磁力抵抗「ゼロ」の発電機? 51
ストーリー by reo
6 から 8 への変化に驚く 部門より
6 から 8 への変化に驚く 部門より
滋賀県草津市の平松敬司さん (72) が、発電機を回す時に生じる磁石の抵抗を大幅に軽減させる仕組みを発案し、解析した京都大学の中村武恒准教授らが 2011 年春季低温工学・超電導学会で発表した (京都新聞の記事) 。
簡易な構造だが誰も試みなかった「コロンブスの卵」的発想で発電装置の簡略化が見込め、電気自動車や風力発電などへの応用に期待も高まっているという。大会発表原稿 PDF の 2A-a04 を読むと、今回の発表は空間位相調整法によるコギングトルクの低減を有限要素法解析したもので、位相をずらして発電機を 8 連結した際のコギングトルクは 1 台分の発電機のコギングトルクで正規化すると、ほぼ 0 になるという結果のようだ。また誘導起電力波形が改善されることも示されている。
あー、ようするに単気筒エンジンではなくV8にするようなものか (スコア:5, 参考になる)
単気筒で4サイクルエンジンを作ると、爆発一発で2周しなくちゃいけないので、どうしても出力にムラが出ますよね?
そこで、V6とかV8とかいう風に気筒数を増やす。すると常にどこかで爆発が起こってそれで全体を回転させるので出力が安定する。
このように、「ムラ」が発生するようなシステムは、上手に位相をずらしたシステムを複数連動させることでムラを互いに消せることが知られています。
ただし、複数連動させるには、連動しているもの同士で上手に同期させなくちゃいけない。V8エンジンなら1つ目から8つ目までの気筒すべてが同じように動くよう、同じような燃料量になるよう、調整が必要。ここが難しい所。
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モーターは電磁石と永久磁石との引き合う力や反発力で動くわけですが、電磁石による磁場をわざと無視して考えると、永久磁石と鉄のコアをぐるぐる回転させている状態になります。で、コアは回転対称(何度に回転させても同じ形をしている)わけではないので(というか、そういう風には作れないので)、永久磁石に対して「安定した」位相というのがどうしても発生します。つまり電気を流さないで放置すると、ある角度に落ち着くようになっている(それが1つなのか3つなのか、とかは別問題として)。
落ち着くっていうことは、その角度から引きはがして回転させようとすると、余計な力が必要だ、という事です。モーターとして考えた場合はその角度から引きはがそうとすると余計な電流が必要だという事だし、発電機として考えた場合は外部からの力の一部はこの「安定角から引きはがすため」に浪費される。
もちろん、回転させていくと「安定した角度に落ちる」ために外部からの力があまりいらない瞬間も出る。結果としてモーターというのは「安定した出力を得るために必要な電流がふらつく」。発電機は「一定の出力を得るための外部からの力が一定にならない」事になる。結果、このふらつき分は「ロス」になる。たいていの場合、熱になる。
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安定した品質のモーターが量産できる世界を考えてください。いや、今現在がそういう感じですが。
モーターを一定量づつ位相をずらしたものを直結します。たとえば8つあったら45度づつずらす。モーターは全部同じ品質なので、同じだけ電流を流すと互いの「ふらつき」分を打ち消しあう(完璧じゃないでしょうが、かなりいい具合に、打ち消す)。結果として8モーター全体ではふらつき分がものすごく小さくなる。
「ロス」になる部分をモーター同士が互いにフィードバックし合って打ち消すので、無駄が減る。
そういう事じゃないでしょうか?
