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DNA半導体化のメカニズム発見 31

ストーリー by Oliver
製品化されたらケースは二重螺旋で 部門より

maia曰く、"独立行政法人 物質・材料研究機構プレスリリース(8月13日)によれば、コンピュータ・シミュレーションによる研究で、DNAの電気抵抗を制御するメカニズムが見出された。
DNAは、実験によって10のマイナス4乗から10の6乗Ωcmという、10の10乗も異なる抵抗率を示す。今回の研究によって、生体内のDNAは絶縁体であるが、生体外の乾燥環境では、DNAと結合しているある種の金属イオン(マグネシウムや亜鉛)の存在によって、DNAの塩基に正孔(電子が抜けた状態)が導入され、半導体となる事が分かった。正孔の数は水が周囲にない金属イオンの数に一対一で対応しており、乾燥度による抵抗制御の可能性がある(→詳しいPDF文書)。いずれにせよ、実験による検証が期待されるが、バイオテクノロジーによるnmサイズのDNA微細回路の可能性が示された事は興味深い。"

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  • あれ? (スコア:4, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年08月15日 0時56分 (#605859) 日記
    今までは水がついてるとプロトン伝導やらのイオン伝導で伝導率が高くなる
    って話だったのですが,180度逆ですか.

    どっちが正しいかはまあこれからの実験次第ですが,どうにもこの辺のシミュ
    レーションってパラメータの選び方やらで結構変わりますので,実験屋と
    してはまだいまいち信用できません.
  • 実用性は? (スコア:2, 興味深い)

    by keybordist (3572) on 2004年08月15日 1時10分 (#605863) 日記
    生体内と生体外に相当するような、乾燥状態の変化が、DNAを半導体素子として駆動するには必要、とのことですが、
    こういった、状態の変化を、現在の半導体素子の動作速度と遜色のない速度で実現できるのか?と思います。

    #まだ基礎の基礎が立ち上がろうか、という時点では不適切かも知れませんが。
    • Re:実用性は? (スコア:5, 参考になる)

      by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年08月15日 2時13分 (#605886) 日記
      いえ,むしろ,DNAを分子素子やらの配線,さらには分子素子そのものに使えないか,
      という研究がベースにあります.

      まず,DNAって塩基対単独でP型やN型の半導体になっているらしいという話があります.
      この場合,AT-CGの2塩基対でPN接合が出来る,と.最小クラスの整流素子ですね.
      さらに塩基を化学修飾することで任意の置換基を導入して,ドープ量やらを変化
      させたりより高度な素子として使えるのではないかと.

      またDNAの利点として,その高い配列制御性があげられます.
      今盛んなナノデバイスの大半は,単分子では働いてもそれらの素子を結ぶ手法が無い.
      ナノワイヤーも,目的とする二点間を任意に結ぶ手法が無い.
      ところがDNAが使えると,ある部分の塩基にデバイスを導入して,その先の部分に
      別な素子を入れる.並び方はDNAの並びでどうとでも制御できますから,好きな
      順序で好きな素子が並べられる.さらに最近はDNAが部分的に解けることで2重螺旋
      だけではなくより立体的,多分岐的な構造も取ることが明らかになっています.
      そこで"DNAが電気を流すとするならば",ナノデバイスの配線材料としてもってこい
      ではないか,というわけです.

      ところがここが問題で,今まで多くの報告でいろいろな導電性が報告されている.
      導体なのか,絶縁体なのか?その辺をはっきりさせようとしている人たちが大勢
      いるわけです.

      今回の研究が正しいとするならば(まだ実証されたわけではありませんので),
      メタルの付着した乾燥状態のDNAを配線として,もしくはある部分だけドープ
      したりでDNAそのものを素子として使うことが可能であろう,ということです.
      決して乾燥・湿潤の変化そのものでスイッチングしようとしているわけではありません.
      #少なくともある程度応用を見据えている人たちはそう思っています.
      #基礎をやっている人たちはその基本的な変化そのものに興味を持っていますが.
      親コメント
      • 補足 (スコア:4, 参考になる)

        by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2004年08月15日 2時23分 (#605892) 日記
        物材研のプレスリリースの詳細版にも少しでてましたね.
        #立体方のDNAなんかもちょろっと出てます.

