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本家インタビュー:アラン・コックス 26

ストーリー by GetSet
精力的な翻訳作業に感謝 部門より

yh 曰く、 "翻訳シリーズ第8回目は、アラン・コックス氏のインタビューをお送りします。
アラン・コックス氏は1963年生まれ。米RedHat社に勤務しながらも、DMCAを避けて祖国イギリスに住んでいるという方です。Linuxカーネル2.5系のメンテナとして有名ですが、今回は、メンテナとしてのインタビューではなく、肩書きを"Activist"として、オープンソースでの活動から見た法律・政治のあり方を中心に語ります。

以下は、ちょうど一年前の5月20日に本家に掲載された"Alan Cox talks about laws... and Linux"のインタビュー部分を訳出したもの。今回も、たくさんの方々の共同作業となりました。別に記して感謝申し上げます。"

"1) ヨーロッパ版DMCA
by Yohahn

あなたは、DMCA(デジタル・ミレニアム著作権法)が施行されているアメリカには訪れることはないとします。もしヨーロッパでもDMCA相当の法律が議会を通過したら、あなたは移住なさいますか? もしそうであれば、そういった正気でない法律から安全でいられる場所ってどこなんでしょうか? (ペルーが、フリー・ソフトウェアにとっての避難所になっているらしいですけれど。)

アラン:

外国で法律と争うというのは非常にむずかしい。例をあげると、ドミトリーは、ロシア人ゆえに選ばれたようなものだ(※彼の事件)。判例を作るべく昔からの敵や先入観を用いると、悲しいことに、ほぼどんな国でも裁判で勝つのがずっと容易なのだ。おばあちゃんを階段から蹴り落とすことより、おばあちゃんに本を読ませてあげることの方が刑期が長くなってしまうなんてことがあるから特に、「アメリカの商業的利益を攻撃する外国人」なんていう表現の方が、「おばあちゃんにebookを読めるようにしてあげる賢い子」より、法廷ではずっと通りがいいんだ。

ぼくたちはEUで、EUCD(EU著作権管理)の有害さに歯止めをかけるようできることに取り組んでいるし、また、政治家には、彼らがもたらしてきた損失を分からせようとがんばっている。EUCDがもたらしうる問題を彼らに事前に伝えることができるなら、ぼくたちは、そういった濫用を阻止し、これを改正させるような更なる法律の枠組み作りに力を貸すことができるんだ。

EUCDが引っかかるとわかっていれば、そいつのずっこける場所にあらかじめ針の山を仕掛けておいて、通りかかったときに足を突き出すようにする方が、正面からぶつかっていくよりもずっと簡単だ。ぼくたちには、すでにいくつか興味深いポインタがある。最近の裁判では、裁判官は、この法律は悪いヤツらに好意的だと認めたが、でも公けに言うには、もし他のやり方が取られていたとしたら、彼らには防衛策がなくなってしまっていただろう、と。そんなところから、ぼくたちはいかに反撃すべきか妙案をいくつか得ている。

より詳しくは、www.eurorights.orgwww.fipr.orgを見てくれ。

今のところは、ぼくはイギリスに留まるつもりだ。EUCDとは壮絶な戦いをするのが、ぼくの役目なんだ。ちょうどアメリカ市民が、アメリカが高くあろうとする価値を信じるなら、DMCAと戦わねばならないのと同じようにね。コピー防止体制を打ち破るためにアメリカの愛国心を持ち出す道を見つけ出す者が出てくるかもしれない。そんなことがあったらだいぶ愉快な公聴会になるだろう。

ゆっくりだが政治的な推進力が変わってきている。全体としては、ぼくが思うようにではなくね。ヨーロッパよりも国際条約よりも、国家を優先すべきという主張をするヨーロッパの政党が、もっともっと多くの票を集めている。悲しいことに、そういった政党はまた、人種差別や外国人の本国送還を主張していたりするのだ。政権政党は何が進んでいるのかを認識することが、たくさんの理由で、非常により重要になってきている。そうしなければ、差別主義者が本当の権力を得てしまうという本当の危険があるのだ。なぜなら、こういった他の極めて重要な政治的転換にひとびとが投票をしようにも、彼らだけになってしまうかもしれないからね。

2) あなたの政治的なゴールは?
by Capt_Troy

DMCA論争であなたが目指しているゴールは何ですか? どのようにそれを達成するつもりですか?

