SETI@home、アレシボでの再観測日程を発表 15
ストーリー by Oliver
探しはなんですか~♪ 部門より
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yosuke 曰く、 "前回の記事の続報です。
SETI@homeによるアレシボでの再観測の日程が発表されました。詳細は再観測レポートNo.1にあります。
これらによると、3/18-20にかけてアレシボ電波望遠鏡で行われる再観測では、SETI@homeで有望とみなされた信号のうち100-200個が調査されます。
各信号はその周囲1/6度平方が、上空150mの焦点に設置されているグレゴリアン・ドーム内のLバンド受信機によって、200秒間スキャンされます。
SETI@homeチームでは、この観測によって得られたデータから、さらに有望な信号を絞り込む予定です。
また、この間に再観測のホームページではデイリー・レポートも出すようです。
興味のある方や、Team Slashdot Japan参加者は毎日チェックを忘れずに。"
再観測レポートNo.1 (スコア:4, 参考になる)
何回かに分けます。ご一読ください。
再観測レポートNo.1
アレシボでギアチェンジ
Amir Alexanderによる
2003年3月10日:続く数日間、SETI@homeの主任科学者Dan WerthimerはチームメンバーEric KorpelaとPaul Demorestと共に、プエルトリコのアレシボヘ向かう。そこにある世界最大の電波望遠鏡サイトで、彼らはプロジェクトの短い歴史の新しい一章:もっとも有望な候補信号の再観測、を始める。
今回のターニングポイントはアレシボ電波望遠鏡の上の止り木から宇宙を観測し始めて4年近く後にやって来る。この期間、世界中の何百万人もの人々が、アレシボで観測された生データをパーソナルコンピュータで解析し続け、意図的な通信を示す不規則なパターンを探してきた。5億近くの候補信号が蓄積されてきた。それら1つ1つが異星の文明からの信号である可能性を秘めていた。
今、何年もの探索、集積、解析の日々を経て、SETI@homeはもっとも有望な信号を再調査する準備ができた。1日8時間、3月18日から20日まで、Dan Wertheimerと彼の仲間はアレシボ電波望遠鏡を全面的に使用する権利を持っている。彼らはこれらの時間を、SETI@homeで検出された最も強く、はっきりした、そして有望な候補信号を狙うことに費す。このようにして再調査し、確認を経た信号だけが、星々からの知的交信である可能性を認められるのだ。
なぜ、これらの日々は他の日々と異なるのか?
言うまでもなく、3月のこの3日間だけがSETI@homeが星々の知的交信を探索する日々というわけではない。SETI@homeの受信機はアレシボの恒久的設備であり、一年中毎日データを収集している。それでは、3月中旬のこの3日間行われる観測の何がそんなに特別なのだろうか?
答えはこうだ:SETI@homeは一年中「ピギーバック」モードで稼働しているのだ。これが意味することは、SETI@homeの科学者達には電波望遠鏡が指す方向をコントロールできないということだ。望遠鏡が指す方向を決めるのは、自分の研究のために望遠鏡を使う時間を与えられた研究者達の仕事だ。研究者が自分の研究を進める間、SETI@homeの受信機は巨大なアレシボ反射鏡のはるか上空に鎮座し、宇宙の一方向から放射している電波信号を記録している。多くの研究者達がアレシボを訪れ、望遠鏡を様々な研究に使ううちに、巨大な電波望遠鏡は観測できる視野をほとんど全てカバーすることになる。それゆえに、他の研究者の研究に「ピギーバック(乗っかる)」するだけで、SETI@homeの受信機はアレシボから見える全天空を調査することができる。
研究の進め方としては非効率に感じられるが、実のところ、「ピギーバック」方式はSETIの宇宙観測に完璧に適したやり方だ。全天空を調査するには普通、望遠鏡を特定の研究に独占し他の研究を排除するには長過ぎる時間を必要とする。世界最大級の電波望遠鏡の需要の高さから言って、それだけの時間を確保するのは現実的でない。アレシボ電波望遠鏡の通常運転に「ピギーバック」することでこそ、SETI@homeは望遠鏡を独占する以外の方法では最短の時間で、最も広い範囲の宇宙を観測することができるのだ。
このやり方の最大の欠点は、SETI@homeが興味ある信号をより丁寧に調査するために長居したり、再観測したりできないことだ。SETI@homeは電波望遠鏡の移動をコントロールできないので、たまたまアレシボ反射鏡が指している空の一点を観測するしかない。SETI@homeの科学者にできるのは、たとえ最強で、はっきりしていて、興味深い信号であっても、単に記録し、いつの日かもう一度その位置へ戻って来ることを期待することだけだ。
このSETI@homeのやりかた固有の問題点が、まさに今回の再観測をとても重要なものにしている:今回初めて、SETI@homeの科学者達は最も有望な信号を再観測し、慎重に評価できるのだ。
