yasuokaの日記: ABO血液型はなぜABCではないのか 11
- やっぱりおおざっぱ
- ABO式血液型の分け方は 糖タンパク質の構造による
- 「何もないものは ゼロ型にしよう」
- 「ハカセ 0(ゼロ)型を みんな O(オー)型と 言ってます」
んー… - 1927年 国際連盟の委員会
「めんどうだから オー型でいいや」
決定ー
「この大ざっぱさは いかにもO型!」
ヒトの血液型に「O」型という記法を初めて導入したのは、Emil Freiherr von DungernとLudwik Hirszfeldの『Ueber Vererbung gruppenspezifischer Strukturen des Blutes, II』(Zeitschrift für Immunitätsforschung und experimentelle Therapie, Bd.6, H.1 (22. Juni 1910), pp.284-292)である。彼らの3連作中2本目にあたるこの論文では、ヒトの血液は「A」「A(o)」「B」「B(o)」「O」「AB」の6つの型に分類されており、「A」型どうしの両親からは「A」型の子供しか生まれないが、「A(o)」型どうしの両親からはメンデルの法則にしたがって「A」「A(o)」「A(o)」「O」の子供が生まれる、としている。すなわちこの論文では、大文字のOと小文字のoが使い分けられており、数字の0ではありえない。これ以前の論文では、ヒトの血液型の記法として、たとえばKarl Landsteinerは「Gruppe A」「Gruppe B」「Gruppe C」、Jan Janskýは「II」「III」「I」「IV」、William Lorenzo Mossは「II」「III」「IV」「I」を用いており、数字の0など見当たらない。
国際連盟のComité d'Hygiène配下のCommission permanente de standardisation des sérums, réactions sérologiques et produits biologiquesが、議長Thorvald Johannes Marius Madsenの提案にしたがって、ヒトの血液型をO, A, B, ABで表記する決定をしたのは、1928年4月25~28日のフランクフルト会議においてである(Klinische Wochenschrift, 7 Jg., Nr.35 (26. August 1928), p.1671)。1927年にO, A, B, ABを採用する決議をおこなったのは、アメリカのNational Research Councilだ(The Journal of the American Medical Association, Vol.88, No.18 (April 30, 1927), pp.1421-1422)。しかも、これらの委員会が「O」型に至った理由は、「めんどうだから」ではない。当時、血液型の記法は、JanskýシステムとMossシステムが混在していた。いずれもローマ数字で血液型を表すものだが、JanskýシステムのI, II, III, IVに対して、MossシステムはIV, II, III, Iとなっており、IとIVが入れ替わっている。この結果、I型とIV型の間で、輸血ミスなどの医療事故が発生していた。すなわちヒトの血液型に、数字や、連続したアルファベットを用いるのは危険であり、それゆえ、von DungernとHirszfeldの記法を簡略化したO, A, B, ABを採用したのである。
ムダ知識の王様にもコメントしたが、このような「トリビア」を披露する人たちは、どうして「ウラを取る」ということをしないのか。その点がどうにも私には理解できない。
トリビアな知識 (スコア:0)
von DungernとHirszfeldは、なぜOを選んだのか (スコア:1)
OWL.Diary_TestType [hatena.ne.jp]にもコメントしたのですが、von DungernとHirszfeldの論文には、彼らがなぜOという文字を選んだのか、一切のべられていません。文脈からすると「ohne」の可能性はあるんですけど、断定は無理です。となると、もし
>ではなぜ「O」が選ばれたのでしょうか?
の答が知りたいのなら、頑張って研究するしかない、ということです。ちなみに先行研究としては、George Garrattyの『Terminology for Blood Group Antigens and Genes ― Historical Origins and Guidelines in the New Millennium』(Transfusion, Vol.40, No.4 (April 2000), pp.477-489)や、Paul J. Schmidtの『Also sprach Landsteiner ― Blood Group 'O' or Blood Group 'NULL'』(Infusionstherapie und Transfusionsmedizin, Bd.28, H.4 (Juli 2001), pp.206-208)なんかがありますけど、まだ結論は出ていません。ぜひ、あなたも頑張って下さい。
トリビアな知識 (スコア:0)
Re: トリビアな知識 (スコア:1)
Re: トリビアな知識 (スコア:0)
ウラを取る (スコア:1)
「血液型のO型は、本当は0(ゼロ)型だった」というガセネタ (スコア:1)
Re:ウラを取る (スコア:1)
> どうして「ウラを取る」ということをしないのか。
> その点がどうにも私には理解できない。
わはは、思うにそれは、なるべく低コスト(時間的、経済的)により、
高い効果(へえ!)を得たいという、
「トロビア」の属性によるからではないでしょうか。
「裏取り」という行為は、(よくご存知のように)経済原則に背馳するのが普通です。
Re: ウラを取る (スコア:1)
あの~~ (スコア:0)
どこですか~~
(blogs.yahoo.co.jp/niponipojp/)
Re: トラックバック (スコア:1)