個人的には、時が経てば、人々はもっともっと技術に詳しくなり、いつかはDMCAの不条理さが今のように技術オタクだけでなくもっと広く公衆に晒されると思います。ですから、愚見はありますが、論争を終わらせる方法は一般大衆を教育することだと思います。これは、あなたの目指すところですか?

アラン:

究極的なゴールは、著作物保護という著作権者の権利と、その保護が限定されており公共の利益にとって害とならないという公衆の権利、という両方の中庸に見出されなければならない。著作権とは、政府の検閲と軍事目的にでっち上げられたものだった。今やそれは社会に役立てるためのものとなったし、アメリカもそのような形で使うよう習慣づけてきたのだ。著作権は、社会の役に立つものであり続けるのが肝要なのだ。

本当のところは、DMCAは著作権侵害を食い止めることには全く役立たずで、ただ技術革新を妨げるだけのものだ。何かにかけられたプロテクトを破るのは一人でできる。それでおしまいだ。そういう輩はどこにでもいようし、アメリカの法ではなかなか及ばない。ただ、そういったものを配布するやつらと渡り合うことはできる。実のところ、何かのコピーをインターネットで手に入れるためには、それを見つけられなければならないわけだ。君にできるなら、規制当局にだって見つけられるはずだ。

不正利用される可能性のあるツールを作った者ではなく、実際の罪を犯した者こそが処罰されるよう、ぼくたちは的を外さぬべきだ。DMCAの「論法」が他の領域に適用されたら、どんなアメリカ市民にも容赦のない条文ができあがってしまう:

コピー機はコピーに利用されるおそれがある ―― 禁止し、図書館を規制のこと
タイプライターはコピーを作るのに利用されるおそれがある ―― 従って免許制にすること
ウェブサイトは違法な出版に利用されるおそれがある ―― 免許制ないし検閲導入のこと

こうして君は昔のスターリン主義の政治体制を彷彿とさせる状況に置き去りにされる。

アメリカにおける"SSSCA mark 2"(セキュリティ・システム標準と認証に関する第2法案)とデジタルTV権の問題は非常に似通ったものだ。デジタルTVの方は、アメリカで無料デジタル放送の暗号化を極めて制限している事実により混乱をきたしている。そのへんをより単純化したここイギリスではそんな規制はなく、デジタルTVカードを手に入れることができる。イギリスで暗号化放送をやろうとした業者は見事に破産したが、それは市場原理が機能した結果である。

SSSCAの方も市場原理と分別で解決されるところを、ぼくは見たいと思っている。暗号データだけが入力可能で、ユーザ単位で著作権管理をするためのスマートカード・スロットが付いていて、SVGAアナログ・オーバレイ/アナログ出力端子を持つ、PCIかUSB2接続の改変防止機能付きハードウェアを、ハリウッドの連中に自分で作らせるのだ。市場が正しければ、彼らはそんなハードウェアを売るかばらまくかして映画で利益を得られるだろう。クラッカーに破られずに長持ちするソフトウェアなどないのだし、実のところ、Windowsのデジタル・メディア・プロテクションのような、ソフトウェアだけに頼る手法がまやかしにしか過ぎないことは、VMwareなどによって証明済みだ。仮想PCのオーディオ出力をなんのことなく録音できるのだから。

改変防止機能付きハードウェアなら、プログラミングに必要な情報を全て公開することで、どんなOS上でも動作して映画を再生できるようにもできる。そうすればそんなクラッキングに興味を持つ人の数を99%削減できるだろう。

