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9974 story

数十万人のDNAから人類の歴史の旅を辿る 30

ストーリー by yoosee
人類皆兄弟 部門より

maia曰く、"ナショナル ジオグラフィック協会IBMは共同で、世界中で数十万人のDNAサンプルを収集・解析し、ホモ サピエンス拡散- great journey-の足跡を探る「ジェノグラフィック・プロジェクト」の実施を発表した(ナショナル ジオグラフィックによる発表National GeographicのABOUT)。プロジェクトの中核は世界各地の先住民族のDNA採取となる。
詳細は未定だが、個人でも専用の分析キット(99.95USD)を購入し、頬内側のサンプルを提供することで一般参加が可能だ。資金援助になると共に、自分の先祖がたどった移動の歴史を知ることができる。当然ながら、個人情報は匿名で厳重に管理される。

プロジェクトを率いるスペンサー・ウエルズ博士はプロジェクトの概要の中で「これまでに書かれた最も偉大な歴史書は、我々のDNAに隠されている」と語っている。 A LANDMARK STUDY OF THE HUMAN JOURNEY というキャッチフレーズのままに、人類と言う種族の長い歴史の旅を辿る興味深いプロジェクトになるだろう。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by nInfo (14824) on 2005年04月13日 16時42分 (#722316)
    ミトコンドリアDNAとY-DNAの調査 [nationalgeographic.com]なので、 サイクス博士が
    最初に行って今も続けている調査
    [oxfordancestors.com]の大規模拡大版のようですね。
    例えば、オーストラリア先住民のDNAがあまり集められずにデータ不足だったようなので、
    今回はそれを含めたくさんの地域でたくさんの人々のDNAが収集されてデータの蓄積が行わ
    れることを期待しています。

    参考書籍:イヴの七人の娘たち [amazon.co.jp]、アダムの呪い [amazon.co.jp]
    • なるほど、そう言えば人間には雄性因子がありましたね(笑
      Y染色体とミトコンドリアで父系と母系の移住を独立に推定
      できるわけですね。

      うまくいけば、本当に様々な民族がどのように成立してきたのかが
      わかるかもしれませんね。

      # ミイラで残っている過去の人類の分析も同時に行えたら、
      # 面白いんじゃないかなぁ。歴史に突然現れて消えていった
      # 謎の民族の来歴がわかったら、歴史学者は喜ぶでしょう。
      親コメント
      • アイスマンという約5千年前のミイラの話が「イヴの七人の娘たち」の方に載っています。
        ちゃんと現代にも同じ系統の子孫がいるそうで、子孫の女性についても触れてあります。
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      • by Anonymous Coward on 2005年04月14日 0時50分 (#722593)
        面白そうですが、難しそうな話ですね。
        というのは、昆虫の話になりますが、mtDNAと核DNAを使って種の分岐を推定しようとしたところ、
        全く違う系統樹が出来てどうしようもなくなった、という話があります。
        結局、mtDNAを使うのをやめた、という結論になったっぽいのですが。
        http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Search&db=pubmed&term=sota+t%2C+vogler&tool=fuzzy
        親コメント
        • それは種間交雑が起きていることを示しているわけですよ。
          っつーか曽田先生のあれか。
          種がちゃんと分岐してなかった、ということを表しているわけですから、そりゃ種の分岐は推定できないですわな。
          父性遺伝する領域があればもっと詳細に交雑の状況を記述できるんでしょうけどねぇ。
          そういう状況でできることは確かに極めて限られるでしょうね。
          ただ、今回の場合は人間ですから、父性遺伝するY染色体上の領域も使うことで交雑の状況をそれなりにきちんと知ることができる可能性はあると思います。
          親コメント
          • # コメント投稿画面のまましばらく目を離していたので
            # 一つ下でほぼ同じ事を投稿してしまいました。

            それだけじゃ、なんなのでコメントを一つ。

            > 種がちゃんと分岐してなかった

            分岐が起こっていないワケじゃないと思いますよ。
            分岐が起こったら必ず生殖隔離が起こるワケじゃないですから。

            分岐が起こってしばらくたった後にもう一度出会った。
            生殖隔離が完全じゃなかったために交雑が起こった
            と考える方が自然な解釈だと思います。
            親コメント
            • だから、それを「ちゃんと分岐してなかった」と表現しているわけでして。
              親コメント
              • 「分岐」と「種分化」を混同してませんか?

