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RMSの伝記和訳プロジェクト:査読者募集 39

ストーリー by wakatono
Good-Job 部門より

yh 曰く、 "結城浩さんのYukiWikiサイトで知ったのだが、初の(?)スラッシュドット発祥のプロジェクトである『Free as in Freedom』和訳プロジェクトが昨日から査読者の募集を開始した模様。まだ全訳が完了したわけではないようだが、ここでタレコミするには訳がある。翻訳モノは、成果物が登場してから、表現についてああだこうだと声があがるけれど、今回は、その出来上がりに自分の意見を反映させる良いチャンスとなるだろう。商業出版を視野に入れていて、その暁には協力者の名前も記してくれるようだ。参加方法は同プロジェクト「出張所」参照のこと。"

"もちろん、査読に参加しなくても、いままでは断片的にしか知ることのできなかったRMSの逸話をその生い立ちから現在まで日本語で通して読めるいい機会になると思う。
このプロジェクトは、リーダーシップ不在により半年以上進捗がなく事実上死んでいたのだが、この4月から新メンバーの加入で蘇生を果たした。タレコミ者は以前からウォッチしていたが、開始から1年でとうとうここまでたどり着いたかと思うと感慨深い。"

継続は力なりというが、ここまでたどり着いたというのは賞賛に値する。しかもまだ参加していないという人も、査読という形でこの作品に関与することができるのだ。我こそはという人は、プロジェクトの門を叩いてみるべし。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • お疲れさまです (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2003年07月22日 17時05分 (#363672)

    自分も翻訳をやる身として、これだけの分量を訳す努力については 敬意を表します。 できればcontributeしたかったのですが、 今の形では難しいなあという印象を受けました。

    一読して翻訳者の表現意図がわかる訳であれば、それに 沿った形で、その表現が原作者の意図を 表すのに適しているか、ということを 部分部分で論じることができます。 しかし、翻訳者の意図が見えないと、部分的なコメントというのは ひどくつけづらいのです。 特に、大きな流れを重視して敢えて大胆な訳をしようとして、 表現力が足らずに不明確になっているのか (出力の日本語力の問題)、 そもそも原文を読めていないのか(入力の英語力の問題)、 というのはしばしば判断に迷います。

    現在出ているものが、 他のコメントに言われているほど「ひどい」とは思いません。 ですが、今のままで私がコメントをつけるとしたら、 訳者の意図を推測しつつ、 ほとんど全パラグラフに渡って何か書かなければならなく なりそうだ、というのが、contributionを諦めた理由です。

    バザール形式で翻訳を改善してゆくという試みには 多くの可能性があると思います。 ただ、それがうまくゆくには、次のような段階を踏む 必要があるように感じます。

    • 訳者がわからなかったところは、流すのではなく、 「ここがわからない」と明示してほしい。 英語が読める、ということは、「なんとなくわかる」 のではなくて、「完全にわかる」ということです。 日本語が母語の人は、日本語の文章を与えられれば、 個々の単語の意味や、それらが何故そこに 置かれているか、ということを、 だいたいは説明できると思います。 (細かな文法上の解釈は必要ではなく、 「こういう言い回しが慣習だから」で良いのですが、 自信を持ってそう言えることが必要です)。 英語の原文に対しても、問われればそれと同じ レベルの説明が出来る、というのが、 「わかる」ということです。一単語でも、それが何故そこに 置かれているかわからない、という状態で 「わかった」というべきではありません。
    • 訳者が「わかった」というレベルの訳が出るまでは、 翻訳上の表現よりも、原文をどう解釈したら 良いか、という議論を中心にしたほうが良いでしょう。 自ずと、訳文が中心の議論ではなく、原文が中心の 議論になると思います。 おそらく、この段階では、お互いを良く知る人々による 緊密なコミュニケーションが適しているのではないかと 思います。
    • ひととおり翻訳が済んで、広く査読者を募るのは、 その次の段階だと思います。ここではじめて、 どのような日本語の言い回しが原作者の「意図」を より的確に反映できるか、という議論が成り立ちます。

    今回の査読者募集の意図がどちらにあったのかは わかりませんが、出てきているものは、最初の段階を まだクリアしていないように思えます。

    • by cooper (4658) on 2003年07月23日 0時23分 (#363944) 日記
      心の中でもやもやしていたものが、すっきり晴れたような気がします。非常にクリアな提言ですね。

      # かなり感動してます

      翻訳の題材として「マニュアル」や「リファレンス」の類であれば、語句や言回しの統一である程度は済むんでしょうけど、伝記だとかインタビューのバザール型というのは、なかなか難しいなぁといつも思っていました。

      指摘されている事柄で特に重要なのは:
      訳者が「わかった」というレベルの訳が出るまでは、翻訳上の表現よりも、原文をどう解釈したら良いか、という議論を中心にしたほうが良い
      という点だと思います。このベクトルが訳者間で共有されない限り、四方に発散した翻訳になってしまい、査読どころではなくなってしまうと思います。

