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テクノロジー

新しい構造の高性能『リチウム-空気電池』を開発 34

ストーリー by hylom
電気自動車普及の足がかりとなるか、 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

産業技術総合研究所は「新しい構造の高性能『リチウム-空気電池』を開発した」と発表した。本技術は自動車用電池として極めて有望で大容量化,ならびにスタンドでの待ち時間の大幅短縮が可能という。 詳しくはプレスリリースをご覧ください。

従来のリチウムイオン電池は放電容量が120~150mAh/g、リチウム-空気電池は700~3000mAh/gだったが、今回開発されたリチウム-空気電池それよりも大幅に大容量で、実験では50000mAh/gの放電が確認できたそうだ。

また、放電が終わった後は充電する代わりに正極側の水性電解液と負極側の金属リチウムを交換することで、すぐに連続使用が可能となる。金属リチウムをカセット式などの構造にすることで、「スタンドでカセットと電解液を交換して燃料補給」というような使い方が考えられるとのことだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2009年03月03日 16時06分 (#1524273) 日記

    とか書いてみたり.
    読めばわかる通り,容量のmA/gの質量部分は「空気極の重量」で規格化されています.
    また空気電池ですので,実際の電池の重量のかなりの部分は「空気極以外の部分」です.
    #空気極側は,反応主体の空気を外気から取り込めるため,必要な物が少ない.

    空気電池ですと,電池内には実際には

    ・空気極(炭素と触媒のみでそれなりに軽め)
    ・対極(活物質,今の例だとリチウムが多量にいるので結構重い)
    ・セパレータ(仕切り)
    ・パッケージ

    などがあります.今回の研究で実現されたことは,「多量の活物質を使い切るまで
    動かせるような構造を開発しました」ということです.
    今までの構造で活物質のリチウムだけ量を増やすと,リチウムを使い切る前に
    空気極やリチウム表面で反応後の物質が堆積しそれ以上反応が行かないため
    あまり容量が増やせなかったのが,多量のリチウムを使い切れる構造になります.
    例えば適当に各パーツの重量が

    ・空気極 1
    ・対極 10
    ・セパレータ 0
    ・パッケージ 2

    だったとして,今までの10倍量のリチウムが使えるようになったとしたら,

    ・空気極 1
    ・対極 100
    ・セパレータ 0
    ・パッケージ 2

    ということになります.空気極あたりの容量は10倍になりますが,電池全体
    としての重量あたりの容量はこの場合1.3倍弱までしか伸びないこととなります.
    #上記の重量分配は適当です.

    今まで10個の小容量セルが必要だったのが一個の大型セルでいい,などの
    利点もありますが,決して電池としての重量あたりの容量が十倍二十倍と
    増えるものではないことにはご注意を.
    何せ理想的な系を想定してしまえば,いくら反応が進んでも阻害要因がないので,
    無限の量のリチウムを対極とする理想的な電池を考えると「空気極1gあたり
    無限大の容量」とも言えてしまうわけですから.

    #なお,この研究そのものがしょうもないと言っているわけではありません.

    • Re:騙されるな! (スコア:3, 参考になる)

      by stat (28781) <reversethis-{ten.eht2a} {ta} {18782}> on 2009年03月03日 17時25分 (#1524360) 日記
      空気極からは理論上ではいくらでも容量が取り出せるけど、実際には二酸化炭素による
      アルカリ電解液の中和などから寿命があります。この研究は従来品より長持ちする
      のが新機軸なのかな? しかし長持ちするといっても、20日間しか持ってないから、実用化
      にはほど遠い感じですね。

      しかし、このプレス発表記事は、容量として揚げられている数字が空気極の容量であると
      いう事が非常にわかりにくいなあ。まさに騙している感じ。
      (ちなみにリチウム金属そのものの電気量が3850mAh/gだからリチウム電池の容量がこの値を
      超えることは絶対無いです)
      親コメント
  • 全交換じゃないの? (スコア:3, すばらしい洞察)

    by baku3393 (32616) on 2009年03月03日 19時02分 (#1524437) 日記
    >また、放電が終わった後は充電する代わりに正極側の水性電解液と負極側の金属リチウムを交換することで、すぐに連続使用が可能となる。金属リチウムをカセット式などの構造にすることで、「スタンドでカセットと電解液を交換して燃料補給」というような使い方が考えられるとのことだ。

    今の自動車のバッテリーだって電極と電解液を丸ごと新品にしたら充電時間無しで満充電に出来るじゃん…。
    --
    ---- ばくさん!@一応IT土方
    • by Anonymous Coward

      今の自動車だってガソリン入れれば充電時間無しでエンジン動くんじゃないでしょうか。

      それに今お使いのバッテリーで
      充電時間無しで満充電にできる
      ガソリン並にコストが安い
      300km位無給油で走れる
      一般車に詰める位小さいくて大容量
      でしたら、むしろそっちの方が楽で良いですね。

      充電するしないの問題より、ガソリン代替として十分な使い勝手を得られる燃料電池を開発できたら、言う事無いですよね。

  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 17時04分 (#1524329)
    爆発するかどうかだけ。
    リチウムイオンにしてもリポにしてもけっこう心配なんだよね。
    たまに蓋が閉まらないほど膨れた携帯使い続けてる人いるけど、正直こわい。
    • by Anonymous Coward

      爆発機能の無い電池などいらん!
      ということですね。

      ジェイミー&アダム曰く
      「爆発させたいな」「よし火薬を増やそう」

  • by genzin (23225) on 2009年03月03日 12時03分 (#1524026) 日記

    非常に興味深いのですが、プレスリリースを見ると
    従来型のリチウム空気電池が700~3000mAh/g
    新開発のリチウム空気電池が50000mAh/g
    なので、70~16倍ではないでしょうか?

