手作りスパコンが世界最高性能を記録 38
ストーリー by Oliver
葡萄の粒の様に 部門より
葡萄の粒の様に 部門より
von_yosukeyan曰く、"ZDnet日本語版の記事によると、"手作りスーパーコンピューター"として有名な、東京大学牧野研究室の理論天文学専用多粒子系スーパーコンピューター"GRAPE-6"が、48TFLOPSの演算性能を達成したという。プログラマブルなゲートアレイで製作されたPEの性能は1個あたり31GFLOPS。これを1024個並列させ、4台のPCで制御している。制作費はわずか5億円だが、問題に特化した設計の専用計算機ならではの高コストパフォーマンスと言えるだろう。なお、先日スラドでも取り上げられた地球シミュレーターが11日から正式稼動する。ZDnetや日経BPに地球シミュレーターの写真が掲載されているが、GLAPEとのあまりの規模の違いにびっくりしてしまう。"
難しい問題は哲学で? (スコア:2, 参考になる)
でも特定の計算だけを速くしただけで他に応用が利かないか著しく演算速度が落ちると思われる。
一方、「地球シミュレータ」は普通ではないがそれなりのプロセッサと同じように計算可能
でも目的が「地球シミュレータ」を目的としている為、専用プロセッサを使い同じように
する事も可能であろう。
すると維持するコストを考えるかそれとも汎用性を重視するかで問題になる。
一体どれくらいの開発費用が掛かるか不明だが少なくとも決まった事をするなら専用の
チップを使ってもよさそうな気がする。後はスパコンの併用で使えばコストと汎用性の
両方を得られるのではないだろうか?
GRAPE-6 [u-tokyo.ac.jp] 開発総 予算はわずか 5 億円…
リンク読むと『一つ一つの星を「粒子」と見て計算機の中でその運動を追跡します。』とある
地球環境でも大気を粒子として見れば同じ事ではないか?これ使えると思いますけど…
「地球シミュレータ」はやっぱり、役人や建設業者がピンはねしているんだろうな(笑)
「目的」と「手段」 (スコア:3, すばらしい洞察)
研究室のページ [u-tokyo.ac.jp]のほうをみると,研究室自体は天文学の研究室のようです. ということは,もともとの目的は「高性能計算機」ではなくて「銀河の衝突のシミュレーション」のようですね. シミュレーションに必要な計算能力をスパコンより安価に得るには application specific なアーキテクチャの計算機,というのはありなのではないか,と.
シミュレーションの方が目的だとすると,専用計算機というアプローチは技術的・方法論的には間違いとはいえないとは思います. さらに「他に使えんじゃないか」という意見も的外れかな,と.
まぁ,私もここらの「application specific な計算機」というアイディア,というかプロセスを汎用化できると面白いことになるのではないかな,と個人的には思いますが.
多粒子系と連続体系 (スコア:3, 参考になる)
> リンク読むと『一つ一つの星を「粒子」と見て計算機の中でその運動を追跡します。』とある
> 地球環境でも大気を粒子として見れば同じ事ではないか?これ使えると思いますけど…
無理でしょう。
この手のシミュレーションは多体天体系や高分子系などの多粒子系の計算
モデルと、液体や素粒子を表す場などの連続体系の計算モデルに2分割されます。
「地球シミュレータ」の第一目的である地球シミュレーションは後者に分類される
(はず)です。
話は逸れるのですが、GRAPE-6 は日本学術振興会は「未来開拓学術研究推進事業」の
一環のプロジェクトです。
未来開拓はまず「多粒子系向け超並列計算機」と「連続体向け超並列計算機」を
別々に完成させて、最終的には両者をヘテロ接続して多粒子・連続体混合問題をも
解かん、というどでかい野望を持っていた(はず)です。
多粒子系向け超並列計算機はめでたく完成したのですけど、連続体向け超並列
計算機の姿が見えないのはなぜでしょう?
> 「地球シミュレータ」はやっぱり、役人や建設業者がピンはねしているんだろうな(笑)
役人や建設業者は知りませんが (計算機を作った) NEC は赤字なのでは?
投じられた開発費は400億円ですが、このプロジェクトだけで利益を出すにはゼロが一つ
足らないという話も聞きます。昔なら地球シミュレータの開発実績を看板にしてノード
計算機をガンガン売るという戦略が取れたのでしょうけどねぇ、、、
コンタミは発見の母
Re:多粒子系と連続体系 (スコア:1)
>赤字なのでは?
