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人間対コンピューターのチェス対決から「知識」の本質に迫る 72

ストーリー by Oliver
王手 部門より

bluedwarf 曰く、 "ちょっと古いニュースではあるが、HotWiredのニュースによると、世界最強とされるチェス・ソフト『ディープ・フリッツ』(Deep Fritz)と、チェスの世界チャンピオン、ウラジミール・クラムニク氏のチェス対戦が、中東バーレーンで10月4日から19日(現地時間)にかけて行なわれ、引き分けに終わった。
1997年に、当時の王者ガルリ・カスパロフ氏と、米IBM社のスーパーコンピューター『ディープ・ブルー』が争ってディープ・ブルーが勝ってニュースになって以来、コンピューターの凄さとそのとてつもない演算能力をもつコンピューターに対抗することができた人間の思考あるいは知識というものに世間の興味感心が集まった。第一学習社が発行する高校現代文2の教科書にも、「チェスで人は敗れたのか」という随想も載るぐらいのものである。
さて、心理学者はこの人間対コンピューターのチェス対戦を通して、「知識」の本質を研究し初めている。なぜ、あれだけの演算能力を備えるコンピューターにチェスの名人は対抗することができたのか?イギリスのノッティンガム大学で人工知能システムを専門に研究している心理学者のフェルナンド・ゴベット博士は、これを「チャンキング理論」で仮定し説明しようとしている。別のHotWiredの記事に詳しく載っているのでそちらを参照してもらいたい。 とにかく、今チェスを通じて人間の知識/思考といったものの本質を探ろうという動きが活発になってきている。人間が考え出したゲームを通じて、人間の本質を知り、新たな常識が今生まれようとしている。"

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  • by nak (5484) on 2002年10月25日 9時07分 (#189402) ホームページ 日記
     『「知識」とは何か?』って言葉遊びは置いておくとして、今までの常識or数学的アプローチ以外の、新たなアプローチなり、アルゴリズム等が見つかると良いですね。

     個人的には、チェスと言うルールの有るゲームでの話なんで、人間が負けたからと言って、コンピュータに「知識」が有るとは思いませんが。
    #単に、人間の思考を超えるパターンを、力技で計算しただけだと。
    ##もちろん、実装上の工夫うんぬんはありますが。

     どうせなら、面子の打ち手(癖)を逆手にとって引っ掛けするくらいの麻雀が打てるようになったら、少しは「知識」(っていうか「知能」)が有ると言っても良いかな。
    #ついでにくだらない話しながら、「三味線」弾いてくれれば完璧。
    • 程度の問題ですね。 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by yasuchiyo (11756) on 2002年10月25日 12時13分 (#189505) 日記
      どこまでやったら『知能』と呼べるかに対して、「程度の問題」と答えることが、知能の本質をついていると思います。
      つまり知能というのは、対象物の属性じゃなくて観察者の主観で決まるんですよ。

      極端な話、人の行動と自分の趣が合わなければ
      「あいつはバカだ」(さすがに知能がないとまでは言わないが)で片付けられるし、
      「電灯をつけたらさっと隠れる」だけのゴキブリの動きでさえ、見る人が見れば知能的だと。

      学者さんが自分で勝手に目標決めて、ここまでやれば知能だと言ったところで、身内レベルならともかく「常識」と呼べるようなコンセンサスは得るのは、並大抵のことではないでしょう。
      親コメント
      • 知*はいろいろで、今回のは何で測るべきかはさておくとして

        >「電灯をつけたらさっと隠れる」だけのゴキブリの動きでさえ、見る人が見れば知能的だと。

        電灯つけても10分以上動かず、おっとり刀でスプレーを持ってきたときに、いきなりこっちに突っ込んでくるウチに出たやつは知性がマイナスに違いない。
        --
        M-FalconSky (暑いか寒い)
        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 14時55分 (#189579)
        元記事では、研究しているのは認知心理学者ですね。認知心理学では主観なんて言葉で逃げたりはしないはずです。

        そして心理学者は、自分たちが「知能」の本質を捉えることが出来ていなくて、知能の定義すらままならないことを自覚しています。その証拠に 知能を定義しようと様々な試みをあげく、「知能とは知能テストで測定されたものである」というヤケクソというか自虐的な定義を提案せざるを得ない不甲斐なさを嘆くことすらあります。

        チェスの対戦を元になんらかの突破口が得られれば良いですね。
        親コメント
        • 確かに、観察者の「主観」と言い切るのは、いき過ぎだったかもしれません。

          知能の判断は、対象物自体の属性(内部プロセスが「高級」かどうか)ではなく、観察される行為の結果に依存する

          ―ぐらいが妥当でしょうか。まさに

          > 「知能とは知能テストで測定されたものである」

          ということだと思います。身体性認知科学では、嘆くどころかこれをよりどころにしていますね。
          で、じゃあ多くの人が見て公平な知能テストを用意できるのか、というところが研究のミソなんでしょう。
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    • 『「知識」とは何か?』っていうのは言葉遊びなのですか? 数学的アプローチ以外は全て言葉遊び、というのであれば納得できるのですが。それにアルゴリズムってのは数学的アプローチ以外のなにものでもないですよね。

