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4750 story

NASAが「原子力ロケット」開発へ 59

ストーリー by Oliver
ただしエウロパは除く 部門より

rxk14007タレコミのAsahi.com 記事によると、NASAが「原子力ロケット」を開発することを決めたとのこと。小型原子炉の熱で推進剤を加熱して噴射することにより時速2万9000キロを達成でき、いままで半年以上かかっていた火星への道のりを2ヵ月で飛べるそうだ。元となったLos Angeles Timesのインタビュー記事もオンラインで読める(要無料登録)。

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  • 時速29,000km? (スコア:3, 興味深い)

    by halo (12510) on 2003年01月19日 3時09分 (#238296) 日記
    ちょっと気になったので計算。

    時速29,000kmというのは、秒速8kmで、これは地球の第一宇宙速度にほぼ等しい。つまり、地球の衛星軌道に乗るための速度。これはスペースシャトルとかが普通に達成している速度なはずなので、画期的な高速度というわけではない。あれ?

    というわけで、LA Timesの元記事へ。多分以下の部分がasahi.comの文章の記事の根拠になったと思われるのですが...。

    >O'Keefe said NASA's goal will be to build a rocket three times faster
    >than the current generation of spacecraft, which travel 18,000 mph.

    これって、

    時速18,000マイル(時速29,000km)で飛行する現世代の宇宙船の3倍速いロケットを造ることが、NASAの目標だとオキーフ氏は語った。

    とでも訳すべきではないでしょうか?
    つまり、この計画の目標はざっと言って時速90,000km(秒速24km)のロケットを造ることではないかと。

    #通常の3倍速いって、いや、やめよう。
    • by iwy (12577) on 2003年01月19日 17時52分 (#238561)
      O'Keefeは、NASAのゴールがロケットを宇宙船(それらは18,000mph移動する)の現在の生成より3倍速く建造することだろうと言いました。
      親コメント
  • #まだ中身はほとんど読んでいないですが、早めに知りたい方のために。
    space.comに記事 [space.com]が出ています。

    2004年からのようですね。
    NASAのスポークスマンによると、L.A.Timesの記事にはいくつかの間違いがあるそうです。
    • 親コメントにあるspace.comの記事によると、プロメテウス計画はほぼNuclear Systems Initiativeが名前を変えたものであるということです。

      NSIは2003年度の予算獲得を目指して、2002年初めにアナウンスされたもので、NASAとエネルギー省が核となっているものです。
      この計画は、次世代原子力電池の開発と宇宙用の原子炉の開発からなっています。
      推進は、nuclear thermal rocketではなく、nuclear electric propulsion(発電用原子炉とイオンエンジンとの組み合わせ?)を考えているようです。
      NASAは、NSIの開始のために1億2550万ドル、今後5年間で10億ドルが必要としていますが、2003年度の予算はまだ獲得できていません。
      プロメテウス計画がNSIを焼き直して2004年度の予算獲得を目指すものであることは確からしく思えます。

      読み間違えている可能性があるので、NSIについて。
      NASA To Go Nuclear; Spaceflight Initiative Approved [space.com]
        NSIアナウンス時のspace.comの記事。
        この記事に
      Doing so, however, comes at a price – the deferral of the Pluto Kuiper-Belt flyby and Europa orbiter missions, both in NASA’s Outer Planets program that is now cancelled.
      ということが書いてありますね。
      Nuclear Systems Initiative: A Planetary Society White Paper [planetary.org]
        NSIに関する惑星協会の白書[pdf]。

      #また、NASAのスポークスマンによると、NASAの長官は大統領が一般教書演説で何を話すかについては知らないそうです。
      #Mercuryの時代とは違うということでしょうか。
      親コメント
    • by KENN (3839) on 2003年01月19日 15時22分 (#238501) 日記

      となると、技術的なハードルの高さを無視すれば、原子力飛行機 [asahi-net.or.jp]の空気が推進剤に変わっただけの焼き直し、と取れなくも無い。

      件のspace.comの記事より引用。

      "We’re also looking at ion propulsion and things of that nature…but not looking at a specific human mission to Mars,"

