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量子コンピュータへの道:2ビットの論理演算に成功 36

ストーリー by Oliver
部品はそろいつつある 部門より

take0m 曰く、 "asahi.comによると、NECと理研のグループが、半導体を用いた2個の結合状態の量子ビットを各々自在に制御できる素子構造と、制御付き否定ゲートと呼ばれる2ビットの論理演算の動作に成功したとのことです。NECのプレスリリースと、理化学研究所のプレスリリースも出ています。
1999年にNECが超伝導体を使った固体量子ビット1個の回路動作に世界で初めて成功し、2003年2月にはNECと理研が量子ビットを2個結合させた素子を用いて量子絡み合い状態の生成に成功。そして10月に2ビットの論理演算を実現、と遅かも知れませんが着実に進んでいますね。今後量子ビット数が増えると、状態の維持がどんどん困難になっていくのでしょうけど、期待が持てるかなぁ。核融合とどっちが実現はやいかなぁ。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2003年10月30日 16時12分 (#423927)

    都合の悪いことはあまり書かないものなんですな。 日本工業新聞の記事 [jij.co.jp] を読むと、

    ただし、2量子ビットの位相がそろっている時間は現在はわずか200ピコ秒(0.02ケルビン冷却時)で、結合のためのパルス幅の2倍にすぎない。今後は結合時間を延長する「(外乱から守る)傘のようなものが必要」(蔡リーダー)という課題を解決する必要がある。

    と書かれていたりします。

    •  研究段階のものなんだから課題が多いのは当たり前だと思うし、
      そんな『都合の悪いこと』だなんて思わないけどなぁ。どの辺り
      が都合が悪い事なのかな?
      --

      (I can't get no) satisfaction
      親コメント
      • 自分が量子コンピューターに対応出来ないから。
        下手に実用化されると新しく物事を覚え直すなり
        自前の製品が売れなくなるなるなりなってしまう立場にある方、とか。
    • 一番の技術的課題に関してプレスリリースでふれてない からでしょ。この手のリリースはグラントのためという 意図があるので、インタビューされない限りはそういう ことって出したがらないんだよなぁ。

      # え、でも、そんなことも分からないのか?

  • 「固体素子で」2qubitの演算に成功したのがポイントで、固体素子じゃなかったらIBMの研究所がもっと大きなqubit数で演算に成功してたはず・・・と思って調べてみたらありました。
    IBM、試験管内の量子コンピューター実験に成功 [ibm.com]
    4qubitという風に覚えていたのですが、7qubitまで到達していたようです。
    • NMR量子計算での観測量はエンタングルメントではなく
      アンサンブル平均なので、量子計算と認めない人もいます。

      Nature掲載の論文PDFがWeb上にあったはずなのですが
      見付からないのでプレプリントサーバから。
      arxiv:quant-ph/0112176 [arxiv.org]

      7qubitの論文と5qubitの論文で使った分子はほぼ同等なのですが、
      同位元素を使ったことでqubit数を上げていました。
      ただしNMRのppmも有限リソースなので、
      これ以上qubitを稼ぐことはもうかなり難しそうです。
      そろそろ新たなブレイクスルーが必要でしょう。
      親コメント
  • 参考資料 (スコア:3, 参考になる)

    by aji (7257) on 2003年10月30日 23時33分 (#424147) 日記
    東京電力の出している科学雑誌(かな?)ILLUMEの最新号の巻頭特集 [tepco.co.jp]がこのチームの書いた量子コンピュータの解説でした。

    注文すればまだ手に入りそうです [tepco.co.jp]。
  • NEC以外にも (スコア:2, 興味深い)

    by nidak (2008) on 2003年10月30日 16時31分 (#423935) ホームページ 日記
    1991年にヘッドスタートを切った富士通カンタムデバイス [fujitsu.com]や、
    1993年にIBMが作った量子物理学研究チーム [ibm.com]が今現在、何をして
    いるのか、気になるところ。

    っていうか、IBMのサイトにある量子テレポーテーションの話が、とっても
    アレゲ過ぎて、素敵。
    --

    There is no spoon.
  • by meta-o (11572) on 2003年10月30日 18時13分 (#423993)
    2 qbit: 2量子ビット
    2 quit: ふたり辞めた
  • by Anonymous Coward on 2003年10月31日 10時38分 (#424403)
    ( CRYPTO2000レポートより抜粋 [iij4u.or.jp] )