      ところで、言葉遊びをしようと思えばいくらでもできます。リンゴが落下するのは、落下したほうが良いという知識をリンゴ自体が持っているから、とか。

      ルールのあるゲームだから知識が必要ない、というのもおかしいです。ルール自体が知識です。それに、ルールを除いたとして、ほかに知識を必要としない方法もありますが、知識を必要とする方法もあります。学習するコンピュータがそうです。
      親コメント
  • 囲碁のばやい (スコア:3, 参考になる)

    by shira (293) on 2002年10月25日 12時00分 (#189497)
    囲碁のソフトの多くは、初級者以上の相手には物足りないので、 gnugo のソースを見てみた。
    俺では理解しきれなかった。ごめん、GNU の人。

    WING [wing.gr.jp]という、 telnet 囲碁サーバの一種に、robot[1-3] という名前で
    gnugo が投入されているけど、 14級ぐらいの実力 [wing.gr.jp]です。
    (WING の段級位は世間より辛いので、世間では10級といったところか)
    お店で売ってるソフトの最強クラスでも、5級ぐらいらしいです。

    チェスの話じゃなくて正直すまん。
  • 意外でした。 (スコア:2, 参考になる)

    by Crisp (10852) on 2002年10月24日 23時05分 (#189231)
    DEEP BLUEから5年が経過しているので、今度こそオセロの時 [hiroshima-cu.ac.jp]のように人間がぼこぼこにされるのかと思っていたのですが…蓋を開けてみれば意外でした。

    もっとも、ソースを読んでみると今度はDEEP BLUEのようなチェス専用スパコンではなく、ノートPCだったとか。
    • by nobuhiro (5244) on 2002年10月25日 0時45分 (#189306) ホームページ
      計算能力としては 5年前の方が大きかったのでしょうが、Deep Fritz が直系の Deep Jr. を破ってるってのも考えると読みの深さが決定的になるにはまだ微妙なオーダーって感じですね。

      現在の15手程度の先読みをこなして人間のチャンピオンと同程度の力になるようですが、さらに先1手分深読みしようとしたら計算量は跳ね上がる。一方、人間のアルゴリズムはたぶんパターン認識を使った枝刈で計算量を抑えたアプローチだと思うけど、これを深さに換算すると結構広がりがあるんじゃないかと想像してます。つまり、広がり分を超えて圧倒するには計算能力が更に何桁も必要かなと。

      しかし、前回の専用のスパコンから、今回はノートマシン程度で人間のチャンピオンとタメはったんだから大したもんだ。

      --
      親コメント
      • Re:意外でした。 (スコア:2, 参考になる)

        by APM (4160) on 2002年10月25日 8時35分 (#189395)
        >>今回はノートマシン程度で人間のチャンピオンとタメはったんだから大したもんだ。

        さすがにノートPCじゃムリです!!

        今回の対局に使用されたのはぺん4の1GHzクラス×8のSMP構成です。OSはWin2000。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        偶数手読んでもしょうがない(相手番で読みを打ち切ることはない)ので、先2手を読まなくてはいけないと思います。

        #揚げ足取りなのでAC
  • by hhb02144 (6410) on 2002年10月25日 9時30分 (#189414) ホームページ
    コマが減少していくゲームなので, 結果的に手が限られると思います. これが将棋になる減少したコマが的のコマの増加に繋がるので, 計算による力技では対処が少し難しくなるんでしょうね. コンピュータvs人間の物差しにチェスを使用すること自体否定しませんが, それが人知の全てされるのは些か本末転倒と思います.
    --
    ★田舎に生息する時代遅れのFortran&COBOLガイなオタク★
    • 将棋になる減少した…→将棋になると減少した…
      的→敵
      全てされる…→全てとされる…
      推敲して。
      • 論文書いてんじゃないんだから、そんなの読む方が補完・変換すりゃいいじゃん。
        そんなことより、タイムリーで面白いコメントの方がずっといいと思うよ。
        #自作自演と思われるとヤなのでID
        親コメント
        • 難易度・読むべき場面の数としては
          リバーシ<<<<<<<チェス<<<<将棋<囲碁
          大昔から言われているので洞察でもなんでもなくてこれこそ知識だね。
  • それは知識じゃなくて知能なのでは?
    相手の癖をみて相手モデルを自分の頭の中に作って相手の 今後の手をよそうする、なんてのは、「知識」の枠には 収まらないとおもう。
    序盤の定石で打っているところは知識かもしれん。

    しかし、チェスの世界チャンピオンの思考は、ふつうの人間の 日常生活の思考と同じ方式なんだろうか?もし違うなら、 チェスを題材に知能を研究しても知能一般とは関係ない 研究成果しか得られないことになりはしないか。

    • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 16時31分 (#189601)
      > しかし、チェスの世界チャンピオンの思考は、ふつうの人間の
      > 日常生活の思考と同じ方式なんだろうか?もし違うなら、チェ
      > スを題材に知能を研究しても知能一般とは関係ない研究成果し
      > か得られないことになりはしないか。

