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日本発のGoogleは可能か?をテーゼに掲げる大学院のコースが登場 91

ストーリー by yoosee
ビジネスの道も一歩から 部門より

x-AC曰く、"遅いタレコみになるが、ASCII24に、TRONプロジェクトなどですでにおなじみの東大教授坂村健氏が新たに大学院の情報学環に新設する“総合分析情報学コース”についてのインタビュー記事が載っている。その中で氏は「なぜ日本からGoogleのような企業が生まれないのか?」と問い、「日本人はマネージメントして具体的なアクションを起こす力が弱いのではないか」と結論づけている。

一般的にはアメリカからGoogleのような企業が出てくる理由は、大学院レベルのイノセントな研究と、それをマネーに変えるビジネスに結びつけるような一見矛盾した態度が同居することを歓迎するような気風が、アメリカという国全体に「もともと存在する」という感じでぼかして語られる場合が多いのだが、どういった形にせよそれに近い何かを日本に定着させることを意識した学科が出来るのは、珍しいことに感じる。
まだ募集も始まったばかりでこの試みから何が出てくるのかはまったくの未知数だが、要注目と言えるのではないだろうか。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 14時06分 (#852236)
    チューリング賞を受賞されたファイゲンバウム氏の講演が近所であったので聴いてきました。

    ファイゲンバウム先生を迎えけいはんな学研都市発「知の発信」公開講演会6月16日 [kri.or.jp]を聴いてきました。

    氏によると、問題は人材よりもむしろベンチャーを育てる土壌が日本には欠けている点だろうとのことでした。

    良い技術・アイディアを持つベンチャー企業のうち多くが回転資金不足で倒れていくわけですが、それを軽減するような行政・周辺企業の仕組みがシリコンバレーで多くの優良ベンチャーを育てる大きな要因となっている、との論を展開されていました(具体例や数値は失念しましたが)。

    そういった土壌を作る動きと、今回のニュースのような"学"からのアプローチを進める動きが融合すると良い形にまとまるのでは、と期待して見ています。

    なお、関西だってベンチャーできるぞ!プロジェクト ~シリコンバレーに学ぶ起業の秘訣~ [uketsuke.jp]でも同様の内容を話されたようです。
    • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 16時38分 (#852341)
      イノベーションのジレンマ [seshop.com]』にあった内容なんだけど、
      例えば、採決権のある人(投資家でも可)が
      「顧客はより大容量な製品を求めています。製品サイズは問題ではありません。容量を拡大することこそ市場のニーズにマッチしているのです」
      と言う話と、
      「この超小型機器は容量こそ小さいですが、サイズもこれだけ小さいために必ずどこかに市場があります。この製品を求める顧客が存在するはずです」
      という話を聞いたら、まず、前者に投資するよね。

      ……と、思う人の割合が、アメリカに比べて日本の方が多いんじゃないだろうか?
      つまり、市場に求められてないものを作ってもしょうがない、という思想の持ち主の割合が多いんじゃないだろうか? ということ。

      けれど、結局、今ある市場に参入したところで、よほどの幸運と才気に恵まれていない限り、その市場のニーズを満たしている企業から市場を奪い取る事なんて、まず出来る事じゃない。

      だから、起業するなら新しい市場を作り出すくらいの勢いでやった方が成功確率は上がるんだけれど、でも、そこに投資しようという人がいないもんだから、攻めるどころか、スタート地点に立つことすら出来ない。あるいは、自己資金で始めるんだけれど、途中で回らなくなってしまう。
      これでベンチャー企業が生まれるわけがない。


      もちろん、割合の問題だから日本でも全く無理、ということはないだろうけど、行政や周辺企業がサポートしてくれる仕組みがあると聞くと、シリコンバレーがうらやましく思えてくる。



      もっと単純に「失敗を恐れる日本人」「成功しないことを恐れるアメリカ人」でも良いけど。
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      • by gigo (21150) on 2005年12月20日 17時39分 (#852378)

