グリッドコンピュータで蘇る古代ギリシャの楽器Epigonion 61
ストーリー by hylom
何度でもよみがえるさ 部門より
何度でもよみがえるさ 部門より
イタリアを拠点とするASTRA(Ancient instruments Sound/Timbre Reconstruction Application)プロジェクトが、グリッドコンピュータを用いて古代ギリシャのepigonionという楽器の音色を再現した(The Registerの記事)。epigonionはハープに似た弦楽器。
ASTRAは絵画や考古学資料を元に絶滅した楽器を物理的にシミュレートするグリッドベースのアプリケーションで、今回はGILDAとEUMEDGRIDという2つのグリッドインフラを用いた。30秒の音声を合成するのに4時間を要したとのこと。ASTRAのサイトからMP3ファイルがダウンロードできる。
まじめにやってるASTRAの人たちには申し訳ないが、「一昔前のMIDI音源みたい」というのがMP3ファイルを聞いたタレコミ人の素直な感想。本当にこんな音だったのだろうか。
このデモではねー (スコア:3, すばらしい洞察)
ベロシティ変化に乏しく、テンポのゆらぎがない打ち込みシーケンスなのでそう聞こえるのでしょう。
楽器というのは、音色だけで成立するものじゃなくてそれぞれ独特の奏法があるはずなので、
近い楽器(この場合はハープ?)の奏法に近づけてデモ作るとか、もうちょっと力入れて作って欲しいなー。
研究の目的としては楽器の物理シミュレーションが主で音楽としての再現性は二の次なのかもしれないですが・・・。
Re:このデモではねー (スコア:3, 参考になる)
現存する楽器 (スコア:3, すばらしい洞察)
バイオリンとかギターとか、そういう音色の判ってるものを再現した音源は無いのかな?
一般的には「モデリング音源」と称します (スコア:5, 参考になる)
DTMの世界ではこの20年、PCMシンセと呼ばれる「録音しておいたヴァイオリンの音を、キーボード叩いたら鳴る装置」が主流で、最終的にはどれだけの音を録音してあるか=容量、その膨大な容量をいかにレイテンシーなく鳴らせるか=ストリーミング、の開発が続きました。Vienna Symphonic Cube [crypton.co.jp]が恐らく最大ですが550GBの音源となりました。この世界は1音源40GBなど当たり前の世界です
しかし、結局それではDTMerの求める音は作れません。例えば、ピアノはサスティンペダルを踏んだまま鍵盤を叩くと内部では叩いていない弦まで共振しその独特の響きを奏でます。あらかじめ1つ1つの音として録音されているPCMシンセではこれを再現できません。
そんなわけで、今はモデリング音源と呼ばれるシンセが続々と開発され、恐らく今後の主流となります。これの走りはYAMAHAとかなんですが(詳しく知りません)、ソフトウェアで殴り込んできたのがpianoteq [minet.jp]。このソフトは発売当時、アプリ本体がなんとたったの8MB。それでPCMに対抗できる音を作ったのですから衝撃でした。(しかもピアノという難しい楽器で)。このソフトは、ハンマーが叩かれていない弦の共振までシミュレートした本格派でした。(個人的にはまさに新時代の幕開けと感じました。)しかし指摘されている通り、重いです。下のG5ならペダルを踏んだら赤付いちゃいます。G4だと3和音でノイズります。
まぁそんなわけで、その後The Trumpet [minet.jp]など、続々と似たようなモデリング音源が開発されています。 PCM音源でどうしようもない楽器ナンバーワンはサックスなので、やはり管楽器系の開発に期待です。しかし、瞬間瞬間の出音をカバーできるほどパソコンが速くなる気もしないわけで、まだまだしばらくはPCMシンセとの併用になるでしょう、、。
Re:一般的には「モデリング音源」と称します (スコア:1)
ただ、私の言いたいのは、今回の音がイマイチだという評価は、元の楽器がしょぼいのか、このシミュレートがしょぼいのか、わからないという事です。
モデリング音源という分野はそれなりに研究されているから、シミュレートに問題は無いはずって事ですかね?
