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魚にもプリオン 32

ストーリー by GetSet
種の壁は越えてくれるなよ 部門より

y_tambe 曰く、 "Nature Science Updateによると、ドイツKonstanz大の研究グループが、トラフグ(Takifugu rubripes)にも、ほ乳類の正常プリオン蛋白質に相当するものが存在することを見出し、 Trends in Genetics 誌に発表したそうだ(Abstract

ヒトを含む哺乳動物の多くは「正常プリオン蛋白質」と呼ばれるものを少量作り出しており、これ自身は無害だとされるがその本来の機能はまだよく判っていない。しかしこの正常プリオン蛋白質は、外からやってきた異常プリオン蛋白質と接触すると、自らも立体構造変化を起こして異常型となり、このことがヒトの変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)などの発症原因であると考えられている。
我が国でも社会的現象になったウシ海綿状脳症(BSE)では種の壁を超えてウシからヒトに伝達する可能性が大きな問題であった。

今回新たに発見されたこの「フグのプリオン」だが、元記事によると

  • フグの正常プリオンも異常プリオンによって異常化するのか。
  • 異常プリオンの蓄積が、フグに対して神経疾患を起こすのか。
  • フグの異常プリオン蛋白が種の壁を超えて伝達するのか。
などはまだ不明である模様。蛋白の構造からはヒトの異常プリオン病の原因になる可能性は極めて低いそうだが、今後の研究の進展が待たれるところだ。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • Trends in Geneticsの論文、読んでみました。

    内容としてはprionタンパク(以降PrP)の配列を元にデータベースを検索し
    フグに類似の配列をみつけて、その発現を確認したところ主に脳組織からの
    発現を観測した、というものです。
    逆に言えば、それだけです。
    やった研究内容は私はあまり評価しません。論文の大半が思弁ですし。

    まず研究の背景から言わないと専門外の人には分かりにくいと思いますが、
    フグというのは非常に染色体が短い脊椎動物(人の10分の1以下)なので
    ヒトゲノムを読むよりも早く終わるだろうといわれて注目を浴び、さかんに
    ゲノムの解読が行われた(しかもトラフグとミドリフグの2種)という経緯
    があります。ヒトの方が先に終わりましたが・・・
    したがって現在フグの全配列はデータベースから取得することができるので
    あるタンパク質がフグにあるかどうかはいくつかの研究所のサイトから検索
    すれば簡単に分かります。

    また、無脊椎動物では今のところ観測されていないそうですが、この論文の
    参考文献でそのことが書いてあると引用された論文は全然違う内容のもの(
    アフリカツメガエルでのPrP検出)だったので、調べていません。
    ホヤのゲノムももうほぼ出ているので、調べることはできますね。
    私がやってみようかしらん。

    さて、今回出た配列からは、フグのPrPはヒトからみて、マウスや牛、羊、
    鳥類よりもはるかに遠いのでたとえフグが狂牛病(狂フグ病?)になっても
    感染する確率はないといえるでしょう。
    それ以前にフグに異常PrPが十分量蓄積するより先にフグの寿命が来そう
    ですが。

    ・・・と書いていたらTako Pさんが既に報告 [srad.jp]してますね。
    私も同様の感想で、これまでのPrPレパートリーに二つ加わったというだけの
    アーカイブ的な論文だと思います。
    --
    kaho
    • by picard (4667) on 2003年02月06日 12時15分 (#252379) 日記
      元の論文を読んでいないのですが、タレこみにあった「構造上ヒトへの感染の可能性は低い」という根拠が何か興味あります。ヒトの正常型プリオンの構造とウシ(BOVIN)のそれをPDBで見くらべたことがありますが、非常によく似てると言えばそうだし、こんなにヒトのそれと違うのかと言えば確かに違います。今回のフグの正常型プリオンの構造は見てないのですが、何を根拠にして感染の可能性の大小を論じているのかが気になります。
      親コメント
      • by Tako P (13922) on 2003年02月06日 15時56分 (#252606)
        論文中にあるヒトのプリオンの構造とフグのプリオンの構造は3D図では良く似てます。
        どうやら、脊椎動物の祖先が既にプリオンを有していて、
        それが脈々と受け継がれているのではないか、ということのようです。
        だからプリオン使って進化の過程を見ていけるんじゃないか、と著者は言っております。

        で、プリオンが病原性を持つためにはN末端側の繰り返し領域が関係あるようですが、

        この論文ではそれに加えてC末端側のドメインに着目しています。
         主なアミノ酸を拾い上げると、

         哺乳類

          ヒト   (S I I G E D Q)(M N S)
          マウス (S M I G E D Q)(V N S)
          ウシ  (S L I G E D Q)(V N S)
          ヒツジ (S I I G E D Q)(V N S)
         鳥類
          ニワトリ(R Y H S Y R R)(- V Y)
          アヒル (R Y R S Y R R)(- V Y)
          ハト   (R Y R S Y R R)(- V Y)
         爬虫類
          カメ  (S M N R R Q Q)(- R -)
         両生類
          カエル (N Y Q N S R R)(M R -)
         魚類
          フグ   (L H F R E E T)(K N Y)

        となっているとのことです。

        この部位はプリオン感染にかかわる部位のようで、
        仮にN末端側で病原性が見つかろうとも、この部位においてフグとヒトとの相同性が低いために
        感染はできないのではないか、ということらしいです。
        #ヒツジやウシからの感染が可能であることがさらに示唆された、とも受け取れるけどなぁ。

        まぁ、あくまでkahoさんおっしゃるとおり思弁なので、真偽のほどは分かりませんが。

        親コメント
      • >「構造上ヒトへの感染の可能性は低い」という根拠

        感染しやすさはどのようにして推測されているかと言えば、マウスに
        ウシやヒツジ、ミンクやハムスターなどの異常型PrPを与えたところ
        タンパク質の配列の近いものほど感染力が高かったという結果から
        推測されています。

