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葉緑素の光合成蛋白質から太陽電池を製造 38

ストーリー by Oliver
二酸化炭素も吸収 部門より

MIYU曰く、"マサチューセッツ工科大学のMarc・Baldoらによって、ほうれん草の葉の葉緑体から取り出された 様々な光合成蛋白質から、太陽電池が創り出されています。(Nature Web Newsの記事訳文、論文は「Integration of Photosynthetic Protein Molecular Complexes in Solid-State Electronic Devices」で 現時点ではGoogleキャッシュが有ります)
プロトタイプ・セルは光合成蛋白質分子を界面活性ペプチドで安定させ保護有機半導体で覆うことによって作られています。変換効率は12%で、将来的には20%も望めるそうです。問題は現時点でそれが働き続ける時間が21日ほどしかないことだそうですが、改良がうまくいけば変換効率、製造コストの両方で シリコン製の太陽電池より優位性を持つかもしれないそうです。
…… ポパイのノートPCは、ほうれん草で動く?"

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  • by esuyan (7005) on 2004年06月30日 1時10分 (#579067)
    そういや、「ガリバー旅行記」のラピュータに行ったくだりで、キュ
    ウリから太陽の光を取り出そうとする科学者が出てくるのを思い出し
    ました。
    むろんバカバカしさの比喩で登場したんですが、現実派スウィフトの
    想像を上回ってしまったのですね。
    なんつか、将来性は未知ですが、「科学の勝利」を感じます。
  • by mirz (21166) on 2004年06月30日 0時41分 (#579041) 日記
    ♪Popeye The Solar man~

    #ごめんなさいぃ
    --

    /*-+/*-+/*-+/*-+/*-+/
    Allez! Allez! Allez!
  • 無理 (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2004年06月30日 0時42分 (#579044)
    >変換効率は12%で、将来的には20%
    >シリコン製の太陽電池より優位性を持つかもしれないそうです。

    アモルファスは12%程度
    多結晶シリコンで15%程度
    単結晶の場合24%で理論限界が25程度
    コストでは有利ですが変換効率が20%でも
    単結晶シリコン太陽電池を越える事はできません。

    色素増感太陽電池系
    なら理論限界が30%程度で現在は10%程度

    効率良く光を吸収する色素が課題
    • 原文よく読んでないんでアレですが。

      光合成だとブドウ糖をつくるところまででエネルギー効率が25%ぐらいのはずなんです。

      その手前の葉緑体内でプロトン濃度勾配を作る段階だと効率は もっと高いと思えます。
      ここを模してるだろうから、がんばれば太陽電池を抜けるかも・・・かも。

      あとタレコミのタイトルが"葉緑素の光合成蛋白質"になってるけど、"葉緑体の光合成蛋白質"だろうと。
      親コメント
  • by onyonyo (15599) on 2004年06月29日 23時57分 (#578986)
    話を読んで真っ先に思ったこと。

    「緑のラップトップなんていやぁだぁ!!」

    次に思ったこと、

    「太陽光を求めて右往左往するビジネスマンたち。手にはもちろん緑色のPC」

    見慣れればなんて事ないんでしょうけど、現在の感覚からすると嫌だぞ。


    #バッテリー容量を葉緑素のモル数で表示するようなるかもと思いつつIDで
    • by ko2hase (14229) on 2004年06月30日 0時35分 (#579034)
      日の出とともに起きて働き、日没とともに終業するビジネスマン
      ・・なんてうまく行かないですよね。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        地球規模で順次仕事をしていけば結構大丈夫かも。
        で、日没までに終わらない場合は、西へ走りながら仕事を(お
    • >「太陽光を求めて右往左往するビジネスマンたち。手にはもちろん緑色のPC」

      「太陽光を求めて右往左往するヒーローたち。体にはもちろん緑色のスーツ」
      だったら違和感ないのでは?