        行政も全く何もしていないわけではなく、会社法の改正の中で有限責任事業組合(LLP) [meti.go.jp]というのが作られ、有限責任(負債が発生しても出資額以上の責任を問われない)、内部自治(事業の中での役割分担などに応じた議決権、利益の配分ができる)、構成員課税(実質的に貢献した人へのインセンティブ)など、起業のリスクを下げ、人のやる気を起こさせる仕組みが考えられているそうです。産業界からのグラントの受け口にもなり、何はなくても少しでもお金を回しやすくするという考え方です。書籍 [google.com]もいろいろあります。

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        • by monaka (4489) on 2005年12月20日 18時28分 (#852403)
          まあ現行法でも物的会社の社員は有限責任なわけですが.
          現実に会社を回そうと思ったら,連帯保証人欄に判をつかなきゃいけないのは公然ですなぁ.
          無借金を標榜しても,まずオフィス借りる辺りから個人の実印が要るのよねぇ.

          // 無限責任社員として登記されているID
          --
          from もなか
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        • by jud (15801) on 2005年12月21日 2時01分 (#852649) 日記
          株式会社じゃないと、なかなかお金貸してくれない。

          できないことはないけど、そのことにより「商売そのもののセフティを考えると、起業家自身がリスクを背負うのは当然」・・・・・という考え方の経営者(つまり客)が多いので、仕事がなかなか増えない。だったら初めから個人事業の方がいいよね?・・・・となってしまわない?
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          • Re:看板 (スコア:3, 参考になる)

            by monaka (4489) on 2005年12月21日 11時20分 (#852778)
            > 株式会社じゃないと

            いやまあ法人格がないとという場面にはでくわしたことがありますが,種別を問われたことはないです.

            現行法での株式会社の最低額に匹敵する資本金を積んでいますが,株式会社化を金融機関や税理士から勧められたこともありません.

            結局貸す側としては,売上高と直近6ヶ月の資金繰りが判断基準のようです.一応SBIR認定もされていますが,この手の制度は使い勝手が悪い.;-)

            私,合資会社のほかに有限会社も持っているのですが,2社を比較すると,合資会社のほうが融資限度額が遥かに高いです(10倍以上違います).

            LLCは有限責任の人的会社という位置づけですから,合資/合名に準じた扱いを金融機関はしてくるでしょう.たぶん.

              > 初めから個人事業の方

            法人格の有無は,ある程度の規模になると効いてきます.世間で言われる節税以外にも,取引相手が法人格を要求する場合があり,結構切実です.
            大都市圏のソフトウェア業の場合,たぶん売上高2千万超が一つの目安でしょう.
            それ以下なら青色個人のほうが気楽です.
            --
            from もなか
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          • Re:看板 (スコア:2, 興味深い)

            by gigo (21150) on 2005年12月21日 9時29分 (#852719)

            一人の人がやれる仕事には限界があって、複数の人の才能を集めるために会社を作るわけですが、人的会社はこれまで合資会社、民法組合など無限責任だったので、LLPは画期的なんだそうです。でも、株式会社でも、小さいところは結局経営者の個人保証で実質無限責任なので、本当に有限責任で運用できるかどうか分からないです。共同事業性が認められなければ民法組合として扱われるとあって、組合員に自由度が高いということは、悪い人が組合の名前を騙って負債を作るとかもあり得て、すると騙された組合もちゃんと管理していなかった、共同事業性がなかったから悪いということで、全員無限責任と言う恐ろしいことになる可能性があります。制度に悪用される穴もありそうということです。

            本を読むと必ずアニメ制作会社が例に出てくるのだが、本当の事情を知っているのか、それとも役人が萌えているだけなのか。

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      • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 20時46分 (#852473)
        他事業からの収益を回すことで資金調達が可能な大企業と比べ、資金に余裕のないベンチャーには市場が育つのを待つ時間的余裕がない。