    7倍という数字は何処から来たんだろうと
    首をひねってしまいました。発表にどこかカラクリ
    がありますか?

    • by Anonymous Coward
      プレスリリースより>電気自動車の普及のためには、現在のレベルの約6~7倍のエネルギー密度が必要となる。

      ここの話ですか?ならば現在(普及している)レベルの7倍程度のエネルギー密度が必要だという話で、今回の新型電池が7倍という話ではありませんよ。
      • Re:7倍? (スコア:2, 参考になる)

        by genzin (23225) on 2009年03月03日 15時23分 (#1524226) 日記
        あー、このコメントは無視してください。アレたまの時に書かれていたので、 編集の参考になるかと思って書き込んだ内容です。掲載時にそのへんは編集 されているんだと思います。 #アレたまの時に書き込んだコメントって残るんですね。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      70~16倍?
  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 18時13分 (#1524405)
    タウリン 1000mg ?
  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 15時27分 (#1524233)
    > 使用済みの水性電解液からは電気的に容易に金属リチウムが再生され、リチウムは繰り返し使用される。
    どの程度容易かはわかりませんが、やっぱりプラントが必要なんでしょうかね。ガソリンを運んでるタンクローリーが、電解液とリチウムを運ぶことになるんだろうか。
  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 15時41分 (#1524246)

    T/O

      • 確かにこの技術ががっかりかはまだ分からない。同意です。

        でも、今まで出てきた新技術のその後って興味ありますよね。
        何がネックだったとか。華々しいプレスリリースはあれど、
        その後なしのつぶて、みたいなのはかなりあるはず。

        ググりゃいいんだろうけど、みんな忘れてるしなぁ・・・

        #失敗事例DBみたいにがっかり事例DBがあると意外と役立つのではないかと思う。

  • プレスリリース内の「理論的には金属リチウム30キログラムはガソリン40リットルとほぼ同じエネルギーを持っている」という数字を見て意外と少ないなと感じたのは私だけでしょうか?

  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 17時22分 (#1524354)

    スタンドで交換させて発火したらどうするのだろうかと思うと、怖くてスタンドに近寄れません。

    消化に水をかけたら………( ;゚Д゚)

    • まだガソリンが発火する方が安全だよね...( ̄△ ̄;)エッ・・?

      まあガソリンスタンドで交換することはないでしょうね。
      ガス充填所(CNG,LPG)も今後同居するとは思えないし、水素スタンドも同様。

      可燃性物質の近くで電池や非防爆電機機器を扱うことは日本では考えにくいので、
      そうなると電池交換式の電気自動車とそのスタンドは、場所をとる分、インフラ整備が
      大変で、実用化の壁になりそうな気がする。

      やっぱり電池内蔵型で、ケーブル一本で充電できる電気自動車&スタンドが本命かなぁ。

      親コメント
    • 以下、伝聞。

      ・リチウム用消化器というものがあるんだけど、粉末がいまいち遠くまで飛ばないため役に立たない
       ちなみにボンベの色は黄色、燃焼部位表面をくまなく粉で覆うことで酸素を遮断し燃焼を止める。
      ・実際に火事になった場合、下手に水をかけると指摘の通りとても危険。かといって燃えるに任せるわけにもいかない。
       あえて消火するなら、「反応することを前提にとっても大量の水をかける」が正解らしい。
      #あくまでも伝聞です。実施した結果への責任は持ちません。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        金属火災用消火器ですな。 主にアルカリ金属・アルカリ土類金属・アルミニウムの火災に使います。 もんじゅ [geocities.jp]に沢山あるのは、まぁ、当然っちゃあ当然か。
        あんまり見掛けないけど、真黄色な消火器なので結構印象に残るんじゃないかな?

        で、水を掛けちゃイケマセン (笑)。

         あえて消火するなら、「反応することを前提にとっても大量の水をかける」が正解らしい。

        基本は乾燥砂。 「大量の水」なんて通用するのは、瞬時に反応しきってしまう程に少量 (10 g 以下?) じゃないと。 リチウムは他のアルカリ金属に比べて反応が遅いから、そういう方法が通用する事もあるけど、ちとバッドノウハウ臭

    • by Anonymous Coward

      逆に考えるんだ。
      他のアルカリメタルよりはずいぶんまし、そう考えるんだ。

  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 18時49分 (#1524428)

    これ、取り出せるエネルギーはでかいんでしょうけど、一次電池ですよね。
    リチウムを金属に還元するために消費される膨大なエネルギーのことを考えてないんじゃかな。

  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 21時32分 (#1524510)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E5%AF%86%E6%88%A6%E9%9A%8A%E3%8... [wikipedia.org]

    ゴレンジャーマシーン
    >ゴレンジャー隊員が使用する陸上戦闘・追跡用の特殊バイク。ブルー、グリーンマシンはサイドカーを切り離せる。動力源はリチウムエンジンで、これによってゴレンジャーマシーンは空気のあるところならば半永久的に走る事が出来る。
  • by Anonymous Coward on 2009年03月03日 23時36分 (#1524606)

    電池メーカーの中の人ですが、二次電池とはリチャージャブルな電池のことを指します。
    この空気電池は実質的には部材ををリサイクルできるだけで、基本的には放電を繰り返しているだけですから、一次電池だと思います。

    その定義に従いますと、当然、燃料電池も一次電池ですからね?

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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー

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