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グリッドコンピュータで蘇る古代ギリシャの楽器Epigonion 61

ストーリー by hylom
何度でもよみがえるさ 部門より

hide.jikyll 曰く

イタリアを拠点とするASTRA(Ancient instruments Sound/Timbre Reconstruction Application)プロジェクトが、グリッドコンピュータを用いて古代ギリシャのepigonionという楽器の音色を再現した(The Registerの記事)。epigonionはハープに似た弦楽器。

ASTRAは絵画や考古学資料を元に絶滅した楽器を物理的にシミュレートするグリッドベースのアプリケーションで、今回はGILDAEUMEDGRIDという2つのグリッドインフラを用いた。30秒の音声を合成するのに4時間を要したとのこと。ASTRAのサイトからMP3ファイルがダウンロードできる。

まじめにやってるASTRAの人たちには申し訳ないが、「一昔前のMIDI音源みたい」というのがMP3ファイルを聞いたタレコミ人の素直な感想。本当にこんな音だったのだろうか。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • このデモではねー (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年09月08日 14時49分 (#1417231)
    > まじめにやってるASTRAの人たちには申し訳ないが、「一昔前のMIDI音源みたい」というのがMP3ファイルを聞いたタレコミ人の素直な感想。本当にこんな音だったのだろうか。

    ベロシティ変化に乏しく、テンポのゆらぎがない打ち込みシーケンスなのでそう聞こえるのでしょう。

    楽器というのは、音色だけで成立するものじゃなくてそれぞれ独特の奏法があるはずなので、
    近い楽器(この場合はハープ?)の奏法に近づけてデモ作るとか、もうちょっと力入れて作って欲しいなー。

    研究の目的としては楽器の物理シミュレーションが主で音楽としての再現性は二の次なのかもしれないですが・・・。
    • by oltio (3848) on 2008年09月08日 15時02分 (#1417240) 日記
      さらに言うと室内での反響の再現や各種フィルター処理がなされていないのでそう聴こえたのでしょう。今回生成された音はなんというか、無響室で録音したような感じがあります。目的が違うのでこればっかりはしょうがないと言えましょう。フィルター処理は今回生成された音に対してさらに施せばよい話ですから。

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  • 現存する楽器 (スコア:3, すばらしい洞察)

    by little( (31297) on 2008年09月08日 15時08分 (#1417247) ホームページ 日記
    楽器の物理的にシミュレートがどの程度の性能なのかの検証の為に、まずは現存する楽器で試すべきだと思う。
    バイオリンとかギターとか、そういう音色の判ってるものを再現した音源は無いのかな?
    • by waraji (36531) on 2008年09月08日 21時33分 (#1417538)
      誰もコメントしていないようなので。
      DTMの世界ではこの20年、PCMシンセと呼ばれる「録音しておいたヴァイオリンの音を、キーボード叩いたら鳴る装置」が主流で、最終的にはどれだけの音を録音してあるか=容量、その膨大な容量をいかにレイテンシーなく鳴らせるか=ストリーミング、の開発が続きました。Vienna Symphonic Cube [crypton.co.jp]が恐らく最大ですが550GBの音源となりました。この世界は1音源40GBなど当たり前の世界です

      しかし、結局それではDTMerの求める音は作れません。例えば、ピアノはサスティンペダルを踏んだまま鍵盤を叩くと内部では叩いていない弦まで共振しその独特の響きを奏でます。あらかじめ1つ1つの音として録音されているPCMシンセではこれを再現できません。
      そんなわけで、今はモデリング音源と呼ばれるシンセが続々と開発され、恐らく今後の主流となります。これの走りはYAMAHAとかなんですが(詳しく知りません)、ソフトウェアで殴り込んできたのがpianoteq [minet.jp]。このソフトは発売当時、アプリ本体がなんとたったの8MB。それでPCMに対抗できる音を作ったのですから衝撃でした。(しかもピアノという難しい楽器で)。このソフトは、ハンマーが叩かれていない弦の共振までシミュレートした本格派でした。(個人的にはまさに新時代の幕開けと感じました。)しかし指摘されている通り、重いです。下のG5ならペダルを踏んだら赤付いちゃいます。G4だと3和音でノイズります。

      まぁそんなわけで、その後The Trumpet [minet.jp]など、続々と似たようなモデリング音源が開発されています。 PCM音源でどうしようもない楽器ナンバーワンはサックスなので、やはり管楽器系の開発に期待です。しかし、瞬間瞬間の出音をカバーできるほどパソコンが速くなる気もしないわけで、まだまだしばらくはPCMシンセとの併用になるでしょう、、。
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      • なるほど、モデリング音源というのですね。