        タンパク質の立体構造というのはアミノ酸が20%ぐらいでも同じなら
        だいたい似たようなものになると言われています。ヒトとウシのPrPは
        もっと似ているのでおそらく立体構造はほとんど同じでしょう。
        部分的に繰り返し配列が存在しており、その部分の長さが種ごとに異
        なるため、見方によってはひどくちがった構造にも見えますが、それ
        ぞれの機能部位は同じ構造を持っていると思われます。
        しかし実際に構造解析されたPrPはほとんどありません。つまり理論
        的な予測でしかないとも言えますが、「どうせ同じだから」と研究者
        の興味を引かないからでもあります。

        なぜ異常型PrPが蓄積するかという説明として、一種の結晶化だと言わ
        れています。普段は凝集しなくても、結晶の「タネ」が入り込むと周辺
        の異常型PrPがそれを核として結晶をつくって病気になると。
        結晶の形成はタンパク質の構造に対して敏感であるので、わずかの差で
        あっても違えば違うほど結晶化が起こりにくいということになり、これ
        がタンパク質の類似性が低ければ低いほど感染力が弱いことの説明とさ
        れています。
        --
        kaho
        親コメント
  • 爬虫類にも鳥類にも昆虫にも、下手すりゃ植物にも、あってもおかしくないかもしれない。
    と、言うよりは、それの追求研究こそ、今後のバイオテクノロジーの課題でもないのかなぁ。

    #小学校の頃、手の甲に出来たプリオン質を麻酔無しで切開して取り出されたの思い出した。
    #生物全く駄目な工業系高卒なんで、出来ればオフトピでどぞ
    --

    /* Kachou Utumi
    I'm Not Rich... */
  • by Anonymous Coward on 2003年02月05日 20時09分 (#251764)
    不安を煽ってるのかな?
    なんとも反応のしようがない記事だなあ。
    魚類にもプリオンが見つかったという事実は
    魚の学者さんには価値ある発見なんだろうけど
    • by Tako P (13922) on 2003年02月06日 3時21分 (#252135)
      元の論文にあたってみましたが、
      魚の学者さんではなくプリオン研究している人には価値あるかも、という話らしいです。

       ・日本のふぐでもプリオンらしきたんぱく質を発見した。

       ・プリオン様たんぱく質をコードする遺伝子に新たな(?)相同性を見つけた。
       ・上記よりプリオンの進化および病原性が解明できるかもしれない。

      ってことらしい。

       新しい知見が得られたというだけの普通の論文、というよりレターに
      なんでNatureが反応したのやら。
       不安煽ってるといわれてもしょうがないかも。
      親コメント
      • 反応したのがNatureと言う辺りが核なのでは?

        イギリスでは異常プリオンによるヤコブ病の問題が深刻ですからね。

        # 同じ大英圏でもアメリカやオーストラリアの反応の鈍さ…と言うか、
        # 本当にヤコブ病ないの?と疑いたくなる声明と対応…は呆れますが 。

        親コメント
    • うん。だから"Nature Science Update"に掲載されるのは当然なんだけど、
      いきなり/.Jに書かれても「だから、なに?」って思っちゃう。
      #みょ~に意図的なものを感じる、と言ったら(-1 フレームの元)?
  • by Anonymous Coward on 2003年02月05日 20時34分 (#251780)
    さかなをたべると~

    #激しくobsoleteなのでAC
    • あたま~が~……

      # もともと悪いので AC

    • ゲイツ ゲイツ ゲイツ~
      ゲイツを叩くと~~
      あたまあたまあたま~
      あたまがよくなる~~
      さーぁみんなでゲイツを叩こう~

      #冗談で言っていたら頭から抜けなくなった(汗)
      #二次感染してみる?
    • しばらく前、同僚の家庭では2歳児が

      ♪あたまあたまあたま~あたまをたべ~ると~

      と歌って、何度訂正しても聞いてくれなかったそうです。

      困ってるんです、保育園の保母さんたちの視線が怖くて、と母親は語った。

      # 伝聞、おふとぴ、不謹慎の三拍子がそろったのでAC
  • by Anonymous Coward on 2003年02月05日 20時56分 (#251794)
    もういちど都知事選に立候補!
  • by Anonymous Coward on 2003年02月05日 20時57分 (#251797)
    ここはフグ好きのさかなくんに説明してもらわないと:-)
  • by Anonymous Coward on 2003年02月06日 10時22分 (#252272)
    魚だと、成長が早いので結果が早くわかることが利点でしょう。

    あとは牛よりもず~とお安いのと飼育スペースも少なくてすみますね。

    マウスも世代交代が早いので(いわゆるネズミ算ですよね)遺伝などの研究にはもってこいです。

    ただし、そのまま人には適応できないので、毒性評価などでは安全係数をかけたりしているんですよ。

    今回はどうだか知りませんが。
    • by mu (9770) on 2003年02月09日 3時13分 (#254565) 日記
      しかし,豚もすぐに肉になるため,十分蓄積しないので本来は異常プリオン病は発生するらしいけど実際には発生しないらしいという話,魚も生存期間が短いために異常プリオンが蓄積しないかも.
      でも,魚は腐敗する前に食われる確率は大きいので食物連鎖的に蓄積する確率は高いと思う(特に丸ごと食ってしまう鮫とか).なのに異常プリオン病が魚類に流行しないのは何か原因があるのでしょうか?既に異常プリオンを防御できるように進化しているとか?
      異常プリオン病を知ったときから疑問なんですけど...
      親コメント
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