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4282 story

埋め込み型の補助人工心臓実現のための新技術 79

ストーリー by Oliver
ネックはここでも電源 部門より

skimsr 曰く、 "東京新聞の記事より。医療機器メーカのテルモ完全埋め込み型の人工心臓を開発しており,長期間使用できる補助人工心臓「デュラハート」の臨床試験を来年3月から独仏で開始,早ければ2004年度の発売を目指すそうです。現在,電源は体外の電池ですが,将来的にはコイルで充電する完全埋め込み型を目指すとのこと。
記事によれば「人工心臓は心臓移植までの橋渡しに限定されてきた」そうですが,臓器提供者が不足している事から,このような長期間使用できる人工心臓の必要性が高まっているそうです。また,この補助人工心臓は左心室の機能を代行するタイプのもので,患者の心臓はそのまま残るため,弱った心臓を休ませ回復させる効果も期待できるそうです。テルモが開発したこの補助人工心臓の技術的な特徴は:

  • 拍動ごとに一定量の血液を送り出す拍動流式ではなく,血液を連続的に送り出す連続流式である
  • 血液を連続的に送り出すための羽根車を磁気浮上させ,血栓の発生などを抑えられる

とのこと。参考記事として,同じく人工心臓を研究している東北大の解説ページ最先端人工臓器事情に関する記事,磁気浮上型遠心ポンプを開発したNTNの論文(PDF)を参照下さい。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • リンク先の記事ある、開発チームがアメリカへ移転してる、って話が興味深いです。臨床試験や部品メーカの問題だそうですが、医療関係って先端的な仕事をする人がいる一方、認可体制や情報公開制度の遅れとかあっていびつな状況を感じてします。

    医療研究は成果が人の幸せや将来の経済力に直結するだけに、開発環境の改善などバックアップを考えれば良さそうなものなのだが。

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    • 下の A.C. さんの方につけようか悩んだんですけど, こっちに返事をつけました.深い理由はないんですけどね

      アメリカだと,患者さんとの取引ができるので臨床試験が やりやすいと聞いたことがあります.つまり, 治療費を持ってやるから臨床試験に協力して欲しいってなことが 出来るそうです.これが出来る背景には,アメリカは無保険者が 結構な割合でいるってのが大きいと思います.

      # 文責を明らかにするために記名

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      Koichi
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  • 実際に日本では (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2002年11月10日 20時34分 (#198060)
    前のレスポンスにもあるように、日本ではこういった「医療系」のキカイや新技術は、必ず厚生省、医者の団体、経済産業省系、文部省系の学者系、などなど、複雑に各々が各々の利権を主張しあっているし、認可の仕組みもウラとオモテがあって複雑怪奇になっていますね。結果として、実際に現場に使われるまでに非常に時間がかかったり、実験1つするにも欧米諸国の後追いばかりになってしまいます。ま、それでよかった時代はそれでもよかったんですけど、最近はバイオ(生物学)も、基礎医学も同じようなことを、特にゲノム系でははじめたわけで、これが各国の科学技術のこれからをうらなう、ということで、しのぎを削っているところなんですね。この様子は国家間の戦争のごとくです。だから、こういった前時代的な国家組織構造がこの種のものの発達を阻害して、結果として日本の国の技術の力をかなり弱めてます。若くて元気のいい研究者なんか、これが原因で日本から逃げますからね。この人工心臓も結局は外国で研究したほうがやりやすい、ということでしょ。

    この前のノーベル賞の田中さんの研究も、結局実際に事業になったのは日本じゃない。こうやってみんな外国に取られちゃうわけです。

    役人の一人一人が悪いとも、そいつらのアタマが悪いとも言わないけど、その人たちが禄をはんでいる体制そのものが旧態依然で変化がなく、全体として国家の死を目指して突っ走っている、という感じですね。
  • by Landie(GRG) (6950) on 2002年11月11日 9時14分 (#198345) ホームページ
    >拍動ごとに一定量の血液を送り出す拍動流式ではなく,血液を連続的に送り出す連続流式である

    ヒトの体には、脈動が不可欠だって、どこかで読んだ気がします。血管の弾力を保つため、だとか?

    脈動がなくなると、動脈硬化とか起こりやすくなるのかな?
    動脈硬化気味のヒトには、かえって安心かも。
  • なんていう題名だったか忘れましたが、ブラックジャックにあったじゃないですか。
    えーっと...そう!「本間血腫」っていうやつ!

