IBM社が保有特許をオープンソース利用に無償提供へ 77
ストーリー by yoosee
素晴らしい、の一言 部門より
素晴らしい、の一言 部門より
Anonymous Component曰く、"IBM社が
LinuxWorld で「Linuxカーネルに関する特許を主張しない」という
特許権不行使宣言を行ったのは昨年8月の事でしたが、
今度は「保有する500件の特許をオープンソースに『寄贈』する」
という発表を行なった事を
ITMediaの記事が伝えています(同情報:日経IT Proの記事)。
寄贈の対象は、
Open Source Initiative(OSI)
によるオープンソースソフトウェアに現在または将来適合する
予定のソフトウェアを開発、使用している個人、コミュニティ、
企業となっており、Multi-Processing、Storage Management、
Database and Data Handling、Human Interfacing
など、多岐に渡る特許がロイヤリティフリーで提供されます。
「寄贈」される特許は
PDFファイルの形で公開されています。
IBMは企業別年間特許取得件数が昨年3248件で、
2位企業を遙かに引き離しての首位を獲得していますが、
「率先して特許を取得する一方、自らの特許を用いて
オープンスタンダードによる全世界のイノベーションと
相互互換性を促進、保護していく。
これは一回限りのイベントではない。」とコメントしています。"
PDFファイルから主な特許の種類を抜き出すと、
Networking and Network Management、
Internet, eCommerce, and Industry Specific、
Software Development & Object Technology、
Compression, Encryption, and Access Control、
Human Language Processing、
Image Processing and Video Technology、
Database and Data Handling、
Human Interfacing、
Data Processing Programming、
Multi-Processing、
Storage Management、
Interfacing、
Miscellaneous、
となっているようです。
IBM特許 "汚染" (スコア:3, 興味深い)
それ自身は合法ですが、こんどは、その BSD ライセンスのソフトウェアを、
どこかがプロプライエタリなソフトウェアに組み込んだ時点で、特許侵害が起こりますよね。
まるで、GPL "汚染" と同じことが、IBM 特許で起こるわけです。
というわけで、今後は、BSD ライセンスといえども、プロプライエタリな
ソフトに組み込むときには注意が必要ということになります。
一方、BSD ライセンスなソフトウェアを開発する側から見れば、
もし BSD ライセンスの、プロプライエタリなソフトに自由に組み込めるという
特徴を重要だと思うなら、「われわれのプロジェクトはIBM特許を使いません」
という宣言を出したほうがいい、ということになります。
Re:IBM特許 "汚染" (スコア:1)
確かに今回の『寄贈』には「オープンソースソフトウェアに」という縛りがついていますからねえ。けど特許なら、いわゆる“特許の消尽”(正式には、用尽というらしい)の考え方 [furutani.co.jp]は適用できないですかね。
ソフトウェア特許に関しては難しいのかな。そもそもアメリカの特許法が“特許の消尽”を認めているかも重要な点か。
Linuxもいいが(2get阻止) (スコア:2, 興味深い)
Re:Linuxもいいが(2get阻止) (スコア:1)
OS/2 (スコア:1)
確かにネットワーキングの下回りとか共有技術のような気がします。
<人任せ>
詳しいことはAverage [srad.jp]氏とかSassyOS2 [srad.jp]氏あたりが答えてくれる…。といいなあ。
</人任せ>
Re:Linuxもいいが(2get阻止) (スコア:1, 興味深い)
Re:Linuxもいいが(2get阻止) (スコア:1, 興味深い)
Re:Linuxもいいが(2get阻止) (スコア:1)
つーか、ファイルシステム押さえられてるんじゃ…
/* Kachou Utumi
I'm Not Rich... */
戦略 (スコア:2, すばらしい洞察)
・特許関連が懸念されているLinuxの導入に拍車をかける
体力があるからこそ、とれる戦略だと思う。
ただ乗り防止? (スコア:2, 興味深い)
BSDライセンスとかPDSみたいな緩いライセンスの場合、いわゆる「ただ乗り」を危惧する人がいるよね。
つまり、オープンソースになっているコードをプロプライエタリなソフトに流用してしまうような事態のこと。
(個人的には、「そんなの各人の勝手」と思うんだけど)
だけど、今回のIBMのように「オープンソースなソフトには特許権を行使しないよ」となっていると、コードに特許が使われていたときに「ただ乗り」は危険な行為になる。
これは実質、オープンソースの派生物はオープンソースにしなきゃならなくなるってことじゃないかな。
