ロイターの記事(日本語記事)になっているが、オーストラリアにおいて7年前に発生した武装強盗事件において、ヒルが吸っていた血液のDNAと一致したことで犯人が特定されたとのこと。
7年前に71才の女性が襲われて500ドルを奪われる事件があった。警察はその犯行現場でヒルを採取し、そのヒルから血液を抜き取り、DNAサンプルを残していた。それが7年後、Peter Alec Cannon容疑者が麻薬犯罪の嫌疑を受けた際にDNAサンプルが取られ、ヒルが残した血液のDNAと一致したとのことである。
既に容疑者は罪を認めているようだが、CSIオーストラリアができそうな事件である。
映画になりそうな話ですね (スコア:4, おもしろおかしい)
地味にすごい事のような (スコア:3, 興味深い)
警察が証拠として保全すること思いつくくらいヒルが多くて目立つ場所だったのでしょうか？
それとも今回たまたま決め手になって報道されたけど、ヒルから血液を採取するのはマニュアルにある捜査手法なんでしょうか？
いやなんか捜査を指揮した人の着眼点と頭の柔らかさにビックリしたもんで。
Re: (スコア:0)
そんな所で髪の毛が落ちてなかったほうが凄いな。
Re: (スコア:0)
Re:地味にすごい事のような (スコア:1, おもしろおかしい)
ケガなくてなによりです
Re: (スコア:0)
「生まれてから1回もヒルに血を吸われたことがない」（そして傷口も見つからない）と
言ったら、お手上げになりそうなもんだけど、どうなんでしょうね。
Re:地味にすごい事のような (スコア:3, 参考になる)
＞「生まれてから1回もヒルに血を吸われたことがない」（そして傷口も見つからない）と
＞言ったら、お手上げになりそうなもんだけど、どうなんでしょうね。
現場で証拠のヒルを採取したわけなので、そこは問題にならないと思いますが、
どうして彼のDNAを調査対象にしたのか、というのは問題になりえそうです。
「数学で犯罪を解決する」 [amazon.co.jp]という本で読んだのですが、
DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、
全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
＃統計とか犯罪捜査に詳しい人からツッコミがあれば歓迎。よく知らないので。
Re:地味にすごい事のような (スコア:4, 興味深い)
科学的論理的に言ってDNA型鑑定というのは、どんなに精度が上がろうとも
容疑者リストから犯人たりえない人物を排除することには使えますが、
犯人を特定することには使えません。
裁判で採用されているじゃないか、社会的に認知されているじゃないか、
との声もあるでしょうが、アレは「わしら科学とか論理とか関係無いもんねー」 [google.co.jp]と最高裁が言ってるからってだけです。
今回の件でも
「これオマエのDNAだろ」「へぇ観念いたしやした」
という自白があったわけで、特定できたわけじゃありません。
外国では捜査には使えても本人同定としては裁判では使えない、別人であることの立証には使える、
とするところが多いようです（要出典）。
日本では足利事件のみならず、飯塚事件 [wikipedia.org]でも本人同定に使われ、
こちらは被告人が否認し続け再審請求も出されているのに死刑が確定･執行されました。
Re: (スコア:0)
＞DNAというのは、容疑者グループからひとり選び出すための精度はあるものの、
＞全国民やすべての前科持ちから容疑者を選び出すものではない、らしいですから。
それっていつの話？
2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
http://mm.shimotsuke.co.jp/special/ashikaga-jiken/20090605/156982 [shimotsuke.co.jp]
Re: (スコア:0)
> 2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
私も専門じゃないのでなんですが，15箇所で 4.7兆パターンとなると，7^15ぐらいですかね？
$ echo 7^15 | bc
4747561509943
つまり1箇所あたり 7パターンあるとして，その頻度が同じなのかどうかというのが元記事からではわかりません．血液型のようによくあるパターンがあるとすれば，精度がガックリと落ちる場合もあるかもしれませんね．
Re:地味にすごい事のような (スコア:2, 興味深い)
ヒトの染色体は２本あるのでその計算は正しくありません．
１塩基置換とであるSNPと違いSTRはホモである確率は低く，現実には30カ所を調べるのと同じことです．
（日本の警察が使用している座位がどこかは知りませんが，CODIS [nist.gov]だとすると性決定のためにYにも含んで
いるので29+1というのが正しいと思いますが．）
またこのような個人特定に用いられる座位は多型の配列がある程度均等になっている場所が選ばれるので
「精度がガックリ落ちる」といっても数千人に一人というようなありふれた型になることはありません．
上に挙げたサイトで多型情報を見ると分かりますが，繰り返し数のバリエーションは１座位あたり10以上
のところが多いです．
ちょっと資料がなくて自信はないのですが，「4.7兆人に１人」というのはこれらのSTRのヒト集団における
繰り返し数の頻度分布から計算した最悪値（＝「ガックリ落ち」た後の数字）であると思われます．
kaho
Re:地味にすごい事のような (スコア:2, 参考になる)
自己フォロー
＞性決定のためにYにも含んでいるので29+1
は27+1の誤りです．
それだけでは情報が少なすぎるので，簡単にDNA検査の確率について説明します．
今，性染色体でない染色体の１箇所だけを考え，そこにはAとaの２種類の多型があるとします．
ある集団（ここでは日本人とします）ではAの人が60%でaの人が40%だったとすると，２本の染色体では
aa : 16% (=0.4 ^ 2)
Aa : 48% (= 2 * 0.4 * 0.6)
AA : 36% (=0.6 ^ 2)
という確率になり，例えば100人の日本人がいたらaaが16人，Aaが48人，AAが36人ほどとなります．
ある種の変異ではこのような数学的な確率にはなりませんが，そのような場所は犯罪捜査には用いません．
