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お金

Wal-Martに生殺与奪を握られるアメリカ音楽産業 91

ストーリー by mhatta
お金の切れ目が縁の切れ目 部門より

pinbou 曰く、

本家/.の記事より。Rolling Stoneが、世界最大のスーパーマーケット・チェーンであるWal-Martと米音楽産業との関わりについて興味深い記事を掲載している。

Wal-Martは世界最大の小売業であると共に、アメリカ最大の音楽小売業者でもある。今や「メジャーレーベルのアルバムCDのほぼ5分の1」はWal-Martで売られているそうだ。Wal-Martは家電販売等の客寄せのため、仕入れ価格が12ドル程度のCDを10ドル以下で売っているが、記事によれば最近は「赤字にうんざり」しているらしい。そこでWal-Martは、メジャーレーベルにCDの仕入れ価格を10ドル以下まで下げることを要求し、さもなくばCD売り場をDVDやビデオゲームの売り場に変えてしまうと通告してきたそうだ。Wal-Martのスポークスパーソンは「レコード業界はビジネスモデルを改良しなければなりません。お客さまこそ究極の裁定者なのです。そしてお客さまは、現在音楽が適切に価格付けされているとは考えていません」と述べている。

米音楽産業には、Wal-Martの要求を無下に却下できない事情がある。ある音楽産業の重役によれば、「Wal-Martでの売上は、メジャーレーベルの音楽売上のほとんど20%を占めている。逆に、Wal-Martにとっては音楽の売上は全体の2%程度に過ぎない。言い換えれば、Wal-Martが音楽CDを売らなくなっても、彼らにとっては痛くもかゆくも無いということだ。心配で夜も眠れない」。別の関係者は「本物のビジネスパートナーだった音楽専門のショップと違い、Wal-Martは個々のアーティストやマーケティングプランへの長期的な関心がない。Wal-Martでは私たちは大量消費財に過ぎず、歯ミガキなどと一緒に陳列棚のスペースを争わなければならないのだ」と述べている。

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  • 日経IT Proのコラムを読んで実感しました。
         ↓
    【不思議の国アメリカ】何でもありの返品制度が築くゴミの山 [nikkeibp.co.jp](2007/07/05)

    【不思議の国アメリカ】永久に受け取れない「特売の割引金」 [nikkeibp.co.jp](2007/08/09)
  • 古い (スコア:4, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時16分 (#1320124)
  • by mola (29791) on 2008年03月27日 9時37分 (#1320135)
     週刊アスキーに連載されている歌田明弘のコラム『仮想報道』で、ちょうどこのウォルマートの話題が取り上げられています。(先週分と今週分)
     
     コラムの内容は1週間遅れで歌田氏のブログに転載されるので、先週分はこちら [a-utada.com]で読むことができます。
    • by simon (1336) on 2008年03月27日 12時19分 (#1320255)
      TBSラジオ『ストリーム』のコーナー「コラムの花道」で町山智浩氏が以前
      WAL-MARTについてのドキュメンタリー映画『タイトル』についての話をしてました。
      http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20051129.mp3 [cocolog-nifty.com]
      (2005年11月29日放送分)

      簡単に要約すると

      ・地域の物価を下げることを経済学用語で"WAL-MART effect"と呼ぶのだそうで
      ・WAL-MART正社員の平均年収が19340ドル。(日本円にして200万円以下)
       アメリカでの貧困家庭の基準は19350ドル以下。社員の半数が「貧困層」。

      ・彼らはなぜそのような低賃金で働くのかというと、大型ディスカウント店が
       出店地近郊の小売業を破壊しつくしてしまい、労働者は働く場所がWAL-MART以外なくなって
       しまっているので彼らはそこで働くしかない。

      ・社会保障では社員向けにWAL-MART自身が健康保険を売っているのだが、年収200万円の従業員だと
       年25万円の掛け金がかかる。多くの社員は高すぎて入れない。
      ・そのような病人のために州政府が年間16億ドルの医療費援助を税金からしている。
       州政府は企業の肩代わりを強いられている。

      ・アメリカは国内に貧困層を作り出さないとやっていけない構造になっている。
       巨大小売店はそういう構造を作り出している。

      とゆーことなのだそうで…

       まあ、WAL-MARTだけが悪いわけではないのでしょうが
       売り上げ2000億ドルで、小売業2位のカルフール(Carrefour)の三倍の規模ともなると
      影響力は大きすぎるわけで。
       アメリカの文化すら左右するという(例としてピルは売っていない。銃は売っている。
      いかにもキリスト教マッチョだと思いませんか)そんな巨大企業はいいことなのかなあ、と
      思っちゃったりすることは確かなわけで。

