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医療

遺伝子欠陥による胚選択、どこで線を引くべき? 254

ストーリー by hylom
答えのない議論 部門より

capra 曰く、

本家Slashdotに聞け「Where To Draw the Line With Embryo Selection?」より。

オランダでいま、体外受精時の胚選択に関する議論が起きている。体外受精の胚選択とは、将来確実に発生する遺伝的欠陥を調べるプロセスであり、欠陥がみつかった場合その胚を排除したり破棄したりすることができる。オランダ政府はつぎに、乳癌や大腸癌など、発生する可能性があると思われる遺伝的欠陥に対する選択を可能にするか検討を始めている。

もちろんこれは非常に難しい問題である。どこまで選択していいのだろうか。全ての遺伝的欠陥を検査することになってしまうのではないかと危惧する人々もいる。しかし、例えばもし自分が遺伝的欠陥のある家系だった場合、自分の子供がそれを受け継いでしまうか確かめたくなるのは当然だろう。この問題について、/.の皆様はどうお考えだろうか。
最近は新生児医療が発達し、いままでは命を落としていた新生児も治療で生きられるようになっているといいます。また、現在は治療法のない遺伝的疾患も、将来治療法が確立する可能性もあるといえます。/.Jの皆様は遺伝的欠陥による胚選択についてどのようにお考えになりますか?
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時31分 (#1374264)
    私の場合、網膜色素変性症という将来失明するであろう遺伝病を持っていますが、それでも生まれて来てよかったと思ってるし、それを理由に殺されちゃってたら何だかなと言う感じ。

    これの線引きって、話し合いなり議論なり、まあともかく各方面(って何?)の合意として決まるものなんでしょうけど、親が負担を覚悟するならば産むという選択肢も与えてもらいたいものです。

    # カミングアウト目的ではないのでAC
    • Re:必要なのかな? (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Ryo.F (3896) on 2008年07月01日 17時39分 (#1374277) 日記

      産むという選択肢も与えてもらいたいものです。
      少なくとも、タレコミ文の

      欠陥がみつかった場合その胚を排除したり破棄したりすることができる。
      の部分は、「破棄したり(破棄しなかったり)することができる」と読むのが普通でしょう。
      親コメント
  • by Anonymous Cowboy (6205) on 2008年07月02日 7時55分 (#1374664)
    体外受精ってのは普通、卵子を何個も取り出して、胚になった中で一番よさそうなのから順に母体に戻すわけ。
    1個しか胚がなくてそれを育てるか破棄するかという話じゃなくて、
    母体に戻す数はある程度決まってるけど、その順位付けに新基準を追加するか、ってのが今回の話。

    だから「生むか殺すか」という話に持ち込むのは大いに誤解を呼ぶ。なぜならいずれにせよ育てられない胚の数は一定数あるわけで、この選別によってさほど増減するわけじゃない。わざわざ刺激的な言葉で煽ってるだけでしかない。
    これはせいぜい、「遺伝障害Aを持って生まれるのと、別の問題Bを持って生まれるのとどっちがましか」というレベルに持ち込むべき話だろう(まったく問題のないスーパー人間なんて普通は想定しないよね?)。

    またダウン症児などの出生前診断の話を持ち出すのもおかしい。これは既に母体内で胎児となっているものをどうするか、という話なので問題が根本から異なる。

    無論「新基準を適用したら全部ひっかかりました」というケースもあるだろうが、それを承知の上で不妊治療を続けるかどうかってのはまた全然別の話でしょう。
  • 選択する事も問題だが (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年07月01日 18時11分 (#1374313)
    そもそも調べる事自体がリスクを孕むんだよね。

    調べるということは選択対象でない軽度の遺伝形質があるという記録が残ってしまう事になる。
    よほど厳重に処理しないと差別に繋がる。

    さらに言えば、「検査済み」と「未検査」でも差別が起こる事になる。
    場合によっては差別を避けるために自ら遺伝子検査記録を公開するなんて世界もありえるな。
  • by Anonymous Coward on 2008年07月02日 12時28分 (#1374785)
    こういう話になると、障碍を持った子と親という図式で語られることが多いけど、
    一番悲惨なのは兄弟姉妹なんだわ。

    親からしたら、遺伝子疾患があっても育ててみせる!!なんて、ロマン溢れる
    選択肢を能動的に取ることも出来るし、産んだ後に障碍が発見されても、
    我が子は我が子、愛してみせる!なんてことも言えるけど、兄弟は違う。

