ナノテクノロジー技術でマウスの脊髄神経の再生に成功 13
ストーリー by Oliver
ガイドレール 部門より
ガイドレール 部門より
MIYU曰く、"脊髄の神経再生が可能になるかもしれません。シカゴにあるノースウェスタン大学の
Samuel Stupp教授(IBNAM研究所の所長)らのグループが、“High-Epitope Density Nanofibers”というナノテクノロジー技術による繊維を使用して、マウスの脊髄の再生に成功しています。
使用されたナノ繊維は多孔性で幅約5・長さ数百ナノメーター。液体の形で損傷部位に注入され、自己組織化によってゲル状の固体となって「足場」を造り、その周りで神経が成長することを可能にするそうです。2001年にはこの技術によって
骨の細胞の再生に成功しており、神経、軟骨、筋肉、肝臓および膵臓の組織再生への応用が期待されていました。今回のマウスによる実験では、健康な脊髄の形成後、足場となったナノ繊維の足場は4~6週間で崩れてしまうように設計されたそうです。「これらのファイバーは細胞にやさしい」と Stupp教授は語っています。現在英文記事がNatureに掲載されています。論文は2004年1月22日のScience“Selective Differentiation of Neural Progenitor Cells by High-Epitope Density Nanofibers”(要登録文書)です。
現在日本では毎年約5000人が事故や病気が原因で脊髄を損傷しているそうですが、現時点では有効な治療法が有りません。マウスによる実験はまだ途上ですが試みが成功し、新しい治療法が確立する事を願いたいと思います。"
Science Expressですね (スコア:3, 興味深い)
#今週号の目次見てたはずなのに見覚えがなかったのはそのせいでした。
どっちみち何週かしたら本誌にも登場するはずなので、それから中身(expressは登録してないので)を読むことにしますが、abstractを見たところ、出来上がったナノファイバーにラミニンのIKVAVエピトープ [nims.go.jp]が出るようにして、神経細胞の軸索伸長を補助できるよう工夫したのがポイントのようですね。
#最初は神経細胞のニッチが制御できた話なのかと一瞬期待したけど。
in vitro(試験管内)の現象としては、この手の軸索伸長に関わる分子もいくつか知られており、その機構も次第に明らかになってるところのようですが、それがin vivo(生体内)に応用可能な技術の開発につながっている点で、大きな意味を持つ研究なのではないかと(abstract読んだだけですが)思いました。
Re:Science Expressですね (スコア:1)
# 自己組織化するって部分もポイントかもしれませんね。
yp
Re:Science Expressですね (スコア:1)
そのままだとツルツルで足がひっかからない壁にたくさんコブをつけて登り
やすくした、というか。
だから添え木よりも「海藻の養殖に使うロープ」という比喩の方が適切と
いうか、いい言い方だなあ(笑)、と。
組織再生の難しさは単に細胞を増殖させるだけではなくて、それをちゃんと
機能するように形作らないといけないところにあるのです。
そういう組織化をどうやって補助するかということと、医療に使うためには
生体への影響ももちろん考えないといけないしという難しさがあって、どう
いう足場を用意してやればいいかが再生医療のキモであると。
今回の研究は、この問題に対する大きな(?まだ読んでいないので)一歩と
いうところでしょう。
kaho
ネズミつながりで (スコア:1)
ネズミ(ラット)いじられまくり(w
M-FalconSky (暑いか寒い)
nanotechnology technology (スコア:1, すばらしい洞察)
いろいろと複雑な思い。(大げさ) (スコア:1)
専門知識も経験も無いから書くことが無いなあ。
と、避けて居ましたが、1つだけ書きたい事を思い出しました。
Web現代に載っていた、人工臓器と再生医療を特集する記事の、
培養皮膚の回で、培養皮膚の原料を、
「欧米では割礼手術で切り取ったペニスの皮から、