                分岐は2群の間で言ってみればGene flowが起こらなくなること
                と言い換えることが出来ると思いますよ。物理的な隔離があって、
                生殖隔離が生じていなくても分岐はおこっています。

                ここで話題の昆虫の例は、種内でのmtDNAの変異の方が
                種間での変異よりも大きい場合があるのでしょうね。
                だから、mtDNAのgene treeが種分化を反映していないといっている
                のでしょう。

                mtDNAそれだけ変異があると言うことは、分岐があってからそれなりの
                時間は経っていると考えられます。

                # また、種間で生殖隔離が不完全な例は良くあることです。
                親コメント
        • Abstractを読んでみました。
          これは、まあ特殊な例でしょうね。
          どうも以下のようなプロセスなんじゃないかと思われます。

          1) 二つの種が分岐した後、しばらくして出会って交雑がおこった。
          2) メス側の種ではなくオス側の種からバッククロスがかかった。
          3) その結果、いわば細胞質置換のような状態になった。

          そのため、種内に系統的に離れたミトコンドリアが存在する事になり
          mtDNAのgene tree では種の分岐を推定できなくなってしまった。
          そのため、核のマーカーで推定した方が妥当な結果になっているのでしょう。
          ただ、核のマーカーが常染色体上にあるものの場合は、運が悪ければ
          mtDNAと同じ結果になるでしょう。

          でも、人間の場合、Y染色体上の領域を使うことで父系の移住だけを
          推定できるハズなので、ある集団に対する Gene flowが母系、父系
          どちらで起こったかも推定出来る可能性が高いと思います。

          # 父系でしか遺伝しないものと母系でしか遺伝しないもの、両方
          # 利用できるのがスバラシイところですね。
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  • by flutist (16098) on 2005年04月13日 15時51分 (#722285)
    まさか各サンプルのすべての配列(30億塩基対)を読み出すわけじゃないだろうから、各人のゲノムのごく一部を読んで解析するんでしょうけど、どこを読むかだけでも議論の的ですね。各個人で異なる場所やその頻度の特定にも一役買ってくれるかもしれません。

    もしjourneyの歴史にだけ興味があって、そのためだけの最小限の情報しか抽出しないなら、信頼性もそう高くならないだろうし、年表ができておしまい、ということになってしまいます。どの程度の情報をDNAから取り出すのか(配列の長さ)が一番の鍵ですね。
    • by shimotsuki (2505) on 2005年04月13日 17時03分 (#722329) ホームページ
      サイトを見た感じではNested Clade Analysis [kyoto-u.ac.jp]をきちんと人類に適用して以前Templetonが主張していた仮説 [goo.ne.jp]の検証+α(おそらくαの方がメイン)を目指すもののように思われます。
      ということで、多分読むのはせいぜい数千塩基対くらいなんじゃないでしょうか。現状ではそれ以上読んでも、異なる進化速度の異なる領域から得られたデータを適切に処理する統計的手法が十分でないので大して信頼性の向上は見込めませんし、そもそもNCAでは読むDNAの長さよりも個体群数と個体群内の個体数の方が信頼性に効いてきますし。生存に影響の大きい遺伝子ではホモプラシーの影響も大きくなるでしょうし、性染色体と常染色体では遺伝様式も異なりますし、核遺伝子には組み換えなどの推定上ノイズをもたらす要因もありますので、読むのはY染色体とミトコンドリアDNAの適当な進化速度で適当な長さの領域なんじゃないでしょうか。ま、私が言いたいのは要するに情報量が多ければ多いほど信頼性が上がるというのは迷信だってこと。ノイズの少ない良いデータを一定水準以上得ることが肝要。
      とか思いながらサイトを見てみるとなんかそれっぽいし。ま、外れてるかもしれませんが。

      それと、
      「年表ができておしまい、ということになってしまいます。」
      とのことですが、化石記録のまれな陸上動植物の進化と分布拡大史を推定するには分子系統学的方法を使わざるをえません。実際に人類の分布拡大史の「良い年表」はありませんので、その「年表ができておしまい」だけで非常に大きな意義のあることですよ。
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    • by maia (16220) on 2005年04月13日 16時04分 (#722295) 日記
      FAQのABOUT [nationalgeographic.com]によれば、

      DNA samples are being collected to analyze specific "markers of descent" in order to probe questions about deep ancestry and historical human migration.