    自分の友人に、ダウン症の兄を持っている友人がいるけど悲惨だよ。
    まず、友人が生まれた理由から悲惨。
    親が、「自分たちが死んだ後、誰がこの子(ダウン症の兄)を見るのか。」
    「弟なり妹なりがいれば、この子の将来も安心できる。」
    ということで産まれた、つまり障碍の兄の面倒を見ること前提の子。
    障碍の兄が居るから海外旅行にすらいけず、ずっと兄の面倒。
    大学に入るとき、県外の大学を受験しようとしたら人でなし呼ばわり。
    それが原因で勘当されかけ、祖父がなんとか間に入ったそうな。
    (友人は、勘当されたかった。と言っていましたけど。)

    友人は、親と兄をとてもとても憎んでいて、親も兄も自分では面倒は見ない。
    親が歳を取って自分が面倒を見ないといけなくなったら、兄ともども
    速攻で施設に入れる!!あー、そのお金ももったいない!!と言っています。
    もっと過激なこと(ダウン症の人は平均寿命が50年)も言っているけど割愛。
    また、結婚も兄の面倒を経済的に見てもらえる人じゃないと駄目だから
    中々無理だろうし、子供も作れずに、老後も兄の面倒で終わるんだろうとも。
    かわいそう過ぎる人生だと思う。

    障碍を持っていても産むべき。とか自分なら産む。とか言う人に言うことがあるとしたら、
    どうか障碍児に兄弟姉妹は作らないでください。ってことかな。
    障碍を持つ子供の面倒を、その兄弟姉妹に押し付けないで自分たちだけで見てください。
    ましてや、自分たちが死んだ後も障碍の子が暮らせるように。って考えで弟妹を作らないでください。
    親は、自分が老人になるまでの40年間面倒を見ればいいけど、
    障碍児の兄弟は生まれてから死ぬまでずっとです。
  • 子供のため? (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時17分 (#1374249)
    いいえ、親の自己満足のためです。
    • Re:子供のため? (スコア:5, すばらしい洞察)

      by icecream (33977) on 2008年07月01日 21時13分 (#1374452) ホームページ
      子供に完璧な遺伝子(病気等のリスクではなく、平均以上の容姿頭脳等)を求めるような親は、子供の挫折とか認めないだろうね。
      親がまだ必要な年齢で挫折した子供がどうなるのか。
      挫折しなくても「あなたは他の子と違って遺伝子的に優れている」と親から言われ続けた子供はどう育つか。

      #自己満足ぐらいならいいけど、その延長はろくな事がないような。
      親コメント
    • Re:子供のため? (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年07月01日 19時50分 (#1374397)
      ガタカっていう映画見たことある?
      なかなか考えさせられるいい映画ですよ。

      技術があればどんな法律を作ってもお金を出して優秀な子供を望む人が出てくるのは当たり前。
      人が増えればそれが普通になって、権利となり、いづれ近眼や肥満さえ排除される世の中になるんだろうなぁ。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時29分 (#1374261)
    うちの子は、指が一本多い多指だったわけだが、もし人工授精を
    選択していて、その段階で多指だと判っていたら、胚を破棄して
    もらっていたかもしれません。

    彼が多指切除の手術を受けたときには、とても不憫でしたし、
    傷跡が一生残るのです。

    体内に入る前であれば、選択できていいんじゃないでしょうか?
    • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時38分 (#1374276)
      >遺伝子異常の子供を持った親にしかコメントの権利はないと思う。

      これは思考停止です。どこまでが許されるか(あるいは親が全部の権利を持つべきだと決める)というのは社会的に作られる合意です。それなのに議論に参加できる人を本人の資質以外のところで限定し、議論の可能性自体を封殺するのは問題の解決に役に立つのでしょうか。

      もちろん、気遣いの無いコメントがあって傷付けられることがあるだろうことは理解できますし、そのようなコメントをする人は議論を深めることには役に立たないかもしれません。あるいはただの独善を押し付ける人もいるでしょうから彼らを排除することは必要でしょう。しかし「自分たち」以外が議論に参加することを最初から排除するようなことも妥当なやり方ではありません。
      親コメント
    • いきなりタイトルで

