元、1次元へ縮退
各残響の予測式の導出
1次元の残響時間3つ+2次元の残響時間3つ+3次元の残響時間1つ
残響理論への拡散の組み込み
超音波の利用の歴史:1880(キュリー兄弟)~
日本では超音波研究会1949(信学会),1951(音響学会)
超音波による生体診断
利点:リアルタイム、高分解能、放射線がない、安価
問題点:断面像しか得られない、主観評価、診断に個人差
→組織定量診断へ
組織性状診断
生体高分子測定(1968~)
臨床的検討の開始(1980~)
組織性状診断の進歩
ディジタル信号、3Dデータ
音響特性と生体組織の変化は対応しているのか?(生体組織の音速)
通常状態の音速、密度などの特性は安定
脂肪肝・肝硬変組織では脂肪との間の特性が見られる
病変による超音波エコー画像の変化
画像データの振幅がレイリー分布に従う
肝硬変組織の分布はレイリー分布から外れる
音響特性によるエコー信号の変化(シミュレーション)
シミュレーションによる病変の進行と観測信号の関係が実測とよく合う
実際の肝臓を使う
超音波エコー画像の観測点からレイリー分布にあうものを除去
画像の各ピクセル(実際の値の対数)から局所平均を引いて閾値処理
剖検資料では超音波エコーと実物の顕微鏡観察結果が良く合う
臨床データからの線維組織悪性度の評価
○音響キャビテーションとソノルミネセンス(崔博坤:明治大)【音響化学】
音響キャビテーション:超音波による気泡の発生
音圧が1気圧より大きいと、負の位相で水に引張り応力が発声
音の強度が同じでも、水は密度が高いので音圧は3000倍
気泡に働く表面張力:気泡が小さいほど大きい
気泡発生の核:水中のごみ、壁の傷にガスが付着していて、それが核となる
気泡半径Rについての方程式:Rayleigh-Plassetの式
気泡が収縮するときの気泡の温度:2万度以上
水分子が分解、OHラジカルが発生
発光が起こる
気泡の運動観察(超高速度撮影 4000~10000frame/s)
気泡の合体、分裂など複雑な動きをしている
気泡クラウド
気泡からの発光:ソノルミネッセンス
1930年代に発見:現像過程で
マルチバブル:多数の気泡からの発光
シングルバブル:1個の気泡からの発光 (1990~) 1963年にすでに音響学会で報告
なぜ発光するのか
アルゴン精留説:気泡の気体が水に溶けてアルゴンだけ残る
なせ高温?
ホットスポット(断熱圧縮)説(2万度)/ 衝撃波説(100万度)
真の機構はまだ不明
マルチバブルソノルミネッセンス
溶液によって違う光が出る
いまだにキャビテーションの機構は解明されていない
○音声情報処理における研究の原点と今後に目指すもの(山下洋一:立命館大)【音声】
音声研究の原点
(1)単語・文から対話音声へ
DPマッチングによる孤立単語→対話音声へ
(2)ルールからコーパスへ
ルール:規則合成、スペクトルリーディング
コーパス:データ、モデル+アルゴリズム
同じデータとモデルなら誰でも同じ結果、高性能
コーパスの整備:1986ATR設立~2004CSJ
(3)精度から頑健性へ
認識率・明瞭度→頑健性、適応
(4)要素技術から応用へ
今年度のSP研究会オーガナイズドセッションからみるテーマの流行
今後の展望
コーパスを利用する手法は強力
大規模なコーパス利用は容易ではない
Webデータの利用、言語間適応
「意味」「意図」を扱う研究はあまり進まなかった
○ピアノとクラヴィコードの物理モデルについて(西口磯春:神奈川工大)【音楽音響】
音楽音響研究会(1977~)
音楽音響学の役割
楽器の設計・制作への寄与
楽器や歌の演奏技術に関する知見
楽器の物理モデルの構築
ピアノ
1700年頃発明、音量変化が可能、当時は木のフレーム (現在は金属性フレーム)
ハンマー打撃による発音
クラヴィコード
14世紀に誕生、16世紀から18世紀まで主に使用
歴史上評価が高い楽器
タンジェントが弦に接触して発音、弦の片側の進行波はフェルトに吸収されて消える
タンジェントの接触位置が音の高さを決める
発音中はタンジェントが弦に接触し続けている
ピアノの物理モデル
シミュレーションは難しい
様々な非線形性、さまざまな要素の相互作用
クラヴィコードの物理モデル
2度打ちが予測できる物理モデル→熟練演奏者の演奏解析ができる物理モデルを
○非拡散音場における残響理論構築の可能性(羽入敏樹:日大)【建築音響】
室内音響設計:コンサートホールからそれ以外の室まで
壁面の吸音率(残響設計)
壁面の拡散処理(凹凸)
建築音響学の成り立ち
セイビン(1900):吸音材と残響時間の関係
残響理論の発展
吸音率1の場合に残響時間が0になるように
完全拡散音場を前提とする:吸音が偏在する場合に実測と大きく違う
非拡散音場での残響とは?シミュレーション
吸音だけでなく壁面の拡散が影響する
室形状も影響する
非拡散音場における残響理論構築の試み
鏡面反射だけを考えた場合(従来は完全拡散)
1次元・2次元・3次元残響
吸収がないと1次元→2次元→3次元と広がる
吸収がないと3次元から2次元、1次元へ縮退
各残響の予測式の導出
1次元の残響時間3つ+2次元の残響時間3つ+3次元の残響時間1つ
残響理論への拡散の組み込み
音響学会3月10日「原点回帰」セッションメモ More ログイン