      だから、重要な遺伝子マーカーを選んでチェックするんじゃないでしょうか。

      #ちなみに14年前のプロジェクトと異なり、医学的研究は全く行なわないそうです。また今回の研究成果はパブリックドメインにするそうです。
      親コメント
    • 個々人で異なるほど多型性の高い領域は使わないと思いますよ。
      そういう領域は、変異が飽和(saturate)してて系統推定には向かないです。

      まあ、ふつーに考えたらミトコンドリアを使うんじゃないですかね。
      D-loopを含む領域かな。

      # 出来れば核ゲノムは避けたいですよね。ミトコンドリアの多型性が
      # 低い場合には核ゲノムを使わざるを得ないですけど。
      # そう言えば、だいぶ以前にマイクロサテライト領域の対立遺伝子頻度
      # で、人類の系統を書いた論文がNatureにのっていましたね。それなりに
      # 大陸毎にまとまっていた記憶があります。今回の数十万人とは規模が
      # 違いましたけど。
      親コメント
    • 大体一つのマーカーを読むのに$0.50-1.00くらいかかるので,個人で購入するキットがプロジェクトへの
      寄付になるのだとしたら多くても100程度のマーカーを読むだけだと思います.
      まあ興味の中心である少数民族のマーカーは多く読み,一般の参加者のものは数個だけ,というのが現実的
      でしょうが.

      またこのページのFAQでも触れられているように人類の歴史においてかなり昔におきた分岐についての研究
      なので,一般に遺伝病や親子判定で用いられるようなマーカーではないと考えられます.
      そういう場所の変異は数千年以内に起きたと考えられていますから.

      常染色体では組み替えが起こってしまって昔に起きた分岐や民族の移動についての記憶がなくなってしまって
      いる可能性が強いので(隔離された環境にある少数民族は別ですが),ミトコンドリアとY染色体のマーカー
      が主なターゲットではないかと想像しますが,マーカー名までは教えてくれていませんね.

      >もしjourneyの歴史にだけ興味があって、そのためだけの最小限の情報しか抽出しないなら、信頼性もそう高くならないだろうし

      ここでいう「信頼性」の意味次第,というところだと思いますが,系統樹の信頼性のことでしょうか?読み出
      した配列の信頼性?
      前者であれば混血の度合いで解釈が難しくなってしまうこともあるでしょうが,後者であればそう問題になら
      ないと思います.

      >どの程度の情報をDNAから取り出すのか(配列の長さ)が一番の鍵ですね。

      つまらない答えになってしまいますが,既に多型が知られている場所を読むことになっていますので,一番
      の鍵は何といってもサンプル数と送ってくれた人が嘘をつかないことだと思います.
      --
      kaho
      親コメント
    • ルーツとか祖先を探るというときには、母方由来で交雑せずにそのまま
      代々受け継がれるミトコンドリアのDNAを調べるのがデフォだと習った記憶がある…
      親コメント
    • ソースを漁っても出てこなかったのですが……同じような調査により「人類の母」(=リアル・イヴ)はどこに住んでいたかを解明するという内容の番組を、ディスカバリーチャンネルで見ました。データどこかに残ってないものだろうか……。

      その番組の信憑性はともかく、「リアル・イヴが産まれたのはアフリカのある土地(忘れた)であろう」という結論に達していました。
      学者たちによる非常に詳細な根拠の説明が興味深かったです。
      遺伝子を追いかけるだけでこんなことまでわかるんだ!と、ちょっと推理もののような面白さを感じて興奮しました。
      その番組でもやっぱりミトコンドリアのDNA解析が主となっていましたね。

      今回の調査はちょっと趣旨がちがうのでしょうが、今から結果が楽しみです(相当未来になるかもしれませんね)。
      一人一人の詳細なルーツを教えてくれる、ということではなさそうなのが残念。自分のルーツがどこなのか知りたいですね。……全然違う国だったりして。
      親コメント
  • by love-m4 (10412) on 2005年04月13日 16時16分 (#722298) 日記
    DNAの情報は個人情報じゃないの?
    詳しいヒト御願いします。
    • by flutist (16098) on 2005年04月13日 16時25分 (#722304)
      誰にも共通している配列は、個人情報じゃありませんね。学術知識です。
      各個人で異なっている部分は、個人情報でしょうね。このプロジェクトで集めるのはこっちですね。
      親コメント
    • by teratera (19792) on 2005年04月13日 16時44分 (#722318) 日記