      遺伝子異常の子供を持った親にしかコメントの権利はない
      って言われると、

      選択できていいんじゃないでしょうか?
      って問いかけに「はい」とも「いいえ」とも言えなくなる人多数ですが。

      少なくとも、遺伝子異常を持っている人自身にもコメントの権利はありますね。
      コメントする権利は、それ以外のどんな人にもあると思いますが。
      親コメント
    • この話題自体は、これから親となる可能性のある全ての人に共通する問題提起だと思います。
      同時に、人の子として生をうけた老若男女すべてに共通の問題だと思います。

      私は、左足に外脛骨(過剰骨)が、右上前に過剰歯があります。
      生活に支障が出るのは、立ち仕事でときどき痒痛がある程度、歯は歯並びが悪くなる程度で
      その点では、疾患として扱われないくらい(障害者等級つかないくらい)軽微なものです、
      また、いわゆる遺伝子異常ではなく「子に遺伝する事はは考え難い」とは言われました。
      その点、この話題に沿っていないといえますが、それでも子に恵まれたときは、
      やはり形質的な確認をしてしまいました(こどもに永久歯まだ生えてないけど)。

      遺伝的疾患の場合ですが、 父親のY染色体に病因がある場合は確実に遺伝する男子を
      儲けるのは諦めなくてはならないのか?というとても具体的で切実な問題はあります。

      また XX なヒトにとっては、妊娠・分娩は文字通り命がけの人生の
      一大事業なので、最良の結果を得たいと考えるのは自然なことです。

      個人的には、様々な形質的な特徴を継承したいと思うのですが、
      これもまた親のエゴだといわれれば反論の余地はありません。
      親コメント
    • 我々の時空では胚の時点で破棄されたが平行世界では無事に育てられた成人が一番コメントの権利があると思う。
      --
      しきい値 1: ふつう匿名は読まない
      匿名補正 -1
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 20時37分 (#1374429)
      生む・生まないは親の意思に委ねられることになっているはずで何の問題もない。
      その観点に対し特記すべき意見はない。

      ただし遺伝子異常の子供を持った親にしかコメントの権利が無いというのなら、人を集めてそっちで勝手にやってもらったほうがいい。
      スラッシュドットのニュースとして掲載された以上、ここではIDもACも発言の権利はある筈で、ここで発言を阻むものがOSDNと編集者以外にあってもらっては困る。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時52分 (#1374295)
    現代の生活において欠陥、欠点だと思われてるだけで、場合によってはむしろ利点かもしれない。

    そういった遺伝子を浅はかな考えで淘汰する方向に持っていくのは結果的に人類という種の寿命を縮めることにならないかが心配です。
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時53分 (#1374297)
    >全ての遺伝的欠陥を検査することになってしまうのではないかと危惧する人々もいる。
    意外なことに、ダウン症児の親の会はこの手の出生前診断に反対してるんですね。

    >Q:「なぜ、親の会は母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテストなど)の実施に反対しているのですか」
    >この検査はダウン症胎児のすべてを検出することができないという技術的な問題があって、きちんとした説明なし
    >に導入されると、かえって妊娠期のお母さんの混乱を招く結果になることが考えられます。
    >世の中のほとんどの人が、ダウン症の人について知らないこと、理解していないことが現にあるにもかかわらず、
    >この検査はあなたに対して、ダウン症の胎児の命を左右する決定を迫るものであるからです。知らないことに対して
    >重要な判断をする事は、普通にはなされないことです。
    >三番目の理由は、母体血清マーカー検査などの胎児スクリーニングは、「いのちの選別」につながる危険性を持っているものです。

    http://rg4.rg.med.kyoto-u.ac.jp/JDSN/data/reason.html [kyoto-u.ac.jp]

    どうも僕には「自分たちがダウン症児を生んでしまったので同じ境遇の人が増えてほしい」としか読めませんでした。
    (それが「不幸になるのは自分たちだけではいやだ」という不の感情からなのか、それとも「障害児のパーセンテージが
     増えると公共サービスの質も向上する」という合理的判断の結果からなのかはわかりません)
    それは僕が健康な人間のほうがすばらしい、と感じている健康ショーヴィニストだからなのでしょうか?
    知的に優れているほうが優れていないよりも有利ですし、親にかかる負担も格段に減ります。

    いいじゃないですか、出生前検査。
    どこの工場だって検品してから出荷するでしょう?
    技術的に可能であるのなら、そしてそれが公共の利益を増進させるのならばやってかまわないし、どんどんやるべきです。