しかも、著作権でそれを強制するGPLよりも、特許で禁止されるほうがよほど強制力が強い印象がある。著作権は相手のソースがなきゃ主張し辛いけど、特許はそうでもないと思うしね。
特許の名目上のお題目である「新しい技術を人類共通の財産としていくこと」はオープンソースが立派に果たしているわけだし、いっそのこと法で「オープンソースに対しては特許権を行使できない」ぐらいにしてくれると面白いんだけど。:-)
Re:ただ乗り防止? (スコア:2, すばらしい洞察)
これをやると、特許自体が無意味になる可能性があるので無理でしょう
発明された特許を使用してオープンソースなソフトを開発する事による開発者への不利益が考慮されていません
開発された物が公開されなくなる可能性がありますね
特許には自分の努力して開発した物を、公開する代わりに利益を得ると言う面が有るのを忘れてはいけません
その利益を得る為に公開するのです。
そして、開発者に配慮が無い仕組みは人のやる気を削ぐ場合が多い事は自明でしょう
無論、保持者が特許権を提供するのは自由です。
ただしそれを法律で強制する事は、長期的に見れば不利益でしかないでしょう
Re:ただ乗り防止? (スコア:2, 興味深い)
かもしれない。
でもね、ソフトウェアがらみの特許を特許庁のサイトで検索したときあまりの惨状に目を覆いたくなった身からすると、それで無意味になるのなら構わんと思う。:-)
> そして、開発者に配慮が無い仕組みは人のやる気を削ぐ場合が多い事は自明でしょう
「自明」なんて言い方には同意できないなぁ。
私は会社ではプロプライエタリ、個人ではパブリック・ドメインでやってる開発者だけど、どっちの立場でもソフトウェア特許には懐疑的だもん。
(それなりに独自性のある奴を作ってるつもりだけどね)
それにね、オープンソースから得られる利益ってのも馬鹿にならないよ。自分が想定してなかったことを派生物がなしとげてくれたら、それを自分の方へ取り込むことができるんだから。
「配慮が無い」は言い過ぎだし、「人のやる気を削ぐ」はそれこそ人によるでしょ。
オープンソース陣営がにぎわっている理由を考えてほしい。
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
まさにプログラムで表現する、その表現方法を規制されるようなレベルにまで特許が及んでいるように思えるのは確かです
新規開発と言えるほど独創的なのか、それとも異なるのか
ソフトウェアはこの線引きが非常に難しい為に起こっているって事でしょう
ただしこれは、すくなくとも特許の開発者に一定の利益を保証する代わりに公開を求めると言う特許制度自体の問題だとは思えません。
>「配慮が無い」は言い過ぎだし、「人のやる気を削ぐ」はそれこそ人によるでしょ。
前の発言の条件だとオープンソフトであれば無条件に無効になるのに、特許所持者に対し配慮がされている部分がどこに有るのでしょうか?
やりたい人がやると言うレベルで止まっているからこそ、オープンソースはうまくいっているのでしょう。
オープンソースに参加するかどうかも自由です。
しかし、法律となれば否応なしに、すべての国民に対し無条件に影響を及ぼします。
もし、この条項が法律として制定されれば、特許で公開した物はオープンソースに無条件に参加すると言うことになります。
オープンソースに参加しない自由は奪われたことになるでしょう
参加するも参加しないも個人の自由、だから賑わってるのではないですか?
それとも「オープンソースは良い物だ、だから特許申請する人は強制参加ね!」って言うのが良いことだと考えてますか?
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
> ソフトウェアに関して言えば、特許制度自体の問題と言うよりは、承認基準の問題とかのが大きいのではないでしょうか?
そうかもね。
でも、「承認基準」なるものは誰がどう決めるの?
> 新規開発と言えるほど独創的なのか、それとも異なるのか
> ソフトウェアはこの線引きが非常に難しい為に起こっているって事でしょう
じゃあ、やっぱり駄目ってことですわな。
独創性がある発明に対して権利を与える、その独創性が切り分けられないのなら「特許制度自体の問題」なわけだ。
(言っとくけど、ソフトウェア特許に限っての話だからね)
> 前の発言の条件だとオープンソフトであれば無条件に無効になるのに、特許所持者に対し配慮がされている部分がどこに有るのでしょうか?
ちょっと待ってよ。「特許所持者」ってどこから出てきたの?
#677621 [srad.jp]で言ってるのは「開発者」でしょ? こっちはそのつもりで答えたんだけど。
> もし、この条項が法律として制定されれば、特許で公開した物はオープンソースに無条件に参加すると言うことになります。
はて?
別に参加しなきゃいいだけじゃない。
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
えっ特許を無条件で使っていいんですよね、不利益を被るのはその特許を開発した人=開発者のつもりでかいてましたよ
逆に オープンソフト開発者側からしたら不利益が発生したなんて言わないかと..