      個人情報は個人を識別しうる情報 [monthlysec.net]らしいので、DNAの場合全部読まなくては(厳密な)識別には至りません。というわけで、今回のプロジェクトのように一部のみを読んだのであれば個人情報とは呼べないと考えられます。

      親コメント
      • by Anonymous Coward
        DNA配列からコピー生命体を作り出す、またはシミュレート
        する事が可能となった日から個人情報でしょうか?
        まぁ環境によって作り出される部分までは作り出せない
        のでオリジナルと多少異なるかも知れませんが。
      • by Anonymous Coward
        個人情報は「個人を特定しうる情報」ですが、
        集めると個人を特定しうる情報は全て個人情報にあたると聞きました。

        たとえば、『鈴木さん。』というと、どこの鈴木さんか個人を特定できませんし、
        『北海道出身』とだけ言っても北海道出身の人は数多くいます。
        元国会議員と言っても
      • by Anonymous Coward
        例えば、家の固定電話の番号や住所では個人を識別することは不可能ですよね。一つの番号や住所に複数の個人が住んでることが多いですから。
        では住所や電話番号は個人情報とは呼べないのかな?
        氏名も(厳密には)個人を識別することはできませんよね。同姓同名の人が存在する可能性がありますから。
        では氏名は個人情報とは呼べないのかな?

        という風に、個人情報とは単独で個人を識別できるもの
    • by sasa (2343) on 2005年04月13日 17時05分 (#722330) ホームページ
      個人情報保護法では個人を識別可能かどうかで判断することになっているので、DNA単独では個人情報とはみなされないと思います。ただし、個人名等の個人を識別可能な情報と結びつく形で管理されている場合には個人情報とみなされます(逆に言うと匿名化してあれば個人情報ではない)。
      詳しくは文部科学・厚生労働・経済産業の各省連名でガイドライン [cao.go.jp]が出ているのでご参照ください。
      今回のは海外の話なのでこのガイドラインに縛られるわけではありませんが。
      親コメント
      • by hohehohe (11394) on 2005年04月14日 0時59分 (#722598)
        ID番号など意味のない記号は「識別可能でない」と言ってもいいですが
        それと本質的に備わっているDNAは少し違うような気もします。むしろ指紋と似ている
        のではないでしょうか。指紋も60億人から一人を限定する精度はないでしょうし。

        関係ないですが有名なアイスランドの騒動が
        http://www.fine.bun.kyoto-u.ac.jp/tr4/
        「アイスランドの診療記録・遺伝子・家系データベース――論議と教訓」
        に非常に詳しくまとめられています。興味ある方は一読をお勧めします。
        --
        AVG anti-virus data base out of date
        親コメント
    • DNAの中に氏名、生年月日、住所、電話番号などなどが
      書き込まれていないから大丈夫でしょ?

      # 真顔でID
      --
      I'm feeling Lucy
      親コメント
  • どっかで聞いたストーリーだなと思ったら、 グレッグイーガンの”ミトコンドリア・イブ”(早川文庫 祈りの海_収録)だった。 カルトな宗教間の主張から始まった足跡探しは世界を巻き込んで最後はごっちゃまぜ。
    • 本当に「人類のルーツを特定」なんて話になったら
      あの小説みたいな宗教的・思想的対立や闘争は
      起こってくる可能性はないとは言えませんね。

      #端から眺める分には面白そうなのでAC
  • by Anonymous Coward on 2005年04月14日 9時33分 (#722736)
    間違ってゴ○ゴ13の細胞サンプルが紛れ込んだため関係者が抹殺されるなんて事が発生するかも。
  • by Anonymous Coward on 2005年04月25日 16時16分 (#727677)
    東北バリバリの親父と、先祖不明の母を持つ私ですが、ジェノグラフィック・プロジェクトに参加しますた。

    オンラインで購入して、郵送されてきたキットを使って口の中をこすって唾液を採取して、エアメールで送り返しました。

    結果はいつからどこで見れるのかな?
typodupeerror

アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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