>投じられた開発費は400億円ですが、このプロジェクトだけで
>利益を出すにはゼロが一つ足らないという話も聞きます。
>昔なら地球シミュレータの開発実績を看板にしてノード
>計算機をガンガン売るという戦略が取れたのでしょうけどね、、、
大部分SXシリーズのRemakeだけだからそんなに開発費がかかっている
とは思えないですが。
バブルプロジェクトの遺跡として残るか、それとも
数年したらRemake/Replaceかも。
Re:難しい問題は哲学で? (スコア:2, 参考になる)
> リンク読むと『一つ一つの星を「粒子」と見て計算機の中でその運動を追跡します。』とある
> 地球環境でも大気を粒子として見れば同じ事ではないか?これ使えると思いますけど…
これは、いくらなんでも非現実的です。粒子数が膨大なのはおいておくとしても、
粒子間の力だけで気候は分かりません。気候のシミュレーションにはもっと他のパラメータが 必要です。
もっというと、気候のシミュレーションはまだ技術が確立していないそうです。 これだというモデルがないようなので、汎用機でいろいろなモデルを試す必要もあるはずです。 だてにデカいマシンを使っているわけではないはずです。こと気象に関しては。
因みに、GRAPEは逆2乗則に従う力の計算に特化した計算機ですから、 星以外に、分子化学にも応用されています。
物理学的には (スコア:1)
Re:物理学的には (スコア:0)
何ができるの? (スコア:0)
Re:何ができるの? (スコア:1)
ハードウエアのバグをチェックするついでらしいです。
え? そういう研究を見てワクワクしないの? (スコア:1)
それを計算で再現できるって事にワクワクしないの?
すくなくともぼか~そういう試みにワクワクするけどなぁ~。
もっとも、VMware とか Bochs とかにもワクワクするタイプだから 僕が特殊なのかもしれないが・・・。
---
純粋数学のためにそれが永遠に誰のためにも何の役にも立たないことを祈って
# 数学は科学の女王にして奴隷
(余計なもの:-1) (スコア:0)
その書き込みがそもそも電気の無駄
という茶々はさておき
こういう基礎研究は、仮にその成果が社会に還元されるとしても100年単位の未来の話というのは定説ではないかな。
まあ卑近なところでも、学生がこういう計算を実装できるようになることは十分立派な成果だと思うが。
Re:何ができるの? (スコア:0)
> 研究なのかな? GRAPEって人類の未来に貢献できるような研究に使えるのでしょうか? 分子科学の世
> 界だと、最近はGRID Computingがはやりだし。 そういや東大は円周
Re:何ができるの? (スコア:0)
Re:何ができるの? (スコア:0)
Re:何ができるの? (スコア:0)
ブルーバックス (スコア:2, 参考になる)
で似たような話の本を買ったことがあったな,と web を検索してみると…ありました [kobe-u.ac.jp].
リンク先の概要をみてみると,この記事の GRAPE シリーズの初期型についての本のようです. (って,一度読んだはずなのだけど (^^;;)ハード化するのが一番速い (スコア:2, すばらしい洞察)
とはいっても誰でもできるわけではなく、牧野さんの所はハードまでふくめて全体をうまく作れるだけの実力と根性があるからうまくいくので、そうそう簡単ではありません。ただしむかしと違って今は FPGA [fpgacpu.org] なんかもずいぶん発達してきましたし、これから 特殊用途の並列チップ構成のシステム っていうのがトレンドとして出てくる気がします。
ちなみに速度改善のために補助計算をするためのFPGAオンPCIボードを考えたのですが試算したところ、 PCIバス速度が上限になって 「やっぱり新しいCPUで計算したほうがはえーや」ということになってしまいました。やっぱり使いこなすためには全部を構築しないといけないのだなぁ。
すずきひろのぶ
Re:ハード化するのが一番速い (スコア:2, 参考になる)
いまはFPGAの周波数もかなりあがってきたのでそんなことないのかなぁ
やっぱり最終的にはFPGAで試したものをASICなりで高速化しないと、だめなんでしょうねー
ASIC化の障壁?(おふとぴ) (スコア:1)
FPGAでプロトタイプ作成と機能デバッグをして、その論理合成結果を
ASICに持ち込むケースは、最近結構あるみたいですね。
必ずしも高速化するとは限りませんけど、条件によっては
最適化しやすいかもしれません。
#ただ、FPGAの回路をそのまま持ち込む場合、無駄な部分を
#取り込まないようにしないと、高速化は出来ないと思います。