（専門的な言い方をすればハーディー・ワインバーグ平衡の検査を行って確かめます）
このとき，ある２人の個人を選んで彼らのDNA型が一致するかどうかの確率は
p(aa) * p(aa) + p(Aa) * p(Aa) + p(AA) * p(AA) = 38.56%
として求められます．
この逆数を取ればおよそ日本人では2.6人に１人の確率で２人のDNA型が一致するということになります．
上のコメントで確率は最悪値であると言ってしまいましたが，これも間違いで，単純に数学的な期待値が
犯罪捜査でも用いられているようです．
犯罪捜査や個人特定に用いられる場所はAaの２種類だけではなく，a1, a2, ... と多数のバリエーションが
存在するため１つの場所でも一致する確率は低く，また互いに連鎖しない（ある一箇所が合っていたら
他の場所も一致するという傾向がない，独立している）場所を選んでいるので，一致する確率はそれぞれの
DNAが一致する確率を掛けたものになり，非常に低い値になります．
もちろん一卵性双生児は全く同じ配列を持っているので区別は不可能ですが，それ以外であれば親族でも
区別ができますし，同じ配列の日本人は誰もいないと言えるまでに厳密化することが可能です．
ただしこのような多型の分布はその集団の人口構成によるので，他の人種で使える方法であるからといって
日本人にすぐ適用できるとは限りません．
予め日本人での遺伝型の頻度分布の調査と，HW平衡が成り立つかどうかの検証が必要ですし，その上でないと
「○○人に１人」という確率は言えないはずだと思います．
kaho
Re:地味にすごい事のような (スコア:2)
> 2006年段階で4.7兆人に1人の精度で鑑定できるようになった、といわれていますが。
4.7兆人も人間がいないのに、なんで分かるんだ？
「同様に確からしい」ことの前提が必要だって小学校だか中学校だかで習わなかったっけ。
Re: (スコア:0)
識別パターン数なのかな．．．
Re: (スコア:0)
私とあなたのDNAが異なるかなんて、両方を調べなきゃ断言できません。
ここはぜひ (スコア:1)
稲穂師匠 [wikipedia.org]にご登場を。
らじゃったのだ
CSIって何だい (スコア:0)
Google先生に質問したら、第一候補が科学捜査班 [watch-csi.jp]だそうな
おらてっきり、Code Set Independent の略かと思ったがな
Re: (スコア:0)
Can't Stand Idiots ではないんですね
事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:0)
民家に押し入るちょっとの間にヒルに血をすわれてしまうような環境なのか、オーストリアは？
部屋の中ジャングルですか？
と突っ込みたくなってしまう。
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:4, 参考になる)
ソースの地元紙 [reuters.com]の方にもう少し詳しい状況が書いてありました．
金庫の近くに血を吸ってふくれたヒルをみつけたということですから，恐らく強盗に侵入前からヒルがついており，
室内で気づいて剥がしたか，何かの拍子に落ちたということなのでしょう．
担当刑事によれば本来いるはずのない場所にヒルがいたことが注意を払う原因となったそうですから．
吸ったばかりの血で満腹のヒルがそこにいて，被害者や捜査関係者も血を吸われた形跡がないということであれば
犯人の血を吸っている可能性は非常に高いと言えるでしょうね．
この記事 [reuters.com]（グロ？）の写真がそのヒルと同じ種類だとすると見逃すはずのない大きさですし・・・
kaho
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:1)
ぎえええええ＞＜
グロではないけどホラー注意＞＜
これは単なる類似例の表示であると思いたいですが、もし仮に同種だとすると
見逃すはずがないというか、こんなもん付けてたら痛くないんでしょうか。
痛くない (スコア:2)
唾液に麻酔と血液凝固防止作用があるんで、ヒルを取った後もダラダラと血が出たりします。痛くもなく。
犯人も、ヒルに吸われた心当たりがあったんではないでしょうか。（想像）
映画「スタンド・バイ・ミー」で局所を吸われてましたな。
Re: (スコア:0)
つユムシ [linkclub.or.jp]どぞ（をぃ
ヒルって食べる習慣がある所もあるらしいけど、どんな味がするんだろうね。
いや、丸々太って美味そうだったのでつい・・・。
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:1)
URLを間違っていました．
より詳しい情報が載っているのはThe Mercuryのサイト [themercury.com.au]です．
kaho
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:1)
日本でもいるところにはいますよ. 例えば丹沢周辺(清川村とか秦野市とか)は民家に入り込んでくるほどだとか.
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:4, 興味深い)
丹沢のシカはヒルの宿主状態なのだが、登山客がシカに餌をやるものだから、
人を恐れなくなって里まで降りてくる。そして、徘徊した先にヒルを落として
拡散させていくと。
#三の塔山頂あたりでは、油断しているとシカに弁当を横取りされますw
作物も荒らすし、害獣として山に追い返すのが妥当だと思うのだが、対策どころか
現状も把握できていないようで > 役所
登山も安心して歩けるルートは限られてしまっているし、困ったものです。
Re:事件解決の手腕を賞賛するより (スコア:1, おもしろおかしい)
警察 「三の塔山頂のシカの胃袋から、お前の作った弁当が出たんだぞ！」
犯人 「すいません、私がヤりました」
うう、これは恐ろしい。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
オーストリーとおよびください（オーストリア大使館）
弁護士曰く (スコア:0)
Re: (スコア:0)
検察「それではこの日の23時、あなたはどこにいたんですか！」
ヒル「…黙秘します。」
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