追悼 E.W.ダイクストラ 114
ストーリー by koyhoge
その礎に感謝しつつ 部門より
その礎に感謝しつつ 部門より
saitoh 曰く、 "E.W. Dijkstra氏が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。(テキサス大学が、追悼文を掲載しています。)
ここ(Slashdot Japan)でダイクストラというと、構造化プログラミング
の提唱者として名前を知っている人が多いでしょうか。
実際には氏の功績は多岐にわたり、1972年にチューリング賞を受賞
しています。たとえばセマフォの考案も
(構造化プログラミングの提唱ととセマフォの考案はどちらも1968年)そうです。
氏の(計算機科学の世界で)最初の大功績はショーテストパスを
求めるアルゴリズムを1959年(43年前!)に考案したことと伝えられています。
ちなみに、このアルゴリズムは21世紀でも現役です。
インターネットの(組織内)ルーティングプロトコルとして広く使われている
OSPF(Open Shortest Path First)の中でshortest pathを求めるのにも
Dijkstraのアルゴリズムが使われています。
各自、氏の功績に感謝して、追想にふけってください。
dijkstraのアルゴリズムが試験に出て解けなくて辛かった・・なんてことを
思いだした人もいるかな?
ついこのあいだシャノン氏が亡くなったと思ったら、こんどは Dijkstra氏。計算機科学の巨人たちというと1960年代にすでに活躍していた 人々なので、寿命といえばそうなのですが、寂しい限りです。"
R.I.P E.W. Dijkstra and R.W.Floyd (スコア:5, 興味深い)
かっての論敵であり、ダイクストラと同じフィールドで仕事をしてきたR.W.Floyd が何かコメントを出してるかなと調べてみたら、すでに去年亡くなっていた(スタンフォード大の死亡記事 [stanford.edu])。65歳とは若すぎる。
ダイクストラは小言幸兵衛という印象が強いが、おもしろい問題をいろいろ提示してくれた人だった。昔、最弱前提の話を勉強するために「プログラミング原論」を読んだが、中に登場する問題がどれも興味深いものばかりで、よくできたパズルを解くように楽しく悩みながらアルゴリズムを考えたものだ。
しかし、彼の文章は少々わかりにくかった。フロイドは「単語は英語だが、文法はオランダ語」と思いきりけなしていたが、たしかにあのわかりにくさは訳者のせいだけではなかったように思う。
今ごろはあの世でフロイドとまた議論をたたかわせているのだろう…
彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:4, 参考になる)
# 個人的にはすごくタイムリー...うれしいことではないけれど
「彼の考案したことはたくさんあって、ネットで検索したらヒットしすぎてたいへん」とかって話してたんですが、ほんといろんなことを残してくれた方ですよね。
セマフォや構造化プログラミングにもお世話になってますが、ガベージコレクタ作ってたときがいちばんお世話になったかな。
ところで、こういういろんなアイディアを残した人って、もしその人がいなかったらどんな世界になってたんかなとかって思いませんか。他の誰かがその穴を埋めてくれてたのかとか、そのアイディアがなかったら、実はもっと幸せな世界になってたんじゃないか、とか。
彼がいなくてもGNUみたいなものは存在したのか?とか、彼がいなくてもLinuxみたいなものが存在したのか?とか。
ひとまず、感謝感謝。
Re:彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:2, 興味深い)
自伝『学者人生のモデル』(岩波書店) [bk1.co.jp]で、
構造化プログラミングはわしのほうがほんとは先に考えついて
おったのぢゃ、みたいなことを語っていました。割と冷静な記述が
多い中での話だったんで、ちょっとびっくりもの。
本当のところはどうだったんでしょうね。
世界人類が平和ボケでありますように
フォンノイマン (スコア:2, 参考になる)
わりと有名な話だったと思うのですが, ゲーデルによる不完全性定理の論文の査読は最初 だれも理解できずに宙に浮いていたそうです. ノイマンが一言,通せと言ったので掲載されたとか. ノイマンがいなかったらゲーデルの登場は無かったのかも知れませんね.
と言うか,ノイマンがいなかったら計算(機)業界は どうなっていたんでしょうかね?
