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量子コンピュータの本命である核スピンの高感度・高密度制御に成功 44

ストーリー by Acanthopanax
スピンでビット 部門より

darkhorse 曰く、 "livedoor コンピュータの記事によると、NTT先端技術総合研究所科学技術振興機構は、量子コンピュータの本命である核スピンの高感度・高密度制御に成功したとのこと。ネイチャーにも「ナノメートルスケールデバイスにおける核スピンの多量子コヒーレント制御」(NTT Basic Research Laboratories and SORST-JST)Nature 434, 1001-1005 (21 April 2005)という名前で発表されている。これにより、核スピンの多スピン準位を自由に制御できる固体量子コンピュータに向けた新しいシステムが可能になることが期待されるとしている。短期的には閉じこめられて相互作用する電子系の研究を加速し、タンパク質の分析にも応用できるかもしれないという。"

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  • by Anonymous Coward on 2005年04月21日 21時35分 (#726192)
    NTT物性科学基礎研究所 [ntt.co.jp] で、NTTの発表の方 [ntt.co.jp]がまだわかりやすい。

    キャリア相関でぐぐればすぐわかりますが、かなり長いことやってます。で、JSTでは、キャリア相関エレクトロニクス [jst.go.jp]ということで成果を売りに出しているし、 ちょっと関連するかと思われる H11 経産省産業科学技術研究開発制度 「量子化機能素子」 プレ最終評価報告書 [meti.go.jp](1991~2000:予算70億円)では、一応研究としては認められているものの具体的かつアピールする未来ビジョンがもとめられていたりします。どうしても基礎研究ですから 成果が製品に直結することは難しいけどがんばって欲しいものです。
  • by zukky (26273) on 2005年04月21日 21時30分 (#726190)
    暗合が簡単に解読されてしまい、伝送路だけでも
    全面的にリプレースを余儀なくされる日にまた一歩近づいたわけですね。
    • by Breakbeats (12798) on 2005年04月21日 21時43分 (#726198)
      伝送路の盗聴問題に関しては量子暗号通信に期待してみては?
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      • だからこそ

        >伝送路だけでも全面的にリプレース

        と書いてあるんだと思うが.
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      • by mistoffelees (22348) on 2005年04月21日 23時27分 (#726250)
        というか,量子暗号(通信)の使い道って,とりあえず鍵配布を主に期待されてんでしょ?

        つうことは,量子コンピュータの実用化で破綻するのは数学的な困難さに基づいた公開鍵暗号系であって,
        現状の慣用暗号系がすぐに使い物にならなくなるという議論は安直過ぎるよ.

        # 量子やら暗号云々なんて,さっぱり関係ない人なのにID
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        • by greentea (17971) on 2005年04月22日 0時05分 (#726271) 日記
          ・鍵がnビットのデータでできている
          ・鍵さえ手に入れば、解読できる
          ・解読できたら、できたということに気づく
          の条件さえ満たしている暗号なら、どんな暗号でも総当たり攻撃可能なので
          やはり破綻してしまうのでは?
          --
          1を聞いて0を知れ!
          親コメント
          • Re:これで (スコア:2, 参考になる)

            by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2005年04月22日 1時20分 (#726306) 日記
            >解読できたら、できたということに気づく

            まずこの判定が難しい.
            解読できたかどうかの判定は文の意味を理解できないといけません.
            まあ確かに文中に意味のある単語がある一定以上の割合で出てきたら
            解読,って事にすれば絞れますが,必ずしもそれが有効な暗号化とは
            限らないのが一点.
            もう一つは,実は量子コンピュータでは汎用のアルゴリズムが無いということ.
            #少なくとも昔調べた時点では存在せず.

            素因数分解や検索のアルゴリズムはありますが,汎用のプログラムを
            量子コンピュータの実際の手順にエンコードするコンパイラが無いため,
            任意の問題に量子コンピュータを使うのは(少なくとも今のところ)無理です.
            また量子コンピュータの性質上,長文丸ごとを演算対象にするにはその
            文章分の大きさの量子ビットを持つ演算機で無ければならないため,
            暗号文丸ごとをそのまま処理するのは今のところ非現実的です.
            #メモリやハードディスクに溜めといて逐次処理,と言うのは量子コンピュータの
            #高速化とはある意味相容れない.
            親コメント
          • by Anonymous Coward
            量子暗号通信で送られるのは、ワンタイムパッド用の鍵なんですよ。
            わからないだろうから具体的にいうと、n文字の文章をn文字の鍵を使って送る方法です。
            総当たりして出てくるのは、n文字で構成されうる文章全てです。
            #お好みで、n文字はnビットにでもnバイトにでも読み替えてください。
            • by greentea (17971) on 2005年04月22日 20時48分 (#726580) 日記
              それなら量子暗号通信で鍵の代わりに平文を送ればいいじゃんと思うのですが、
              そういうものではないんでしょうか。
              --
              1を聞いて0を知れ!
              親コメント
              • 量子暗号は送るのにものすごく手間がかかる上,現状ではエラー率が高くて
                伝送速度が非常に遅いという欠点があります.
                #現状では数bpsから数十bps程度だと思います.