#FPGAでは切り離しておいた無駄な回路を内包したまま、ってのは、
#高速化にもよくないし、消費電力的にもchip面積的にも無駄ですしね。
FPGAからASICとするにはまだ色々と障壁も高そうですが、
しばらくすれば、もっと楽なソリューションが出てくるかも・・・。
---- redbrick
自動化希望 (スコア:1)
汎用性とか開発期間とかコストとかの問題を克服するのに、DSPメーカーにはその辺りの部分をがんばって欲しいです。
おふとぷってますが元記事 GLAPE じゃなくて GRAPE ですね。
Re:ハード化するのが一番速い (スコア:1)
EFFのDES Cracker [eff.org]と同じコンセプトだなぁ…と思ったら、それに言及してるとこがありました。こちら。 [www.ne.jp]
Re:ハード化するのが一番速い (スコア:2, 参考になる)
ここ [iij4u.or.jp] の これが噂のDEEP CRACK の部分で触れています。
ちなみに実際のBitの記事(いつ掲載だったかは、もう忘れましたが)にはDEEP CRACKのボードを持っている作成者や、John Glillmoreがボードをラップトップに接続してデモしている 写真 も載っています。
すずきひろのぶ
わずか、ね。 (スコア:1)
> ならではの高コストパフォーマンスと言えるだろう。
それって人件費も含まれてるのかな。
--rena
Re:わずか、ね。 (スコア:0)
Re:わずか、ね。 (スコア:0)
Re:わずか、ね。 (スコア:0)
Re:わずか、ね。 (スコア:0)
GRAPE はスパコンではありません (スコア:0)
ありません. 単なる特定用途向けの専用プロセッサというか,
専用演算ハードウェアです. したがっていわゆる『スパコン』など
ではありません.
Re:GRAPE はスパコンではありません (スコア:2, 参考になる)
Re:GRAPE はスパコンではありません (スコア:1)
でも、コプロセッサならば、メインプロセッサもあるはずで、それを含めて、スーパーコンピュータと名乗るのは、間違ってないやうな気がします。
特定用途以外はパソコン並ってことで。(笑)
ま、大なり小なり、スーパーコンピュータってのは、得手不得手があるものですし。
スパコンの定義 (スコア:1)
ただスーパーなコンピュータこそスパコンである [jst.go.jp]という
定義も在るみたいですけど、個人的には「SuperComputing をやる
機械」をスパコンと呼びたいところです。
ところで通産省の定めた『スパコン』の明確な定義を見つけましたよ!
「国際合意等を受けた輸出規制の見直しについて」 [meti.go.jp] によると
複合理論性能CTP(Composite Theoretical Performance) が 6500 Mtops
(Millions of Theoretical Operations per Second)を超えている
やつがスパコンだそうです。
# 2年前の定義なのでもう変わってかもしれません。
「CTP をどうやって測るのか?」
「GRAPE の CTP 値がいくつなのか?」
という点に関しては、私は情報を持ち合わせておりません。
# パタヘネ本にもCTPは載っていなかったような気がするよ。
p.s.
むか~し、世界初のコンピュータが ENIAC なのか ABC(Atanasoff Berry 計算機)
なのかで大論争がありましたねぇ。
コンタミは発見の母
だね (スコア:0)
じゃないと、○経と同じレベルになっちゃうよ。
じゃあ何と呼べば… (スコア:0)
てか、「スパコン」=「『プログラミング』が可能なノイマン型コンピュータ」っていう定義のソース希望。
だいいち、それを言ったら汎用機だって、数値計算という特定用途向けにしか使えない「数値計算専用演算ハードウェア」ですよと言ってみる試験。
Re:じゃあ何と呼べば… (スコア:3, 参考になる)
プロトタイプは学生(当時)が作りました。基本設計は野辺山天文台の研究者がしたと思います。LSIの開発は確か、富士通が行いました。(うろおぼえ) GRAPEのぺーじ:http://grape.astron.s.u-tokyo.ac.jp/grape/
GRAPEの本 (スコア:1)
GRAPEの開発を指導した先生が書かれた本ですね。
タイトルには「スーパーコンピュータ」とかかれてますが、なかでは「専用計算機」として、いわゆるスーパーコンピュータではないと書かれていたような・・・。
なかなかおもしろい本です。
Re:じゃあ何と呼べば… (スコア:0)
Re:じゃあ何と呼べば… (スコア:1)
ことね。
そしたら、「重力計算コプロセッサ」でいいんでないの?