Koichi
Re:彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:1)
米国に留学して最初に聴講して授業で、計算理論の先生が
「構造化プログラミングの根本的な利点は、プログラムの情報量だ。
構造化されていないプログラムに対して、構造化されているプログラムは情報量を大幅に節約できる。
n個のノードを持つDAGの数と、n個のノードを持つ木の数を比べてみなさい。」
とおっしゃってたのを思い出した。
合掌。
Re:彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:3, すばらしい洞察)
というのはちょっと的外れでしょう。
例えば、ニュートンがいなくとも、ライプニッツが微分法を考えついたであろう事は確かですが、力学方面への応用は一世紀遅れたかも知れません。
あるいは、シュレーディンガーなしでも量子力学は成立しえたでしょうが、世の物理学者に量子論が受け入れられるには相当の時間を要したでしょう。
「誰某がいなかったら」と問うのは無意味ではありません。 自然科学的には、確かに自然法則は不変ですから、いつかは誰かが発見 (計算方法であれば発明) するでしょう (但し、文明が無限に長い期間継続すると仮定して)。 しかし、定式化や方法論が異なったり (シュヴィンガー・朝永・ファインマン・ダイソン etc) 実現時期が遅れたり (ガウスが平行線公理の「実験」なんぞせずに素直に幾何学化していれば...) するのです。
この一節は (少なくとも私には) 意味不明です。 論理とは全く無関係だと思います (logic という意味で「論理」を用いていないのであれば、予想もしない別解があるのかも知れませんが)。
Re:彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:2, 興味深い)
Re:彼がいなかったらどんな世界なんだろう... (スコア:1)
多くの人が“必要なもの”と認識していれば,それは必ずいつかは開発される鴨.
でも,開発されるまで人々が必要と気付かなかったものも,この世には
多くあるのではないですかね.
それを気付かせることが出来た故の天才なのであって.
#もちろん,気付いた後は,“論理”の出番ですけどね.
Re:今生きてる人で (スコア:2, おもしろおかしい)
#「荒らし」じゃないぞ
あぁ、「ン」が消えてるんですよ。「ビーフン・カレー」ね。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
はいはい。Alfred V.Aho氏 [columbia.edu]といえば "awk" の A、あるいはDragon Book [jargon.net]こと "Compilers: Principles, Techniques and Tools"の著者のおひとり。(あとはRavi Sethi氏 [bell-labs.com], Jeffrey D.Ullman氏 [stanford.edu])
Re:今生きてる人で (スコア:1)
>#「荒らし」じゃないぞ
笑いました。
昔,エイホと読むのだと知ったときに,安心したのを思い出しました:-P
ちなみに,日本にもエイホ先生 [kyoto-u.ac.jp]がいらっしゃいます。こちらは画像処理の研究者ですが。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
"Quidquid latine dictum sit, altum videtur."
Re:今生きてる人で (スコア:2, 興味深い)
ちょっと大きめのレコード店に行くと、仕切板に「アホ」と書いてあったりします。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
あと、lamportを誰も 挙げませんね。latexを作っただけの人じゃないぞ。 代表的な論文がなにかというと困るけど、"Time, Clocks and the Ordering of Events in a Distributed System"を挙げておこう。
今でもやってる The Temporal Logic of Actionsの DEC時代の論文は難解で泣かされた。 [slashdot.jp]
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Re:今生きてる人で (スコア:1, 参考になる)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Re:今生きてる人で (スコア:2, 興味深い)
Re:今生きてる人で (スコア:2, 参考になる)
<与太>
他の分野は知りませんが、音楽界では京都賞を受賞すると数年のうちに亡くなるというジンクスがありましてね…。
Re:今生きてる人で (スコア:2, 参考になる)
まぁまだ1000000歳 [stanford.edu](笑)だから、TeXのバージョンπまでには間に合うのではないかと。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Jargon file で "Knuth" をひくと、こんなん [tuxedo.org]でてきます(w
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Palcalの生みの親で
再帰下降構文解析ラブな
ニクラウス・ヴィルトさんとかはご存命……だよな?(^^;
Re:今生きてる人で (スコア:2, 参考になる)
Niklaus Wirth氏 [inf.ethz.ch]は1999年にretireしたそうですが、ご存命かと。
# 細かいようだが Pascal ね。(おもちゃ言語が……(←またそういうことをいう))
Re:今生きてる人で (スコア:1, おもしろおかしい)
良くも悪くもビル=ゲイツ氏。
この人が居なければBASICはただの辺境言語だっただろうし、ソフトウエア(OS)による独占なんていう考え方も無かっただろう。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
絶対に「良くも悪くも」が永久についてまわりますが。
もし彼がいなかったらPCがここまで普及していたのだろうか?
まぁ、この歴史のIFに答えはないのですが。
とりあえず、功労者と考えます。
でも学者寄りではないですね。
企業家って感じ。そういう意味ではここにあげられるのはちょっと怪しい?
ビルゲイツは (スコア:1)
(´д`;)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Alan Kay [impress.co.jp]と言っておきましょう。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Vint Cerf。
Postelは死んじゃったしね。W.R.Stevensも死んじゃったんだっけ?