fjの教祖様
既知技術です (スコア:5, 参考になる)
さくっと検索かけてみたら、いっぱい公知例が出てきました。
たとえば、
これの図5 [ekouhou.net]とか。
5分ほど探した範囲で一番古かったのは、実開昭61-17876 永久磁石回転電機 でした。出願は1984年。
「円柱状をなしその軸方向位置によつて周方向位置が徐々に変化する第1の結合手段をその円周面に有する
回転子鉄心と、第2の結合手段を有し前記第1の結合手段に結合されて前記回転子鉄心の円周面に列をなして
取付けられた複数個の永久磁石片とを備えたことを特徴とする~」
とあります。まんまですね。
京都新聞の調査不足 (スコア:5, 参考になる)
補足情報です。
ひとことで言うと、「京都新聞もっとちゃんと調べろ!」です。
平松さん自身はちゃんと公知例があることを知っているようで、明細書を調べると
位相のずれた磁極を他段積みとした実用新案(実開昭63-088079)が公知例として明記してあります。
で、ちゃんと公知例の差分を出すことに成功し、無事特許になっています(特許4524110)。
本当は、この差分の部分が平松さんの発明なのに、京都新聞がろくに調べもせずに
数十年前から様々な発明が使っている技術を「コロンブスの卵!」などと騒いでしまい、記事に
なっちゃった、と。すみません、自分も京都新聞記事に騙され「既知」とかいっちゃいました、
ごめんなさい>平松さん
#明細書を見ると、どこを特許庁の審査官に駄目出しされて修正したかが分かるので、
#結局どこが特徴(or 特徴とせざるをえなかった)かが分かって楽しいですよ。
#今回の例だと、「そっか、固定台を「非磁性体」に限定せざるを得なかったのか・・・」とか。
#「「起電手段」に限定か。公知例に「動力手段」限定のものがあったのかな」とか。
Re: (スコア:0)
>つまりまた日本の理系がやらかしたのか…
>なんとかならないのかよ、この癌どもの存在は
あなたにも何とかなってほしいですね。やらかしたのは、京都新聞というマスコミですよ。
理系がやらかした、とは読めません。
記者が無知? (スコア:3, すばらしい洞察)
記事読んだ限りでは単なるコギング抑制のように思えるんだが、そもそも図がおかしいのでよくわからん。
Re:記者が無知? (スコア:3, 参考になる)
それで正解みたいです。発表された内容。↓
2A-a04 高温超電導電機子巻線を適用した永久磁石発電機のコギングトルク低減と発電特性改善に関する基礎検討 [csj.or.jp]
Re: (スコア:0)
ですね。簡単な並列化でコギングトルクを低減できるよ、という話に見えますね。
まあ確かに磁極配列を工夫してコギングトルクを減らすのに比べれば設計は楽ですが、並列化すると場所を取るからどうかなあ。
確かにコギングトルクは損失につながりますけど、損失という面から見ると元々そんなに大きなものではない(大型発電機では。小型だとどうなんだろ?)ので役に立つかと言われると微妙?
Re:記者が無知? (スコア:2, 興味深い)
応用を期待されている分野が風力発電と電気自動車なので、どちらも「ある程度のスペースが確保できて」「得られる力が一定で無い」場所ですね。
風力発電機はモジュールを小型化する意義が薄いですし、電気自動車はシャフト周りがそのままモーターと一体化できますし。
特に風力発電では、設計が簡単であれば途上国等で利用しやすいという利点があるかと。
あとこれは妄想ですが、8つのモジュールを並べた構造であれば、その内一つが壊れても他のモジュールで運用は可能(効率はがた落ちしますが)ってな目論見があるんでは無いかな。
Re:記者が無知? (スコア:2, 参考になる)
三相交流モーターはきちんと回せば回転中のコギングは起きないよ。
発電機として使うときはそれなりにコギングがあるけどね。
それに、エントリのこれだとモーターとして使う場合に相が多すぎてインバータがたくさん要る。
発電機として使う場合でも相が多すぎて整流回路が無駄に大きくなる。
どっちも相は3つあれば十分。スターでもデルタでも三相の合計は一定だからね。
Re:記者が無知? (スコア:1)
風力は風向きに合わせて首を振る必要があるし、電気自動車は重量が航続距離に響くしと、スペース/重量の制約はどちらも大きいですよ。
コギントトルク対策は電気的にも出来るので、実用としてはどうでしょうかね?
Re: (スコア:0)
まあ、大型風車の場合は?ですが
Re: (スコア:0)
風力発電の場合,始動トルクが小さい,っていうのはかなりのメリットだと思うんだけど。
微風でも発電できるようになるね。
多相と言うことで原理的に直流に変換しやすいので,(太陽光発電の)
インバータと組み合わせて家庭用小型風力とかにぴったりかも。
Re:記者が無知? (スコア:1)
単純に多極化する方が大抵の状況で有利なんじゃないかなー。
並列化で多極化する方が有利な場合もあるだろうけど。
Re:記者が無知? (スコア:1)
学生時代に電磁気学の実験で200V三相交流モーターと交流発電機を直結して、入出力比をとるというのをやったことがありますが、前世紀の学生実験のレベルですでに97%だとか98%みたいな効率が出ていた記憶があります。
写真を見る限り、かなり小型のモデルなので効率化の余地があったのかもしれませんが、大型のものであればおっしゃるとおり多極化でこのレベルか、それ以上の効率化ができているんじゃないかと思います。
しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
Re: (スコア:0)
Re:記者が無知? (スコア:1)
ベクトル制御でACモーターを回すとほとんどコギング出ないんだけど、なんでかわかる?
Re: (スコア:0)
発電機の話じゃなかったの?