      ウォルマート一行知識:ウォルマートは中国の八番目の貿易相手国である。
      (ウ社の対中輸入額120億ドルはアメリカの対中貿易の1/10を占める)

      ウ社のモットー「第一条:お客様は正しい
              第二条:もしも、お客様が正しくないと思ったときには第一条を参照する」

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 14時54分 (#1320408)
        この現状を風刺したのがJibjabの「Big Box Mart [jibjab.com]」です。

        主人公はウォルマートを愛好し、「毎日低価格」でハッピーに暮らしているおじさん。
        しかし、おじさんの会社にも値下げの圧力が忍び寄り、工場は北京のスラムに移転され…という話。

        この教訓は、毎日低価格は高くつくということでしょうね。
        親コメント
        • 囚人のジレンマですね
          みんながウォルマートに買いに行かなければ、製造業の雇用も地元の小売店も守られるのに
          どうせ俺が行かなくても他の奴は安いウォルマートで買うんだろ
          俺だけ損するわけにはいかないとウォルマートで買ってしまうとみんな不幸になると
          親コメント
      • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 17時41分 (#1320529)
        WAL-MARTを日本の地方都市における「イオン」「ヤマダ電機」に置き換えてみても、一部の現象は日本でもみられるような気がする。

        ・郊外型で広大な駐車場をもった店舗の出店により、地域の物価が(一時的に)さがる
        ・近郊、特に駅前商店街、市街地の小売業を破壊しつくしてしまい、労働者は働く場所として郊外にでる
        ・しかしそれらの企業は正社員を雇わない。パートやバイトのみ
        ・深夜まで郊外で営業しているため、公共交通機関で通勤することはできない
        ・どんなに貧しくてもフリーターであっても通勤のためには自家用車が必要になる
        ・「車を持っているが貧困」という都市部在住者には一見不可思議なものが発生
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時32分 (#1320130)
    売り上げで2%しか占めてないにせよ、その2%で客寄せをやってるわけだ。
    CDを売るのをやめたら、他のもので客寄せをしなくてはならない。

    「客寄せは、商品を他で売られているものより、赤字にしてでも安く売る」というのがWal-Mart式なんだろう?
    CDをDVDに変えたって同じように赤字で売って、映画業界に
    「お客さまは、現在映画が適切に価格付けされているとは考えていません」
    と言ってくるに決まってる。

    「お客さまは、缶ビールが適切に価格付けされているとは考えていません」
    「お客さまは、トイレットペーパーが適切に価格付けされているとは考えていません」
    終わりの無いわがままだよ。

    Wal-Martに頭を悩ましている暇があったら、ネットワークでの販売に軸足を移す方に精をだして
    そちらで失われる20%を稼ぐことを考えたほうがいいと思うね。
    • 「客寄せのために値下げする」って理由では、

      1. WalmartがCDの仕入れ値の値下げを要求
      2. 音楽業者が卸値の値下げを承諾
      3. Walmart だけが下がるのは不公平なので、他の小売業者への卸しも安くなる
      4. 他の小売業者も$10でCDを売れるようになる
      5. 客寄せのため、Walmartは$10より安い値段でCDを売るようになる
      6. 1.に戻る

      って無限ループになりそうな気がします。
      親コメント
    • CDを売る方法 (スコア:3, おもしろおかしい)

      by k_izumi (24569) on 2008年03月27日 12時29分 (#1320268)
      一方、日本はトレーディングポスターを付けた
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 10時26分 (#1320169)
      > Wal-Martに頭を悩ましている暇があったら、ネットワークでの販売に軸足を移す方に精をだして
      > そちらで失われる20%を稼ぐことを考えたほうがいいと思うね。

      ばかだなあ。そういう体制を取れる時間はいくらでもあったのにやってこなかったところへ突きつけられた現実ですよ。我が儘とはいってもそのわがままを言えるだけの力があるわけです。ネットワーク販売を構築している時間なんか残っているものですか。だからこそ生殺与奪を握られているということなんですよ。モラトリアムをむさぼっていたツケは何らかの譲歩をすることで、あるいは大きな販売チャネルを失うことで払わされることになるでしょう。
      親コメント
  • どこがちがうのか? (スコア:3, すばらしい洞察)

    by katchon (13265) on 2008年03月27日 9時41分 (#1320137)
    「Wal-Martでは私たちは大量消費財に過ぎず、歯ミガキなどと一緒に陳列棚のスペースを争わなければならないのだ」
    歯磨きとどこが違うのかがわかりません
    歯磨きのように作り、歯磨きのように売ることで巨大産業に成長したのでは無かったのでしょうかね?