        余談ですが,分子ベースの素子自体のスイッチング速度としては,ピコ秒レベルも
        不可能ではありません.そういう意味では高速動作は可能(かもしれない).
        #一部のスイッチングはこの速度で起きています.

        しかし,これがSiベースのものを凌駕するのは・・・個人的には,少なくとも
        あと30年は必要なんじゃないかと思います.
        設計,素子間の組み合わせ,安定動作,外部への引き出し等々.
        まだまだ解決を要する問題,道筋すら見えない問題が山積みですので.
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          素子速度が問題にならない位並列化が可能なのがみそなんじゃないですかね?

          培養液とシンセサイザからコンピュータを育てるってのもなかなかおもしろいと思うんですよ。

          しかし巨大な素子群は肉塊に見えて不気味なんだろうかと思うとちょっと夢にでそうでイヤではありますな。
      • Re:実用性は? (スコア:1, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2004年08月15日 2時34分 (#605897)
        >>基礎をやっている人たちはその基本的な変化そのものに興味を持っていますが.

        で、その結果基礎やってる人達が新事実を割り出す→別の分野でブレイクスルー。
        結局実用化する時には”DNAでない何か”が使われる、と。
        ありがちな話ですな。
        なんか目立つキーワードがあると研究費取り易いってのはわかるけど。
        親コメント
      • by Taiyakoss (21040) on 2004年08月15日 13時18分 (#605994) ホームページ
        DNAが半導体になるのなら、
        RNAやアミノ酸や蛋白質は、半導体になるのか?ならないのか?

        そもそも、この研究結果は、
        実物の物質のDNAでの動作が検証できたわけじゃなくて、
        コンピュータ・シミュレーション上で、
        分子とか電子軌道の振る舞いをシミュレートして、
        そのシミュレートの理論と精度の上では、こういう特性が出たというだけの話なのでは。

        ということは、今現在の技術では実現できなくても、
        理論的に可能な話ならしてもよいということだ。

        生物は、DNAとかATPとかアミノ酸を使って、
        複雑な構造の巨大な膜構造を作れるんだから、
        理論的には、
        ナノサイズの突起が規則的に並んだフォトニック膜を組み立てたり出来るはずだ。

        半導体素子のように、電気(電子と正孔の受け渡し)を動力源にすれば、動作速度を速くできるが、
        電気を動力源にすると、その電気を流すための導線を、途切れなく配線しなければならない。
        それは工学的に困難なので、普通の生物と同じように、ATPの化学反応を動力源として使って、
        ナノサイズの装置空間の中で、位置的に少し離れた場所に情報を伝達する場合には、
        『光(飛び出す光子)』を媒体として使い、ホタルの細胞の中に有る発光する組織と、
        視神経の中にある光を感じると変形する組織を組み合わせて通信すべし。

        ATPの化学変化では、電子のスイッチングよりも動作速度が遅いと思うので、
        そこは、機械的な複製能力で大量に作り出せる生体材料の利点を生かして、
        膨大な量の装置を並列動作させて、1つ1つの素子の遅さを補うのだ。
        膨大な量の装置を並列動作させているので、壊れて動作が変になる装置も大量に出るはずなので、
        1つ1つの装置の処理結果の厳密性にはこだわらず、
        全体として何となく正解が出ていれば良いというような理論体系だけを上手く応用して使う。

        ぬー。こういうときって、論理体系って使う?理論体系って使う?
        Nathan、大変です。日本語が分かりません。
        親コメント
  • すっかり下火になってしまいましたが、一昔前に、AIが流行りました。
    そのとき感じたのは半導体コンピュータは自己学習能力に限界があるということ。
    バイオでにはそれを期待しますね。
    細胞分裂で、あるいはニューロン架橋で、どんどん賢くなる(可能性のある)コンピュータが出来ると、
    本当の意味でのAIが出来るんですが。

    ------
    今回の話とは関係ないです
    • そうは言うけど (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2004年08月15日 9時29分 (#605948)
      バイオはコンピュータと違って純粋な「自然科学」というところが落とし穴だと思うのですね。つまり、複雑すぎて、今の先端の研究者でも、「わからないことがなんとなくわかってきた」という程度であって、人間が1から考えたものじゃない。伏兵がいっぱいいるはず。