         とにかく、ファイナンスの影響は大きいですね。
         伝統的に日本人の貯蓄性向性が非常に高かったことから、かつて運用側も低リスク債権に投資せざるを得なかったという面があります。今でも大枠はさして変わりませんが、低リスク債権にはリターンがほぼない状況が続いています。こうした環境下、ある程度リスク債権にも目を向ける人が増えてきていることから、今後ファイナンスの面ので改善が期待できなくはないと考えます。
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    • by Y.TAKENAKA (24555) on 2005年12月20日 17時01分 (#852361)
      日本でも新しい技術・アイデアをもってる人はいるだろうけど、それを実現するには資金面や周囲のバックアップを考えた場合。厳しいのはたしかですね。#852199でいわれてる国民性(=横並び意識)のようにどうしても保守的な人たちを口説いて助けを得るような形をとるにしてもそこに労力をとられすぎるってのは大きな問題ですね。

      新しいアイデアや技術を持った人が孤立化しちゃうってことはたびたび起ってるように思えます。これは、青色LEDの開発者の話でも、かなり孤立化していたようですしね。強い意志で実現しちゃったようですから。。。その後の泥沼化はここでは論じないけど。

      では、どうして育てる土壌がかけているのか?というと、行政にしても資金提供したり協力する側にしても見る目が養えていないという問題に原因があるように思っています。それ故に横並びでいることの楽さを選んでいるのかなとね。

      国民栄誉賞がノーベル賞の後追いや死んだ後に授与されるなんても判断する側が自身で判断する能力が欠ける為に自分たちの判断以外の物で決めてると言っていいことは一つの例でしょう。銀行の貸し渋りに関してはどのような査定をしているか知らないのでコメント出来ませんけど。

      そんなこんなで、革新的な技術を持ったベンチャーが出ても孤独な闘いが待っているのでしょう。シリコンバレーのことは詳しく知らないけど、この辺が違うのではなかろうか?

      だから、みんな見る目を養おう!ってことが結論です。笑
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  • 社会制度上の問題 (スコア:3, すばらしい洞察)

    by calc (16044) on 2005年12月20日 13時51分 (#852225) ホームページ 日記
    アメリカではベンチャー起業した人間は失敗しても、大企業がその経験を評価して採用してくれるのが普通だけど、
    日本ではベンチャーに失敗すると文無しになるから。
    • by tokushima (155) on 2005年12月20日 14時13分 (#852243)
      > アメリカではベンチャー起業した人間は失敗しても、大企業がその経験を評価して採用してくれるのが普通だけど、
      > 日本ではベンチャーに失敗すると文無しになるから。

      よく聞くこういう「アメリカは・・・、日本は・・・」の議論は眉唾ですね。

      日本人の耳にはいるような注目を集めたベンチャーが失敗した後大企業が人材確保に走る稀なケースと、
      日本の生まれては消えてゆく多くの失敗例のその後とを比較していませんか?
      --
      It's not who is right, it's who is left.
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      • by calc (16044) on 2005年12月20日 16時48分 (#852354) ホームページ 日記
        随分前のSoftwareDesignの記事ですが、
        今からベンチャーを起こそうという学生が研究室の面々から

        「ベンチャーに失敗したらこの研究室にまた帰ってこい」

        と言われて

        「いや、その時はどこかの大企業にでも就職するから」

        と発言した、という逸話を元に日米の敗者復活の余地の差を論じていた記事があった、のが元発言の根拠です。

        日本の場合、そもそも「ベンチャーして失敗したらどこかの大企業に就職する」ということが気軽にできると思っている学生はいなさそうだし。。。

        #なお申し訳ないんですが、その学生が後の誰だったかはもう覚えてないし、
        #該当記事の載ってる号もたぶんもう手元にないんでソースを示すことは出来ません。
        #(ネットバブル全盛の頃だったのでたぶん'97〜'00のあたり)
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      • Re:社会制度上の問題 (スコア:1, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2005年12月20日 16時42分 (#852346)
        そんな極端な比較でなくて単純に
        起業→廃業を、
        経験として評価できるか
        失敗としてしか評価できないか
        でしょ。

