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aitoの日記: SIGMUS@関西学院大学 2日目まとめ

日記 by aito
7月28日(木)

■印象・楽譜
(7) 歌詞と音響特徴量を用いた楽曲印象軌跡推定法の設計と評価(京都大)
奥乃研.印象からのプレイリスト作成を目標に,楽曲の印象を推定する.歌詞の情報も使うことと,印象の時間変化を求めるとことが特徴.印象モデルはRusselの円環モデル(快―不快,興奮―抑制の2次元).歌詞からの印象推定はMAP-PLSA,音響信号からの推定は重線形回帰で,特徴量はありがちなやつ142次元をPCAで22次元に圧縮したもの.データはビートルズ.ソーシャルタグと比較しているが,印象特徴の分散が大きいので,ちゃんと推定できているのかまだ不明な感じ.

(8) Dynamic Bayesian networks for symbolic polyhonic pitch modeling(東大)
嵯峨山研.複数音が鳴る楽曲で,ある時点でどの音が鳴るかの確率モデル化.ある時点で鳴る「音の組み合わせ」は,直前の「音の組み合わせ」と,コード進行のマルコフモデルによって表現される.「音の組み合わせ」を,voice, duration, polyphony, harmony の4つのモデルに分解し,線形対数モデルで組み合わせる.ほとんどvoiceモデルしか効いてなくて(コード進行などはあまり効かない),しかもvoiceモデルは時間独立でもほとんど性能が変わらないという変な結果(評価はパープレキシティではなくエントロピーなので差が出にくいということもあるかも).質疑では嵯峨山先生が質問するという研究室ゼミ状態.ついでに,論文タイトルは polyhonic,発表スライドは poyphonic になっていたのだが,polyphonic だよねえ.

■音楽創作支援[11:20~12:20]
(9) 統計的言語モデルを用いた作詞補助システム(東北大)
当研究室の“あべち”こと阿部さん(@abechi_smile)が発表.単語trigramと品詞trigramを使い,指定された文脈で指定のモーラ数の単語列を提示するシステム.韻を踏むために母音条件を指定することができる.嵯峨山先生から熱いコメントを頂いた.

(10)劇伴の作成を支援する楽曲作成システム「Lazy Composer」(愛知工大)
ゲームや動画などのBGMの作成を支援するシステム.凝ったプレゼン.メロディ入力は作成者が行い,それ以外はシステムがやってくれる.メロディ入力は,音の高低の概略を線で描画するというインタフェース.曲のパターンにあわせて,使う音階を限ることで「それらしい」メロディに変形する.楽曲生成では,典型的な場面ごとに各楽器のパターンを用意し,パターンの組み合わせによって曲を生成する.デモにあるのは「カウンターバー」と「初期戦隊ヒーローOP」という不思議な組み合わせ(典型的なものを選んだか?).使うのは楽そうだが,シーンに応じてパターンを用意するのが大変そうだ.

■自動伴奏・伴奏生成[13:30~14:30]
(11)CRFに基づく伴奏の演奏表現の予測モデルと協調演奏システム(名工大)
北村酒向研.自動伴奏.ユーザの演奏の観測結果(MIDI)から演奏位置を推定し,それに合わせて適切な表情(ここでは音量)をつけた伴奏を再生する.演奏位置推定はHMM,伴奏演奏の音量推定はCRF.音量として,平均音量からの変位を使う.使用楽器はピアノ(CrestMUSE PEDB),曲はモーツァルト(オープンテストではバッハ).

(12)楽譜コンテキストのベイジアンマイニングに基づく自動伴奏付与システム-ユーザの感性的要求に応じた伴奏生成-(名工大)
作曲支援システムの一環としての伴奏自動生成.音符のコンテキスト(楽譜コンテキスト:メロディ音の高さや長さだけでなく,ベース音,ドラム,コードなども含む)を単位としてベイジアンネットを学習する.学習したネットワークを叩くことで伴奏を生成する.デモもあったがちょっと不安定な気がする.生成時はコード進行などを与えるようだけど,デモ曲(大きな古時計)ではコード進行が間違っていたんじゃないかという嵯峨山先生のご指摘.

こういう自動作曲で「既存の曲を切り張りする」のと「モデルで曲を生成する」のは,音声合成での素片接続とHMM合成に通じる対立軸なのだけど,音楽の場合どっちが有利なんだろうか.MIDIの場合,つなぎ目の不自然性とかは無いからなあ.

■演奏、学習支援インタフェース[14:50~16:20]
(13)フレーズ間類似度に基づく楽曲構造提示機能をもつ暗譜支援システムの設計と実装(神戸大)
塚本寺田研.楽譜の中で,似ている部分の可視化インタフェース.類似区間の検出はDPマッチングによる.類似度として,音楽的に似ているかどうかと,楽器の演奏方法(運指など)が似ているかどうかの2種類を使う.よく出てくるフレーズを集中的に練習すると,曲を覚える時間が短くなるだろうという狙い.これを使って暗譜を行った時間を評価するが,システムを使わなかった場合の被験者の能力(能力値)を推定しているところが面白い.結果として,暗譜時間が短くなる人もいるが,長くなる人もいる.インタフェースものの場合には,方式以外に実装のよしあしも関係するので難しいところがあるなあ.

(14)オーケストラ指揮におけるリハーサルの過程に焦点を当てた指揮システム“VirtualPhilharmony”(関西学院大)
片寄研の馬場さん.去年の発表にもあったバーチャル指揮システム.改良点として,テンポ予測の改良,演奏テンプレートの動的な適応など(コンサートマスター機能).テンポ予測は線形予測だが,次数や予測係数は曲ごとあるいは拍ごとに個別に推定する.また,ヒューリスティックスとして,ウィンナワルツの場合とか付点リズムなど特殊な場合についてのルールを入れる.また,何回かリハーサルすることでテンプレートの適応を行う.ついでにドイツの同種システム VirtualConductor の使用レポートなど.

(15)押す,掴む,回すを利用した演奏インタフェースの試作
首都大東京のPocoPoco関連.4×4の出たり引っ込んだりするボタンを操作して音楽を演奏する.いままでボタンを押して操作していたが,「抑える」「掴む」「回す」動作もできるようにした.ボタンの垂直方向位置はフォトリフレクタで検知する.掴む動作はサステインやピッチベンド,回す動作は音量やエフェクトに使っている.質疑での嵯峨山先生と他の人たちの議論が面白かった.

■デモセッション [17:30~19:00]
(16)デモンストレーション:音楽情報処理の研究紹介X
デモセッションは省略.各位の補足を求む.
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

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