    そもそも人類には自然選択という神の手による選別がなされない(すくなくとも先進国においてはそう)のですから、
    その神の手を人間が代行したところで罪は無い、っていうか代行することこそが種としての健全性を維持することに繋がるのではないのかな。
    人類は弱い個体、生存に適しない個体であっても科学と健康保険制度のチカラによって生存し子をなす事ができます。
    であるのなら、弱い個体が捕食されて遺伝子プールから取り除かれるという選別の代わりに、出生前に科学の力で選別してやるということは
    未来の人類に対する責任なのではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか?それとも僕は優性思想の持ち主として批判されるべきですか?
    • Re:優性より愛を込めて (スコア:3, すばらしい洞察)

      by ef (25263) on 2008年07月01日 22時02分 (#1374488)
      >> 全ての遺伝的欠陥を検査することになってしまうのではないかと危惧する人々もいる。
      > 意外なことに、ダウン症児の親の会はこの手の出生前診断に反対してるんですね。

      これを「意外」と受け取るかどうかで、全ての前提が異なってきます。
      ダウン症児の親 は、いま目の前に心血を注いで介護・養育している子供がいるわけです・・・
      ・・・その生の存在を否定する事は、自己否定そのものです。

      これを正当化と思うか昇華と考えるかは議論の余地があります。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 23時26分 (#1374553)
      >公共の利益を増進させるのならば
      >知的に優れているほうが優れていないよりも有利
      >未来の人類に対する責任
      >どこの工場だって検品してから出荷するでしょう?
      >種としての健全性

      優生学を信じるものが繰り返し主張するモチーフが既に現れているのが実におもしろい。

      遺伝に於いて 何が正常なのか、何が改良の対象となるべきなのか、どのような選別が公共の利益を増進させると言えるのかは、あくまで文化的な知見から行われている価値判断にすぎず、科学に於いてこのような判断を下すことが不可能である以上、あなたの主張は疑似科学と見なされるものだ。よく挙げられる例では、マラリア原虫が鎌状赤血球症の人間の体内で増殖できずに、結果的にマラリアの発症を抑える例だろう。鎌状赤血球遺伝子をホモ接合体で持てば、重篤な貧血症状に見舞われるが、テヘロの人間はマラリアを生き抜くことができる。じゃあ鎌状赤血球症の遺伝子は遺伝子プールから取り除かれるべきなのか?

      あなたは、このような定立はマラリアが蔓延するような衛生的に問題のある地域だからこそ起こる問題で、衛生面で改善がなされればやはり鎌状赤血球症の遺伝子は排除されるべきと言えるではないかというかもしれない。寧ろ、問題は衛生環境の改善であって、逆に衛生改善が行われた先進国では正当な自然選択が行われた結果、鎌状赤血球症の人間はいないではないかと。

      またもしかすると、マラリアとダウン症は違うというかもしれない。鎌状赤血球症はマラリア蔓延地域で生き延びることに役立つが、ダウン症にはそのような利点はないと。

      それならば、まず初めに、人類が将来迎えるいかなる状況においても、現在遺伝的疾患と見なされているものが、未来の環境で何らの利点も生まないと何故断言できるのか考えるべきだろう。劣悪な衛生環境における鎌状赤血球症の例は、歴史における人類の生活環境の遷移が偶然にもたらした解答に過ぎず、未来の人類の生活環境において、現在遺伝的疾患と見なされているものが、未来のマラリアにおける鎌状赤血球症になるプロバビリティはゼロではない。そして二つめに、この主張が、現代の社会で遺伝的疾患と見なされているものが、将来の人類の経験する環境変化に備え、遺伝子プールをより多様にしておかなければならないと考えているため行われているわけではないことも理解しなければならない。遺伝的優劣を決めようという発想は、あくまで文化的見知に寄るものであり、しかもそこにある価値観には”相対的に備えていたい理想的な人間の属性”が存在する。しかし残念ながら、現代に於いて痩せ形の女性がもて囃されている一方で、洋装が一般化するまではそのような価値観が存在していなかったように、文化的価値観というのは常に相対主義によって支配されている(ここでは、知性の高い方がいいという価値観と、肌の色は黒より白がいいという価値観は等価なのだ)。つまり本来は時間の変化と、民族や文化の相違上、可塑的であるが故に相対的である価値観を、絶対的なものと見なしている事が批判されているのだ。