      # アレは風か・・・。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      光吸収という観点から見ると、おそらく暗色系(黒)はいけるんじゃないでしょうか。
      ソニーのVAIOやAppleの * Book のようなカラーはだめでは無いかと。。。
  • by virtual (15806) on 2004年06月30日 0時24分 (#579022)
    生ゴミでOKでしょうか?
  • もう10年以上も前に、学生実験で葉緑体成分を使った光電池を作った記憶があります。
    もちろん、発電効率や、耐久性の面で進歩があったということだとは思うのですが、ニュースになるほどのことかと言うと疑問があります。
    実用化にこぎつけたというのならわかりますが。
    • by takasuz (15006) on 2004年06月30日 7時56分 (#579200)
      記事にもありますが,タンパク質複合体には細胞中における環境が構造の保持や機能の発現に欠かせないというものが多くあり,今回の光合成複合体もその1つです.「うまく」取り出して固定すればフォトセルになるはず,と誰もが考えるのですが,実はいかに「そのまま」取り出し「そのまま」基板上に「制御して」固定化するか?という工学的な問題の解決が難しいのです. 今回の研究で使われているペプチド系界面活性剤を用いた抽出・保護方法は以前に研究されているようですが,この界面活性剤一つにしても,これに行き着くまでに相当の苦労があったはずです.

      今回の研究は多様な分野のテクニックが複合的に利用されているという点でもおもしろいと思います.たとえば,複合体の特定部位と特異的に結合するタンパク質をリンカーの複合体側末端に使うことで複合体の方向制御をしていますが,このタンパク質は遺伝子操作により大腸菌に産生させて手に入れています.
      親コメント
    • どんな実験だったか、よければ詳細を。
      親コメント
    • 新しいことかどうか、全然わかりませんが、このようないかにも、ってことで、Natureとか、やはりアメリカかなぁ、と感じました。

      でも、まあ、寿命がまだまだですし・・・。

      いっそ、植物そのものあるいは植物細胞内に電極を組み込んで生体光発電とかのほうがながもちしそうな気がします。なんか、
  • うまいこと、この蛋白質を効率よく生産できる庭木が出来れば
    素晴らしい効率のCO2削減効果が狙えますね。

    それでも倫理派は遺伝子操作に拒絶反応を示すでしょうか。
    • by shiraga (14233) on 2004年06月30日 4時22分 (#579151)
      全ての緑色植物は、おなじタンパク持ってますよ。
      このタンパクないと光合成できませんから。

      光合成というのは、葉緑体内外に水素イオンの濃度勾配を作り、その勾配を解消しようと水素イオンがチャンネルを通る際のエネルギーを利用してATPを合成します。
      このページ [greengrape.net]なんかわかりやすいかと。
      (このページによると、似たような実験は数年前になされてるんですが、今回の実験はタンパクの固定の方法が新しいということでしょうか。)

      で、水素イオン(+の電荷)の濃度勾配=電位差から電流を取りだしたのが今回の実験ですね。

      理論的には既存の緑色植物を用いて発電できるはずですが、実用化のためには無数の葉緑体の特定の部位に電極を刺して固定しないといけないので、実質的には無理でしょう。
      今回の実験のような in vitro(試験管内、というか生物を直接利用しない)のアプローチの方が実用化の可能性は高いですね。
      親コメント
      • by CBGB (9874) on 2004年06月30日 8時47分 (#579229)
        実際は葉緑体内部にあるチラコイドという膜に囲まれた袋の内外 にプロトン(水素イオン)勾配を作り、その勾配を駆動力としてATPを合成します。
        プロトンは光化学系IIで水から電子を引き抜く際、および電子がcytochrome b/f複合体というタンパク質複合体を通過する際に
        チラコイド膜の内側に生成および汲み入れられます。
        最終的に水素イオンは、チラコイド膜状に存在するATPaseを通過して チラコイド膜外に出ますが、そのときにATPが合成されることになります。

        参考: 光合成の機作 [tohoku.ac.jp]
    • by MIYU (17727) on 2004年06月30日 10時08分 (#579293)
      奈良先端科学技術大学院大学の 横田明穂教授 [kcn.ne.jp] 、近畿大の重岡成教授らのグループが タバコの葉緑体 [tuat.ac.jp]のDNAに 藍藻 [chiba.jp] の光合成関連遺伝子(二酸化炭素結合酵素のルビコス・RuBisCOなど2種類の酵素の遺伝子)を組み込み、光合成速度を7割高める事に成功し、結果として光合成からの産物である「でんぷん」も7割増えた事が今年の4月に報道されていました。

      電気を直接取り出す事を目的にしないで、葉緑体の能力を増加させて「でんぷん」を作らせるのが手法として楽ですよね。(アルコールにもなりますし) 現在、イネや小麦でも組み込みが試みられているそうですが、実現すれば食糧増産に繋がると期待されています。奈良先端科学技術大学院大学の先生方は、ベンチャー企業「植物ハイテック研究所」 [aist-nara.ac.jp]を設立して事業化に取り組んでいます。 先日のコーヒーのストーリー [srad.jp]で出ていた、「遺伝子組み換えによるカフェインが少ないコーヒーの木」もここの先生の成果物です。