        ただ、私の言いたいのは、今回の音がイマイチだという評価は、元の楽器がしょぼいのか、このシミュレートがしょぼいのか、わからないという事です。
        モデリング音源という分野はそれなりに研究されているから、シミュレートに問題は無いはずって事ですかね?
        親コメント
      • の、はずが、これが主流にならないんですよね…。

        現在でもまだ楽器形状からの生音(演奏音ではない。適切な表現がないので便宜上生音と呼ばせてもらう)を出しただけで、
        他の要素が全く再現できないというか、再現しようにも計算してみた所で人力で扱いきれるパラメーター数や簡素さにならないので、
        未だ物理モデル音源の音って何かおかしいよねの域を10年以上抜け出せていない印象です。

        その間にPCの能力が、サンプリングすりゃええやん派の要望に応えられる能力になったので、
        そのうちなんとかなるだろう…とは思わなくもないですが、そうなるのはかなり先な気がします。
        --
        =-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
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    • by pee-wee (29602) on 2008年09月08日 15時31分 (#1417262)
      10年くらい前から市販品でありますよ。
      http://yamaha-mp.co.jp/product/syndtm/p/tonesamp/vl70m/ [yamaha-mp.co.jp]

      親コメント
      • Re:現存する楽器 (スコア:4, 参考になる)

        by taka2 (14791) on 2008年09月08日 16時16分 (#1417291) ホームページ 日記
        「シミュレーション音源」って言ってしまうとどちらも同じジャンルにカテゴライズされそうですけど、やってることは全然別ものでしょう。

        ヤマハの「ヴァーチャルアコースティック音源」なんかは、楽器の持つ物理特性を「伝達関数」の形で既知な状況で、
        「弦の振動」といった単純な正弦波を伝達関数に突っ込むことで、複雑な「音色」生成するものです。
        伝達関数そのものは、既存の楽器を計測するとか、そこから導き出したパラメータを手でチューニングとかしてるんじゃないでしょうか。
        たぶん今の技術だと、伝達関数そのものをシミュレーションしても、現物とは似ても似つかないものになると思う。

        今回のものは、その「伝達関数」をシミュレーションで求める所からやってる。
        だから、計算量が非常に大きいけど、その代わり実存しない架空の楽器のシミュレーションが可能になってるわけです。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      フィジカルモデリング音源として一般的に普及しております。
      ので、考古学から再現してみた、という点以外に目新しさは無さそうな記事ですが…
      • by Anonymous Coward
        元コメの指摘は「今回使ったアルゴリズム・手法」の再現性の対照実験結果が欲しいという事では?
        トピの背景には「グリッドコンピューティングを使って今まで出来なかったような(もしくは時間が掛っていた)フィジカルモデリングが4時間で出来たのはすごいよね」というのが有るので、既存のフィジカルモデリング音源の再現性がどんなに高くてもあまり意味がない様な気がします。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 15時29分 (#1417260)
    >「一昔前のMIDI音源みたい」というのがMP3ファイルを聞いたタレコミ人の素直な感想。本当にこんな音だったのだろうか。

    中世ヨーロッパやそれ以前の古楽器(復元楽器)の音なんてこんなもんですよ
    弦の張力が弱いし,精緻な共鳴機構も無いので何とも言えないひなびた(?)響きです
    • by mari-nyan (35774) on 2008年09月08日 15時59分 (#1417284) 日記
      バロック・ヴァイオリン [wikipedia.org]弾いたことがあるんですが、上手く鳴らすのに相当苦労しました(モダン・ヴァイオリンしかまともに習ってないので)。
      やっぱりあれも鄙びた音がします。
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    • by nofuture (17983) on 2008年09月08日 21時54分 (#1417553)
      昔、テレビで「びいどろ」の再現の話を見たんだけど、
      たまたま、製法を伝承してる人もいて、
      再現品は、「ペコペコッ」という音しかしないんだけど、
      伝承品は、「キンキン」というきれいな音がしていたのです。
      だから、再現が本当に昔の音を再現しているのかという疑問を抱くのです。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 15時03分 (#1417242)
    素直に当時一般的に手に入ったであろう材料を集めて実物を作るほうがいいと思うぞ
    • いやー。私も最初そう思ったんだけど。