      一方で、確かに優生学は特定の遺伝病の根絶に深い関わりを持ってきたし、私はそれを肯定的に評価することにも一定の合理性を見いだすが、それでいてなお上記の問題を解決し優生学に正当性を与える根拠たり得ない。

      この手の主張を行う人間はまずはじめに、人間は遺伝的に不平等に生まれてくるものであると言う視点に立ち、その上で各個人を価値の優劣において序列化している。”知的に優れているほうが優れていないよりも有利”と言う言葉にこの価値観が集約されていると言えるだろう。そして、人間を価値の優劣でとらえる思想は、民族や人種間における価値の優劣を主張するレイシズムと極めて高い親和性を持っていると非難されるべきだろう。

      >それとも僕は優性思想の持ち主として批判されるべきですか?

      もちろんYesと答えるべきであり、きわめて悪質な書き込みとして非難されるべきだろう。そしてその一言に込められている、自己正当化と人類に対するある種の善意は、優性主義者が品種改良にヒントを得て、人類に対する善意に基づき行った主張と行動に通底しているといえよう。
      親コメント
  • 調べるという選択 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by icecream (33977) on 2008年07月01日 18時03分 (#1374306) ホームページ
    その他の特殊な事情がない限り、胚に対しての遺伝子異常を調べた段階で廃棄はセットになってる気がする。
    恐らく検査の段階では積極的に廃棄まで考えないから、ある意味幸せでいられる気もしなくもない。
  • 人類の遺伝子プールをできるだけ長く生かそうと思ったら、優生学的なものはどうしても必要になりますが、結局「遺伝子プールを保つことにどれだけの意義があるか」という宗教的なメタ議論に行き着くわけで。

    自然に選択してもらえなくなった以上自分で選択するしかないわけだし、しかし現状で人類は他の生物よりブッチギリで強いので多少遺伝子プールが弱るのは問題ないのかもしれないし、どんな遺伝子病でも簡単に完治する画期的な治療法が近い将来に出てこないとは誰にも断言できないし、遺伝子プールが何万年保つかなんて現代の人に直接的な利害ないし。

    感想としては「使える技術があるんだから使いたい人が使えばええんちゃうの」程度でしょうか。他人が技術を利用するのを止める積極的な理由も、技術を利用しない他人に利用を勧める積極的な理由も、ちょっと見出せません。
    --
    yp
  • by Tatenon (20311) on 2008年07月01日 19時34分 (#1374385) 日記
    もう定義するかしないかだけの問題のような気もしますけどね。

    そもそも『望まれない子供』なんてのは子供の問題じゃなくて親の問題だと思うのですよ。
    基本的には。
  • by Technobose (6861) on 2008年07月01日 22時11分 (#1374496) 日記
    どんな人でも何かしら疾患のリスクを持っていると思うのですが・・。
    ある時点で「低リスクの疾患」と判断されていても、環境が変われば発現も変わってくるかもしれないからリスク評価も変わるかもしれない。
    もしかすると「知らない方が幸福」ということもあるかもしない。

    でも、親としては子供が産まれるとき、障害や病気が無いことだけを願うんだよね。
  • 障害や病気に結びつく可能性のある遺伝子というものが、他の遺伝子から
    完全に独立しているかどうかは、今のところよく分かっていないと思います。

    ある種の病気は、ストレスや別の病気に強いユニークな体質を生み出していたり、
    (定量化が難しいですが)ユニークな性格を構築する一部となっているかもしれません。
    まだ時代のニーズに合わないだけで、いつか役に立つ遺伝子なのかもしれません。
    遺伝子および遺伝子から作られるたんぱく質等の複雑な相互作用について、
    人類はまだまだ、良くわかっていません。

    一時期、○○は邪魔だからメスで切除してしまえ!! という医学的風潮、流行が
    生まれたことを思い出します。(たとえば盲腸などです)
    しかし今では、この風潮は間違いだったのではないかということで、あえて
    切除せず、飲み薬などによって治療するケースも出てきました。

    この種の流行り廃りと、過度の胚選択のイメージが重複して感じられます。
    「メスを持つと何もかもが腫瘍に見えてくる」と言います。新技術に振り回され、
    過度の胚選択が「流行り、廃れる」ようなことにならないよう、慎重な考察が
    必要だと思います。
  • 素朴な疑問 (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時38分 (#1374275)
    スマン。なぜ『いけない』と言う人がいるのかわからない。