        日本は総じて人生の採点方法が減点法。
        減点分を取り戻す方法もあるけどね・・・お金たくさん稼げばいい。
        逆言えばそれ以外の手段で一度減った点数を回復することの方が日本じゃレアケースかと。
        敗者復活戦はない、別な競技で上を狙うしか。
        書いてて嫌んなるけど。
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        • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 17時26分 (#852368)
          日本は総じて人生の採点方法が減点法で、その結果
          非生産的になっているという主張が正しいんだったら、
          逆に日本の方がベンチャーにとってチャンスなんじゃないかな。
          起業に失敗した有能な人材をコストかけずに雇うことが
          できるから。

          理系の人間の意見で、文系は役に立たないのに優遇されて
          いるという主張もあるけど、これも
          理系だけの企業を作ればいいのに、と思う。
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          • by aquila2664 (26677) on 2005年12月20日 23時35分 (#852562)
            >>理系だけの企業を作ればいいの

            これで沈没した例は数知れず…
            金勘定にも相応のスキルは必要です。
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          • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 20時11分 (#852459)
            経営側がそう考えてくれればいいんですが、「減点法」にどっぷり漬かっているのが当の経営側なだけに、なかなか…
            「起業に失敗した有能な人材をコストかけずに雇うことが できる」という視点がそもそもないんですよ、経営側に。あいつは一回大失敗しているから、またやらかすかもしれん、雇うのは止めておこう、というのはよくありますがね。
            親コメント
        • by tokushima (155) on 2005年12月20日 18時41分 (#852414)
          日本が失敗の経験を減点としか見ない傾向があるということを全面的に否定するわけではないのですが、どうも単なる思い込みか少数の事例を一般化している傾向が強いように思います。(私も裏づけがある話ではなく感覚ですが)

          まず、起業した人はもし失敗してもその後大企業に就職できて当然の有能な人ということを前提にしているように感じます。
          むちゃくちゃな起業をした馬鹿かもしれませんし、ただ単に日本の大企業が求めている人物像と一致しないのかもしれません。(失敗を減点とみるかは関係ない)

          あるいは高望みしてはいませんか?ベンチャーでは社長や取締役だったのだから、相応の立場で大企業に採用されるべきと。30代なら30代の平気的な立場でよいなら大企業にもいくらでも就職口は見つかると思います。
          --
          It's not who is right, it's who is left.
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        • by saitoh (10803) on 2005年12月20日 20時01分 (#852452)
          借金するときに個人保証を求められるので、日本で起業して倒産すると、借金まみれor自己破産になります。 その状態では敗者復活も難しい。某知人は、過去に起業-倒産という経験をしたため未だにクレジットカードが作れないと言ってました。
          親コメント
    •  結局はファイナンスの違いのような感もありますな。
      日本じゃ起業に失敗すれば個人保証ぶんで破産、次に融資を受けられる機会はありませんから。
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  • 国民性でしょ (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2005年12月20日 13時24分 (#852199)
    あんなこといいな、できたらいいなで動くのが、あっちの国。
    あんなことしていいの?できる必要なにかあるの?で足を引っ張りあうのがこの国。
  • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 13時25分 (#852200)
    米国の大学に関しては,大学組織も研究者も
    プラグマティズム(「現実に役に立たない学問は不要」という考え)
    がかなり浸透している,ということは昔から言われていた話でしょ.

    何をいまさら.
    • by Akami (4183) on 2005年12月20日 14時10分 (#852240)
      アメリカでは「学問が存在している」→「誰かが現実に役立てることを考える」という流れがあるように見えます。だからこそ基礎研究にも「将来的には役に立つ」ということでお金やその他の投資ががんがん回っていくわけで。

      日本的な意味でのプラグマティズムは「現状(資本主義的な意味で)役に立っていない」→「該当する学問は意味がない」という向きで、アメリカ的な思想とは反対かと。
      その結果、基礎研究や宇宙開発といった「資本主義的に投資者の利益にならない」研究については失敗ばかりが評価されてなかなか難しい状況が生まれるわけです。

