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8805 story

炭化ケイ素半導体への道が開かれる 21

ストーリー by Oliver
しりこん・かーばいと 部門より

MIYU曰く、"豊田中央研究所DENSOの研究者達が炭化ケイ素の非常に高品質な単結晶を作る技術について「Nature」誌に発表しています。(Natureによる論文概要Nature Web News記事記事の日本語訳読売新聞の記事
炭化ケイ素結晶が現在使われているシリコン結晶に比べてより高温、高電圧に強い、しかも電力損失の少ない半導体を作り出せる材料である事は以前から知られていましたが、傷のない状態の大きな結晶を作る事が難しく、産業用に大量に使うには高価な材料でした。
今回作り出されたものは今までよりも2桁かそれ以上欠陥が少ない、7cm径の結晶だそうです。コストの問題や量産手法の開発などまだ改良の余地は有るそうですが、例えば、家庭の電化製品のモーター制御に炭化ケイ素半導体が使われる事で、使用電力量が3割程度減少するだろう、と言われています。
今年7月には日本原子力研究所と産業技術総合研究所が、炭化ケイ素を基板とした高性能の電界効果トランジスタ(MOSFET)を作成した事も報じられています。炭化ケイ素半導体の量産までは時間がかかるはずですが、これがシリコンと置き換わる価格で量産される事を願っています。コンピューターの熱対策にも有効なのですよね。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by MIYU (17727) on 2004年08月26日 15時59分 (#611802)
    超高品質炭化珪素単結晶を開発 [tytlabs.co.jp](プレスリリース)

    結晶の状態は、マイクロパイプが0、転位欠陥が転位密度で従来比1/100~1/1000を達成、という事です。また新しい手法は、RAF成長法(Repeated A-Face growth method)と名付けられています。参照図 [tytlabs.co.jp]

    研究所のコメント
      本手法によって製造されたSiC単結晶は非常に高品質且つ均質であるため、信頼性の高い大電力用チップの製造が可能になると考えられます。
      大容量電力変換装置などのハイパワー用途において大幅な低損失化、機器サイズダウン、およびコストダウンが期待されます。
       # まず、信頼性が上がるというのが何よりか、と
  • by keybordist (3572) on 2004年08月26日 14時57分 (#611765) 日記
    ただ、導電性が高い、って事は微細化加工を施した際、
    閾値電圧を低めに設定しても、リーク電流が増大しないだろうから、
    熱の発生自体も相当押え込めると思います。

    ただ、極限の性能を追い求めると、何処までも温度が上がりますし、
    そうなると周辺機器が耐えられなくなるので、
    それこそ、マザーボードが解けない程度には冷やす必要があるのではないかと。
    • 同じマザーボードでも、レギュレータ部分などの電源周りに使えれば、
      電力回路(大抵はD/Dコンバータ)のスイッチング部分からの発熱が減り、電解コンデンサの寿命が延びてマザーボード自体の信頼性が上がると思うのですが。

      マザーボードが飛ぶ場合って、長期運転の場合電源系統の電解コンデンサがウィークポイントになっていると思うので、最初の応用が電力素子だったとすると嬉しいかも。

      # もちろん、メインの電源に炭化珪素使用のパワーMOS FETや
      # パワーIGBTが使われると効率が上がって消費電力が下げられる
      # 可能性が出てくるのでそれも又嬉しいですね。

      親コメント
      • > 同じマザーボードでも、レギュレータ部分などの電源周りに
        > 使えれば、電力回路(大抵はD/Dコンバータ)のスイッチング
        > 部分からの発熱が減り、電解コンデンサの寿命が延びてマザー
        > ボード自体の信頼性が上がると思うのですが。

        スイッチング電源で平滑用の電解コンデンサが加熱する理由は、スイッチング素子等の熱を受けてしまう事もあるにはあるが、主にはリップル電流によるコンデンサ自体の発熱。現実のコンデンサはキャパシタンスだけでは無いのだ。実際、スイッ
        • >スイッチング電源で平滑用の電解コンデンサが加熱する理由は、スイッチング素子等の熱を受けてしまう事もあるにはあるが、主にはリップル電流によるコンデンサ自体の発熱。

          この話って、そばにあるから影響を受けるって話で、狭いところにごっちゃり突っ込んであるATX電源とか、条件によって違うんじゃないの?
          例えばファンレス設計だと、レギュレーターの熱がこもるよね。
          ケース内温度を25度に維持出来る環境だとまた違うだろうし、55度とかならば前とはまた違った結果になるはず。

          ちなみに、6割が自己発熱だったとしても、残りの4割を1/5とかに出来ればかなり違うんじゃないの?(何分の一に出来るのか知らんけど)
          10度下げられれば2倍長持ちするんだから。
          親コメント
          • > この話って、そばにあるから影響を受けるって話で、狭いところに
            > ごっちゃり突っ込んであるATX電源とか、条件によって違うんじゃないの?

            放射じゃなく、対流(エアフロー)や伝導で電解コンデンサに熱が盛大に伝わるなら、そりゃモロに設計ミス。放射による熱伝導は、熱源温度が高々数十℃では無視しても構わないだろうし。大体マザボの信頼性がどうのの話なら、それはCPU用のオンボード・レギュレータの話じゃないの?

