ユビキタスコンピューティングは手作りの権利を奪うものなのか? 178
それでも自己主張すべし 部門より
brake-handle曰く、"先月のことだが、ZDNet Japanの記事によると去る11月19日に開催されたネット家電ショー2002で、TRONの開祖たる坂村教授が以下のような主旨の講演を行った。
- ユビキタスコンピューティングの本質はコンピュータやネットワークが人間の生活空間を認識すること
- それを具体化すると、例えば全てのものにミューチップなどが埋め込まれ、IDを持つことになる
その上で、坂村教授はユビキタスコンピューティングについて以下のような応用例を挙げている。
- 自分のカバンをどこかに置き忘れた場合、カバン自身がその居所を持ち主に教えてくれる
- 食料品を冷蔵庫に入れるとすぐに記録され、消費期限などの管理が簡単になる(日経2002/12/19付朝刊27面)
一見すると全てがいいことのように見えるのだが、とある疑問が私の頭を過ぎった。「たとえ、自分が手作りしたモノであっても、IDを与えなければ世の中からはモノとして認めてもらえないのではないだろうか?」
例えばこんな問題である。私事で恐縮ながら、私はよくケーキやゼリーなどを手作りする。全てのものにミューチップが埋まった世界では、おそらくチップは小麦粉やジュースの容れ物につくのであろう。ということは、でき上がったケーキやゼリーはチップを持たず、ゆえにIDも持たないものになる。そんなものを冷蔵庫に入れたら、冷蔵庫が異物と判断して警報を鳴らしてしまうなどということにはならないだろうか。" (...)
"似たような事例としては、出版業界が進めている「書籍にチップとIDを」という運動がある。もともと、万引き防止のために書籍の管理を簡単にできるようにしようというのが目的。しかし、もしあらゆる商業系の書籍にチップが埋まってしまうと、「チップが入っていなければ本ではない」などと見なされてしまう恐れがある。チップを本に埋めるには(チップ自体はタダ同然になっても、IDを管理するために)それなりのコストが必要になるであろう。となると、例えば同人誌などはチップを持てなくなる恐れがある。すると「本のように見えるが本ではない」モノができ上がり、不合理に怪しまれてしまうことにはならないのか。
個人の情報が全てデータベースに蓄積されており、それが何物かによって抹消されたために自分の存在を社会に認めてもらえない...という映画のストーリーがあったが、モノの場合は人間が低コストで作り出すことが十分に可能である。手作りしたモノにデータベースが追随できないがゆえに、正体不明のモノが世の中に溢れるなどという事態には果たしてならないのだろうか? あるいは、それを防ぐために、ID取得の対価が払えないならばモノを手作りする権利はないなどというルールができてしまうのだろうか?"
既にバーコードで… (スコア:5, 興味深い)
既にバーコード絡みで似たようなことは起きてます。 POSシステムに載らないので、 10円チロルチョコが消えかけている [morimoto-sr.ac]とか。
妙に過剰反応なタレコミですが、坂村さんの講演はあくまでもひとつの夢を示したもの。 それがどの様な形で現実にあらわれるかは、また別の話。 例えば、書籍のバーコードは装丁デザイナーから反撥されましたが、デザインに影響しない内蔵チップは歓迎されるでしょう。 技術はあくまでも目的を実現する為の手段です。 社会にどの様な形で活かすのか、議論を重ねていけば良いと思います。
そりゃあ便利かもしらんがなぁ…(後藤隊長口調で) (スコア:4, すばらしい洞察)
怒られるかも知れませんが、坂村教授が挙げている便利な“応用例”が「自分のカバンをどこかに置き忘れた場合、カバン自身がその居所を持ち主に教えてくれる」「食料品を冷蔵庫に入れるとすぐに記録され、消費期限などの管理が簡単になる」って、そんな程度のもんかい? って気がしちゃいます。そりゃあればあったで便利だろうし、安価に出来るようになるかもしらんけど何もそんなに便利にならんくともと思ってしまう。
オフトピな感想かも知れませんが、つくづく“便利になる”って事が“もの考えなくてもいいようになる”って事だったりする事が多い気がします(それ言っちゃ駄目?)。長くてスマン。
>>after all, it is most fortunate...