政府には介入させないでおくべきだ。ハリウッドもアメリカ政府も(実のところどの国の政府も)、テクノロジーや技術革新に上手に干渉できたためしがない。"SSSCA mark 2"はそもそも、映画業者たちによる、自分たちの製品を売るために使いたい技術の費用を他人に肩代わりさせようという試みだ。これは権力の使い方として全く皮肉にも間違っている。やる価値があることだというなら――彼ら自身に金を払わせればいいのだ。

公衆を教育するには、公衆がきちんと読み、かつDMCAを悪と認識するメディアにつてがあるという前提が必要だ。つてはない。メディアの帝王たちはそういう法律を生み出すのに加担してきたのだ。だから、その手法では達成に非常に時間がかかるし困難だろう。人から人へ伝えていくしかないから。

3) マイクロソフト.NETとLinux
by SL33Z3

マイクロソフトの.NETと、その技術をLinux上で動作させようという動きについて、あなたはどうお感じですか?

アラン:

マイクロソフトは、.NETにはクリティカルな部分に特許があり、それを行使するつもりがある、と公式に述べている。もしきみが、.NETが良いアイディアだとか、.NETのクローンを作ることが良いアイディアだと思っているなら、その技術が寄生されるのを彼らが十分面白がって許してくれないかぎり、それでアメリカの市場を掴めることはないということを忘れないでおくことだ。さらに、もしきみがマイクロソフトを信頼できると思っているなら、彼らの最近のSambaに対する行動を見てみるといい。

.NETのシステム自体には技術的に若干興味深い。これは、またひとつの仮想マシンで、能力においてはpicojavaとほぼ等しい。それは興味深い方法でIDLを自己生成するが、マイクロソフトの資料によれば、全てのプログラム言語が動くわけではないという。

このなかで、より危険な部分は、.NETにはあまり無いが、.NET製品だけでなくJava標準も依存するようなモデル群にあるのだ。例えばxmlrpc, soap等のようなものは、「ファイヤウォールを越えて相互作用する」ようにデザインされている。より的確な言い方をするなら、「会社の監視活動を妨げるという点で、ナイフでバターを切るがごとくファイヤウォールを越える」ということだ。

すべてが暗号化されたSSLセッションであるとき、きみは、関連のある会社とのeビジネスの一部か、社内の誰かが全社の顧客データベースをあげているのかを、どうやってわかると言うんだい?

4) OSSコミュニティを行動に向けて組織する
by akb

フリー・ソフトウェア・プログラマとその取り巻きのコミュニティは、ほぼ間違いなく、世界で最もヒエラルキーなく組織化された草の根の支持基盤です。何万人もの開発者と何百万人ものエンドユーザが、sourceforgeやslashdotや無数のLUGなどの場を通じて緊密にネットワーク化されたコミュニティです。LinuxカーネルやDebianディストリビューション、あるいはインターネット自体の背後にある技術のような、規模と複雑さがあるプロジェクトを生み出せるということは、このコミュニティの組織能力の高さの何よりの証明です。

ソフトウェアの開発とサポートと配布には信じがたいほどの組織力が発揮されるにも関わらず、それが政治の領域に移されることはほとんどありませんでした。かのローレンス・レッシグ教授も最近のslashdotでのインタビューでそのことを叱っておられました。

社会正義や権力の権力の公平な分配に向けての伝統的な政治キャンペーンを組織する人々は、私たちのような形で組織された支持基盤をよだれを垂らして欲しがることでしょうね。どうすれば、この技術的な分野での効率的な組織力を政治の領域に移すことができるでしょうか?

アラン:

最も組織化された草の根の支持者たち、ですか。程遠いね。エリート主義の、むしろ怠惰な烏合の衆ってところだ。大衆とか政治権力とはちっともかぶるところがない。教会だって、フリー・ソフトウェア界の人々がそんな性質を主張するのを聞いたらさぞかし笑うことだろうね。その辺のレコード・ショップに入って"Tipper Gore"(※ゴア夫人が行った、青少年に有害なロックのCDにその旨のラベルを貼れというキャンペーン)と言ってみて、もし命が助かっていたなら、何のことか分からない人の割合を数えてみよう。同じように、PCworldみたいなコンピュータ・ショップに入って、今度は"EFF"と言ってみよう。世間の本流の興味はそんなところにはないのだよ。

