パスワードを忘れた? アカウント作成
10220 story

ソーラーセール船、6月に発進 32

ストーリー by yoosee
太陽を背に帆を張れ! 部門より

kai曰く、"National Geographic Newsの記事によれば、世界初の ソーラーセール を使用した宇宙帆船が早ければ6月中に発進する予定だという。 この宇宙帆船は「The Planetary Society (惑星協会) 」によって打ち上げられるもので、民間無人宇宙船と言うことになる (Hotwired の過去記事) 。
ソーラーセール船は宇宙空間で巨大な薄幕の帆を広げ、太陽光を反射する際に運動量を貰うことで加速する船。 今回発進されるのは15メートルくらいの帆を持つ小規模な船だそうだが、SFの中にしかなかったソーラーセール船が実際に宇宙を飛ぶというのは感動ものだ。JAXAでも実験はしているはずだが、先を越されてしまうことになる。

なお、宇宙まではロシア軍のICBMを利用して持ってゆくそうで、軍事技術の平和利用例としても興味深い。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by von_yosukeyan (3718) on 2005年05月27日 14時39分 (#742044) ホームページ 日記
    どうでもいいツッコミですが、打ち上げに使用されるボルナロケットは元々はICBMでも、正確には潜水艦から発射されるSLBMでNATO名SS-N-18 Stingray(ロシア名RSM-50 Volna)と呼ばれています

    1970年代後半に登場した第5世代のSLBMで、ミサイル1基あたり最大7個のMIRV(個別誘導型核弾頭)を搭載し、90年代初頭には14隻のDelta lll級原潜(ロシア名第667号BRD計画艦"カルマー")に224基のVolnaが作戦配備に就いていおり、これ以外に予備が相当数製造されたと推定されています。長い間ソビエトの核抑止力の中枢を担ってきたシステムですが、START-l及びll両条約によって搭載するMIRV数が制限されたことと、Delta lllそのものが老朽化により改良型のSS-N-23 Skiffを搭載したDelta lV級に置き換えが進んでいることから、かなりの数が退役して余剰になっています

    液体型の強力な打ち上げロケットで、廃物利用というメリットもありますが、元々潜水艦発射型なのでDelta lll原潜に搭載したまま、最適な打ち上げ地点まで移動して洋上から打ち上げ可能であるという特徴があり、陸上打ち上げに比べ劇的にコストが安いことから、小型の実験衛星の打ち上げプラットフォームとして最近非常に人気の高いロケットでもあります。なお、宇宙協会のサイトに詳しい記事 [planetary.org]が掲載されていますし(協会による特設ページ [planetary.org])、宇宙協会の会誌の2004年11・12月号(Planetary The Planetary Report Volume XXIV, Number 6, November/December 2004 [planetary.org])にも詳細な特集が組まれています
    • by MIYU (17727) on 2005年05月28日 0時10分 (#742277)
      2月にNatureが特別編を出しています。
      Setting sail for history [nature.com]  訳文:歴史的な船出(前編) [mypress.jp] (後編) [mypress.jp]

      記事は、NASAのジェット推進研究所(JPL)のプロジェクト・マネージャーだったLou・Friedman氏が、Carl・Sagan氏、Bruce・Murray氏と共に「惑星協会」を設立した所から、ソーラー・セイルの歴史を語り始めています。

      「Cosmos 1」は、改造されたミサイルによってロシアの原子力潜水艦から軌道へと打ち上げられますが、機体そのものも、旧ソ連の航空宇宙会社NPO Lavochkin社によってモスクワで建造されています。ソーラー・セイルは宇宙空間で展開されなければなりませんが、NPO Lavochkin社は、この話を請け負った時点で既に膨張式の宇宙船の研究を行っていた為、ロシアに頼る事は経済的・技術的に道理にかなったものだったそうです。実際、このプロジェクトの予算はわずか400万USドルで、NASAなら実機が作られる事が無いほどの少額だと語られています。

      現時点で、ソーラー・セイルによる飛行経験という実績でリードしているのは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で、昨年8月に太陽帆船用の薄膜帆を宇宙で初めて展開 [isas.ac.jp]させる快挙を成し遂げています。
      まず発射後100秒に高度122kmでクローバー型のセイル展開を開始し、その120秒後にクローバー型を分離、次いで発射後230秒に高度169kmで扇子型セイルの展開を開始した後、発射後約400秒に海上に落下しました。
      「Cosmos 1」が今回ソーラー・セイルの展開に無事成功した暁には、それを制御してより高い軌道へと宇宙船を押し上げる試みがなされる事になっています。これは未知の領域になるので、実際にソーラー・セイルにどのような力がかかるのか、そして何が起こるかは判らないのだ、とFriedman氏は語っています。より高い軌道に到達した場合には、モハーベ砂漠に設置したラジオ・アンテナから450キロワットのマイクロ波ビームをソーラー・セイルに向ける事までが予定されているそうですが、ESAの火星軌道船「Mars Express」が探査ポールの展開に失敗している [mypress.jp]事を伝える記事などを読むと、 まずソーラー・セイルの展開だけでも成功して欲しいなと思ったりします。