      以下は、オフ・トピックです
      > それでも倫理派は遺伝子操作に拒絶反応を示すでしょうか。
      私見ですが、食料が必要なのでそれを論じる余地は無くなるだろうと思っています。以前にも書きましたが、現在の世界人口は私が生まれた頃の2倍、死ぬまでに3倍になります。実数でいうと、60億人の増加です。 国で例えると、毎年エジプト [wikipedia.org](人口7400万人ほど)が増えている状態です。増加率自体は減ってきているのですが、最終的に食料=エネルギーと人口がどうバランスするかという話になると思います。

      私自身は、「ソフト・エネルギー・パス」や「食料第一」を原書で読んでディベートした世代です。経済産業省が「新エネルギー産業ビジョン」を策定したことなどをきくと、理念でなくコストで戦える辺りまでたどり着いたのだという事が、なかなか感慨深いです。 また、ラウンドアップで枯れない小麦はいらないけれど、収量の多い米・小麦は欲しいと思います。日本の「土地と水」の輸入量は膨大ですので。

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    • 自然界にその遺伝子がばら撒かれた結果、 放電で害虫駆除するような植物が出てきたりして。
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    • by Anonymous Coward on 2004年06月30日 4時06分 (#579147)
      木を植えてCO2の削減ってみんな言うけど、
      CO2が木の中に炭水化合物に変換されて存在しているだけで、減っているわけじゃない。
      CO2を本当に減らしたいなら、大きくなった木を伐採して、新しい木を植えて、
      伐採した木を、腐らない場所に安置しておく必要性がある。

      産業革命以前と同じ状況まで森林を回復させれたとしても、
      産業革命以後、化石燃料から発生したCO2を減らせるわけじゃない。
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      • by Anonymous Coward on 2004年06月30日 12時42分 (#579475)
        まあ、それでもほとんどのCO2は植物由来のものでしょうから、化石燃料として固定されていた分迄カバーすれば良いと言うだけでしょう。

        何、無駄を省いて少々長く待っていれば化石燃料になってくれるでしょうし、そうなれば産業革命以前の状況になったと言えると思われ。

        必要なのは悪化傾向にあることを改善傾向にする事。

        改善傾向になりさえすれば効率は実は余り関係無い。今でも皆生きているのだから。

        #でも実は人類は汚染された大気中でなければ生存出来ない体になっていたりして。

        親コメント
    • つか、どうせまた杉みたいな事になるからよしましょうよそういうの。
    • > うまいこと、この蛋白質を効率よく生産できる庭木が出来れば
      > 素晴らしい効率のCO2削減効果が狙えますね。

      葉緑素一杯持ってる庭木作った方が良いのでは?
      (自己発電するクリスマスツリー目指してるならともかく)
  • by CBGB (9874) on 2004年06月30日 8時56分 (#579233)
    しばしば間違えられますが。
    「葉緑素」は、クロロフィルのことで、光エネルギを吸収する色素の名称です。葉緑体内のチラコイドという膜構造上にあるタンパク質複合体中に存在します。
    「葉緑体」は、細胞内にある包膜に囲まれた小器官(オルガネラ)で、光合成を行う「場」です。
    まだ元の論文を読んでいませんが、今回の話は光合成「系」に関するものですので、タイトルは「葉緑素」→「葉緑体」ですね。
  • by sameshima (10060) on 2004年06月30日 10時21分 (#579307) 日記
    花が咲いて、新しい太陽電池の種ができれば、
    それを蒔いて、芽がでて、太陽電池がたくさん…
  • > プロトタイプ・セルは光合成蛋白質分子を界面活性ペプチドで安定させ保護有機半導体で覆うことによって作られています。

    生体で発電か!!
    なーんか、これって、
    生命が、映画のマトリックスでの人間発電所や銀河鉄道999の機械化帝国のネジみたいに
    装置(システーム)に組み込まれて使われる感じが感覚的に嫌な感じ。
  • by Anonymous Coward on 2004年06月30日 0時01分 (#578992)
    そう思ってたけどついに来たか。遺伝子工学でやらずに 直でホウレンソウからタンパク質をとりだしてるのがなんとも
typodupeerror

皆さんもソースを読むときに、行と行の間を読むような気持ちで見てほしい -- あるハッカー

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