Re:一般的には「モデリング音源」と称します (スコア:1)
現在でもまだ楽器形状からの生音(演奏音ではない。適切な表現がないので便宜上生音と呼ばせてもらう)を出しただけで、
他の要素が全く再現できないというか、再現しようにも計算してみた所で人力で扱いきれるパラメーター数や簡素さにならないので、
未だ物理モデル音源の音って何かおかしいよねの域を10年以上抜け出せていない印象です。
その間にPCの能力が、サンプリングすりゃええやん派の要望に応えられる能力になったので、
そのうちなんとかなるだろう…とは思わなくもないですが、そうなるのはかなり先な気がします。
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
Re:現存する楽器 (スコア:1)
http://yamaha-mp.co.jp/product/syndtm/p/tonesamp/vl70m/ [yamaha-mp.co.jp]
Re:現存する楽器 (スコア:4, 参考になる)
ヤマハの「ヴァーチャルアコースティック音源」なんかは、楽器の持つ物理特性を「伝達関数」の形で既知な状況で、
「弦の振動」といった単純な正弦波を伝達関数に突っ込むことで、複雑な「音色」生成するものです。
伝達関数そのものは、既存の楽器を計測するとか、そこから導き出したパラメータを手でチューニングとかしてるんじゃないでしょうか。
たぶん今の技術だと、伝達関数そのものをシミュレーションしても、現物とは似ても似つかないものになると思う。
今回のものは、その「伝達関数」をシミュレーションで求める所からやってる。
だから、計算量が非常に大きいけど、その代わり実存しない架空の楽器のシミュレーションが可能になってるわけです。
Re: (スコア:0)
ので、考古学から再現してみた、という点以外に目新しさは無さそうな記事ですが…
Re: (スコア:0)
トピの背景には「グリッドコンピューティングを使って今まで出来なかったような(もしくは時間が掛っていた)フィジカルモデリングが4時間で出来たのはすごいよね」というのが有るので、既存のフィジカルモデリング音源の再現性がどんなに高くてもあまり意味がない様な気がします。
古楽器はこんな音 (スコア:3, 興味深い)
中世ヨーロッパやそれ以前の古楽器(復元楽器)の音なんてこんなもんですよ
弦の張力が弱いし,精緻な共鳴機構も無いので何とも言えないひなびた(?)響きです
Re:古楽器はこんな音 (スコア:2, 興味深い)
やっぱりあれも鄙びた音がします。
ほんとかなあ (スコア:1)
たまたま、製法を伝承してる人もいて、
再現品は、「ペコペコッ」という音しかしないんだけど、
伝承品は、「キンキン」というきれいな音がしていたのです。
だから、再現が本当に昔の音を再現しているのかという疑問を抱くのです。
計算で音色が再現できるなら本物の楽器は要らない (スコア:2, すばらしい洞察)
Re:計算で音色が再現できるなら本物の楽器は要らない (スコア:3, 興味深い)
画像検索 [homoecumenicus.com]
ヘレニズムっていうんですか。これとか。 [mlahanas.de]
壷の絵とかからしかわからなくて、出土した吟遊詩人持ってた楽器みたいなもの調べていったら、
簡単そうじゃないと思う。
キタラ [kitara-sapporo.or.jp]->ギター
ティンパニ、リュート->フルートとか。ちょっと言語的ロマン。アポロンの竪琴は何弦かなんて。
現代と異なる形で材質も(地中海多様で)わからなければ、シミュかな。
2Dらしいですよ、多くの種類があって。形と弦の数によっていろいろあったらしい。
がんばろう。と自分に言い聞かせる。
Re:計算で音色が再現できるなら本物の楽器は要らない (スコア:1)
可能性のある形、材質を複数用意して、すべての組み合わせで再現させてるなら、まだわかるけど。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
つまり、楽器の物理的特徴をシミュレートできるのであれば、この世に存在しない物質特性を持った物質で出来た楽器や、四次元の構造を持つ楽器をシミュレートすることが出来るようになる。
そのための第一歩だと考えれば、決して無意味な話じゃないと思うよ。
ホントに「グリッド使って4時間」なのか? (スコア:2, 参考になる)
それらしき記載は、Registerのちょっと小馬鹿にした文脈では出てくるけど、ASTRAのサイトには見当たらりませんでした。
あるとすれば、"Reason of gridification"に「計算量としてはPentiumIV 1.6GHz/512MB RAMのPCで30秒の音の生成に4時間以上かかるくらい」(だから短縮のためにグリッドを使うのだ)と書いてあるように思うんですけど、読み間違えてますかね?