      そのベクトルを見出す作業は、長く困難なことだとは思うのですが、しかし、まさにそれが今回欠けていたことではないでしょうか。

      英語力のなさを棚に上げてつらつら書いてしまいましたが、翻訳者の皆様の努力には本当に敬意を表します。
      --

      -- cooper

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  • 直訳調ばかり (スコア:1, 余計なもの)

    by Anonymous Coward on 2003年07月21日 5時53分 (#362951)
    お手伝いできるかなとのぞいてみたら直訳日本語の羅列。英語に引きずられて、日本語としての完成度が二の次になる「技術者翻訳」の典型、技術マニュアルの日本語版によくあるタイプだ。
    こういう翻訳を推敲すると元翻訳者から「ここは文法上これが正しいのだ」とクレームがつきトラブルになることが多い。意訳して読者にわかる日本語にしようとする意識が薄いのだ。なので今回はパス。

    #志の高さは不十分な結果を正当化しないのです
    • 確かに「直訳日本語の羅列」もあるのでしょうけど、それを意識しているからこその査読者の募集だと私は解釈しました。

      「文法上云々のトラブル」てのは確かに懸念されるでしょうが、立脚点が「オレの翻訳は正しい」というところにあるならば、そもそも査読者の募集なぞ行なわないと思います。

      --
      wakatono
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      • by Anonymous Coward on 2003年07月21日 9時42分 (#362996)
        ただ、読みやすさを重視して表現を砕いて部分的に意訳を取り入れるとなると、
        「誰がそれをどのようにやるか」で、もめる可能性もありますよね。
        そこらへんどのように収拾を付けるつもりなのかがわからないんですけど。

        #最悪、「買ったばかりのプリンタが紙づまりを起こした。やれやれ。」とかやられると
        #人によっては嫌なわけで :-)
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      • by shikine (296) on 2003年07月21日 12時11分 (#363040) ホームページ 日記
        なんとなく査読するまでに至る手続きが面倒で見えない感じがしますがね。
        バザール方式でオープンに査読の意見を取り入れるということはできないのだろうか。

        RMSの翻訳だからそれらしく「普通の翻訳作業」という常識を破る方法も考えてほしいと思う。
        --
        他力本願。
        親コメント
        • by shikine (296) on 2003年07月21日 14時55分 (#363071) ホームページ 日記
          MLの承認が無くてもWikiで編集できるようです(失礼)。

          あと、とりあえずこのプロジェクトのメーリングリストの登録をしたのですが、「登録完了」の連絡が来たにもかかわらず登録されていないという状態になっています。
          しかも、その登録完了のメールが手動で送信されているようなんですが、何かしてますかね。

          もうSourceforge.jpに連絡したいところですがちょっと待ってみます。
          --
          他力本願。
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            登録の申し込みのメールがメーリングリストの方に来ているんですが。

            普通そこで承認はしていないので、参加手続きさえすればそのまま誰でも参加できます。登録じゃなくて投稿の方にメールを送ってませんか?

            その確認のためにこちらから手動でメールしています。
        • by Anonymous Coward
          ちなみに、バザール方式に対比される「伽藍(まぁ池田某に
          遠慮して「大聖堂」でもいいんだけど)」方式は、まず
          いの一番にFSFの開発形態を意識して名づけられたってこと
          ご存知ですか? ということで、公募の形
          • オープンソース開発の場合, プログラマーが自分の作りたいものを作る,というのが前提としてあって, その場合,作りたいと思う人にはそれだけの能力があるということが想定できます.

            翻訳の場合,英語の堪能な人は, 英文をそのまま読んでそれで問題なく理解できるので, わざわざ翻訳しようとは思わない. どちらかというと, 「英語より日本語で書いてくれた方がいいのに」と思っているような人が 「翻訳したい」という必要性を感じていたりするわけで, 能力と要求との間にミスマッチがあるのではないかしら.

            いや,私も後者の方なので,ひとのことは言えませんが….

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      • by Anonymous Coward on 2003年07月21日 14時00分 (#363063)
        実際、無報酬かつやたらと時間がかかる作業なので、ひとまず成果を出しておくことが優先されています。査読者は、そもそも編集者がいないという問題に対処するために募集していると考えていただくといいかもしれません。どんな原稿でも編集者なしでは一発で通るものにはなかなかなりにくいですよね。用語の統一といった問題もまだ残っています。

        文法上のトラブルについては、これはかなりの確率で客観的に判断できることなのでそんなに問題とは思っていません。こう思う、という意見を述べる際にその根拠となるところを明らかにしていけば、おのずとまともなところへ収斂していくでしょう。

        ----
        八木
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      何か勘違いしていませんか?
      • Re:直訳調ばかり (スコア:4, 参考になる)

        by kaityo (16162) on 2003年07月21日 6時46分 (#362957)
        >何か勘違いしていませんか?