    その中で今年の目玉は、この量子公開暗号の発表だったといえるでしょう。

    Quantum public-key cryptosystems
    岡本龍明, 田中圭介、内山成憲
    NTT 研究所

    量子物理学の技術を応用した、量子コンピュータという計算機のモデルがあります。1つの量子が複数の状態を持つことを利用して同時にいくつもの状態をつくり出そうというものです。現在のコンピュータの持つ0,1の値を持つビットに対応するのが、量子コンピュータではキュービットです。このキュービットが0,1の値を取るとして、このキュービットが10個あれば2^10の状態を同時に持つことができます。一方、同じことをビットで行おうとすると2^10回の計算を行う必要があります。簡単なモデルにして比較すると、キュービットが20 個あれば2^20倍の速度、30個あれば2^30倍、1024個あると2^1024倍も現在のコンピュータより速く計算できます。ただし実用にはまだ30年や50年はかかるでしょう。

    もうちょっと詳しくモデルを解説しましょう。ちょっとコンピュータ科学をかじった人なら、私達の現在使っているコンピュータはチューリングマシン(TM : Turing Machine)と呼ばれる計算モデルであるということは知っていると思います。チューリングマシンは無限の長さを持つテープが一本あって、それを読むヘッドがあります。量子コンピュータでチューリングマシンは、量子チューリングマシン(QTM : Quantum Turing Machines)といい、キュービットが1つ増えると、並列にTMがもう1つ出来ると考えます。 現在の主流となっている公開鍵暗号の安全性は、RSA方式のように素因数分解を行うのが難しい、あるいはElGamal方式のように離散対数問題を解くのが難しいといったことを拠り所としています。しかし、1997年にQTMを用いれば簡単に問題が解けてしまうということがShorによって示されました。もちろん現在は実用的な量子コンピュータは存在しませんが、将来、実用的な量子コンピュータが現われた時点で、現在の公開鍵暗号は崩壊します。そこで、現在の公開鍵暗号に代わる新しい暗号が必要になります。

    既に「量子暗号」というアイデアがありますが、これは一本の光ファイバ上で盗聴されているかどうかを検知するというもののためインターネットのように色々なネットワークを経由するようなものでは使えません。また、この量子暗号は「守る」ということではなく「盗まれたことを検知する」という方法なので、もし、通信路を流れるデータがすべて盗聴されている場合には、この通信路は使えないということがわかるだけで、それ以上のことは出来ません。

    量子公開鍵暗号

    この量子公開鍵暗号( QPKC : Quantum Public Key Cryptosystem )は、防御側が公開鍵暗号の「鍵のパラメータ」を作るために量子コンピュータを利用します。さて、今回提案された岡本・田中・内田(OTU : Okamoto-Tanaka-Uchida ) のQPKCは「TMでも解くのが困難な問題はQTMでも解くのが困難だろう」という仮定をおいています。専門的な言い回しをすると「QTMでもprobabilistic polynomial time algorithでNP-complete problemを解こうとすることはhard、あるいはNPはBQPに含まれないと推論される」となります。これは理論的な証明されていませんが、多くの研究者が、たぶんそうだろうと考えています。

    そこでNP完全問題(NP-complete problem)を利用するような公開鍵暗号方式を使えば、量子コンピュータが存在していても安全だろうということです。NP完全問題といえば、巡回セールスマン問題やナップサック問題などがよく解説されますが、かつて、公開鍵暗号の方式としてナップサック問題を応用したナップサック暗号というのがありました。この方式は1970年代後半から80年代前半に流行った方式ですが、1982年にAdi Shamirがそれまで提案されていたナップサック暗号は安全ではない(多項式時間内に解ける)ということを証明しました。

    理論上は離散対数問題を解いて公開鍵と秘密鍵で利用する鍵パラメータを作るという方法がありますが、これは通常のコンピュータでは非現実的な方法です。なぜなら離散対数問題を解くということ自体が今のコンピュータでは極端に大変なのです。ですから離散対数問題を使った公開鍵暗号方式が成立しているのです。このようなわけでナップサック暗号は、はるか過去の話になっていました。若い暗号研究者などは名前は聞いたことがあっても、アルゴリズム自体は知らないというのもざらです。ナップサック暗号の解説書も滅多に見かけることもなく、筆者の知っている範囲でナップサック暗号を初学者向けに解説している本はアルトサロマーの「公開鍵暗号系(東京電機大学出版局 1992)」ぐらいしか知りません。