    あれはブラックジャックが恩師である本間氏の汚名を晴らそうと、ある有名な野球選手の心臓病「本間血腫」を治そうとするストーリー。
    本間血腫はどう心臓をいじくっても治しようがなかったので、ブラックジャックは最終手段として人工心臓を用いたわけですが、いざ胸を開いてみると実はその人の心臓は人工心臓であった。(つまり本間血腫の原因は人工心臓)
    しかも、その人工心臓には20号試作機(数字は定かではないが)みたいなことが書かれていた。(つまり、それまでの本間血腫もみな人工心臓のせい)

    本間先生のセリフにもありますが、人が人の生死をどうにかしようなんておこがましい
    なんでもかんでも「人工~~」「人工~~」で解決を計るのも、必ずしも好ましいことであるとは言えないと思う。
    --
    // Give me chocolates!
    • >本間先生のセリフにもありますが、人が人の生死をどうにかしようなんておこがましい。

      本間先生の台詞は,あらゆる病気を克服できるという人間(この場合はブラックジャック,というか医療を施す側)の傲慢,あるいは近い将来に克服できるだろうという楽観,に対する警鐘であると理解しています。

      じゃあ人間は病気の克服を諦めなければならないか,というと,そんな訳は無く。だからこそ,病気を克服するために努力し続けなければなければならない,というメッセージが込められていると思います。本間先生も第一線は退きましたが,死ぬまで医師だったと記憶しています(違ったかもしれません)。

      少なくともあの台詞は,医療に精一杯関わり続けた者が,同じく医療に関わる者へ言うべき警句であり,我々のような門外漢(医療従事者でも患者でもない者)が引用すべき台詞では無いと,個人的には思います。
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      • by Anonymous Coward on 2002年11月10日 23時49分 (#198184)
        > 本間先生の台詞は,あらゆる病気を克服できるという人間(この場合はブラックジャック,というか医療を施す側)の傲慢,
        > あるいは近い将来に克服できるだろうという楽観,に対する警鐘であると理解しています。

        もちろん、その回ではそのような理解で正しいと思われるのですが、
        ブラック・ジャックの他の回や他の手塚作品を考えると、実はもっと深い意味も埋め込まれていると考えられます。

        ブラック・ジャックに出てくる台詞:

        神さまとやら! あなたは残酷だぞ
        医者は人間の病気をなおして命を助ける!
        その結果世界じゅうに人間がバクハツ的にふえ
        食糧危機がきて何億人も飢えて死んでいく……
        そいつがあなたのおぼしめしなら……
        医者はなんのためにあるんだ

        そのカエルみたいな
        脳ミソのない子が
        どんな一生を送るというんだっ
        殺せーっ

        「天地神明にさからうことなかれ
        おごるべからず
        生き死にはものの常也
        医ノ道はよそにありと知るべし」
        生き死にはものの常なり
        医の道はよそにあり…か
        私には一生わからないかもしれない……
        私には切るだけが人生なんだ
        …………

        火の鳥未来編
        「進化したナメクジの最後の生き残り」と「その創造主」の対話:
        私はおまえの先祖の下等なナメクジを知ってるが
        おまえのように未練がましくはなかったし
        グチもいわずに死んでった
        はずかしくないのかね

        私に最後のグチをいわせてください
        なぜ私たちの先祖は
        かしこくなろうと思ったのでしょうな……
        もとのままの下等動物でいれば
        もっとらくに生きられ…死ねた…ろう…に……
        進化したおかげ……で……

        火の鳥の台詞:
        人間を生みだして進化させたのに
        その進化のしかたがまちがっていたようです
        人間を一度無にかえして生みなおさなければならないのです

        エンディング:
        「でも、今度こそ」
        と火の鳥は思う
        「今度こそ信じたい」
        「今度の人類こそきっとどこかで間違いに気がついて…」
        「生命を正しく使ってくれるようになるだろう」と……
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    • >なんでもかんでも「人工~~」「人工~~」で解決を計るのも、必ずしも好ましいことであるとは言えないと思う。

       私なら、他人の心臓もらうくらいなら未完成とわかってても人工心臓を選びます。
      提供者の死が前提の移植ってのは長期的に見ると生命の軽視に繋がると思うからです。