    時間を遡っていなかったことにするわけでもなく、無用なトラブルで苦しむリスクを親にとっても子供の人生でも減らそうという話に異を唱える理屈が分からない。

    異を唱える人には『あなたは障害を持って生まれてきたかったですか?』と聞きたい。
    (いや、いやみとかじゃなくて正直なところ。)
    • Re:素朴な疑問 (スコア:4, すばらしい洞察)

      by digoh (17917) on 2008年07月01日 19時48分 (#1374395) 日記
      上で挙げられたもの以外だと

      ・診断自体のリスク
       詳しくは知らないが、診断自体にリスクがあったら止めさせる理由の一つにはなるよね。
       有用な因子も一緒くたに排除しちゃうとか。

      ・そもそも判断がどの程度正しいのか不明
       「排除・選別したはずなのにその遺伝子異常が発現したぞ!」とか、
       「なかなか妊娠できなかった→ようやく妊娠したが遺伝子異常だった→排除した→実は異常ではなかった」とか、
       間違いが起きたときのフォローは人為が絡むほど面倒(自然妊娠なら神のせいにできるが……)。

      ・「遺伝子的に選別された者」と「されてない者」との間の確執
       今は人工授精における致命的因子の排除くらいなのでこの問題は起きてこないでしょうが、あえて行き過ぎた所まで考えれば
      「知能が低くない」「病気に罹りにくい」「精神が病みにくい」「身体能力が低くない」という胚のみ選別することができるようになった場合、
      「選別者」と「非選別者」との間に差別が生まれる可能性があります。

       まぁそこまでは行かなくても「選別することで病気を避けられる」となれば、人工授精に限らず通常の妊娠でも選択したくなるのが人情。
       となると、選別を受けたか受けてないかで人として”使えるヤツかどうか”が分かれてきちゃう。
      ある遺伝子を持ってるとある仕事に就けない、じゃなくて、選別者じゃないとある仕事に就けない、みたいなことが起きるかも。

      ・線引きの難しさ
       「この異常が起こると生後5年以内に必ず死亡」→うんうん、排除すべきだね
       「この異常が起こると生後40年以内にガンに罹る可能性が70%」→うーん、排除できたら排除したいな
       「この異常が起こると生後通常の生活は可能だが日焼けしすぎるとガンになる可能性が普通の人の2倍」→うー、うん?
       「この異常が起こると同性愛者になる可能性が1.5倍」→ええと、どうしよう?
       「この異常が起こると小学校を卒業するまでピーマンが嫌いなままである可能性が200%増加」→それが?
       とまぁ医学統計とそれ以外をごっちゃにしちゃいけませんということでもありますが、「どこまで」というのは常に難しい問題。
       指が6本なら排除したい、それは分かるとして、じゃあ指の関節がゴムのように柔らいせいで可動域が極端に広いが将来関節炎になる可能性が高い、というのは排除対象にして良いのかどうか、とか。
      親コメント
    • 異を唱える人には『あなたは障害を持って生まれてきたかったですか?』と聞きたい。
      (いや、いやみとかじゃなくて正直なところ。)


      できる限り障害を持って生まれたくは、ない。
      しかし、障害を持って生まれたのであるのならば、障害抱えた上で必死に生きるのも又悪くないのではないかと、特に最近は思ってますよ。

      私自身は運良くそういうことは無いで来れてる様だし、子供もそういう病気は今のところ出ていないようですが、
      妊娠が分かったときに細胞診断を行うかどうかと言うので(やれなくはないですけど?程度の話は来ていた)少し揉めまして(^^;、私が強引に「やらないでくれ」と押しきりました。

      と言うのも、数名の友人が先天性の臓器障害を持って生まれ・今も必死に生きてきていておりまして、一人は先天性の腎不全で徐々に免疫力が低下していて、人工透析を受けるような病気の進行を防ぐために、感染症を恐れ外に出るのもかなり慎重になっていてここ十年間ほど顔合わすことすら出来ない状況だけどたまに連絡取ったりする状況だけど、昔学生の頃に毎日仲間内の誰かの家に行っては酒を呑んで話しとかしていたときと根っこ変わらずに何某かをやろうと日々を必死に生きている。
      もう一人は息子が生まれた後に先天性の遺伝子異常による難病がここ四五年で発病して臓器がやられて難聴や代謝異常を起こしては入退院を繰り返す日々。でも、好きな音楽を捨てられずにバンドは辞めたけどライブに通ったり音楽話をやったり
      …今例に出した二人共、自分の宿命を受け入れつつも、必死に日々を楽しんでいる。