そんな状況を糺すには、重い腰をあげて立ち上がり、政治家に手紙を書き、代案を提示し、大手新聞社に手紙を書き、主張を訴えるイベントを組織することだ。残念なことに、代わりに誰かが立ち上がってくれるだろうから大丈夫だとみんなして思っているのだ。

全員が立ち上がって行動してこそ変化は勝ち取れるのだ。ガンジーは独りでインドを解放したわけじゃないし、女性が投票権を手に入れたのは、ひとりの人が首相の執務室に電話して頼んだからじゃないのだ。同じことは、もっとささやかで重要度がそれほどでもない目標についても言えるのだ。

5) 廉価な「オープン」ハードウェアの終焉?
by I91MM

私たちのようなPCハードウェア・ハッカーにとって、これからの10年から20年はずっと難しいものになってくると思います。というのは、平均的な(デスクトップ)PCはどんどん一体化される方向で、簡単に交換できるカードの集まりからクローズドな「ブラックボックス」に向かっているためです。メーカーは一体化によってコストを削減しているために、これは特に下位のPCでは避けがたく、それに伴って拡張性のあるハードウェアは、より高価に、そしてどんどんハイエンドの方に押しやられてきています…。

特に下位の機種についての、このような「オープン」なハードウェアから離れていく傾向がオープンソースの開発にどう影響すると思われますか? コンピュータがどんどんなぞめいたブラックボックスと化していく中で、明日のハードウェア・ハッカー予備軍は、より一層ソフトウェアやアプリケーション開発の方に向かってしまうとお考えにはなりませんでしょうか? そしてそのことがオープン・ソース・ソフトウェアにとって主に良いことになるのか、主に悪いことになるのか(つまりアプリケーションやシステム・レベルのプログラマがふえて、ハードウェア・レベルのプログラマが減るという状態)を、どうお考えでしょうか?

アラン:

デスクトップPCはもうすでにほとんどの人たちにとって過去の遺物だ。高い柔軟性のあるシステムなんてものは、扱いにくいだけだし、作るのに高くつくし、信頼性のあるものに仕上げるのは難しい。それにPCは騒音を撒き散らすし、個人のデータなどを失わずに、買ってきた状態にリセットするのは難しい。

中の見えない低コストPCというのは不可避であったし、そしてそれはコンピュータをあるステージへと押し上げるのにたいへん必要だったのだ。安全にするのはずっと安価に実現できる。ユーザがねじ回しで内部を突っついたりできないようにして、そして小さなアンテナよろしくボードから出ているようなコネクタを使わないようにと、改善すればいい。

つまり、ぼくは全てのカスタム・ハードウェアが高価になるとか、また、カードを刺すことができなくなっていくことは問題だとは思っていない。もし、システム全体が新しいカードより安ければ、それは、コストの問題ではなくて、真剣なリサイクルの問題となるわけだ。それに多くのエレクトロニクスのハッカーは、USBのようなものも遊び甲斐があると考えている。USBデバイスを書くことは難しくないし、楽しい電子デバイスをPCにつなぐには非常にもってこいのものだ。デバイスの電源すら供給してくれるしね。

一部のメーカーでは、非標準の外部コネクタなどを用いて、コンピュータに手を加えるのをわざと困難にしようとしている。ただし、市場の力で、以前のラップトップ・ドッキング・ステーションの轍はもう踏まないようにしてくれるよう、ぼくは期待している。

ぼくはまた、こういう中が見えない箱が、フリー・ソフトウェアにいう「オープン」さに欠けるハードウェアとなるとは言い切れないと思っているし、それどころか利点にもなると考えている。もしシステムの一体化が大きく進めば、どのOSのベンダーにとってもドライバなどを扱うのはより容易になる。書くべきドライバが少なくてすむからね。仮に箱を開けてねじを外してみたところで、半導体なんて、マニュアルなしで理解できるようなものじゃないんだしね。