      # ラリィ・ニーブンの『不完全な死体』を参照してください。(創現推理文庫)
      # 移植の多い米国の状況を見れば判ると思います
      # → 銃で撃たれた若者の心臓を金持ちの老人が受け取るケースが多い

      人工心臓とか、拒絶反応を抑えたブタ心臓とかなら、こういった問題は発生しません。
      #(ブタを使うと某宗教で問題になるが…『コーランか心臓か?』)

      移植は、可能な限り人工臓器を使用し、天然モノは、血液とか皮膚とか骨髄とか、提供者の生命に対して危険性の少ない部位に止めるべきです。
      以前、生体肝移植が話題になった事がありましたが、これは提供者の生命を考えていない、無謀な行いです。(肝臓の一部を切り取るってのは『かなり』危険な手術です)
      下手すると提供者が死に、移植先の子供のみ生存って事態が発生したかもしれません。

      # コストを考えれば、先天性の重度の障害を持った赤子の命を救うより、もう1人製造した方が安上がりなんですが…
      # 募金活動して心臓移植しに渡米って例もありましたが、これも…ねぇ?
      --
      notice : I ignore an anonymous contribution.
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    • 心臓に限りませんが、アジアのストリートチルドレンが臓器目的で闇に消える、なんて話はよく聞きます。
      人が人の生死をどうにかしようなんておこがましい。
      という考えももちろん結構ですが、人工臓器が実現して助かるのは患者だけではないということも頭に入れておいて下さい。

      どうせ結論がでない議論なので議論しようという気はありませんが、個人的には治療目的の人工臓器は大賛成(というか生体移植には問題がありすぎる)ですが、脳にRJ45コネクタを装備する(笑)とかの無駄な人体改造には反対したいです。
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    • by Anonymous Coward on 2002年11月11日 1時07分 (#198230)
      なんでもかんでも「人工~~」「人工~~」で解決を計るのも、必ずしも好ましいことであるとは言えないと思う。
      最初の完全埋め込み型人工心臓(補助用ではない)の患者は違う意見を述べているように思えます(参照 [cnn.com]):
      "There was no decision to make," he said in his first public appearance, seven weeks after the surgery. "I mean, I had a choice. I could sit at home and die or come here and take a chance. I decided to come here and take a chance, and my family went along with me."
      生死のはざまに置かれあらゆる手段を尽くして生き延びようとする姿を、同じ生きものとして批判するような気にはとうていなれません。
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    • by simon (1336) on 2002年11月11日 17時20分 (#198528)
      >人が人の生死をどうにかしようなんておこがましい。

      うるさい黙れ。

      「それでも私は人を治すんだッ!自分が生きるために!」
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    • by arara_1968 (8171) on 2002年11月11日 22時13分 (#198646)
      散々、いいたいことは言われてるみたいだから、これだけ言わせて。

      > なんでもかんでも「人工~~」「人工~~」で解決を計るのも、
      > 必ずしも好ましいことであるとは言えないと思う。

      この台詞がいえるあんたはすっげー恵まれてるよ。

      上記だけはほかの選択枝が無くて、さんざん人工~を使いまくってる俺からみれば、真実だから覚えといて。
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      • > この台詞がいえるあんたはすっげー恵まれてるよ。

        これについて否定はできない。
        だが、私は短い人生ながらも親類や曽祖母が「死」を迎える瞬間にいくつか立ち会っているので、こういうことが言える。

        私が懸念するのは、今の医学の多くが自然治癒に頼るところが少なく、結果として人の体を人の手でいじるしかないということである。
        悪いが、私は生きるために自分の心臓を人工心臓などに代えてまで生きようとは思わない。これは曽祖母が、手術をしてチューブやら点滴やらを体中にされて生死をさまようよりかは、静かに死にたいと言ったことを良く覚えていることに影響されているのかもしれない。

        #あるいは知らぬうちにある宗教に侵されているのかもしれない

        こんなところで主張するのもなんだが、恵まれていよう貧しかろうとなんだろうと自然界に存在するヒトとしての尊厳や自分の哲学を裏切ってまでも生きようとは思っていない。つまり、私は体をバラバラにされてまで、体を人の手で改造されてまでも生きようとはしない。