>>to read a book in a bed one person...hirofmix
Re:そりゃあ便利かもしらんがなぁ…(後藤隊長口調で (スコア:1)
まあ、彼は学者さんだから、ビジョンは出すけど、最後のつじつまあわせまでは考えない人ですので、こうなります。というか、彼はそれで満足なのでしょう。
#とはいえ、こういう人も必要なのは必要ですが。
Re:そりゃあ便利かもしらんがなぁ…(後藤隊長口調で (スコア:1)
> そういう世界の本屋さんは、ID のない本の扱いを極端に嫌がるでしょうねぇ。
御意。
本の流通もシステムなら食品の流通もシステム。システムというものはいわば統制で、異質なものを排除する様に機能します。そう機能しないとすれば、システムの便利さを捨ててまで排除を行わない様にする人の努力です。両者を同時に満足させるのは、至難の業でしょうね。
ユビキタスコンピューティングは、そういうシステムに新しい排除用の識別子を与える事になるでしょう。坂村センセはそうは考えてないかも知れませんが。
Re:そりゃあ便利かもしらんがなぁ…(後藤隊長口調で (スコア:1)
IDのない本は同人誌とみなす…とか。
#ああっ、古本がみんな同人誌にっっ!
</ぼそ>
Re:そりゃあ便利かもしらんがなぁ…(後藤隊長口調で (スコア:1)
もし,「ID のない本は本に非ず」という考えがまかり通る程,本にミューチップがつくことが一般化したら,ついていない紙の塊にミューチップをつけて本にしてあげるのはそれほど手間ではないと思うのですが.
ノンキ過ぎるかなぁ.
Re:本のID (スコア:2)
その時の理由が、確か出版物の統制につながりかねないとかいうものではなかったかと記憶しています。
その岩波もしばらく間をおいてからISBNを振るようになりましたが。
# 古いネタにつき、もしソースをご存知の方がいらしたら
# ご教示ください。
下手なSFの見過ぎでしょう (スコア:3, すばらしい洞察)
ICチップをつけないと、対象が厳密に認識できないことになっ
てしまう罠。
#認識するのに、そんなもの埋め込むなんて発想が貧弱だと思う。
やっぱり電球問題 (スコア:1)
Re:やっぱり電球問題 (スコア:1)
# む~、自分で書いといてなんだが、つまらん。
# 別解求む。
同人誌とかの例えだと~ (スコア:3, すばらしい洞察)
みたいなのと同じノリになるんじゃないですかねぇ~。
単に自動で管理されないだけ。
本の場合、他の方が書かれているようにチップが個別販売されて
それを個人で埋め込むと「本」としては認識されるけど、いわゆる
管理コードのない「その他一般」として処理されるとか。
本棚で管理するのが難しくなるのであれば、個人向けにコードが
振れるチップが販売されて、それで管理したDBを公開すると、他人に
その本を進呈しても自動的にコードを読み替えてくれるとか。
(元の所有者とかのデータを内蔵出来るのであれば可能かと。)
冷蔵庫とかだと多分「今入れたのなんですか?」とか聞いてくるので
「ケーキ」とか答えるとそのものを認識するとか。
Re:同人誌とかの例えだと~ (スコア:1, 参考になる)
IPのプライベートアドレスみたいなヤツ
たとえば野菜とか肉(特に量り売りのヤツ)とか魚なんかは入荷時点でバーコードが付いていたとしてもそのまま店頭では使えませんから、インストアコードで処理します。
そういう例外処理がされるだけの事だと思いますがねぇ。
というか、そういう例外処理に対応できないような仕組みだと、絶対うまく回らないので汎用化される心配はありません。
# 心配?
過剰反応 (スコア:3, すばらしい洞察)
チップが付いているものの管理が便利になるってだけで、付いていないものは今と同じ(自分で賞味期限を確認する)でしょ。
チップが持たないものを拒否する機能を義務づけるってのなら話は別だけど。
そんなことは起こりません。 (スコア:1, すばらしい洞察)
> ゆえにIDも持たないものになる。
> そんなものを冷蔵庫に入れたら、
> 冷蔵庫が異物と判断して警報を鳴らしてしまうなどと
> いうことにはならないだろうか。" (...)
IDがないものを異物と判断するプログラムを書かなければ
そのような問題は起こりません。簡単でしょ。
そういう世界では (スコア:2, すばらしい洞察)
特売の目玉で100g250円位になってたりして.....
いいえ、 (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:そういう世界では (スコア:1)
それ以前に、「そもそもモノって、なに?」な議論もありそうですね。
・タグつき肉とタグつきニンジンとタグつきジャガイモと...で、カレーにタグは?IDは?(単なる混合物か?)
・半分食べかけたパンはモノか?(IDがついた側を食べてしまったら..)
米粒にタグがついていたら、ご飯はほとんどタグの山を食っているようなものですね。
Re:そういう世界では (スコア:1)
今、DVDで迷って居るんで。
Re:そういう世界では (スコア:2, 参考になる)
はやくも分裂の予感が...