      「研究はするけど、火星有人飛行計画には使えそうも無い」つーとこですか。

      彗星狩り [amazon.co.jp]の世界はまだ遠いなぁ…

      親コメント
  •  ややこしい記事ですね。電力を取り出す宇宙用原子炉と、原子力エンジンとでは、技術的成熟度と、そしてリスクに大きな差があります。

     これまで、NERVA [demon.co.uk]や、RD-0410 [astronautix.com]を含めて、実用化された推進材加熱型の原子炉、原子力推進は存在しません。
     SDI計画がピンピンしていた頃、ティンバーウィンド計画という、原子力エンジンを用いた打ち上げ機の計画がありました。1段目は通常の化学エンジンで、上段としてパーティクルベッド炉を用いて推進剤を直接加熱するというもので、確か計画では南極上空での試験が考えられていました。
     大気圏内で原子力エンジンを推進するというこの計画は、問題外も良いところだったので当然のように潰れました。
     今回の案は、軌道上でのエンジン運転であり、危険性はずっと低くなります。しかしリスクは変わりません。

     原子炉の落下事故 [so-net.ne.jp]は、既に過去数件 [nasda.go.jp]発生しています。
     ちなみにアメリカは旧ソ連の開発したトバーズ宇宙用原子炉を幾つか購入しています。

     何だかこういう話が出てくるのは、アメリカの現政権がエネルギー政策的に原子力推進の立場を取っていて、予算的に優遇されるのだろうか……等と深読みしてしまいます。
     技術的蓄積はそれなりに存在し、馬鹿みたいに心配する事では無いのですが、これがティンバーウィンドの流れの技術だったら御免ですね。
  •  この計画って、有人火星探査計画の前倒しでしょうか?
     やっぱり中国の有人宇宙飛行計画に刺激されたんでしょうね。
     化学燃料のロケットと比べるとエンジンに余裕ができそうですね。放射線対策などもより安全な宇宙船が実現できるように思います。
     ただ、元記事からすると地球から離陸する宇宙船自体に原子炉を積む計画のようですが、落ちたらどうするのか不安ですね。
    • 化学燃料のロケットと比べるとエンジンに余裕ができそうですね。
      なんでだろうと思ってぐぐってみたところ、原子力ロケットは化学ロケットより速度が大きく軽い [nasda.go.jp]んですね。ついでに値段も妥当 [nikkei.co.jp]と。取り出せる熱量が大きいからなんですね。なるほど。
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      • by SteppingWind (2654) on 2003年01月18日 22時26分 (#238122)

        リンク先のNASDAの原子力ロケットの説明図では誤解を招きそうなので追加の説明なのですが, 一般に推進剤の速度が大きければエンジンの効率は良くなるのですが, この推進剤の速度の最適な値は反応によって生成される温度によって決定されます(このあたりのちゃんとした説明は「銀河旅行」(石原藤夫著)を読んでもらうといいんだけど). この温度は化学反応による通常のロケットではたかだか数千℃未満ですが, 核分裂・核融合反応では数万℃以上となり, 従って格段に大きい推進剤速度を得られるわけです.

        ところでちょっと考えれば分かるのですが, このような数万℃以上の温度にも耐えられる構造物は有りません. つまり推進剤を熱を使って温度を上げ, それを噴射して推進するという方法は使えません. ですから

        • 燃料・推進剤混合体をプラズマ化して磁場で保持・噴射する
        • 超小型の核分裂・核融合爆弾を連続して爆発させ, その反動で推進する

        などの方式が考えられるのですが, 技術的に(あるいは政治的にも)敷居が高いです.

        今回の方式はこうした直接的な方法ではなく, 原子炉で発電を行いこれでイオン化した推進剤を電気的に加速して, システム全体としての比推力を上げようというものみたいですね.

        親コメント
      • CTBT [iijnet.or.jp] だと宇宙空間での核実験などが禁止されてしまうの
        ですが、今回のものは単なる原子炉ですから問題はないんで
        しょうね。

        元コメントのNASDAの説明にあるパルスロケットだと、もろに
        引っかかってしまうのでだめなんでしょうけど。
        親コメント
        • CTBT [iijnet.or.jp] だと宇宙空間での核実験などが禁止されてしまうの
          ですが、今回のものは単なる原子炉ですから問題はないんで しょうね。
          実験ではなく本番なので、何の問題もありません(w

          #ひょっとして、シミュレーションのみでいきなり本番とかがうまくいったら、本当に条約上問題ない?
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        • なにしろアメリカ様だからな。問題があれば脱退するのだろ。
          • アメリカでは核分裂パルスロケット(オリオン?オライオン?)の計画がありました。
            60年代始めにいきなり開発が中止になり、原因としては、核実験禁止条約のせいか?と言われていたそうです。
            ま、冷戦の時代ですが。

            参考にした文献が古い(「銀河旅行」石原藤夫)ので、最新情報があったら教えてちょ。
            親コメント
            • >オリオン?オライオン?