#他ソース見つけられないのでAC
Re:ホントに「グリッド使って4時間」なのか? (スコア:2, 参考になる)
その通りだと思います。演奏例の音声ファイルや弦モデリングツールのスクリーンショットがあるダウンロードページ [astraproject.org]には、「弦はMIDIキーボードを使ってリアルタイムにも、あるいはスコアファイルをロードすることでも演奏することができる」とも書かれていますし、計算量を把握するために書かれた例をThe Registerが勘違いしただけでしょう。
間違ったシミュレーション技術の使い方 (スコア:1, すばらしい洞察)
シミュレーション対象の実際の振る舞いとの間で、なんらかの形で検証が出来ないなら只の数遊び。
グリッドコンピューティングの技術やシミュレーション技術の研究としても
もうちっと考えた題材を選べば良いのに。
Re:間違ったシミュレーション技術の使い方 (スコア:2, 興味深い)
シミュレーション対象として間違っているのかなぁ?ましてや物理計算も入ればCPUパワーも必要
だろうに。
#グリッドコンピューティングだからって有意義な計算以外無駄って切り捨てる必要も無いでしょう。
物を作るにも、資料としてのデータが所謂職人に伝わっている楽器でもなく、ハープの親戚だから
ハープ職人に試行錯誤させながら素材も含めて再現を試みる、なんてのは答えを出すまで大変だ
と思うのだが。
#シミュレートで近似値を求めてから職人により実現させるってのはアリだとは思うけど。
Re: (スコア:0)
そもそも適切なシミュレーションモデルなど構築できない。
Re: (スコア:0)
Re:間違ったシミュレーション技術の使い方 (スコア:1, すばらしい洞察)
シミュレーションというのは、答えが先にあってそれにあわせて、計算問題を作るようなもの。
現実の現象をお手本に、理論などを元に現実をうまく再現できるように調整しながら作っていく。
そうして手元にある何パターン化の現実に測定されたデーターに十分近い値が出てくるようになったら、
それを将来の予測や、簡単に実験できない環境に適用するという使い方をするもの。
理論だけで作られたシミュレーションなど、現実と何のかかわりも持たない只の数字のお遊戯。
お手本が無いシミュレーションなど意味が無いというのはそういうこと。
Re:間違ったシミュレーション技術の使い方 (スコア:1)
> それを将来の予測や、簡単に実験できない環境に適用するという使い方をするもの。
として使ってシミュレートするプロジェクトとも考えられますね。
(元ネタ詳しく読んでないから間違ってるかもしれない)
#絵や柱跡しか残ってない建物を構造力学などを用いてCGで再現してみました
#というのとおなじ感覚だとおもったけど。
Re:間違ったシミュレーション技術の使い方 (スコア:1)
つまりこうですね。
ツンデレキャラから発声器官の形状を推定し、グリッドコンピューティングを用いたシミュレーションにより釘宮声の再現を試みる。
Re: (スコア:0)
つまりこうですね。
ツンデレキャラから発声器官の形状を推定し、グリッドコンピューティングを用いたシミュレーションにより釘宮声の再現を試みる。
いやこのデモ凄くない? (スコア:1)
まともに計算するとサンプリング周波数の4乗に比例する計算量がかかるから、「よくやった」級の研究だと思う。
究極の目標はガムランを192kHzのサンプリング周波数で再現、なのかな。
Re:いやこのデモ凄くない? (スコア:1)
http://www.astraproject.org/bachfugue.wav [astraproject.org]
にMP3じゃないサンプルが有ります。
DAWに取り込んでスペクトラムアナライザで眺めた限りでは、11kHz前後までの高調波まで計算しているようです。
#と、3つのレスにまとめて回答してみる。
Re: (スコア:0)
まあ小さいぶんだけ上が出るけど、出るといっても音化けが酷いし、ほんとうに高い音は頭打ちだったりするし。
まともなスピーカー、それが無理ならまともなヘッドホン、をお勧めします。