日本では口の中の粘膜細胞から」得ているという話を読んで、
http://kodansha.cplaza.ne.jp/hot/genome/cap2_1/2_1b.html [cplaza.ne.jp]
うわー、なんかちょっと、そりゃ包皮の細胞も口腔内粘膜細胞も、
同じ種類の蛋白質で構成された同じ細胞には違い無いが、
やっぱり感情的には、なぁ・・・。日本に住んでて良かった。(笑
と、感じたことを思い出しました。
西暦2000年に書かれた記事のようなので、
もう内容は古いのかもしれませんし、
Web現代なので、別に、専門的な内容では無いと思いますが、
遺伝子治療と人体改造の記事のトップページURLを貼ります。
http://kodansha.cplaza.ne.jp/hot/genome/indexes/index.html [cplaza.ne.jp]
http://kodansha.cplaza.ne.jp/hot/genome/ [cplaza.ne.jp]
# 超蛇足
あと、人体再生技術が進んで、
Z武くんの手足が再生される時代が来たら、
その再生治療手術のドキュメント番組が、
「特別な存在である、有名人Z武くん」の最後の仕事になる。
なにしろ、完全に直ってしまったら、単なる普通の人に戻るのだから。
あっ、今後、同じ治療をしたい人へのアドバイザー的存在に収まるか。
でも、根本的に、直ってしまった場合、
「昔、辛い思いをして克服した人」になってしまうので、
それによって有名人稼業が続けられると言うのなら、
日本にも世界中にも居る、悲惨な戦争体験者の全員が有名人稼業を
やれるってことになるんじゃないんかいな? とかルサンチマン。Z。
Re:蛇足? (スコア:0)
リアル (スコア:0)
#死からどんどん遠ざかる~
なぜ神経になるの? (スコア:0)
Re:なぜ神経になるの? (スコア:1)
僕も素人なので、この発言内容の確実性や信憑性はアレだが、
可能性としては有り得ると思う。
だから、人間の治療に使えるようにするには、
その危険性を防ぐ技術やノウハウが蓄積されないと難しい。
アホな新興宗教団体とか新興宗教団体風組織が、
体細胞クローン技術が「動物実験で成功したから」と、
すぐに人間に施術してしまったようだが、今の段階では非常に危険。
世界中の真っ当な研究者や医療者が「あまりにも時期尚早」と
大反対していたのも、そのためだよね。
>逆に、例えば神経がないところに神経を導いていくこととかも出来るのでしょうか?
>神経と骨と筋肉を導いて引き伸して第3、4の腕とか出来たりすると不気味
このまま技術の進歩が積み重なって蓄積されて行けば、
いずれは出来るようになると思う。
そうすると、色々な社会的問題が起こってくるだろうから、
法改正も必要だしなぁ。困ったね。(って俺が困ってどうする。
# 僕とか俺とか私とか、意図的に使い分けているTaiyakiss
Re:なぜ神経になるの? (スコア:1)
それともう一つ、これはまだ十分には実証されてなくて、また原理も判ってない作業仮説なのですが、「細胞ニッチ」という考えがあります。
幹細胞移植を行った場合、移植された幹細胞はその部分で不足している細胞に分化しやすいという現象がいくつかの実験で観察されてます。これを説明するために、移植された細胞がどういう細胞に分化するかはその周囲の細胞が作り出している環境による(ニッチに依存する)、という仮説が立てられてます。
そのため「神経細胞の欠けたところには神経細胞が補われる」という原理が働くのではないか、と予測されます。
神経のないところに「神経細胞」を導くことや、「骨細胞」を特定の方向に増殖させることは、原理的にはおそらく可能だと思います。しかし、そういう細胞のレベルでは可能であっても、組織/器官のレベルのものを構築するというのは、ニッチを生み出す環境そのものを0から丸ごと作るということになりますから、(不可能ではないにしても)かなり複雑で手間のかかることでしょう。第3、4の腕はともかくとして、腕を失った人などに新しい腕を与える方法としてはかなり障壁が高く、別の方向から(義肢など)アプローチする方が実用的ではないかと。
神経細胞さえあれば? (スコア:0)
大型動物の脊髄生成 (スコア:0)