              英語読みだとオライオンかもしれませんが、日本だと一般的にオリオンですよね。オライオン座って言う/書く人を見たことがありませんし。ただこの計画に限ってはオライオンという表記を見たことが何度かあります。
              #これに限らずギリシャ神話由来の単語の表記というのはもうバラバラですから。

              >最新情報があったら教えてちょ

              去年の話ですがこんなページ [hotwired.co.jp]がありました。
              #フリーマン・ダイソン博士は今年80歳で御健在なんですね。
              親コメント
              • >日本だと一般的にオリオンですよね。
                こいつ [navy.mil]は普通「オライオン」とよばれているよーです。

                >#これに限らずギリシャ神話由来の単語の表記というのはもうバラバラですから。

                確かに。ティタンとかガニメデ、ユーロパなどは別表記が各種...
              • あー、これはオライオンですね。たしかに。
                米軍の機体ですから、英語(米語?)読みが優先されるんでしょうね。そういう意味ではオライオン計画の方が筋が通るかも。

                #ちなみにゴライオンをゴリオンと読んだりはしないしない。
                親コメント
            • 中止になった理由は核実験制限条約で大気圏外での核爆発が禁止された為です. まあ, 大気圏外とはいえ, 地球の近辺で爆発させまくったら放射性降下物がそこそこ降ってくるのは避けられないでしょうから, これについては良かったことだと思います.

              余談ですが, ニーブン・パーネル共著の「降伏の儀式」クライマックスで出てくる地球の巨大宇宙戦艦「ミカエル(大天使)」が核分裂パルスロケットですね.

              親コメント
              • 放射性降下物もあるけど、EMPであたりの電子機器がみんなパーになる様な気もする。

                しかし溜め込んだ核爆弾の廃棄方法としては最も適当でわないかな。
                何発消費したかが白日の下にさらされるわけで。

                「降伏の儀式」を先に出されてしまったのでAC
            • > アメリカでは核分裂パルスロケット(オリオン?オライオン?)の計画がありました。

              「太陽の簒奪者」(野尻抱介)を参考に、googleで検索してみました。
              # 上記の小説の中で、原子力ロケットエンジンを「NERVA II」と
              # 呼んでいるのは、元ネタである現実のロケットエンジンが「NERVA」
              # だったからだろう、という山勘を基に検索。

              AEI: September 1995, Rocket Programs [wisc.edu]

              NERVA
              [astronautix.com]
              (どうやら1954年から1961年までの原子力ロケット開発の年表らしい)

              あと、どこかで試作機が浮上に成功している写真があったと思うのですが、見つかりませんでした。
              # 原子炉の一次冷却材を噴き出すロケットを、砂漠で飛ばしている写真だった・・・(呆)
              親コメント
              • おふとぴ ですが。

                >NERVA II

                なるほど、知りませんでした。

                ところで、ニーブンの別作(題名失念:ノウンスペースシリーズ)で冥王星に降り立った探検隊が事故で帰れなくなるという想定の話で、故障した原子力推進エンジンの名前が確か「ナーヴァII(かIII)」だったと記憶しているのですが、やはりそういう事情なのかなあと感慨。

                そういうところに凝るのはいいですねえ。

                #収録本を手放してしまったのでもはや確認できず。
                親コメント
    • すでに原子力電池を積んだ(軍事)衛星はあたりまえに飛んでいるので、いまさら原子炉だけに目くじらたててもなぁ。。。。 以前、寿命の尽きた原子力電池搭載の衛星がアラスカかどっかに落ちたことがなかったでしょうか?
      親コメント
    • >>ただ、元記事からすると地球から離陸する宇宙船自体に原子炉を積む計画のようですが、落ちたらどうするのか不安ですね。

      離陸時には原子炉稼動してない(って言うか、部品かもしれん)でしょうから、必要以上に心配する必要は無いかと。
      宇宙出て、始動するまでは安全な容器
    • とりあえず、月かどっかで放射性物質を積み込んでほしいです。
      そのための宇宙開発が先だっっ!!
  • by sameshima (10060) on 2003年01月19日 0時31分 (#238187) 日記
    月まで1~2日でいけるようになるのですね。
    加減速で死んじゃうかもしれないけど、
    会社までは10秒以下で行ける。いいなあ。
  • by Anonymous Coward on 2003年01月18日 19時15分 (#238028)
    なんとかうまくいってくれるといいのだが。
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日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン

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