      この、悲壮さと、それが故の突き抜けた明るさを見ていたら、順調に胎児が育っているのに遺伝子異常があるから中絶してください。なんて事は言えないですよ。最低でも、学生時代の友人の姿を見ていた以上、先天性の異常を見つけられる胚診断や細胞診断で異常が出たときに中絶するかしないかということで揉めるのが目に見えていた状況だったので、チキンかもしれないけど、私は強引に拒絶した。

      誰でも宿命のようなものは持っている。
      要は「良く生きようとするか」にこそあるように思えてなりません。

      安易な胚診断での中絶と言うことが内包する倫理的な問題は別に書こうかと思っていましたが、
      胚診断がもたらす結果が、優生学を支える思想的根幹と親和性が高いというか、今の時代に優生学が政治的権威を持っていたら、劣性遺伝子を根絶やしにする云々と言う部分が最優先されてしまうのは、過去に障害者やらい病患者などへの虐待や断種が日常的に行われていたことを考えると必然的な結末になるのは目に見えているわけで…

      果たして、先天性の遺伝疾患を持って生まれた人間は障害故に不幸になったのか、障害を持っている事自体が不適格とされる社会に生まれたからなのか?

      その問題を考えると、適用基準や先天的遺伝障害が分かったときの扱いには非常に厳しい制約を置いたり、障害者が普通に生きている社会状況を目指す必要があると思いますよ。
      百パーセントは否定しないけど、使われ方や親への受け取られ方によっては非常にあぶない物ではあるので…
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    • 設問が違う。 (スコア:1, すばらしい洞察)

      by ahirose (31873) on 2008年07月01日 17時41分 (#1374279) 日記
      >異を唱える人には『あなたは障害を持って生まれてきたかったですか?』と聞きたい。
      >(いや、いやみとかじゃなくて正直なところ。)

      『障害を持って生まれてしまったけど、生まれない方が良かったですか?』が正しい設問です。
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      • Re:設問が違う。 (スコア:2, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時49分 (#1374289)
        >『障害を持って生まれてしまったけど、生まれない方が良かったですか?』が正しい設問です。

        いや、そこがそもそも話をそらせる元なんだと思います。

        「生まれないほうがよかったか」はあくまで時間を戻っての仮定です。
        生まれて、アイデンテティを確立した人に過去を修正する話と、
        生まれてもいない、これからアイデンテティが育つ可能性の話をごっちゃにするから
        話がおかしくなるんじゃないでしょうか。

        どうもこの「正しい設問です」という言い方には詭弁臭さを感じてしまうのですが。
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      • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 18時10分 (#1374312)
        肉体は単なる精神の入れ物という見方をすれば、

        「あなたは障碍をもって生まれてくるのと、障碍を持たずに生まれてくるのとどちらを選択しますか?」

        が正しい設問になるじゃないですかね。この問いが元ACさんの言わんとしていることだと思いますが。

        この問いは意味無い?
        私には「生まれなかったほうが良いですか?」と尋ねるのと同程度には意味があるような気がします。
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    • by Ryo.F (3896) on 2008年07月01日 17時47分 (#1374286) 日記

      なぜ『いけない』と言う人がいるのかわからない。
      実際、非常に難しい問題だと思います。

      一つには、今までに存在した遺伝子異常を持った人たちにとっては、自分の存在が否定されているように感じるから、ってのがあるようですね。

      また、宗教的な理由ってのもあるようです。神の領域である出生の問題に人間がそこまで介入してよいのか、と。

      無理やり科学的な理由をこじつけるなら、遺伝子の多様性が失われることにつながるのがよくない、ということもあるかもしれません。遺伝子の多様性が失われると、流行性の病気で一気に全滅、なんてことがあり得ますからね。

      他にもあるとは思います。フォロー求む。
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      • Re:素朴な疑問 (スコア:2, すばらしい洞察)

        by ryo_minase (36302) on 2008年07月02日 2時14分 (#1374631) 日記
        なぜ「いけない」か思いつく限りで考えてみました。

        1.対処法への影響
        遺伝子異常というのが治癒する方法が確立される可能性がある場合、疾患がある方がいらっしゃるから治療法などが研究されるのだと思います。