        だからこそ、「人工~」「人工~」に頼って欲しくないというのが私の意見、あるいは価値観の押しつけかもしれない。
        だったら勝手にその尊厳とやらをつらぬいて死んでしまえばいいではないかと思われるかもしれないが、何か人としての尊厳を保ちながらも生きられる方法があったならば生きたいと思うのが人間ではないかと思う。
        そして、「人工だろうとなんだろうと生きたいんだ」という人と、「自然であるがままの自分の体を保ちながら生き続けたい」という人の両方の意見を聞いてしかるべきだし、医学だとかいうものはそれぞれの意見を尊重しながら人を助けるものであると確信している。
        --
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        • by ida_rf (12480) on 2002年11月12日 10時40分 (#199020)
          あなたの

          >「人工~」「人工~」に頼って欲しくない

          という「意見」は、

          >「人工だろうとなんだろうと生きたいんだ」

          という人のことを考慮していないんですよ。

          意見を聞いてしかるべきとありますが、人が生死をどうこうするなどおこがましいなどとという意見は、あなたが患者当人でなく、日々医療行為に研鑽する医者でもないなら、余計なお世話と言うものでしょう。

          ただの他人が言うのでは、それこそ「人工だろうとなんだろうと生きたいんだ」という人に唾を吐きかける行為と言えませんか。
          発言は自分と他人の立場を認識した上でなされるべきです。無関係の他人が口出しできることではないと思いますが。
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          • 例えば、私がいつか人工心臓をつけなければ生きられないような状況に陥るかもしれません。医療に関わるという面では誰しもが患者だとか治療を受けることだとかで、なんらかの関わりをもつわけで、私に限らず誰しもがこのことについて無関係であるとはいえません。

            むしろ、いつだってこのような問題には、例え今現在無関係な部外者であってもまじめに考えておくべき問題です。誰だっていつかは必ず生死について関わるのですから。

            そして、それを医療行為に関わるものが余計なお世話だと言うことは決して許されません。少なくとも日本の医学では。

            > 人が生死をどうこうするなどおこがましい
            これ撤回。他の方の意見を聞いて、私はあまりにもこのセリフを軽んじて引用してしまったことに気づきました。悪く思われた方、すみません。
            --
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    • 人工物で替えが効くんなら、それに越した事は無いんじゃないでしょうか。
      それに直接、命に関わらない部分じゃ、随分と人工物も普及してるような気がします。
      歯とかコンタクトとかズラとか義手・義足とか。
      自分だったら、死ぬのは嫌だし、天然物と人工物だったら、後腐れの無い人工物を選ぶと思うんですよ。

      その前に、日々の不摂生を改めた方が効果があるんだろうな~。
      親コメント
  • by rsato (1724) on 2002年11月10日 21時22分 (#198090) 日記
    人工心臓が普及すると、人は「心臓死」はしないようになるのかな.かといって人工心臓装着者が脳死に状態になるとも限らない.半永久的に動く人工心臓は死の定義にも変化をもたらすのでしょうか.
    --
    佐藤亮一 in Frankfurt Germany
  • 人工心臓装着の方に対する注意が流されるのでしょうか?
    携帯電話メーカーには、また頭の痛い問題が増えたのかも知れません。
    --
    Yukio@神戸在住
  • by snurf-kim (10835) on 2002年11月11日 11時12分 (#198382) 日記
    気になるあの娘を見てもドキドキしません。

    #人工心臓って運動量や心理状態に関わらず鼓動は一定だったっけ?
    #最新型はどうなんだろう?
  • それは、AbioCor [abiomed.com] 。
    一年ほど前から臨床にはいっているようです。
    この人工心臓は完全に心臓の機能を置き換え、鼓動があるタイプです。
    記事の心臓と同じように動力を電磁誘導で体内に供給します。
    2002年6月で7人中2人生存だそうですが、1年位生きた人もいるようです。

    こういう技術は、(価格などの理由により)万人には適用できそうにないし、
    いざとなったら利用する/しないの選択が難しくて
    (本人/親類が正常な判断をできるのか)、
    自分には是非を論ずるのが難しいです。
    そもそも自分が、いざとなったときに良い人生を過ごすために、
    利用を判断できるのかどうかも不明です。

    一方で、希望を捨てずに臨床に参加する患者の方々には
    敬意を表します。
    結局やってみなきゃ解からないのだから、最後には。
    # なにげに日経サイエンス10月号に記事があったのでなんとなく。
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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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