      #本当に何の役にも立たない学問ってそもそもありますか?
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 18時40分 (#852413)
        これも根っこは国民性の違いかもしれませんが、日米の大きな違いとして(ホリエモンなんかがよく言ってる)税制の違いも大きいでしょうね。米国の場合、企業が大学に対して寄付や研究費を投下するのは節税という側面もあります。

        実際、米国の某有名大で俺が参加してた弱小プロジェクトは、Intelから大学に「税金の都合で1ヶ月以内にXドル研究費として使いたいんだけど、何か欲しくない?」という問い合わせがきたので「くれ!」とお願いして、DELLのDual XeonなPCに大量のメモリ載せてNT Server入れた状態でdonationしてもらいました。(当時の価格で、日本円で100万円くらい相当だったと思う)しかもdonationですから「報告書出せ」とか「知的所有権の何割よこせ」とかの縛りは一切無しです。

        という感じで、米国では(特に有名な大学だと)何の金にもならんような基礎研究のプロジェクトでも、巨大企業が「節税になった上に何か良い研究が進んで市場を開拓してくれたらいいなー」みたいな金が回ってるので、そこに乗っかって種が萌芽するチャンスは多い気がします。(その結果として、米国でも大学発の成功例は有名大を起点としてるケースばかりですけどね。)日本で企業から大学に流れてる金なんて「研究の安上がりな外注」みたいなケースが多いですからねぇ。

        建前としては、日本では「企業から集めた税金も含めた全体予算から、役所が研究費の予算をつけているので同じことだ」という理屈になっています。しかし、実際には役人が既得権を離したがらないだけの話な上に、そうやって全部ごった煮になってるので、研究予算も「国民の理解を得やすい」ということが重要になってしまいます。その結果、よく言われる「書類の厚さで予算が決まる」とか、あるいは「絶対に失敗しない(=本質的には完了している)研究にしか金を出さない」みたいな変な研究費の使われ方になってしまうわけです。
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    • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 23時42分 (#852568)
      ちょっと違いますよ。そもそも、
      「自分の仕事にどういう価値があるか」
      を真剣に考えるかどうかという姿勢に大きな違いがあるのです。

      そしてその価値の置き所を考えるときに、プラグマティズムが出てくるのです。ただしプラグマティズムを目先の役に立つかどうかという近視眼的な実利主義と捉えると、道を誤ります。

      プラグマティズムは価値観のひとつです。したがって我々は価値観に着目しなければなりません。誤解を恐れずに言えば、「世界はどうあるべきか」というビジョンを持っているかどうかです(だから我々から見て欧米人は押し付けがましく感じられることもあるのですが)。
      そして、自分が選んだ仕事はその価値観に方向付けられ、ビジョンの実現に資するものになっていなければなりません。
      同じ分野に属する研究者でもなければ、あなたの仕事の価値を(できるだけ)正確に推し量ってくれるということは期待できません。だけど、その研究が寄与している「来るべき世界」には賛同または拒否できるはずです。あとはそのビジョンに対する自分の仕事の寄与度や実現度の相談ですね。

      こういうビジョンを真剣に何年も考えて己の中で体系化し、自分なりの哲学に育てていくことが重要です。
      ビジョンを持たない、小手先の技術の追求というマスターベーションに耽溺する研究者はscientistとはいえないでしょう。
      そしてもちろん、これは研究者だけの話ではなく、知識労働者一般に言える話です。蛇足ですが。
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2005年12月21日 3時05分 (#852657)
        補足ですが、
        ただその仕事が「役に立つか」を議論しても意味がないということです。
        「何の」役に立つか、ということをまず考えるべきです。人の数以上にあるであろう、「来るべき世界」のうち、どのような世界の実現にどのように奉仕する仕事なのか。

        よく自分の研究成果をうまく使えるところがないか、他人に一生懸命聞いて回っている人がいます。
        自分の想定しない使い方というのは確かにあるでしょうし、それを教えてもらうのは自分の知見を広げる意味では意義のあることです。でも、まず自分自身がその仕事の価値・ビジョンを持っていなければ、三流営業の売り込み行為と大差ないということになるでしょう。