    生活に必要な点では音楽に勝るとも劣らない歯磨きと別扱いされなければならない理由がわからない
    ただ単にプロモーション方法が違うだけでしょ?

    芸術や文化の高尚さを訴えることによって経済的利益を得ていることだけでしょうかね?
    確かに歯磨きメーカーはそんなことはしませんよね
    • Re:どこがちがうのか? (スコア:5, すばらしい洞察)

      by barrel (25979) on 2008年03月27日 9時55分 (#1320142)
      根底にあるのは
      「歯磨きなんざ誰にでも作れるが、音楽は能力を備えたクリエイターにしか作れない」
      という思い込みからくる傲慢さでしょう。

      技術者が技術を過信するあまりに
      「この技術はもっと価値あるものだ、正しく評価されていない」
      と嘆くケースがしばしば見受けられますが
      音楽関係者も同様に音楽を過信しているのだと思われます。

      むしろ「売れてないのはxxのせい!」などと他に責任を転嫁せずに
      さっさと次に取り組むぶんだけ「技術」のほうがましとはいえるでしょうね。
      親コメント
      • Re:どこがちがうのか? (スコア:4, すばらしい洞察)

        by reo (4042) on 2008年03月27日 10時09分 (#1320153) 日記

        根底にあるのは
        「歯磨きなんざ誰にでも作れるが、音楽は能力を備えたクリエイターにしか作れない」
        という思い込みからくる傲慢さでしょう。
        松本零士先生ですね、わかります。 [nikkeibp.co.jp]
        --
        Hiroki (REO) Kashiwazaki
        親コメント
    • Re:どこがちがうのか? (スコア:4, おもしろおかしい)

      by unyuchan (22065) on 2008年03月27日 10時30分 (#1320173)
                       歯磨き粉  音楽
      多くの人は大量消費物とみなしている yes    yes
      多くの人はディスカウント価格で買う yes    yes
      特定のブランドに忠誠心を持つ人がいるyes    yes
      作ろうと思えば誰でも作れる     yes    yes
      人間に欠かせない物か        yes    no

      歯磨き粉の方が重要な商品だと判明しました
      親コメント
      • Re:どこがちがうのか? (スコア:2, すばらしい洞察)

        by Account-mochi Coward (34881) on 2008年03月27日 15時23分 (#1320430) 日記
        おもおかついてるけどその通りでしょ。

        コンテンツ業界は人気商売だから常に買い手市場。
        「嫌なら利用しない」という最強の切り札は常に利用者側にあるから、
        作る側、売る側の立場が強かった事なんて今まで一度もなく、これからも絶対にない。
        だから著作権とかで保護する訳で。
        --
        署名スパムがウザい?アカウント作って非表示に設定すればスッキリさ。
        親コメント
      • Re:どこがちがうのか? (スコア:1, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2008年03月27日 10時46分 (#1320188)
        あなたにとってはnoかもしれないが、yesである人もいることをお忘れなく。
        No music, No life.
        親コメント
    • by the.ACount (31144) on 2008年03月27日 13時55分 (#1320370)
      音楽と歯磨きは全く違う。
      音楽の害はうるさいだけだが、歯磨きは歯を傷める。
      (専門家に歯がしみて痛いと相談したら、歯磨きを使わないように言われ、その通りにしたら痛まなくなった)
      --
      the.ACount
      親コメント
    • by Offtopics (34135) on 2008年03月27日 21時48分 (#1320673)
      > 歯磨きとどこが違うのかがわかりません

      歯磨きは爽やかな気分にしかならないが、音楽は陰鬱な気分にもなる。
      親コメント
  • by akiraani (24305) on 2008年03月27日 11時15分 (#1320208) 日記
     全米第2位の音楽小売業者はiTunesStore [impress.co.jp]なんて話もあるし、そろそろ業界全体がオンライン販売にシフトする方向になってもいいのではないだろうか。