そしてそれゆえ、3月18日から20日まで、通常の調査に加えて、SETI@homeは高感度の調査も実施する。過去検出された中で最も強く、明確で、持続している信号の位置を1つずつ狙っていく。今回、ピギーバック方式の代わりに、SETI@homeの科学者たちは望遠鏡の設備を全て指揮下に置く。彼らは望遠鏡をどこでも望む方向へ向け、興味を持っているどの方向でも長居できる。発見できるであろうものが、そこで待っている…。
再観測レポートNo.1 (その2) (スコア:3, 参考になる)
アレシボには、SETI@homeで検出した200の最も有望な信号の方向のリストを携えていく。Dan Werthimerと彼のクルーは、限られた割り当て時間-全部で24時間-では200の方向全てを観測することは非常に望み薄だと考えている。しかし、彼らは時間をできるだけ有効に使い、可能なかぎり多くの方向を再訪すべく努力する。
観測時間の使いかたを最適化するため、SETI@homeの科学者たちは電波望遠鏡の向きを支配する2つの独立した動きを考慮しなければならない。1つは地球の自転-24時間毎に、アレシボの方向は夜空に完全な1つの円を描く。これは人間の干渉なしにおこる自然な動きだ。2つめの動きは、電波望遠鏡の反射鏡の焦点で(グレゴリアンドームまたはラインフィードの)観測器の位置や角度を変えることで起こる(画像を参照)。この動きで、電波望遠鏡のオペレータは電波望遠鏡を空の広い範囲へ向けることができる。しかしこれは時間のかかる機械操作だ。例えば、望遠鏡を南の端から北の端まで動かすには7分かかる。天頂付近では観測の方向を変えるのはさらに遅く、2度で1分かかる。
電波望遠鏡の向きを変えるのに要する数分間は、他の観測者にはそんなに長く感じられないかもしれない。宇宙のほんの数カ所を長期間観測するような科学的目的のほとんどにとっても、望遠鏡の方向を変える数分は費すに値するものだろう。しかしSETI@homeにとっては、観測器を一点から別の点へ動かす数分が時間の浪費だ。望遠鏡の調整に費す時間が短いほど、実際の観測に多くの時間が残され、多くの候補を再観測することができる。
機械的に望遠鏡を調整する時間をできるだけ少なくするため、SETI@homeチームはまずどの候補信号を再観測するかを決定しなければならなかった。この目的のため、チームメンバーのPaul Demorestが、候補のリストをソートし、観測の間のデッドタイムを最短化するような最適化された順序を出力するコンピュータプログラムを書いた。しかし、最終的なリストは、最適な観測順序だけでなく、候補同士のランキングも考慮したものになる。SETI@homeチームは、最も有望な信号が観測され、時間の制限でリストを読み飛ばす必要がないようにしなければならない。結局のところ、不便な方向から出ているからという理由だけで本物の信号1つを逃したくはないから…。
再観測レポートNo.1 (その3) (スコア:3, 参考になる)
一方、SETI@homeの3日間の観測準備中に、アレシボでは他の変更が行われていた。まず何よりも重要なこととして、再観測の期間中、SETI@homeチームは通常使っているのとは違う観測器を使うことになる。通常用いているSETI@home受信機は「ラインフィード」と呼ばれる針状の機器の基部に取り付けられている。このアンテナは旧式で、最近ではほとんど使われていない。実のところこれはそもそも一年中ピギーバックで行われる調査向けにあつらえたものだ。
再観測のためにDan Wertheimerと彼のチームはグレゴリアンドーム内のもっと新しい受信機を用いる。この球体様の構造物は巨大なアレシボ反射鏡の500フィート上空にぶら下がり、望遠鏡の最新かつ最も敏感な受信機たちを格納している。ドーム内のいくつかの受信機の中から、SETI@homeチームは再観測に最も適した機器として高感度の「Lバンドレシーバー」を選んだ。
この機器を用いることで、Dan Wertheimerと彼のクルーは明白なアドバンテージを手に入れる。グレゴリアンドームは、SETI@home受信機が通常用いているラインフィードよりも焦点性能と解像度が良い。さらに、Lバンドレシーバーはより低温でノイズが少なく、それゆえSETI@home受信機より感度が高い。このことから、再観測中を通じてSETI@homeは有望な候補信号について、かつて観測したよりも詳細で正確な信号を得られる。
同時に、観測方法を変えることで重要な問題が持ちあがる:グレゴリアンドームの高解像度のゆえに、ラインフィードよりも観測できるビームが細いのだ。ある一瞬において、ラインフィードでは8分の弧(0.08度)をスキャンできる。同じ瞬間に、グレゴリアンドームでは5分(0.05度)しか観測できない。
このことから、グレゴリアンドームで観測できるビームが、候補信号と完全に同じ方向で観測されても、実存する信号を捉えそこなう可能性が出てくる。つまり、元々の候補信号が、ラインフィードの広い角度でのみ検出できる信号だったということがありうるのだ。この場合、候補信号はより狭いフォーカスの「グレゴリアン」ビームの観測範囲から洩れてしまう。
