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巨人の冷たい怒り 32

ストーリー by yosuke
厚いヴェールに隠された素顔 部門より

teltel曰く、"土星の衛星Titan にメタンなどの炭化水素を吹き出す火山を発見した、とNASA JPL が発表している(Cassini Huygens Project の記事)。昨年末、Titan に最接近したCassini が赤外線で撮影した画像から研究者が見つけた。結果はNature に掲載されている。
Titan は、窒素とメタンなど炭化水素から成る厚い大気に覆われており、地表を可視光で直接見ることはできない。そのため、電波や赤外線による観測が行われてきた。Cassini も地形を赤外線で撮影できるVIMS というカメラを搭載している。
これまで、Titan の大気に含まれる大量の炭化水素の供給源として、地表にメタンの海や湖などがあると予想されていた。しかし、VIMS によって高精度で撮影された地形のデータからは、炭化水素の大洋があれば見つかるはずの、液体表面に特徴的な地形の画像は得られなかった。一方で、直径30km で円形に盛り上がったカルデラ状の地形と、そこから噴き出した放物線状の領域を見つけることができた。この盛り上がった地形はTitan の火山であり、液体や固体の炭化水素を噴出している。周辺の何層かの同心円状の構造は一連の噴火の履歴を表しており、放物状の地形は噴出物の堆積であると考えられる。噴火のエネルギー源は土星の潮汐力である可能性が高い。
結局、Titan の大気は海から供給されるのではなく、火山から供給されていることになるかもしれない。次回のフライバイで、この火山の謎の解明を目指す。しかし、Huygens が見つけたように川のような地形や島のような地形もあることから、過去に液体によるなんらかの浸蝕作用があったのも確実だという。
Cassini がTitan をフライバイする機会はまだまだ沢山あるので、Titan については数年のうちにかなりのことが明らかになりそうだ。"

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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