        ところが、そういう仕事でも、自分の考えていたところと全く違うところで大々的に活用されブレイクするということは、稀ですがありえます。しかし、それは喜ばしいことかどうかわかりません。逆の場合もありえるでしょう(例えば兵器や市民の監視技術への転用など)。

        技術それ自体は価値観とは独立であるからこそ、それを生み出す人間自身が価値観を磨かなければならないのです。そして、自分自身はあくまでその価値観に基づいて役に立つ立たないを考え、仕事を積み重ねなければなりません。

        それが、もともとの論点であった事業化に対する答えになります。なぜなら、事業とは世の中の役に立つことをすることだからです。自分の価値観が奉仕する「来るべき世界」とお客様やスポンサーの望むそれがマッチしたときに、事業化の芽が生まれるわけです。

        資金をいかに集めるか、とか、失敗後の再起を社会としていかに支援するか、という議論もありますが、こういった自らの姿勢についても、立ち止まって考えてみたほうがいいのではないでしょうか。

        お読みになっている皆さんはどう思いますか?
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 13時51分 (#852224)
    どなたが言ったことだか忘れましたが、GHQによる旧制中学や師範学校の破壊がリーダーシップをもったエリートの育成断絶となって現代日本を駄目にしていると言う事でした。
    簡単に言うと今時のエリートは自分の為にしか働かず、郷や国と言う単位の為にがんばると言う意義を喪失しているのだそうです。

    昭和中期の日本経済が盛り上がったのは戦前これらの学校で学んだ人が引っ張ったからだと言う話でした。

    #もはやその心意気すら理解不能になりつつあるのでAC    orz
    • Re:リーダーシップ (スコア:4, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2005年12月20日 14時11分 (#852241)
      >昭和中期の日本経済が盛り上がったのは戦前これらの学校で学んだ人が

      ・・・死んじゃったからです。

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 14時49分 (#852264)
        個人的にスバ洞あげたい。
        とすると、団塊erが消えていくこれからには多少期待が持てるんでしょうかね。
        #街中でみっともない行動してるのは、大抵この世代の奴等だもんな
        親コメント
    • by entaille (15816) on 2005年12月20日 15時13分 (#852282) 日記
      フォロー気味にコメントすると、
      核家族という言葉の登場以前の日本社会は、
      今よりも血縁・地縁・報徳思想とかが色濃くて、

      ・故郷に錦を飾るとか、
      ・一族の誉れとか、
      ・だれそれの恩義に報いるとか、

      という言葉や考え方も人が社会的に頑張る主要な
      動機の一つであったということも否めないかも。

      で、国家や社会もその延長として意識されていた
      時代もあったかもしれない。

      また、その国民意識の強化に高等師範学校を頂点とする
      学校教育体制が関与していたことはあるかもしれない。

      GHQの民生局が日本を社民主義化しようとして、
      教育から保守勢力を追放するためにいろいろ
      制度的にも画策したとかの説も確かにある。

      でも、高度経済成長の功績とそのエリート教育を
      短絡的に結びつけてるのは決め付けすぎ。
      当時の国際情勢・地政学・非エリート国民の素質や努力等
      様々な要因に配慮しなければ語れないもんだと思う。
      親コメント
    • Re:リーダーシップ (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2005年12月20日 14時04分 (#852235)
      では、なんで自分の為にしか働かんやつしかいない米国があれだけ栄えたんでしょうね?

      GHQ云々は責任転嫁。
      昭和中期の云々は昔は良かったと言って、年下を貶めて偉ぶりたいだけ。
      そんな言論がまかりとおるようでは将来はさらに暗いですね。

      親コメント
    •  それはどうでしょう?
       旧日本軍のエリートと呼ばれる人たちについて調べたことはありますか?
       戦前の教育を受けて育った政治家や高級官僚が、どれこど私益を優先させたか、戦後前期の数々の疑獄についてどう思われていますか?