        また、将来治癒できたり代替手段が確率される可能性がある疾患の場合、判断が更に難しくなります。

        2.選択への差別・圧力
        親が選択できることを否定しませんが、選別の敷居が低い状況になってくると産むことを選択することで差別されたり、自己責任という形で負担が増え、より選択しにくくなる危険があります。
        # もちろん逆のパターンもありえますよね。

        個人的にどういったことを導入する前段階として、
        ・たとえ産むことを選択しても、税金等の負担を社会が許容できること。
        ・差別や圧力を排除できるような状況を整えることができること。
        ・選別したかどうかは厳重に秘匿できること。(関係者に守秘義務)
        ということがが必要になってくると思います。

        3.他の疾患とのバランス
        後天的に(先天的に異常があると判断された状況になった)場合の扱いが難しくなると思います。
        # それとこれとは別、と単純に割り切れるとは思いません。個人的には。

        親の選択に委ねられるというのは実際には他のつながり(夫婦間や祖母、親族、自分の他の子供)も存在するので、完全に親の自由とはいかないと思いますが…どうなんでしょうね。
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    • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 18時12分 (#1374315)
      線引きの問題というものもあります。
      遺伝子の優劣により、”劣等形質”を排除する行為は優生学そのものです。
      ”障害”にもいろいろあります。いのちに関わるような障害もありますが、
      物覚えが悪い、なんて形質も競争社会を生き抜くには”障害”ですね…。
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      • Re:素朴な疑問 (スコア:2, すばらしい洞察)

        by Anonymous Coward on 2008年07月01日 19時04分 (#1374362)
        >遺伝子の優劣により、”劣等形質”を排除する行為は優生学そのものです。

        そうなんだけど、そこで議論を止めてしまっては、ここでの議論は最初から結論が決まっていることになる。

        敢えて訊くけど、「優生学」はなんでいけないの?

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        • Re:素朴な疑問 (スコア:3, すばらしい洞察)

          by USH (8040) on 2008年07月01日 21時10分 (#1374448) 日記
          優劣を、だれがどういう基準で決めるか、は誰にも判らないからです。

          私は花粉症などアレルギー体質ですが、これが、単に現状で春先に悲惨なことになる不幸な形質なのか、将来の未知の危機を検知できる機能なのか、今のところ判りません。
          # 現状ではあまりありがたくない形質ですが

          人間だって、こんな、頭部と局部にしか毛が生えない、ハゲハゲで頭でっかちのできそこないの生物だったのが、(それが因果に含まれているかどうかは別にして)地球上にここまではびこる存在になってしまった。

          人類の生き残り戦略としてはともかく、人類の遺伝子の生き残り戦略としては、多様性を確保しておくことが重要で、そのためには、「優生学」のような絞り込みは逆効果。
          親コメント
        • Re:素朴な疑問 (スコア:2, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2008年07月01日 20時45分 (#1374437)
          >敢えて訊くけど、「優生学」はなんでいけないの?

          「科学」を名乗ってるけど、実は客観的な判断基準のない恣意的な評価方法だからじゃないの?

          たとえば。
          #「視力の悪い人間が広まると交通事故が増えるので、遺伝的に視力の悪くなる可能性のある胚は中絶すべき」

          #「眼鏡っ娘はかわいいので、遺伝的に視力の悪くなる可能性のある女性の胚は保護すべき」

          は優生学の言論ではどちらも正。
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  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時44分 (#1374283)
    自然界なら遺伝子異常の個体は死によって淘汰されるわけです。
    胎内に入れる前なら、どれだけ選択しても良いんじゃないでしょうか?
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 17時52分 (#1374296)
    > 最近は新生児医療が発達し、いままでは命を落としていた新生児も治療で生きられるようになっているといいます。

    普通に生まれてくれば不要な治療費や介護費が、天から降ってくるようであれば
    「胚選択をするな」という主張もありなんじゃないですかね?

    日本でも「出生前検査」という名目で、親の希望により出生前のDNA検査を行い
    経済的理由での「生む」「生まない」の選択は任されています。
  • by Anonymous Coward on 2008年07月01日 18時15分 (#1374318)
    親の選択に任せましょう。

    そこで胚選択を行うときに、その判断は親によって行われる。
    これは一種の自然淘汰です。結局、自分の遺伝子が残るかどうかですから。
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ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

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