        いや、確かにちょっと直訳過ぎる気がします。
        一例をあげるなら、chapter1で、原文

        As a person who spent the bulk of his days and nights
        improving the efficiency of machines and the software
        programs that controlled them, Stallman felt a natural
        urge to open up the machine, look at the guts,
        and seek out the root of the problem.

        に対して、
        マシンとそれを制御するソフトウェアの効率を上げるため
        日夜掛かり切りの人間として、ストールマンはそのマシンを開け、
        中身を見て、問題の根源を見つけたいというごく自然な欲求を覚えた。

        ってのはちょっと。特に「ごく自然な欲求を覚えた」ってのは日本語としてどうかと。

        私なら

        ストールマンはマシンや制御ソフトウェアにかかり切りの毎日だったので、
        そのマシンを開けていったい何が問題なのか見て みようとしたのも無理はない。

        くらいに意訳します。でもまぁ、まず翻訳が完成したというのが
        すごいし、また意義のあることだと思うので、まずは素直に
        努力に賞賛し、少しずつ直していけばよいかと。

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        • Re:直訳調ばかり (スコア:2, すばらしい洞察)

          by saitoh (10803) on 2003年07月21日 13時10分 (#363053)
          岡目八目と申しまして、自分でいちから訳すとこれと同レベルの 訳しかできない人でも、他人の目で見るといろいろ改良点が見えて きて、「こいつ俺より英語が下手だ」と思ってしまうものです。

          まずは努力を賞賛します。日本語としてはこなれているけど 技術的には誤訳乱発の商業出版物よりはまだこちらのほうが まだまし。引っかかるが意味は分かる。

          高卒レベルの英語力という意見も出ていますが、つまりはたいていの 大学学部生と同等の英語力ということで。 旧帝大といわれる大学でもこの程度の英語力で入学してくる 学生は沢山います。 問題は英語力ではなくて日本語力と経験かな。

          仮訳を通して読んでみて、日本語として意味が通らなかったり つじつまが合わないところを再度英語とつきあわせるという作業が まだ済んでいない状態で公開したのではないでしょうか。
          たとえば、hackerを指す言葉としてtitleと job title の2種類 の言い回しが使われていますが、これが日本語では 職業名 と 仕事名 になっているとか。個々の文ごとにみればそれぞれ まだあり得る訳ですが、文を並べてしまうと、違和感が出てくる。

          親コメント
        • 「無理はない」 (スコア:1, 参考になる)

          by Anonymous Coward on 2003年07月21日 9時06分 (#362981)
          前後の文脈を見ていないので何とも言えないですが、「無理はない」という表現には、 その行為や判断が実際には合理的ではないにもかかわらず、 とか、話者/著者は違う意見を持っているけれども、 というニュアンスがあると 思います。

          そういう訳で正しいかどうかをチェックする必要があります。(そのためには 前後の文脈を読む必要があります)。

          親コメント
          • by Anonymous Coward on 2003年07月21日 10時12分 (#363003)
            >「無理はない」という表現には、その行為や判断が
            >実際には合理的ではないにもかかわらず

            えと、ここでは、ずいぶん前からプリンタが遅いことに
            不満をもっていたという背景があって「無理はない」
            という表現にしてみました。
            「無理はない」というのは、「合理的ではないにも~」
            という意味より、「そうするのが自然である」という
            意味で使ってます。

            あとは、個人的な好みだけど、会話の部分、
            「自分がプリンタのところに行かなきゃならない。
            プリンタにトラブルが起こって1、2分もすれば、
            メッセージを受け取った2人か3人がやって来てマシンを直す。
            この2、3人の中の少なくとも1人くらいは、たいてい直し方を知っている」

            は、
            「ほかの人ではなく、自分が行かなきゃならない。
            プリンタがトラブルを起こして数分もすれば
            メッセージを受け取った2、3人がマシンを直す。
            なに、3人もいれば一人くらいは直し方がわかるもんさ」

            って感じにしますかね(大貫 昌子風?)。

            いいかげんMLに参加しろって感じになってきたのでACで。
            親コメント
        • マシンや制御ソフトウェアの効率の改善に日夜を費やすような者なら当然だが、
          ストールマンは、そのマシンを開けて、中身を見、その問題の原因を見つけたいという衝動にかられた。
          親コメント
        • by ruriha (15694) on 2003年07月21日 13時51分 (#363061)
          こんなのはどう?

          ストールマンは、ハードウェアと制御ソフトウェアの実行効率を高めるため、昼夜を問わず持てる時間のすべてをつぎ込んでいるような人間である。そのマシンの蓋を開けて内部を調査し、問題の根本原因を突き止めてやろう、と思ったのは当然である。
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          担当者です。ありがとうございます、随分前に一気に作業したところなので気付いていませんでした。是非参考にさせていただきます。

          でもできればこのタレコミも本人にも知らせてほしかったな。Wikiに何か書いてあったの?>タレコミ者さん
typodupeerror

一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

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