      「Cosmos 1」のソーラー・セイルはアルミニウム処理によって強化されていますが、厚みは5マイクロメーター程しかなく、太陽からの光に曝される事によって1ヶ月ほどで品質低下を起こし始めるそうです。それでもこのうち上げが成功した時には、「宇宙帆船」の時代の始まりを告げた物としてその名が記憶される事になるのでしょう。 幸運を 

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2005年05月27日 21時33分 (#742212)
      もともと宇宙ロケットと弾道ミサイルって表裏一体で成長してきたものだと思ってたので(実はそうでもない?)、「軍事技術の平和利用」と言われてもいまいちピンとこないというか、違和感さえ感じます。

      もちろん、核弾頭を運ぶはずだったものが宇宙船を運ぶことになるのはとても喜ばしいことだと思います。
      親コメント
    • sea launch の SLBM 版ですか. たしかに安く上がりそうですね.
      http://www.sea-launch.com/
  • by zad (23480) on 2005年05月27日 13時10分 (#741966)
    ちょうど、来週土曜(6/4)に渋谷の電力館TEPCOホールで
    宇宙航空研究開発機構 川口淳一郎教授 [isas.ac.jp]の
    「宇宙帆船大航海時代」なんていうセミナーがあるみたいですね。
    電力館ホームページセミナー情報 [mediagalaxy.co.jp]
    締切 5/21(土)なのが残念なところ。
  • まずは (スコア:2, 参考になる)

    by SteppingWind (2654) on 2005年05月27日 13時50分 (#742001)

    帆が開くか? [universe-s.com]だ. 加速できるか? はその次だ.

    クラークの「太陽からの風」でも帆を展開して維持するだけで苦心している様子が描写されていますね.

    • by ciina (26410) on 2005年05月27日 15時12分 (#742064) 日記
      帆を開き、加速し、
      どの程度まで速度が出せるのでしょうか?
      恒星中間点まで到達する頃には殆ど加速しなくなりますよね?

      # まさか同じ重量でロケット推進のほうが...とか
      親コメント
      • 恒星中間点って、恒星と恒星の境目ってこと?
        具体的な速度はわからないが、そこに到達できる頃には、既にとんでもない速度になっていると思われ。
        というか、目的地到着のためにはその辺りからは減速を始めないと・・・。

        なお、地球近傍での速度については、プラネタリーレポート2004年11・12月号に以下のような記述が。(以下、日本語訳より)
        しかしソーラーセールには、一定に加速出来るという優位性がある。打ち上げロケットは、わずか数秒間の燃焼で放出した搭載物体に残りの航程を一定の速度で飛行させることしか出来ない。対照的にソーラーセールは加速し続けるので、最終的にはロケットから放出される搭載物よりはるかに大きい加速力を得る。予測されるコスモス・ワンの20倍以上に相当する1mm/秒/秒の加速により、ソーラーセールは、一日で時速約310kmに達し、約7500km移動することになる。12日後には毎時役3700kmに達する。
        親コメント
      • by KENN (3839) on 2005年05月28日 9時42分 (#742376) 日記
        • 100日かかって16000km/h
        • 1年で58000km/h
        • 3年で160000km/h
        と、元記事にありますね。

        ちなみにこのへん [nasa.gov]によると、パイオニア10号の打ち上げ時の速度は51810km/hで、その後木星の重力を利用しておよそ130000km/hまで加速していますが、打ち上げたアトラスロケットの重量は180t [lockheedmartin.com](この数字はアトラスIIAなので、実際に使われたものとは若干異なります)です。今回の打ち上げに使われるVOLNAの35t [makeyev.ru]とは、文字通り桁が違います。

        親コメント
      • by Anonymous Coward
        それでいいんです。
        そして、さらに目的地に近づいたら、逆向きにして減速を行なうのですよ。
  • by sameshima (10060) on 2005年06月22日 10時30分 (#755585) 日記
    ロケットのエンジン停止

    http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005062201000514
  • by Anonymous Coward on 2005年05月27日 13時07分 (#741961)
    というより宇宙凧の方がピンとくる

    恒星間航行の減速に宇宙ドラッグシュートなんて時代もくるのだろうか
  • by Anonymous Coward on 2005年05月27日 16時07分 (#742088)
    『ソーラーセールは物理法則に反している!』とか
    どこかの科学者?が異論を述べた、って記事を見た気がしますが、見つけられません。

    無事打ち上げできたら、彼にちゃんと動くところを見せてあげたいな。

    #スラドじゃなかったかなぁ…
  • by Anonymous Coward on 2005年05月27日 18時23分 (#742155)
    オーディーンの実写版?
    • by Sakura Avalon (12557) on 2005年05月27日 20時50分 (#742201)
      あれはそれだけでなく重力遮断推進なども無いとダメです。歪曲点航法は航行中に開発してくれます。

      #オーディーン、宇宙空母ブルーノア、貴重な子供時代の時間をどれだけ無駄に使わせられたか…。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        ブルーノアは終盤まで宇宙にでない宇宙空母でしたな。
        ギミックはおもしろかったが、ストーリーがぐだぐだだった。
        「滝昇り」は子供だましにもほどがあると思った。
      • by Anonymous Coward
        いやいや、西崎某は人生まるごとですからw
    • by Anonymous Coward
      だからそれは無かったことにって…

      #映画見に行ったら途中で終わって子供心が深く傷ついた。
typodupeerror

アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

読み込み中...