                ですので全文を送るのは無理で,ビット数が少なくて済む鍵だけを送る,
                というシステムになっています.
                親コメント
              • by Anonymous Coward
                量子暗号通信では送っている情報が数bit漏れるので平文そのものを送ることは危険です。
                鍵を送ってみて、秘密に送ることができたのを確認したらその鍵を使って平文を暗号化して通常の伝送路で送ります。
          • by Anonymous Coward
            公開鍵暗号の特徴として
            1、本文を公開鍵を用いて暗号化する
            2、秘密鍵を知っていれば暗号文を復号できる
            3、公開鍵から秘密鍵が生成できる
            4、「公開鍵から秘密鍵を生成する作業」は「秘密鍵・公開鍵を作ったり暗号化・
    • by Anonymous Coward
      違和感あるなー、と思ったら。
      「暗号」ですね。
  • by Anonymous Coward on 2005年04月21日 20時27分 (#726169)
    凄い、凄すぎる。

    僕みたいなボンクラなんかの想像するSFよりもスッゴイRealだ。
    #スンマセン酔っぱらってます、でも本当に凄い。
    #ちかごろの技術トピックは一般化までにかなり遠い段階でも記事になるんでちょっとな~。
  • by Anonymous Coward on 2005年04月22日 10時38分 (#726409)
    量子コンピュータって、ほんとに実用化可能なんですかねー?
    どうも原理的な部分で物理法則の裏技を突こうとしてるような気がして、今ひとつ信じられない感が……。

    例えば、量子の中の人(笑)が使ってるランダムジェネレータがあまりにもヘボくて、素子数が増えてくると出力結果が実用にならない、とか。
    • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2005年04月22日 12時56分 (#726454) 日記
      現在までの進展
      ・原理は確か.少数qubitでは計算の実証がすんでいる.
      ・Shorの素因数分解アルゴリズム,Groverの検索アルゴリズムなどが
       開発され,製作可能であることが示されている.
      ・量子誤り訂正符号の開発により,初期に言われていたよりも難易度が
       低下.量子効果につきもののqubitのデコヒーレンス等もある程度
       復元可能になった.

      現在の問題点
      ・汎用のアルゴリズムが無い.現在のところ問題一つにつき一つの
       装置(やパルス列等)を組む必要があるうえ(アナログコンピュータ的),
       任意の問題に対する解法はそのたびに新しい量子アルゴリズムを開発
       する必要がある.
       古典的なコンピュータ用のアルゴリズムを量子演算に変換するような
       コンパイラが出来ない限り,ごく一部の演算以外では量子コンピュータ
       を使用できない.
      ・多qubit化が困難.古典コンピュータと異なり,量子コンピュータでは
       全qubitがentangleした状態に無いといけない.これは全qubit間で
       波動関数が一体になっていることを示すが,このような状態は外界からの
       摂動で容易に分解してしまう.現在の素子を考えると精々数十ビットが
       限界ではないか?
      ・逐次処理が不可能であるための必要qubitの発散.量子コンピュータが
       その実力を発揮するには,演算しようとするデータ全てを同時に
       扱う必要がある.例えば検索なら,被検索文全てが量子演算機に
       格納されている必要がある.このため例えば1MBの文書内を高速
       検索しようと思ったら,8Mqubitの量子コンピュータを作る必要がある
       (と思う)ことを示す.現在のところこれほど膨大な量子演算素子を作るのは
       不可能だし,見込みも無い.
      ・初期化不能性.各qubitも量子論の確率過程に支配されるため,
       qubit数が多くなると初期化が困難になる.なぜなら初期化というのは
       全qubitをある状態だけに落とし込む操作だが,そこに不確定性が
       絡むため.このため,非常にqubit数の多い量子コンピュータでは
       以前の演算結果を完全に消去できず,いわば記憶のように以前の結果が
       蓄積していき以後の演算に影響を与える可能性がある.

      多分大きなブレイクスルーが無いと,素因数分解とかの簡単な演算以外に
      使える量子コンピュータは無理だと思う.
      #量子系の物理シミュレーションに使えるものは出来るかも.
      親コメント
    • >実用化可能なんですかねー?
       今回発表の原理で、実現は出来そうな目処がたったように思えますが、実用化はまだまだに感じます。 1素子の広さが1μm平方くらいあるし(発表ではナノ領域と言っていますが)、高密度のパターン作製技術に対するブレイクスルーがないとこの先の進歩は鈍いんじゃ
    • >絶対温度約80ミリケルビンまで冷却した状態で使用します
      これって殆ど絶対温度でゼロ度でしょ。その状態を維持するのに膨大なエネルギーが必要では?常温超伝導より難しそう。
      • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2005年04月22日 19時05分 (#726552) 日記
        80 mK程度でしたら希釈冷凍機でいけますので,液体Heか何かに
        突っ込んだ装置中でHe3/He4混合溶液をポンプで引き続けるだけです.
        そういう意味ではそこはまあそれほど問題ではない(一般向けには
        不可ですが)のですが,むしろ多ビット化や安定性など,実現には
        まだまだまだまだ(略)乗り越えねばならない障壁が多くて.
        どれだけエネルギー食おうがなんだろうがまともに動くものを作れれば
        後は改良でどうとでもなりそうな気はするのですが,そこまでの道は
        先が見えないほど長くて厳しいのです.
        親コメント
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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