     日本みたいに再販指定品目だからという理由でCD媒体にこだわらなければいけない理由もないし、CD媒体の販売は専門店と通販業者に絞って、メインターゲットはオンライン販売に移行する。
     音楽CDは手にとって見ないとわからない商品ではないし、どうせビジネスモデル改善を迫られるなら、店頭小売を切り捨てたほうがいいんじゃなかろうか。
    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
    • そういえば、新CD はネットでしか買ってないな。(中古はブックオフで買ったけど)
      --
      the.ACount
      親コメント
  • >お客さまこそ究極の裁定者なのです。そしてお客さまは、
    >現在音楽が適切に価格付けされているとは考えていません

    大多数の消費者はもっと安くしろ! と言うだろうねぇ~。
    • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時34分 (#1320134)
      でも、たとえば、漫画単行本とCDを比べると、単品あたりの著作権密度というか、手間のかかり方具合に有意な差があるとは思えない。むしろ、漫画の方が多くの工数を経ていたりするし。もちろん、漫画の値段が安すぎるという見方もできるが、音楽は産業が空洞化しているのに、値段の維持に躍起になっていた、と言う歴史があるのは否めない。言ってみれば、音楽は権威付けを経済的な収入に転化していたので、バブルが弾ける要因はいくらでも転がっていた。

      だから、こればっかりは、ウォルマートの言っていることが正しいと思うな。もはや、販促してどうにかなるって段階じゃないんで、「売れるまで値下げする/売るのをやめる」以外に選択肢がないんだろう。
      親コメント
    • by 127.0.0.1 (33105) on 2008年03月27日 10時02分 (#1320150) 日記
      って、ああっ音楽業界の人でなくて、Wall-Martの中の人がそう言っているのかorz

      ネタとしておかしくなってしまった。
      親コメント
    • 逆に考えるんだ!

      音楽を、共感のための道具としてじゃなく、
      『「この人はアーティストに愛情を持っている人だ」というみんなの敬意を得るための道具』と考えるんだ!
      そしたら、それなりに高いほうがいいだろ?

      #そういう価値モデルを構築する方向で考えないとジリ貧だよなぁ
      --
      # mishimaは本田透先生を熱烈に応援しています
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      悪く言わせてもらえば、
      お客様が究極に求めるのは、タダで高品質で絶対逆らわない奴隷サービスだからねー。
      #楽して完璧になりたいと似た真理なんだよなぁ
  • ダンピング? (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2008年03月27日 10時33分 (#1320175)

    Wal-Martは家電販売等の客寄せのため、仕入れ価格が12ドル程度のCDを10ドル以下で売っている

    日本でやったら独禁法違反のような。

  • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時26分 (#1320128)
    日本にもCDの値下げ圧力を掛けられるほどの小売業者が出てきて欲しいですね。
    • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時52分 (#1320141)
      音楽産業とJASRACに腹が立つのは分かるが、社会への害は超巨大小売業者の方がはるかに上だろう。
      親コメント
      • >社会への害は超巨大小売業者の方がはるかに上だろう。

        そうですかね。
        ウォルマートにもウォルグリーンにもカルフール、テスコや毀誉褒貶はあると思いますが、
        巨大小売業者の害が大きいというのはそれほどコンセンサスを得られた考え方ではないと思いますから、
        あなたの主張に対する詳しい説明を聞きたいと思います。

        ちなみに、私の個人的な体験を話すと、
        私は新興住宅地に住む一消費者として、人口増に伴うスーパーマーケット(GMS)の進出と、
        それに伴う商店街の衰退を見てきましたが、スーパーの害が大きいとは全く感じません。
        商店街の多くの店舗は、経営努力と思えるようなことは何一つせず、いわば競争がない中の
        既得権益のようなもので命脈をたもっており、これらが廃業せざるをえないのはむしろ当然に思えます。

        また、一部の人気もあり、売り上げもあげていた商店はスーパー内のモールに進出し、
        元々の店舗は閉めたもののさらに繁盛しているそうです。
        親コメント
        • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 12時07分 (#1320246)
          ここで問題視されてるのは、店側と地域住民の関係じゃなくって、
          店側と納入業者の関係ね。
          ウォルマートやイオンとかヤマダ電機の評判を聞いたことない?

          納入業者が頑張るのはもちろん当然なんだけど、
          小売りに搾り取られて死屍累々、後にはなにも残りませんでした。
          という社会が幸せなのでしょうか。

          トヨタも同じようなやり方で有名ですね。
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年03月27日 9時57分 (#1320146)
    そうすればCDが1枚1000円になるよ!
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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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