      画像検索 [homoecumenicus.com]
      ヘレニズムっていうんですか。これとか。 [mlahanas.de]
      壷の絵とかからしかわからなくて、出土した吟遊詩人持ってた楽器みたいなもの調べていったら、
      簡単そうじゃないと思う。
      キタラ [kitara-sapporo.or.jp]->ギター
      ティンパニ、リュート->フルートとか。ちょっと言語的ロマン。アポロンの竪琴は何弦かなんて。

      現代と異なる形で材質も(地中海多様で)わからなければ、シミュかな。
      2Dらしいですよ、多くの種類があって。形と弦の数によっていろいろあったらしい。
      --
      がんばろう。と自分に言い聞かせる。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      そんなアレゲっぽくない方法で再現したら、ここの記事にならないじゃないか。
    • by Anonymous Coward
      特定の楽器を復元!という話ではなく、この技術を一般的に拡張できる場合を考えるのがミソなのだと思う。
      つまり、楽器の物理的特徴をシミュレートできるのであれば、この世に存在しない物質特性を持った物質で出来た楽器や、四次元の構造を持つ楽器をシミュレートすることが出来るようになる。
      そのための第一歩だと考えれば、決して無意味な話じゃないと思うよ。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 18時12分 (#1417367)
    > 30秒の音声を合成するのに4時間を要したとのこと

    それらしき記載は、Registerのちょっと小馬鹿にした文脈では出てくるけど、ASTRAのサイトには見当たらりませんでした。

    あるとすれば、"Reason of gridification"に「計算量としてはPentiumIV 1.6GHz/512MB RAMのPCで30秒の音の生成に4時間以上かかるくらい」(だから短縮のためにグリッドを使うのだ)と書いてあるように思うんですけど、読み間違えてますかね?

    #他ソース見つけられないのでAC
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 16時10分 (#1417288)
    実際に物を作った方が早い場合は、ものを作るべし。
    シミュレーション対象の実際の振る舞いとの間で、なんらかの形で検証が出来ないなら只の数遊び。

    グリッドコンピューティングの技術やシミュレーション技術の研究としても
    もうちっと考えた題材を選べば良いのに。
    • 素材や楽器の形状等をパラメータ変更しながら試行錯誤するのって、そんなにコンピュータによる
      シミュレーション対象として間違っているのかなぁ?ましてや物理計算も入ればCPUパワーも必要
      だろうに。

      #グリッドコンピューティングだからって有意義な計算以外無駄って切り捨てる必要も無いでしょう。

      物を作るにも、資料としてのデータが所謂職人に伝わっている楽器でもなく、ハープの親戚だから
      ハープ職人に試行錯誤させながら素材も含めて再現を試みる、なんてのは答えを出すまで大変だ
      と思うのだが。

      #シミュレートで近似値を求めてから職人により実現させるってのはアリだとは思うけど。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        対象物が実際にどう作るかわからない程度の理解しかされていないなら、
        そもそも適切なシミュレーションモデルなど構築できない。
        • by Anonymous Coward
          作成手順の理解と完成形の理解とは別の話でしょう。
          • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 22時47分 (#1417591)
            シミュレーションについて、何か勘違いをしていないか?

            シミュレーションというのは、答えが先にあってそれにあわせて、計算問題を作るようなもの。

            現実の現象をお手本に、理論などを元に現実をうまく再現できるように調整しながら作っていく。
            そうして手元にある何パターン化の現実に測定されたデーターに十分近い値が出てくるようになったら、
            それを将来の予測や、簡単に実験できない環境に適用するという使い方をするもの。

            理論だけで作られたシミュレーションなど、現実と何のかかわりも持たない只の数字のお遊戯。
            お手本が無いシミュレーションなど意味が無いというのはそういうこと。
            親コメント
            • 現実の音響を十分な精度でシミュレートできることが確認された手法を
              > それを将来の予測や、簡単に実験できない環境に適用するという使い方をするもの。
              として使ってシミュレートするプロジェクトとも考えられますね。
              (元ネタ詳しく読んでないから間違ってるかもしれない)

              #絵や柱跡しか残ってない建物を構造力学などを用いてCGで再現してみました
              #というのとおなじ感覚だとおもったけど。
              親コメント
    • >シミュレーション対象の実際の振る舞いとの間で、なんらかの形で検証が出来ないなら只の数遊び。
      つまりこうですね。

      ツンデレキャラから発声器官の形状を推定し、グリッドコンピューティングを用いたシミュレーションにより釘宮声の再現を試みる。
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        >シミュレーション対象の実際の振る舞いとの間で、なんらかの形で検証が出来ないなら只の数遊び。
        つまりこうですね。