確かにこれは十分なハードウェアの経験を積んだプログラマの数を減らす方向に向かうかもしれない。でも同時に、次に来る重大な問題に取り組めるプログラマをふやしているということかもしれない。――例えば、ユーザ・インターフェースとか、セキュリティ・モデルとか、あるいは、今日のウェブ・サービスとかいうクズを、たとえば拡張性があってしっかり動作する何かに置き換えるという問題にね。

6) フリー vs. 営利
by div_2nによる

OpenOffice.orgといったフリーなソフトウェアが絶えず改良を重ねているのにつけて、フリーなソフトウェアが受け入れられるほどに使えるほどに成熟した選択肢となり得るすると、商業的なソフトウェアはフリー・ソフトウェアの世界ではどんな地位を占めることになるでしょうか?

アラン:

プロプライエタリな製品の割高な値段を正当化するようなビジネス・モデルを所有しているひとたちに、ユーザへの便利さの点で、また彼らへの開発コストの点で、それはまさに降りかかってくる。

そういう等式が意味を持つことだってある。例えば、ぼくはNvidiaのカーネル・モジュールについて人々から寄せられるバグ・レポートを削除するのに辟易している。ぼくは、Nvidiaの人たちに、対応したらどうかと話したことがある。結論としては、ぼくは、彼らがそれをオープンソース化することには賛成できない。そうすることでライバルに比べてパフォーマンスに影響がでるかもしれないと、彼らが心配するのは十分に根拠があるのだ。

マイクロソフトの独占や特許の濫用や不当な圧力に対して政府が適切な対応ができたとすれば、市場は収拾を取り戻すことになる。いまや、それは市場を導く「見えざる手」ではなくて、「ロビイストの長靴(※威圧・強圧の象徴)」なのだ。

7) アゴヒゲ?
by WinstonSmith

私は8才のときからコンピュータでプログラミングをやっています。今29才です。21年の「経験」があるのです。しかし、最近気付いたのですが、「偉大なプログラマ用アゴヒゲ」を生やさないと、「ビッグ」にはなれないようです。アゴヒゲがなくても賢いUNIXの導師になれると思いたいのですが、でもアゴヒゲを生やせば事はずっと簡単だと思います。それもなるべく大きなやつをね。

私の質問: ワイフが「偉大なプログラマ用アゴヒゲ」を生やすことを許してくれないのですが、そんな私がUNIXの導師たちの世界でビッグになるにはどうすればいいでしょうか?

アラン:

変装キットを試してみたらどうかな。糊でくっつけるアゴヒゲとかあるでしょ? ともあれ、ワイフの方がアゴヒゲよりも大切だときみが判断したのは嬉しいことだね。

リーナスが、アゴヒゲなしでも世界を変えられるという証明だ。たとえ偶然の結果であってもね。ぼくの意見では、UNIXの導師になるには2つのことをしなくてはならない。まず、システムと哲学についてよく知ることだ。「V7が最後の本物のUNIXだ」と宣言し、自分の主張を正当化できるようになれば、しめたもの。次に、活発に、その知識を他人に教え助けること――それによって自分の知識を計り知れないほど深めることができる。自分の知識の欠けている部分を明らかにしたければ、誰かに教えてみることだね。

8) Linuxの将来
by halftrack

KDE3の登場により、ユーザーフレンドリさも向上し、MandrakeやLindowsのような「シンプル」なディストロも現れました。もし、Linuxがメインストリームになったとしたら、Linuxの開発やオープン・ソース・コミュニティが何らかの形で悪影響を受けることがありうると思いますか?