東大・坂村氏と慶大・村井氏が次世代バーコード規格で対立 [nikkeibp.co.jp]
何とかしてくれ~。
Re:そういう世界では (スコア:1, 参考になる)
製造段階でIDを書き込んで、それがモノに貼り付けられてから、出荷するという形を考えているみたいです。
IDの再利用は考えていないみたいで、チップ自体も使い捨てですね。
チップが貼り付けられているモノに関する情報は、チップ自体が持つのではなく、チップが持つIDが指し示すサーバ(URIとかで示す??)で管理するのでしょう。
捨てることや渡すことを考えて (スコア:2, 興味深い)
#消費期限?メモして冷蔵庫にはればあ?何めんどくさがっているんだろ。
USB機器の場合 (スコア:2, 参考になる)
実はすでにそういう風になっているらしい世界が身近にあります。
#といっても販売ができないだけですが。
ATR-USBのインタビュー [infoseek.co.jp]によると、
“USB機器にはベンダーIDやプロダクトIDなるものが必要で、
これがないと商品として売買する事ができない”
ということだそうで。
これを取得するには年間で約20万円必要だとも。
同人ハードには厳しい世界だなあと、
そのインタビュー読んで思いましたです。
Re:USB機器のベンダーID (スコア:2, 参考になる)
要はPnPする時のドライバーの問題ですから。
HIDの仕様で作るならドライバーすら作る必要もないので
自作する場合でも好都合だったりしますね。
ベンダーIDについてですがUSBコントローラーとマイコンの組み合わせの汎用キットの場合
そのキットを使う限りIDを使っても問題ないのがありますので気にする事はないと思いますよ。
基板+コントローラー+マイコンで5000円くらいでありますのでこれにプログラムをプロテクトの他形で
書き込んで付加機能付ければ売れそうですけどね。
同人ハードってメーカが採算取れそうもないが一部ではとても欲しいハードなわけですら必要なら売れるでしょう
ベンダーID:メーカコード
プロダクトID:製品ID
Re:USB機器の場合 (スコア:1)
これをもって、手作り趣味の人にきびしい世界、というのだろうか。
# 秋月のキットなどは、付いてるわけですが. >mac
やっぱり、手作りケーキを管理したい人のために、プライベートアドレス入りの
ミューチップが売られるのではないかな。
嫌だ (スコア:1, 興味深い)
「そんな世界(あらゆるものにコンピューターがはいった世界)は嫌だ」
と思ったのですが、みなさんは抵抗はないのでしょうか?
Re:嫌だ (スコア:3, すばらしい洞察)
逆に言えば「カバンを追跡すれば持ち主の行動も(ある程度)追跡可能」と
いう事になりますよね?
その情報をクラックされないとは限らない訳ですし
そもそも,そういった情報を「何処が管理」するのかって問題があります。
#追跡という事で,何気にNシステム [npkai-ngo.com]を連想したり。
Re:嫌だ (スコア:1)
改札を抜けるとその周辺の情報がメールで飛んでくる [impress.co.jp]とかっていう
サービスもあります(基本的に追跡してるのと代わりはないですが..(^^;;微妙にイヤ)
Re:嫌だ (スコア:1)
マイノリティリポートではショッピングセンターなどで仮想店員(?)が客を識別しているようなシーンがありましたよね。あーゆう世界が近づいてるんですねぇ。
Re:嫌だ (スコア:1)
去年の武田賞スピーチ [impress.co.jp]において、
坂村先生自身が「使うかどうかは人が決めること」と
おっしゃっていますしね。
けど。
> TRONプロジェクトではこういうのが嫌いな人が拒否する場合も大丈夫なようにするのが目標だし。
「当業界はIDを持った製品しか扱いません」とか誰かが言い出したときに、
その業界に属する誰かの「拒否する意思」を尊重するために、
TRONプロジェクト(およびその成果物)はどう働きかけるんでしょう?
GPLみたいな厳しいライセンスでも作るんだろうか?
それは、、、 (スコア:1)
さらに皿や容器に消費期限を設定できるようにしておけば良しと。
電子レンジ? (スコア:2, おもしろおかしい)
ミューチップついたまま、電子レンジで加熱して平気なんですか?