      という批判があって、認知心理学では科学や数学の問題解決の研
      究に移り、さらに日常生活における問題解決の研究に移っていっ
      たという歴史があります。

      だいたい、チャンキングによる説明ってChase & Simon(1973)の
      頃に出ていた話なので、この元記事を読んでいてタイムスリップ
      したような印象を受けました。

      それとも、何か新しい展開でもあったんでしょうか。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 19時37分 (#189672)
      定石は囲碁用語。将棋/チェスは「定跡」。
      # 揚げ足取りなのでAC
      親コメント
  • コンピュータ対コンピュータの対戦ではどのような結果が出るのかも気になります。単純な強さの比較だけでなく、コンピュータ特有の癖がどのように現われてくるのか、などなど。

    あ、もう既に試されてそう…
    • by petashin (7787) on 2002年10月25日 14時08分 (#189558)
      その昔、月刊ASCIIで自作オセロ対決がありましたねえ…

      序盤の「定石」を組み込むことで、序盤に時間を浪費せず(持ち時間もありましたから)、
      有利に展開できたりしていました。
      相手の思考中(人間の入力待ち時間)にも読みを進めるものもあって、公平を期すために
      対戦オペレーターも大変だったかも:-)
      親コメント
  • 全然関係ないんですけど、ネットワーク対戦型のゲームの場合、コンピュータに考えさせることでインチキができます。将棋なら、ネットワーク対戦開始と同時にゲーム機の電源を入れ、コンピュータの強さを最強にし、ネット上の対戦相手が打ってきた手をゲーム機で自分の手として打ちます。コンピュータが返してきた手を今度はそのままネット上へ…。
  • どの程度研究されているのでしょうか?
    バックギャモンの場合、ヒューリスティックスの塊のプログラムが、
    80年代初期に世界チャンプを下しちゃってるそうですが。

    いっそのこと、Magic the Gathering(MtG)とかどうでしょうね。
    一定の予算でカードを買い揃えるところから戦いの条件にして、
    一枚売りのレアカードを時価で買うのも可にする。

    #不確定要素がたっぷりだから、プログラム化は面倒だろうなぁ。
  • by Anonymous Coward on 2002年10月24日 22時04分 (#189177)
    前スレ [srad.jp]
  • by Anonymous Coward on 2002年10月24日 23時10分 (#189235)
    研究がんばれー。
    うー、コンピューターじゃなくて、そっち方面へ進んでおけば良かった(涙)
  • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 9時36分 (#189418)
    将棋では人間は負けないとか。
    チェスのほうが形式化が楽なはず。

    ディープブルーは対戦者の癖をあ売るーかじめ考慮した設計になっていたらしい。
    で,どんなゲームでも手数が無限に近い序盤戦が苦手なので,
    ディープブルーも過去の名人の手を参考にして序盤戦を組み立てたらしい。
    • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 16時03分 (#189593)
      私が聞いた話では、ディープブルーは

      ・カスパロフ氏の癖をもとに序盤の定石や、
       中盤移行の差し手の評価関数のパラメーターを決定していた。
      ・カスパロフ氏はディープ・ブルー対策として
       普段とは違う差し方をしていることが最初の数局で分かったので、
       後半の対局でパラメーターをチューニングしなおした。
       (確かビショップの重みを変えたとかなんとか)

      ということをやっていたようです。

      ディープ・ブルーが勝ったといいますが、
      IBMのエンジニア軍団がディープ・ブルーを使用して
      カスパロフ氏に勝ったというのが正確な表現かと。

      ディープ・ブルー勝利の報に、
       「勝ったのはディープブルーではなくてIBMのエンジニアだ」
       「カスパロフ氏は一人、エンジニアは集団」
       「カスパロフ氏は疲労する、コンピュータは疲労しない」
      といった当たり前のことを持ち出して、
      ディープブルーの勝利は無効だとか
      いちゃもんをつけた人も一杯いましたね。

      「十分なハードウェアを持ったコンピューターに
       適切なアルゴリズムとパラメータを与えれば
       チェスの世界チャンピオンに勝つことが出来た。」
      だけの話です。それがすごかったんです。
      この段階で得られたいろんな知識が、後続する
      他の技術に影響を与えていれば、それでいいんです。

      別にコンピューターが人間よりすぐれているわけでもないし、
      人間がコンピュータよりもすぐれているわけでもないし、
      何よりカスパロフ氏の名誉は変わっとりません。
      親コメント
    • 定跡データベースはチェスに限らず将棋や囲碁でも頻繁に用いられる手法です。

      難しいのはデータベースからはずれてしまった場合にどのように対処するか、ということです
      #最悪、せっかく組み立てていた櫓を崩しはじめちゃったり、ということもあるし
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2002年10月25日 12時38分 (#189514)
    >あれだけの演算能力を備えるコンピューターにチェスの名人は対抗することができたのか?

    人間の演算能力の方が高いから。
    一見、コンピュータの方が高く見えるのは、意図的なベンチマークの結果に過ぎません。
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皆さんもソースを読むときに、行と行の間を読むような気持ちで見てほしい -- あるハッカー

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