問題を解決するため、SETI@homeの科学者たちは候補信号の方向にグレゴリアンドームを向けるだけでは不十分だと結論した。代替手段として、候補信号のエリアを5つのパスを用いて望遠鏡でスキャンすることにした。1つのパスに40秒かかるため、1つの候補に合計200秒を必要とすることになる。1つの候補信号あたりスキャンされるエリアの広さは1/6度かける1/6度の正方形になる。
それぞれの候補信号の方向を単純に指すだけでなくスキャンすることは、再観測においてもう1つの利点をもたらす。それぞれの候補信号が一度ではなく、少なくとも二度、別々の観測において同じ方向から信号を検出したものであることを思い出してほしい。もちろん、これらは決してまったく同じ方向から来た信号ではない-ただ十分に近接しているため、別々の観測結果が見かけ上同じ信号を補足したものと考えられているものだ。1つの候補信号の周辺をスキャンすることで、SETI@homeの研究者たちは候補信号の位置に加え、それに非常に近接した信号の位置も確実にカバーできる。
もうひとつ、候補信号の周辺をスキャンすることは、SETI@homeクルーが本当の信号と地球由来の電波干渉を識別する助けになる。もし信号がどの方向を向いても検出され続けるなら、それは地球上の電波源によるものである可能性が高い。しかし、もし信号が望遠鏡の向きによって強度を変えるなら、それはほぼまちがいなく、星々から来たものだ。
SETI@homeチームはこれで観測の準備ができました。しかし本物の信号を検出したことはどうやって知るのでしょう?その答えが知りたければ、次の観測レポートを読んでください!
Re:再観測レポートNo.1 (その3) (スコア:1, 参考になる)
> 解像度のゆえに、ラインフィードよりも観測できるビームが細いのだ。ある一瞬にお
> いて、ラインフィードでは8分の弧(0.08度)をスキャンできる。同じ瞬間に、グレゴリ
> アンドームでは5分(0.05度)しか観測できない。
原文が間違っているのですが、8分=0.08度ではありません。 1分=1/60度ですので、正しくは「8分の弧」は「0.13度」です。 同様に、「5分」も「0.083度」となります。
(重箱の隅つつきですまん)
部門名 (スコア:1)
Re:部門名 (スコア:0)
そろそろ飽きててきたのでスクリーンセーバのモデルチェンジできませんかね
#素直に「宇宙人が見つかるといいな部門」と書けない Oliver氏に乾杯
Re:部門名 (スコア:0)
いや、JASRACに配慮した結果でしょう。
その方向に星はないのでしょうか (スコア:1)
ないのでしょうか。
観測するついでにこっちから素数列とかの信号を送ってみるのは
どうでしょう。送るとしたらどんな方法で
どんな信号がよいのでしょう。
Lバンドって何cmなのでしょうか。光ファイバの分野では
1600nmくらいのことを言うのですが。
love && peace && free_software
t-nissie
Re:その方向に星はないのでしょうか (スコア:1)
> その100-200個の方向の太陽系から近いところに恒星はないのでしょうか。
プレス・リリースを読んだところ、信号を絞り込む際に、恒星系の有無、恒星の型・年齢、惑星の有無も考慮したようです。
また、前回リンクした記事 [planetary.org]にも、もう少し詳しいことが書いてありました。
> 観測するついでにこっちから素数列とかの信号を送ってみるのはどうでしょう。
> 送るとしたらどんな方法でどんな信号がよいのでしょう。
1974年11月16日に、まさにこの望遠鏡からメッセージが送られています。
"アレシボ・メッセージ [cornell.edu]"と呼ばれるこのメッセージは、2380MHz、出力450kwで2分49秒かけて送信されました。
このときアンテナは、24,000光年離れた球状星団M13を向いていました。
これはデモンストレーションにすぎませんが、いま行うとしても似たようなものがよいのではないでしょうか。
> Lバンドって何cmなのでしょうか
これについては全く知りませんが、アレシボ電波望遠鏡の説明を読むと、 とあるので、その範囲のどこかではないでしょうか。
双方向通信 (スコア:1)
みんながみんな、カールセーガン [warnerbros.com]やトレッキーの人が思うほどに、話のわかる相手かどうか不明だからです。
[uipjapan.com]コバヤシ星人との遭遇 [kyoto-inet.or.jp] そのもう一つの解釈 [asahi-net.or.jp]みたいなことになると困りますから。
Re:その方向に星はないのでしょうか (スコア:0)
asahi.comに (スコア:1)
何かちょっと違うような。
ここでもまた… (スコア:0)
地名(-1:余計なもの) (スコア:0)
#はーい