      今時のエリートは自分の為にしか働かず、郷や国と言う単位の為にがんばると言う意義を喪失しているのだそうです
       故郷や国といった単位ですら、それが「日本をダメにしない」ことに繋がると思っていますか?では、地元に利益誘導する政治家は「自分の為」に働いているのか、「故郷という単位」の為に働いているかどう思われますか?

       政治ではなく経済や文化におけるエリートについて仰りたいのでしょうか?だとしても、例えば日本を代表する大企業であるトヨタ自動車において、豊田家の世襲を当然視して行っていることについてはどう思われます?
       トヨタに限らず、世襲は戦前戦後問わず普通に行われています。その多くが戦前の教育を受けている訳ですが、それについてあなた自身の意見はありますか?

      --
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    • Re:リーダーシップ (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2005年12月20日 13時59分 (#852228)
      >GHQによる旧制中学や師範学校の破壊
      を待つまでもなく、保身ばかりで郷や国のことなど考えなかったエリートの暴走こそが、先の敗戦をあそこまで遅らせた最大の原因と思いますが。
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    • 日経のこのコラム [nikkeibp.jp]ちゃうかな? > 元ネタ
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    • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 20時24分 (#852465)
      >> 今時のエリートは自分の為にしか働かず、郷や国と言う単位の為にがんばると言う意義を喪失している

      IT分野に特化せず一般論として考えた場合、上記のような傾向はむしろ米国の方が強い気がするのは俺だけでしょうか?

      例えば自分の利益のために戦争始めちゃって、後から「情報は間違いでした」 [nikkei.co.jp]とか言い出して税金無駄遣いしまくりな人とか、「自分の任期中だけ良けりゃ構わん」的思考な経営のCEO連中とか。
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  • by Elbereth (17793) on 2005年12月20日 18時53分 (#852421)
    一昔前は日本からゲイツだのマイクロソフトを出そうとか何とか
    言っていた人が多かったけど、今はGoogleか。
    5年後はなんだろうな。はてなではないとは思うんだが……
    要するに株価が高い企業を作れれば何でもいいんだよね。

    アメリカ風(というかMITとかスタンフォード流?)のやり方を導入して
    無理な頑張りをして結局だめでしたーなんてのより、今のやり方を
    ちょこっとハックしてアウトプットをそれなりに改善できれば
    御の字じゃないかなーと思うんですけどね。

    Googleが平凡なハードのクラスタリングでパフォーマンスを
    かせいでいるように、凡人のクラスタリングをすればいいんですよ。
    Web3.0は多分そういうものじゃないかな。
    • Re:なんだかなー (スコア:2, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2005年12月20日 20時17分 (#852463)
      >凡人のクラスタリング

      烏合の衆。
      機械とは違うのでマイナスになりかねない。
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    • by ryo (74) on 2005年12月20日 19時59分 (#852450) ホームページ 日記
      ブームの影響でやはりWeb 3.0のことを考えてたのですが

      > Googleが平凡なハードのクラスタリングでパフォーマンスを
      > かせいでいるように、凡人のクラスタリングをすればいいんですよ。
      > Web3.0は多分そういうものじゃないかな。

      安い人件費で行われているという噂の、AdSense/AsWordsのクリック詐欺あたりがWeb 3.0の先駆けですかね。

      CAPTCHAの画像をみて文字列を入力してあげるP2Pネットワークなんてのも、Web 3.0的でしょ?
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    • by ZooMD (16314) on 2005年12月20日 22時19分 (#852519) 日記
      はてなが世界進出すれば、「はてなを目指せ」になるかもね。

      # もう進出してたらゴメン
      --
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  • ひがしおおさかむら (スコア:1, おもしろおかしい)

    by sakuya-m (14007) on 2005年12月20日 13時22分 (#852195) 日記
    >などですでにおなじみの東大教授坂村健氏
    教授が挟まってるために「ひがしおおさかむら」と読めない・・・

    #激しくオフトピ。
    --
    ---にょろ~ん
  • by Anonymous Coward on 2005年12月20日 16時03分 (#852311)
    日本語で商売できる相手の数と、英語で商売できる相手の数が違いすぎる。これが最大の理由。
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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー

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