まぁ開発者だと意味的にに広すぎるので、特許を無条件に使用される開発者と言う事にしてください。
使う側に不利益はないでしょうから、文体上問題は無いでしょう
>別に参加しなきゃいいだけじゃない。
無条件に自分の特許を使われる可能性がある時点で、強制参加ですよ
自分の特許を使わないように訴えられるなら..
「オープンソースに対しては特許権を行使出来ない」って事はないでしょ?
それともソース書かないとオープンソースの開発に参加した事にならないと思ってるのかな?
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
> えっ特許を無条件で使っていいんですよね、不利益を被るのはその特許を開発した人=開発者のつもりでかいてましたよ
「その特許を開発した人!=特許所持者」ってこと。
> それともソース書かないとオープンソースの開発に参加した事にならないと思ってるのかな?
自分の公開してるソフトにハフマン圧縮使っているんだけど、Huffman先生はオープンソースの開発に参加してることになるんですかね?
三平方の定理使ってたら、ピタゴラス大先生も同じ?
# なんかむなしくなってきた……。
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
>三平方の定理使ってたら、ピタゴラス大先生も同じ?
その人の成果を使用しているのであれば、参加してるでしょ、本人死亡して意思確認はできないし、周知事実で権利を主張する事も出来ないので、文句言う人は居ませんけどね
もっとも、具体的に言うのなら、IBMは今回の特許権の提供のみではオープンソースの開発に参加していると言えないと言う考えなのかな?
私は今回の事だけでも立派にオープンソースの開発に寄与していると思うけど?
ある成果をまとめた物が特許、それをオープンソース側に提供する事がオープンソースの開発に関わって居ないとは思わないけどなぁ
そして、「オープンソースに限って特許権を行使できなくする」というのはその提供を強制するって事
Re:ただ乗り防止? (スコア:1)
昨今の状況を鑑みると、ソフトウェアに関しては
むしろそのほうがありがたいように思えます……。
特許によるGPL型汚染 (スコア:1)
そうかも、それ、いいな。(・∀・)イイ!!
GPL汚染に肯定的な考え方の僕としては、こういう汚染が起こると、ちゃんと調べないでガクブル状態で特許に引っかかるコードをパクルくらいなら、もういっそのことパクって作ったソフトをオープンソースにしちゃったほうが楽、とかいう考え方が広まることを希望。
もちろん、そのソフトが十分な利益を生むという予想がついていれば、きっちり特許の権利関係を調査して契約結ぶコストを払うだろうし。
屍体メモ [windy.cx]
Re:特許によるGPL型汚染 (スコア:1, 興味深い)
Re:特許によるGPL型汚染 (スコア:1)
だとすると
>* 開発者と交渉する
って場合によっては結構難しい気がするんですが…
# 選択肢としてアリ、というのは同意。
Re:特許によるGPL型汚染 (スコア:1)
特許ならIBMにお金を払えば使用できます
オープンソースにすればお金を払わなくて良いだけ
許諾…どこまで? (スコア:2, 興味深い)
この文面だと、「何らかの形でOSSに寄与している者は、IBMが無償提供した特許の技術を、OSSでないソフトウェアでも無償で使用できる」ようにも読めませんか?
「対象となる特許をOSSに使用する場合、(個人・団体問わず)無償で許諾」という表現であればしっくりくるのですが…考え過ぎですかね。
発明対価 (スコア:1, 興味深い)
IBMは彼らに対してどういう支払いをしているの?
オープンソースソフトウェアはそれはそれですばらしいんだけどさ。
Re:発明対価 (スコア:2, 参考になる)
Re:発明対価 (スコア:1)
Re:発明対価 (スコア:2, 参考になる)
>> 「社の器材や資財による発明」
「器材や資材による思想」:×
「器材や資材による技術的思想の創作」:≒
U社 (スコア:1, おもしろおかしい)
策士ですね。良い意味で。 (スコア:1)
一般のユーザーは全て、オープンソースコミュニティに入る「可能性がある」んだよな、と思ったりします。
その意味では市場に対する興味深いアプローチだと思います。
#それにしてもIBMかっこよさげですね
IBM トイレの順番を決めるための特許 をオープンに (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:IBM トイレの順番を決めるための特許 をオープン (スコア:2, 参考になる)
# ネタにマジレスすみません
残念なことに、件の US Patent 6329919 “System and method for providing reservations for restroom use”は、タレコミ文中にリンクのあります「今回『寄贈』対象とされた特許の一覧のPDF」には載っていませんでした。……既に放棄されたものなので、わざわざ載せていないだけですかね。
特許内容はUnited States Patent and Trademark Office [uspto.gov] で、特許番号 6329919 で検索すれば参照できます。検索結果に直にリンクを張るとまずそうなので、トップページへのリンクのみですが、興味のある方は参考にしてください。
「エキサイティング!」 (スコア:1, 参考になる)
Re:「エキサイティング!」 (スコア:1, 参考になる)
原文「making good [lessig.org]」
和訳「行動するIBM [cnet.com]」
あと、Wired News の記事 [wired.com]も「patent commons」という言葉を用いていたのが興味深かったです。
特許抑止力(無理なんだろうなぁ) (スコア:1, 興味深い)
もし通常の企業と同じように特許による守りを「オープンソースである」ということで得られれば
今までよりももっと安心してソフトウェアを作れそうな気がします。
ただ、特許ゴロに対しては(相手が特許を使っている可能性が低いため)効果はないでしょうけれど。
# クロスライセンスできれば更に面白いんですがねぇ
# オープンソースじゃなきゃ使えない特許を使っていいからそっちも大目にみてよ(無茶だな…)
マルチメディア系特許 (スコア:1, 興味深い)
えらいよなぁ・・・ (スコア:1, 興味深い)
この人たち、本当だったら幾らくらいの対価をもらうべきなんだろう。
なんていうか、どっかの青色発光ダイオードの話が
空しくなってくる。
Re:えらいよなぁ・・・ (スコア:1)
しかし本当だったら・・・少なくとも俺には全く縁の無い金額になるってことだけは
ハッキリしてるかな、と。
Re:えらいよなぁ・・・ (スコア:1)
>空しくなってくる。
それは特許料でウハウハ(死語)な日亜化学工業の行為が空しいって話ですか?