なおヘッドホンは「貧者のスピーカー」だそうです。「ヘッドホン十倍段」という言葉があるそうで、同じレベル(あえて言うなら)の音質を得るのにかかるコストがスピーカーの1/10だそうです。ヘッドホンにもヘッドホンなりの欠点はありますが、この十倍という魅力は捨てがたい。
サンプリング周波数「だけ」云々しても事実上無意味です。
Re: (スコア:0)
単にノートPCのスピーカで高域が強調されてる印象を受けてるだけでしょう。
逆にASTRAが公開するファイルが128kbpsのMP3でいいのかと疑問を感じます。
楽器音の再現を目的とするならば。
名前が... (スコア:1)
Re:名前が... (スコア:1)
Epigonion [wikipedia.org]
Epigonus of Ambracia [wikipedia.org]
エピゴーネン【(ドイツ)Epigonen】 [yahoo.co.jp]
EpigonionはEpigonusという詩人がギリシャに持ち込んだそうなのですが、
その"Epigonus"には「後から生まれたもの」という意味があって、それが
エピゴーネン(独創性のない模倣者)の語源となったそうです。
ハープ系の楽器はこんな音です (スコア:0)
安物のイヤホンで聞いても、MIDI音源のような音には聞こえません。
Re:ハープ系の楽器はこんな音です (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:ハープ系の楽器はこんな音です (スコア:1)
良いMIDI再生環境というのはどんなものだろう。
具体的に何が揃っていればよいだろうか。
Re:ハープ系の楽器はこんな音です (スコア:3, おもしろおかしい)
私は発電所から専用線で我が家まで電力を引っ張り込んでいます。
電線の材質は無酸素銅が最高ですよ。
おかげで、ウチはMSGSですが、ハイエンドよりいい音がしますよ。
Re: (スコア:0)
最近のMIDI業界ではこれが流行していますよ
音が飛ぶだのソフトが落ちるだの、もはや音以外の要素でオカルティックな争いを始めています
Re: (スコア:0)
MIDI -> 楽譜 -> 演奏者&楽器
こういうデコード手順で。
Re:ハープ系の楽器はこんな音です (スコア:2, おもしろおかしい)
MIDIである意味は?
Re: (スコア:0)
素朴な疑問 (スコア:0)
グリッドコンピュータを用いないと再現できなかったのだろうか・・・
ひと昔前のMIDI音源というと (スコア:0)
Re:ひと昔前のMIDI音源というと (スコア:1)
#BGM用途のイージーリスニングでのGS音源利用は今でも現役だって(^^;
#聞けばすぐわかるんだから…。
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
計算機? (スコア:0)
グリッドコンピューティングならわかるが……
グリッドも(他にはクラスタとか)も運用形態であって、実体ではない気がするんだが。
まぁ些細なことかな…
#関係者にばれたら恥ずかしいのでACで。
Re:計算機? (スコア:1)
…んじゃないかなぁ
判らないならググりなさい、それが面倒なら適当に想像しよう。
Re: (スコア:0)
正直、グリッドコンピュータという言い方は適切では無いんじゃないかと言いたかったのですが。
グリッドコンピュータが何を言いたいのかはよくわかるのですが、グリッドというものは計算機だけで構成されるものではなく、VOなどを含む運用が伴って初めてグリッドになると思うのです。
(限りなく私的意見かもしれませんけど…)
なので、やはり、グリッドコンピューティングシステムあたりが正しいのかななんて思っていました。
グリッド型(スーパー)コンピュータとかならまだわかるのですけどね。
#いや全部私的独りよがりなんですけど…。単語はまず意味が通じることが大切で、そういう役割はちゃんと果たしてますし
#でもなんか、企業体が営業上生み出した用語みたいで気持ち悪いんです。
Re: (スコア:0)
・・・、それだけか? (スコア:0)