アラン:

Linuxは組み込み業界やサーバ業界では既にメインストリームだ。疑うなら、ウォール・ストリートの巨大企業の中でLinuxを使っているところを調べてごらん。

デスクトップはまだまだやりがいのある分野だけれど、実のところメインストリームになるかどうかは「問題」ではないと思う。もちろん、ユーザ・インタフェイス・ライブラリの方向からLSB(※Linux Standard Base)の標準化作業を進めるように圧力をかけられるだろうけど。

このOSをぶち壊しにしないという意味で、ずっとやりがいがあるのは組み込み分野だ。サイズの制限は大した問題じゃないけれど、非常に良好なリアル・タイム・レスポンスを目指すことが矛盾を引き起こしかねない。これらの問題解決はもちろんデスクトップ分野にも役立つだろう。

9) 一番恐れるべきことは何か?
by jmv

オープン・ソース・コミュニティを、さらにはソフトウェア産業全体をすら脅かすような災いが多数あります。例えば、ソフトウェア特許、DMCAの類、言いがかり訴訟、MSの弱いものいじめなど。このようなもののうち、どれが一番危険だとお考えでしょうか? そして、それと戦う最良の手段は何だとお考えですか?

アラン:

ほとんどのものは、きみが住んでいる国しだいだ。例えば、米国や西ヨーロッパが、長い目で見てソフトウェア開発に向いた場所だとはぼくは思っていない。賃金は高すぎるし、馬鹿げた (公正でないという意味でね) 官僚主義や支出が多すぎる。

ソフトウェア特許と言いがかり訴訟の根は同じだ。米国特許庁の認可した下らない特許――例えばウェブ・ログを集めてソートするようなヤツ――を見れば、混乱がいかに広がっているのかが分かると思う。幸いなことに、今やみんなして、特許審査官さえも、アメリカ政府にこのことを訴え出すようになってきている。物事をあるべき姿にするには、大掛かりな粛正と政治的意思も必要となってくるだろう。

マイクロソフトの連中は確かに脅威だ。連中は手首をぴしゃりと叩かれると、まるで聖人君子に見えるようにと訴訟後には振舞いだすのだ。アメリカとしては、彼らを再度法廷に引き出すことは政治的に許されない。連中は手首の痛みから学んでいるし、これまで株主への配当を避けてきたことが、彼らに莫大な現金と力を与えている。アメリカでは、通常の企業は利潤の80%以上を株主への配当に振り分けているものなのに。(※MSでは11%でした。

その連中が、Linuxを非アメリカ的だと主張しているのは実に皮肉なものだ。彼らが300億ドル以上の現金の山から普通の会社のように株主配当を出したとしたらそのときに発生するであろう税金の額を計算してみるといい。アメリカのセキュリティ・サービスの現場にいる雇用者たちにその金を与えて、答えの分かりきった質問をしてみればいいのだ。

10) 他のご趣味は?
by gosand

Linuxはおいておくとして、ほかのことにも興味がありますか? 「導師」の地位を得るには、ひとつのものごとにかなり専念しないといけないのは知っています。そはいっても、他にも何かお好きなものがあるのでしょうか? それとも、Linuxカーネル・ハッカー100%なのですか? 先日、あなたがハーレーに乗っているのを見たんですけれども。;-)

アラン:

他にも興味を持たないのに導師の地位が得られるものだとは、ぼくは思わない。自分の窓から外を見てないとしたら、自分の仕事に直接関わってくる有益なことをかなり見落とすことになるのだよ。

実際ぼくがやっていることはいろいろだ。ここ2~3週間は、イルミナティで遊んでいて、ぼくの世界征服のスキルを磨いていた。(2回やって、1回は勝利、もう1回は共同勝利。)それと、家具を探していた。来週は、植物の植え替えになるかな。それで、ぼくのスパイダープラントのひとつが枯れそうになっている理由の解明に取り組みたい。

ぼくも、自分が年をとってきているのが分かっている。人生にはいつか家具カタログのようなものがおもしろいと思えるようになるときが来るのだ。ある友人が、これを簡潔に、「自分に電動工具を買いたい衝動があるのが分かった」と言っていたっけ。

といいつつも、ぼくがハーレーに乗っているのを見たということはないと思うよ。ぼくは、バイクに入れ込んだことはないし。母親はずっと昔、ぼくがバイクなんて買ったらそんなもの粉々にしてやる、と宣言した。(近親者は、バイクの事故で足を一生ひきずるような結果になっているし。)落馬したことがあって十分痛い思いをしたし、鉄の馬にも乗らないよ。"

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海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs

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