ソフトウェア特許とごっちゃにしたら話がおかしくなると思いますが。
Re:えらいよなぁ・・・ (スコア:1)
無論TCP/IPのように無償で使えるものではなかったのですが..
TCP/IPが有償だったのなら、また別な方式が生まれていたかもしれません。まぁその辺は今となっては謎ですね
私も、発明当時代替え方式の無かった青色発光ダイオードと比べるのはちょっと話が違うような気もします。
Re:さすがIBM・・・ (スコア:1)
Re:さすがIBM・・・ (スコア:1, 興味深い)
Re:さすがIBM・・・ (スコア:2, すばらしい洞察)
撒き餌と言うよりは、変な例えで申し訳ありませんが、「共有林の近くに肥料小屋と水場を用意しました。皆様ご自由にお使いください」という例え方のほうが近いかと思います。
用意した肥料と水を自分だけの畑に施すために持っていく輩は当然いるでしょうけども、そのリスクを考慮しても、自分だけでは背負いきれない・けれど“誰か”がしなければならない共有林のメンテ作業に伴って生じる「肥料と水の手配」に便宜をはかることで、結果共有林が順調に育っていくなら、共有林もHappy、共有林の恩恵に預かる他者もHappy、無論自分もHappy、という“三方一両得”の理念でしょう。
IBMだって営利企業ですから、自身の存亡に関わるような本当に critical な特許までは提供しないでしょうし、今回の決定も最終的には自分の利になると判断した「情けは人の為ならず、巡り巡って己が為」なのでょう。けれど、それでもこの場は実際に自分の身銭を切ってみせた(少なくとも、そうすると表明した)IBMに拍手をおくりたいです。
……後で掌返したら、相応のしっぺ返しが待っているだけのことです。
Re:さすがIBM・・・ (スコア:1)
自己訂正。
皆様ご自由にお使いください、というのは違いますね。オープンソースソフトウェアに、という条件がついていますので。……そりゃそうだわなあ。
皆様どうもすみませんでした。
Re:さすがIBM・・・ (スコア:1)
# 新人研修でビジネスの基本として学んだなぁ
It's not who is right, it's who is left.
Re:さすがIBM・・・ (スコア:1, おもしろおかしい)
ソフトウェア特許は特許制度にそぐわない? (スコア:1)
Re:どうなのかな (スコア:2, 参考になる)
ソースを見ないで書いたと言い張っても同じ機能を提供するなら特許に触れるでしょう。
その特許の使用条件がオープンソース。
その機能(特許)を用いたソフトは全てソースを公開しなさい。という事かと。
Re:どうなのかな (スコア:1, すばらしい洞察)
オープンソースの定義に該当しない形で再配布しようとした瞬間、
IBM に特許の仕様許諾を求めたり、
特許料を支払ったりしなければならなくなる、というほうが正確では?
現実的にはほぼ、「全てソースを公開しなさい」ということに
なるのかもしれませんが。
Re:どうなのかな (スコア:1)
norimu
Re:どうなのかな (スコア:1)
>コミュニティが使用して、他の企業が組み込みとかで使用
>した場合どうなっちゃうんですかね?
それでもOKな気がしますが・・・
他の企業だけが独占しちゃってるわけではなく
途中のコミュニティを通じてオープンソースコミュニティに
対して還元はされていますから。
# なぜ Linuxはおいとくのか気になる