    さて、これですべ

  • by Anonymous Coward on 2003年10月30日 17時34分 (#423980)
    暗号関係者にとって、これほど嬉しくないニュースもないでしょうね。
    • by Anonymous Coward
      まあ、同じ技術で更なる暗号を考え出すでしょう。
      飯の種が増えていい事なんじゃないのかな?
      • by take0m (4948) on 2003年10月30日 17時44分 (#423985) 日記
        そうですね。
        新しい、より安全でより高価な暗号へ遷移してもらうためには、今の暗号がもはや安全ではないことを示さなければなりません。しかしそれは、10年前はかなり安全であったものですから、商売的には技術の進歩が待ち遠しいはずです。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      いや、量子暗号 [keyman.or.jp]の実現性も出てくるわけだからそうでもないぞ。
      • by zeissmania (3689) on 2003年10月30日 18時16分 (#423996)
        そうなるとこれまでの数学による暗号で飯食ってる人達の仕事がなくなるわけで。
        親コメント
        • Re:暗号が…… (スコア:2, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2003年10月31日 3時25分 (#424281)
          仮に実現できたとしても量子暗号があらゆる側面(頑健性、必要なハードウェアやセットアップ、運用上の前提条件など)において万能って訳じゃないから、依然として旧来的手法による暗号も使われ続ける。公開鍵暗号が数学的に美しくても、依然として共有鍵暗号も使われ続けているのと同じ。つか、このひと量子暗号が何なのかまったく理解していないに違いない。
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        • by signed-coward (17953) on 2003年10月31日 0時54分 (#424213) 日記
          数学の、特に数論に関係した未解決問題はまだたくさんありますから、
          暗号にこだわらなければまだまだ研究テーマは(意欲があれば)大丈夫かと思います。
          量子コンピューターによって、数学の(現在の段階で)未解決問題が
          いくつか解かれてしまうのかもしれませんが、
          それでもまだまだ数学が研究に値するものであることは変わらないでしょうし、
          ひょっとすると、量子系を活用した新しい数学研究だって出来るかもしれないですよ。
          #ひょっとすると、もうあるのかも。

          わたしの知る範囲では、暗号系の研究をしている人で、暗号系「しか」してない人ってあまり聞かないです。
          #まぁ、アカデミックなあたりでの話なので、産業レベルではそうでもないのかもしれませんが……(汗)
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          市場の変化に追従できない落後者が食っていけるほど世の中甘くないぞ。
    • by Anonymous Coward
      あくまで素因数分解がコストが低くできるようになるって
      だけなんでは。
      それがゆえに公開鍵暗号方式の強度が弱くなるってだけで。

      十分な鍵長と安全な鍵交換方法があれば共通鍵暗号を
      量子コンピュータで簡単に破られるわけではないと思うけなあ。
      量子暗号だってあくまで鍵交換だけで実際のデータ転送は
      共通鍵でやるだろうし
  • by Anonymous Coward on 2003年10月30日 23時35分 (#424148)
    1 0 0 0
    0 1 0 0
    0 0 0 1
    0 0 1 0
  • by Anonymous Coward on 2003年10月30日 23時47分 (#424157)
    ところで、量子コンピュータの超並列処理をフルに生かすためのアルゴリズムの
    研究は進んでいるのでしょうか?

    因数分解は高速にできると聞きますが、他に何か特技はないのでしょうか?
    • by Anonymous Coward on 2003年10月31日 0時36分 (#424203)
      一応進んではいます.
      有名どころではGroverのアルゴリズムとか.多数のデータ列の中から
      条件に合うものを高効率で発見できますんで,データベースの検索だの,
      類似データの抽出などに使えると期待されてます.
      他には,量子スピン系などの量子系の物理計算用アルゴリズムとか,
      Deutsch-Jozsaのアルゴリズムとか,いろいろ個別の問題については
      提案されとります.
      それとNTTの基礎研あたりでは,汎用の量子コンパイラ(問題を定義すると
      解くための量子アルゴリズムを構築してくれる)の研究もしていたような.
      #とはいえまだまだ発展途上の研究ではありますが.
      親コメント
      • >有名どころではGroverのアルゴリズムとか.

        これは面白そうですね。
        量子コンピュータらしい特技になりそうな感じですし。

        >汎用の量子コンパイラ

        コンパイラの研究も始まっているのですか・・・。興味津々。

        どっちにしても自分が生きているうちに計算している雄姿を見てみたいものです。
    • カオス理論の実用化が進みそう。

      カオス圧縮を待ち望んでます。
      親コメント
      • そういえば以前にカオスを使ってプール演算?をするコンピューターが考案されて
        いたような記憶もありますが・・・。

        カオスの性質を利用したコンピュータの考案はよく聞きますが、カオスを使って
        汎用コンピュータ?を作ろう、というのは新鮮でしたね。

        あれもどうなったのかな・・・
        • >そういえば以前にカオスを使ってプール演算?をするコンピューターが考案されて
          >いたような記憶もありますが・・・。

          bool(ブール)演算ではないかと…

          # まったく事情は知りませんが
    • いま特許とっても(とれたとして)、
      実用化される頃には特許がきれそう。
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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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