#ベクトル制御でモータ回してもよほど精密な制御しないとトルクの脈動はなくならないと思うけど。
俺なんかもっと無知 (スコア:0)
漕がない自転車は自転車じゃない。
Re: (スコア:0)
モデレートとは別の評価軸で「苦笑」とか「冷笑」とかそういう評価ができるといいですね。
Re:俺なんかもっと無知 (スコア:1)
Re: (スコア:0)
この場合はマイナスモデに「おやじギャグ」の導入要求をしなきゃいけないかも。
でかい欠点に気づいてしまったよ (スコア:3, すばらしい洞察)
各発電機の位相がバラバラじゃないか。
Re:でかい欠点に気づいてしまったよ (スコア:1)
整流かまして擬似的な直流を得てそのまま電池に繋ぐような事に使うんじゃないですかね。
8相もあれば、半波整流でもそれなりに安定した電圧が得られるでしょうし。
防災ラジオに付いてる手回し発電機なんかは、これ使うと安く作れて効率もそこそこになるんで丁度良いのでは。
既存の交流電源を置き換えるような使い方は出来ないですが、LEDなどで直流の需要も増えてますんで、要は使い方次第かと。
Re:でかい欠点に気づいてしまったよ (スコア:3, 興味深い)
半波整流はそれ自体がコギングの元なのね。
あと、整流するには三相で十分なんだ。
単相のコイルが三相に比べてものすごーく作りやすいなら、単相を3つ並べて120°ずらすという使い方はできるかもしれないけど、コイルの利用率が低いとか磁路が長くなるとかで性能は出ないだろうね。
Re:でかい欠点に気づいてしまったよ (スコア:1, 参考になる)
元のPDFを見ると、三相8極の発電機を複数台連結(というモデルでシミュレート)
ということみたいです。
# 発電機ごとの位相がズレるというのは、うまく空間位相を調整すれば解決できるのかしら?
Re: (スコア:0)
夢を語るなら、今回の電力不足騒ぎで高圧直流送電網の話が出ているのでそっちを夢見るってのもアリですね。
直流にするんだったらACの位相がずれてても問題あるまい。
Re:でかい欠点に気づいてしまったよ (スコア:1)
クリクリ (スコア:3, 興味深い)
モーターを回すときのクリクリ感がなくなったら、暇が潰せない。
#ステッピングモーターが好き。
磁力抵抗「ゼロ」 (スコア:3, おもしろおかしい)
てっきりマグネットコーティングが実用化されたんだと思ったのに。
らじゃったのだ
磁気抵抗が0の話じゃなかったのね^^;; (スコア:2)
(T/O)
これは! (スコア:1, おもしろおかしい)
> 平松さんの発電機で生じる電気は波形がぶれず発熱ロスが少ないため
これこそがオーディオオタ垂涎の電気ですね!w
Re:これは! (スコア:5, おもしろおかしい)
そのかわり、平坦化されたのっぺりした音になりそうな気がする。
# 科学的・数学的意味でなく、オカルト的な意味で。
1を聞いて0を知れ!
Re:これは! (スコア:1, すばらしい洞察)
電池使えよ。
#ノイズを嫌う精密実験などでは、器機の駆動を電池で行うことがあります。
#何百個と使ってみたりもする。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
いや、電気だけじゃなく、モーターの特性が上がることもオーディオオタにとって福音でしょ。
CD/DVD/レコード・プレイヤなどの心臓じゃないですか。
Re: (スコア:0)
まあ正直な話、回転速度を一定にしたいだけなら重いフライホイールでも付ければ良いだけなんですよね。
始動と停止に時間がかかりますが。
Re: (スコア:0)
クラオタ「2拍子、4拍子などの行進曲系には平松エンジンは最適だが
ワルツなどの3拍子は8台連結トルクとの相性が悪い。」
Re: (スコア:0)
とか。
スキュとどう違うのだろう (スコア:1)
FEMで検証されたからって… (スコア:1)
#理論上不可能だったら論外だけど.
実用化までの課題は多いと思うけど,頑張っていただきたいものです.
永久発電機の完成 (スコア:1)
抵抗じゃなくて脈動がなくなるんじゃないの? (スコア:0)
なんだよ (スコア:0)
Nマシンじゃないのかよ...
信じられない (スコア:0)
今までこんな工夫もされていなかったとは。
Re: (スコア:0)
うん、同じ効果を持つ別な工夫がされてるんだ。
#tarosukeさんのコメントに始まるスレッドを参照のこと。
国際特許 (スコア:0)
Re:国際特許 (スコア:1, 参考になる)
しっかり出願し、米国では成立しています。
CN:02827446.6
EP:02793402.5
AU:2002360048
US:
10/499,800(US Patent No. 7,088,029)
11/471,951(US Patent No. 7,365,472)
Re: (スコア:0)
本質的な問題として (スコア:0)
空目 (スコア:0, オフトピック)
コギングトルクがコイキングトルクと読めた。
# ポケモンは初代緑しかプレイしたことがない