            もちろん、デバイスにより省電力設計が可
    • 結晶体は脆いイメージがあるので加工が難しいんじゃないだろうかって
      思ってたんですが炭化ケイ素ってモース硬度9.13(10段階計)もあるんですね

      ところでモース硬度の計測って引っ掻き硬度と同じなんですかねぇ?
      それとも衝撃硬度と同じ?
  • by aquaforest (17246) on 2004年08月26日 17時03分 (#611851)
    読売オンライン見る限りでは高温で動作するようでうし
    本当にチップセットに小型のフライパンを付けて
    目玉焼きが焼ける・・そういうことが出来るようになるかも知れませんね

    と、冗談はこのくらいで
    問題はコストですよね。
    一般人のてに届くまでには相当時間がかかりそう。
    これが出回る頃には熱暴走で無く羽目になる人が減るかも?
    --


    #きっと、可能性っていうのはその辺に落ちているんだけど
    #気がつかない物じゃないかなと思う。
  • by userforslashdot (23693) on 2004年08月26日 17時32分 (#611886)
    > 例えば、家庭の電化製品のモーター制御に炭化ケイ素半導体が使われる事で、
    > 使用電力量が3割程度減少するだろう、と言われています。

    a) 制御が行われていない家電と比べて全体の消費電力が3割減?
    b) 現行の制御が行われている家電と比べて全体の消費電力が3割減?
    c) 現行の制御回路と比べて制御回路部分の使用電力が3割減?

    どの意味なのでしょう?
    • Re:3割節電って? (スコア:2, 参考になる)

      by messo (7339) on 2004年08月26日 23時15分 (#612139) ホームページ 日記
      d)on抵抗が低いので大電流を流しても発熱が少ない。
      制御ユニットの一部にデジタルの出力でon/offしている半導体があり [interq.or.jp]
      その部分での消費電力が3割り少ないって事だと思う

      要するに半導体でスイッチングすると抵抗が二桁程度の抵抗がある。
      そこに大電流を流してもそこでの発熱抑えられるってはなし。
      デジタルのロジックは流れる電流が少ないのですが、制御系は
      ステッピングモータ(プリンターのヘッド移動)とか
      ドライブの回転数制御
      デジタル家電の等の省エネ対策で個別に電源のoffができるとこと
      (バックライトのon/off、スリープ時にビデオチップの電源を落すとか)
      調光器とかにも使えそう。

      #高周波になると消費電力が増える所では銅配線に逃げたけど
      #そこにも使えるかもしれないって話しかな?
      #本来放熱しなければならない部分でも使わなくても動かせるとかもありそう
      親コメント
    • これはタレコミ文が悪いですね。

          シリコン・エレクトロニクスは、その回路に流れる電気的な
          エネルギーの半分しかモータをコントロールするために使っていません。
          残りは浪費されているのです。
          それとは対照的に、炭化ケイ素の回路は 70%程度の効率を持つだろうとWrightは言います。
          これはシリコンが低周波のパルスしか扱えないのに対して、
          炭化ケイ素がはるかに高い周波数で電気を運ぶことができるからです。

      と言うことなので、「 c) 現行の制御回路と比べて制御回路部分の使用電力が3割減?」なのかなぁ。

      #50%→70%で3割減???
      親コメント
  • by kamesan (23069) on 2004年08月27日 11時05分 (#612405) 日記
    価格や加工のしやすさといった点で従来のシリコンと競うことは難しいと思いますから、そのままシリコンに取って代わる次世代材料にはならないと思います。GaAs(ガリウム砒素)のように、用途を選んで部分的に使われる材料としてはとても興味深い材料ですね。今回の SiC だと、Nature Web News の記事にあるような耐久性を生かした用途がもっとも有望ではないかと思います。

    なお今回の技術の実用化については、米Yahoo!での記事 [yahoo.com]中の豊田中央研究所のスポークスマンの話で「少なくとも6年先」となっていますので、もう少々時間はかかるようですね。
    • by MIYU (17727) on 2004年08月27日 17時08分 (#612726)
      CNET Japan [cnet.com]が日本語記事にしていますが、やはり、実用化には最長で6年ほどかかるかもしれないというコメントが掲載されています。(記事に誤訳があるので注意してください)

      豊田中央研究所では、用途として「大容量電力変換装置 [mitsubishielectric.co.jp]」が特に有望だと発表していますが、共同研究の相手がDENSOだという事や「世界に冠たるトヨタ」の事を考えると、燃料電池自動車の話ではないのかとまず思いました。
      現在ガソリンで動いている自動車が電気自動車に置き換わった時、燃費を左右するのは、鉄道(電鉄)と一緒で電力変換装置の部分になるのかなと思ったりします。高信頼性(耐高温等)、低電力損失(耐高電圧)=長距離走行性、装置の小型軽量化は自動車の場合特に欲しい部分なのではないでしょうか。

      半導体スイッチングの部分は、 messo氏がコメントなさっています [srad.jp]ので、そちらをお読みになってみて下さい。

         # 私は身近な話だと思ったのですが ……
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2004年08月26日 20時21分 (#612016)
    プロセッサの場合、X86アーキテクチャを”力任せ”に
    高クロックで駆動することから早く脱却するほうが
    余程効率アップが図れるのでは?
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※ただしPHPを除く -- あるAdmin

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