複数のチップ間で放電、とかしないのかな。
Re:それは、、、 (スコア:1)
# 「タッパー」って商品名なのかな。
use Test::More 'no_plan';
そこまではいくらなんでも行かないでしょう。 (スコア:1)
Re:そこまではいくらなんでも行かないでしょう。 (スコア:1)
そういう事をのたまわているようなものだ…。
それに、そこまで行くと「平家にあらずは人にあらず」の世界だからなぁ…。
お上がそうとうアホな事をやらかさない限りは無いでしょ。
都市と星の (スコア:1)
なんでかな~、と思ったら「コンピュータやネットワークが人間を認識」というくだりが、なんとなく、ね。
みんな誤解し過ぎ (スコア:1, 参考になる)
あらゆる場所へコンピューターが入っていく世界でもちゃんと機能するシステムを考えているだけで、あらゆる場所へ入ることを強制しているわけでは無い。
コンピュータが入ればこんなに便利ということは確かに言っているが、こんなのが嫌な人は使わなくて良くするというのも日頃ちゃんと言っています。
嫌いな人が拒否できない世界ができたらそれこそTRONの失敗ですし、変なSFの様になってもやはり失敗。
要は (スコア:1)
要はおきらくごくらくでしょう。
もし認識させたければIDを持つ製品を改造して付加機能を付ける
または、対応したチップでも売っている筈なのでそれにマイコンでも付ければ認識するでしょう。
現在で例えるならUSB器機でさえ自作可能ですよ、例えば USBN9604 [akizukidenshi.com]これとマイコンを
組み合わせればいい話しですから
#需要なのは画期的なアイデアを問われているような気がしますが、改造中なのでID
技術を知らない人間の暴言ですが (スコア:1)
排泄まで人体の安全を保証するミューチップをつくればいいのでは?
#ケーキを切り分けると面倒なことになりそうだ
Re:技術を知らない人間の暴言ですが (スコア:2)
に含まれている細胞組織からID抽出、誰のものか特定とかできそうで
すね。
サイバーパンクだ。
ハイル!コンピュータ,ハイル! (スコア:1, おもしろおかしい)
「もちろんです、コンピュータ。幸福でいることは市民の義務です」
野分
「TRONの坂村教授、「ユビキタスの誤解」を斬る」 (スコア:1)
Re:「TRONの坂村教授、「ユビキタスの誤解」を斬る」 (スコア:1, すばらしい洞察)
> この記事を読む限りは、無い模様。
うーん。何か学者さんのナイーブさがそのまま出ていると思いますね。
「こうした事態を防ぐには、個別の製品にファイアウォールを設定する必要が生じるが」って、ファイアウォールでやるものでしょうかねえ、こういう不正操作対策って。暗号を使った認証とかでやりそうなもんだと思いますけど。DoS等には無効ですけど、それはユビキタスも同じではないか、などと考えます。
学者さんのナイーブさとは、「それがどう実際に使われて行くのか」に関して、理想的(あるいは妄想的)に考えてしまう事。世の中の全ての人が善人とか、理想に沿って人々が行動してくれるとか、そんな感じ。その辺の「現実とは?」の問いが無いと、ユビキタスは新たな毒ガスとか原爆になりかねないと思うのです。
Re:「TRONの坂村教授、「ユビキタスの誤解」を斬る」 (スコア:1)
IPv6なTCP/IPのパケットを赤外線で運んでも何も問題ないわけで。
賞味期限 (スコア:1)
物を冷蔵庫にしまうのってよくないんでないかい?
賞味期限を管理しなくちゃいけなくなるのって
一杯ものを買いすぎたり、作ってしまってしまいこんだのは
いいが、食べ忘れることがないようにってことですよね?
それって物を大切にしていない気がする。
もちろん、うっかり忘れてしまうこと可能性も分かっていますが。
#デジタル家電きっての応用例に
#対する、素でいつも思ってしまう疑問。。。
Re:賞味期限 (スコア:2, 興味深い)
「豚肉は冷蔵庫にまだ残っています」
「卵は先日腐らせたので個数が少ない物をお勧めします」
とか
# よけいなお世話
Re:つーかさ (スコア:1)
この作品 [nifty.com]のように、首筋にバーコードが付いて病気になっても事故って死んでも身元確認に困らない時代が来るのも秒読み段階なんですかね?
#最近見ててちょっと思っただけ
Re:つーかさ (スコア:1)
#クリスマスイブなのでID
Re:でもね・・・ (スコア:2, おもしろおかしい)
納豆やブルーチーズや熟鮨のような豊かな食文化が現在あるのは、
先人の果敢なる挑戦の結果なのです。
人類の食文化の発展を阻害するスマート冷蔵庫には断固反対しる!
# 自分からは食文化の発展に貢献するつもりはないのでID
Re:根本的に (スコア:2, おもしろおかしい)
おっかしいなあ、チップ情報から計算した冷却強度の割には、室内の温度が高いままなんだよなあ。もしかして俺、壊れたかな。サポート呼んで修理してもらおう。修理依頼、理由:冷却不足、っと。サポートセンターに送信、これでよし。
....なんてね。
# 無い無い
独自規格 (スコア:2, すばらしい洞察)
それこそアメリカにまかせたら、.comみたいにトップドメイン根こそぎもっていかれそうな。
この前、国際電話でアメリカの発信番号を押して「いいよなー世界の中心は」とか思いました。