      もっとも、これはバイオに名を借りた「工学」って感じがするけど。
      親コメント
    • 培養液の中に脳が浮かんでる光景を想像してしまうのはオイラだけですかね?
      ルパンの映画に出てきたやつみたいに。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2004年08月15日 17時16分 (#606035)
      自己学習って結局、痛い思いをしたり、非難されたり、自分の責任で行動して発見するっていうことですよね
      真のAIには"身体"が必須なんじゃないかな?
      まず、人間の社会に"身体"が相当入り込んだ後に使えるものになっていくんだろうなぁと思います
      親コメント
      • いわゆる狭義の人工知能まっしぐらな研究は下火で、身体性の追求という流れからロボット絡まりの研究が盛んになっているようです。

        まぁ、あんまり生産的じゃなかったですしね。
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2004年08月15日 20時56分 (#606077)
          > いわゆる狭義の人工知能まっしぐらな研究は下火で、

          ま、これは正しいけれども(下火というより、それぞれより詳細なテーマに完全に分化した、と言うべきかな)、

          > 身体性の追求という流れからロボット絡まりの研究が盛んになっている

          これは嘘でしょ。少なくとも旧来の人工知能研究の中心だった計算機科学においては「ロボット」というテーマ自体消滅して久しい。人工知能の実現、という意味でのロボットの研究なんて完全に死んでる。いまだにロボット関係の研究なんてやってるのは、機械系とか制御とかそっちの人達。内容も泥臭いだけ。もちろん、そういう人たちが 「人工知能」うんぬんと宣伝してるかも知れないけれど、そんなのは旧来の「人工知能」以上にトホホ(計算機よりの機械系とか「情報工学」とか名乗ってるところは計算機科学のふりをしてるけど、実際は計算機科学の基礎が全然なってない、あやしいのが多い感じ)。
          親コメント
          • 詳細なテーマに分化した先に、ロボットというのは存在すると思う。

            大学の話ですまんけど機械系や精密系の建物以外でも見るよ。
            自前で作って楽しんでるやつじゃなくて、ロボット自体は買ってきちゃう人達。
  • by Anonymous Coward on 2004年08月15日 12時06分 (#605980)
    日経サイエンスのほうがわかりやすい
    http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0409/nano.html
    • > ナノロボット研究チームのリーダーであるニューヨーク大学の化学教授、
      >ネイドリアン・シーマン博士によれば、
      >この小さな装置はDNAの鎖からできているので、生物学的には生きた有機体に対して適合性がある。
      http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/1884.html [goo.ne.jp]
  • by youichi (329) on 2004年08月16日 10時16分 (#606208)
    よく分かってないんですが、これが実用化されると、電気以外にDNAを機能させるためのエネルギーが必要なんですかね。ロボコップみたいに、ジャムみたいなやつが。
  • とにかくDNAは条件次第で半導体になるってことなんですが。

    ソースでは否定されているけど、 生体内でも実はDNAは半導体になっていて、半導体としての性質が生理的・遺伝的に極めて重要なんてことがないものか、とか妄想してみました。もし半導体になれば塩基対形成から修飾から切断から転写因子との結合まで多方面に影響があるだろうし。非常に高速でオーバーオールな遺伝子発現制御ができそうな。

    それが実現するには、要は金属イオンが水和なり配位なりをしていない状態でDNAに接すれば良いわけで、たとえば蛋白質の疎水性ポケットに金属イオンが入り込んだ状態で(やや無理があるか・・・)DNAに接するとか。
  • by Anonymous Coward on 2004年08月15日 1時13分 (#605864)
    これは「人類コンピュータ計画」の陰謀に違いない!
    生体コンピュータ化された人類は、従来の計算能力が飛躍的に向上
    権力にとって都合のいい部品として”機能”するようになるんだよ!

    なんだってー!
    ΩΩ Ω

    なーんて事なら、是非、被験者一号に俺を…orz
  • by Anonymous Coward on 2004年08月15日 2時15分 (#605889)
    前々から言ってたじゃないですか。DNAはそもそも宇宙人が使ってた部品なんですってば。
    落とした万能素材の一部が気がついてみりゃ、いつの間にかこんなにわんさか増えちゃって。
    グレイも後始末に必死でこの地球に舞い戻ってきてるっていう寸法な訳ですよ。
  • by Anonymous Coward on 2004年08月17日 17時24分 (#606716)
    高感度な湿度計に1票!
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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs

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