        ツンデレキャラから発声器官の形状を推定し、グリッドコンピューティングを用いたシミュレーションにより釘宮声の再現を試みる。
        数遊びの前にまずは現存している最古の釘宮声を世界遺産に登録しなくては。
  • わざと高周波がよく出るノートパソコンのスピーカで聞いてみたが、これは相当上の高調波まで計算してるな。
    まともに計算するとサンプリング周波数の4乗に比例する計算量がかかるから、「よくやった」級の研究だと思う。

    究極の目標はガムランを192kHzのサンプリング周波数で再現、なのかな。
    • 朝に寝ぼけたコメントをしたら、ACさんから3本も斜め方向のレスがついた。何だかありがとう(笑)

      http://www.astraproject.org/bachfugue.wav [astraproject.org]

      にMP3じゃないサンプルが有ります。
      DAWに取り込んでスペクトラムアナライザで眺めた限りでは、11kHz前後までの高調波まで計算しているようです。

      #と、3つのレスにまとめて回答してみる。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ノートパソコンごとき(一部の特殊な機種除く)のスピーカーにあまり期待しないほうがいいですよ。
      まあ小さいぶんだけ上が出るけど、出るといっても音化けが酷いし、ほんとうに高い音は頭打ちだったりするし。

      まともなスピーカー、それが無理ならまともなヘッドホン、をお勧めします。

      なおヘッドホンは「貧者のスピーカー」だそうです。「ヘッドホン十倍段」という言葉があるそうで、同じレベル(あえて言うなら)の音質を得るのにかかるコストがスピーカーの1/10だそうです。ヘッドホンにもヘッドホンなりの欠点はありますが、この十倍という魅力は捨てがたい。

      サンプリング周波数「だけ」云々しても事実上無意味です。
    • by Anonymous Coward
      128kbpsのMP3じゃ高域は相当カットされてるので、元コメの意見は
      単にノートPCのスピーカで高域が強調されてる印象を受けてるだけでしょう。

      逆にASTRAが公開するファイルが128kbpsのMP3でいいのかと疑問を感じます。
      楽器音の再現を目的とするならば。

  • by nekopon (1483) on 2008年09月09日 9時28分 (#1417778) 日記
    エピゴーネン [hatena.ne.jp]に似てる、と思ったのは私だけ?
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 14時57分 (#1417235)
    MIDI音源みたいだというのは、よほど酷い再生環境だったのでしょう。
    安物のイヤホンで聞いても、MIDI音源のような音には聞こえません。
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 15時54分 (#1417279)
    >グリッドコンピュータを用いて古代ギリシャのepigonionという楽器の音色を再現した

    グリッドコンピュータを用いないと再現できなかったのだろうか・・・
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 16時22分 (#1417298)
    ソロパートをサックスに変えるだけでジャスコアレンジ完成ですね
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 17時42分 (#1417344)
    果たしてグリッドコンピュータという用語があるか疑問。
    グリッドコンピューティングならわかるが……
    グリッドも(他にはクラスタとか)も運用形態であって、実体ではない気がするんだが。

    まぁ些細なことかな…
    #関係者にばれたら恥ずかしいのでACで。
    • グリッドコンピューティングという手法で提供される1つのシステムを、1台の仮想PCとみなして、グリッドコンピューターと呼ぶ事がある。

      …んじゃないかなぁ

      判らないならググりなさい、それが面倒なら適当に想像しよう。

      親コメント
      • by Anonymous Coward
        婉曲な言い方ですみません。
        正直、グリッドコンピュータという言い方は適切では無いんじゃないかと言いたかったのですが。
        グリッドコンピュータが何を言いたいのかはよくわかるのですが、グリッドというものは計算機だけで構成されるものではなく、VOなどを含む運用が伴って初めてグリッドになると思うのです。
        (限りなく私的意見かもしれませんけど…)
        なので、やはり、グリッドコンピューティングシステムあたりが正しいのかななんて思っていました。
        グリッド型(スーパー)コンピュータとかならまだわかるのですけどね。

        #いや全部私的独りよがりなんですけど…。単語はまず意味が通じることが大切で、そういう役割はちゃんと果たしてますし
        #でもなんか、企業体が営業上生み出した用語みたいで気持ち悪いんです。
      • by Anonymous Coward
        x < きっと斜め方向に移動できないからグリッドっていうんだよ!
  • by Anonymous Coward on 2008年09月08日 23時16分 (#1417608)
    なーんか、例の究極の答えを連想してしまった。
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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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