Re:今生きてる人で (スコア:2, おもしろおかしい)
TCP/IP の co-designer Vinton G. Cerf氏 [worldcom.com]でしょうか。ご存命かと思いますが会社がアレゲですな。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
UNIX Network Programming で知られるW.Richard Stevens氏 [kohala.com]なら、99年になくなっています。
Re:今生きてる人で (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
出ていたので生きているかと。
って、2年くらい前の本かもしれんが。。。
.::.:... .::....: .::...:: .::.:.:: .::..:.: .:::..:.
I 1 2 B H4[keR. :-)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
いや、そういう方面でなくて。
# どうなんだろ、日本人でそのレベルの人っている? 中島先生? (←それはそれでフレームの元ですっ)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Noam Chomsky氏 [mit.edu]のことかいな? 生成文法で有名な。ご存命のようですな。
Re:今生きてる人で (スコア:3, 参考になる)
先のテロに関連して、アメリカこそテロ国家であると断定した論説やインタビューの本が何冊か出版されています。
Re:今生きてる人で (スコア:3, 参考になる)
日本語では チョムスキー・アーカイヴ日本語版 [zaq.ne.jp]が 日本語で手に入る手軽(?)な論説集になっています.
Koichi
Re:今生きてる人で (スコア:1)
どの国にも自国をコテンパンにこき下ろすことを飯の種にしている人がいますが、チョムスキー氏もアメリカではその類の人だと聞きました。言語学(?)の範囲以外でも名前が出ているのを知り、意外でした。
# ソースは数日前の産経新聞
Re:今生きてる人で (スコア:2, 興味深い)
Re:今生きてる人で (スコア:2, 参考になる)
並行計算モデルや相互排除のアルゴリズムで有名です.
もちろんLaTeXもですが.
並行計算といえば CCS の Robin Milner 先生もご存命のはず.
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Tony の方が一般的なの? 知らなかった。
あぁ、「ン」が消えてるんですよ。「ビーフン・カレー」ね。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Web の産みの親Tim Berners-Lee氏 [w3.org]ですか。'demigod'かそうでないか、意見がわかれるところではないでしょうか。
[tuxedo.org]Re:今生きてる人で (スコア:1)
Robert E.Tarjan氏 [princeton.edu]であってます? Turing賞をとってらっしゃいますね。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Paul Krugman氏 [princeton.edu]は経済学者ですね。こんなん [pkarchive.org]もありますが。
Re:今生きてる人で (スコア:1)
Richard M.Stallman氏 [stallman.org]がdemigodなのは論を待ちませんが、Theo de Raadt氏 [theos.com]はいろいろと問題ありですねえ。
というか、お題は理論系のえらい人をあげよ、だったんじゃ?
Re:(-人-) (スコア:2, 興味深い)
>dijkstraのアルゴリズムが試験に出て解けなくて辛かった・・なんてことを 思いだした人もいるかな?
学生時代に,最短経路を求めるDijkstraのアルゴリズムを学びました。試験に出るので暗記できるよう念入りに教科書を読み返しました。
読み返す度に,その簡潔さに感心させられた事を思い出します。
思えば,アルゴリズムというものを本当の意味で意識し始めたのは,あの時からかもしれません。
# あと,プログラミング演習でやった数々のソーティングアルゴリズムの実装の経験も,現在の糧になっています。
余談。
あるまとまった処理を行うプログラム・スクリプト群を整理するのに,計算機科学関連の偉い人の名前をディレクトリ名に使って(使おうと思って)います。ファイル名一覧でちゃんとソートされるよう,アルファベットのAから順番に,
・Ada … 詩人バイロンの娘にして,世界最初(?)のプログラマ
・Babbade … 機械式のプログラム内蔵型コンピュータ"解析機関"の発明者
・Cock … Levinと同時期に,NP完全問題を発見した人
・Dijkstra … タレコミ文を参照のこと
・Engelbart … マウスの発明者(これだけだと語弊があるな)
・Feigenbaum … エキスパート・システムの発明者
などなど。
"D"ですぐにDijkstraを思いつきました。
私にとって,印象深い名前だったからです。
Re:(-人-) (スコア:1)
鵜呑みにしてみる?
Re:(-人-) (スコア:2, おもしろおかしい)
凡ミスでした。御指摘感謝です。
Dijkstraは変わった綴りなので,逆にちゃんと覚えてるんですが。
# iとjが並んでいるのが感慨深いというか(^^;
Re:(-人-) (スコア:1)
Re:(-人-) (スコア:1, おもしろおかしい)
COBOL のおばちゃま。と教わりました。
素敵な呼び名だと思います。