パスワードを忘れた? アカウント作成
187791 story
軍事

航空自衛隊の次期輸送機「C-X」、初飛行 132

ストーリー by hylom
大安吉日とびますとびます 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

航空自衛隊のC-1輸送機の後継で日本が独自開発した飛行機としては最大となる次期輸送機(C-X)が26日(大安)、岐阜基地で初飛行を行った(毎日新聞)。

強度設計の不具合によって2年半遅れでの初飛行となった。年度内に防衛省へ納入される。

C-Xは航続距離、搭載量が従来の機種より大幅に向上している。一般的に軍用輸送機は太い胴体と張り出した脚収納部などの機体形状から巡航速度が旅客機より遅く、民間航空路を使用して飛行することができず運用に一定の制約がかかっていたが、C-Xはマッハ 0.8と高速であり制約を受けない。米軍も次期中型輸送機(AMC-X)に同様の高速性を要求をするなど、一歩先を行くコンセプトである。今月13日にハイチの大地震では空自C-130輸送機は4日かけて拠点の米国フロリダ州まで移動したが、C-Xではそれよりも早く到着することが可能である。大型化しているが先代のC-1と同じく短距離離着陸が可能で小さな飛行場でも問題ない。

欧州でも先月、共同開発のA400M輸送機(こちらも4年遅れ)が初飛行をしているが、こちらは旧来のコンセプトを突き詰めたものであり好対照である。

2007年に初飛行した次期固定翼哨戒機(P-X)との同時開発で一部共通化や民生品活用などによって開発費は合わせて3400億円と非常に安い。低コストかつ2機種同時開発というこのプロジェクトは航空機産業の将来にとって重要な経験である。

貨物機として民間転用も計画されていて、現在、調査・研究が進められている。輸出のハードルはとても高いが世界各国がC-Xをどう見るのか非常に興味深い。

また、SS1 曰く

航空自衛隊次期輸送機(c-x)が2010年1月26日、岐阜県各務原市の川崎重工業 航空宇宙カンパニー岐阜工場に隣接する、航空自衛隊岐阜基地において初の試験飛行を実施した。 防衛省発表によれば、飛行時間は約1時間10分。同日午前10時21分ごろ岐阜基地を離陸し、試験空域に進出し機体システムの確認、模擬着陸などを実施したのち、同基地に帰投し着陸した。着陸時刻は午前11時33分ごろ。試験結果は良好とのこと(動画)。

同輸送機は25日に防衛省よりC-1後継の試作1号機として「XC-2」の型式認定を付与されたことが報告され、そして前日の予告どおりの飛行に成功した。この飛行は地元、岐阜新聞や航空専門紙のsorae.jpJWINGだけでなく、各社から報道されている。

同機は同時開発された姉妹機であるXP-1と共にロールアウトしたが、静強度試験時に不具合が確認され、その対策と改修のため,2007年9月28日のXP-1 初飛行から2年3ヵ月遅れての初飛行となった。開発予算はこの2機あわせて3400億円。米国防総省の調達する大型輸送機「P8」は開発費が70億$(6300億円)とされる。

XC-2の主要諸元(PDF)は全長43.9m、全幅44.4m、全高14.2m、基本離陸重量120.1tonで、エンジンにCF6-80C2(GE製ターボファンエンジン)を搭載する。XC-2は、現在空自の主力輸送機である C-130Hよりペイロード、航続距離で上回り、かつレシプロ機を上回る高速巡航能力で民間航空路を利用できることを要求されており、1970年に初飛行したC-1とくらべ最大積載量は約4倍。航続距離では12ton搭載時で6500km(C-1は2.6ton搭載で1700km)と輸送力が国産輸送機としては大幅に向上する。この能力により海外派遣での活躍が期待される。

また、XC-2は輸送機としてユニークな構成で競合機がなく、民間輸送機としての販売も期待されているが、川崎重工業常務の元山近思さんは「初飛行を終えてから、民間転用機については具体的に考えていきます。将来的に我々の民間機部門の柱に育てたい。 」と 日経ビジネスオンライン(要登録)の2010年1月21日のインタビュー記事にてその可能性について回答している。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by simon (1336) on 2010年01月26日 15時42分 (#1708704)

    ライバルのA400M(エアバス社)は、なんか深刻な状況みたいです。

    http://blogs.yahoo.co.jp/ash1saki/58628893.html [yahoo.co.jp]
    設計より12トンも重量増加、可搬貨物重量が30トン以下になってしまい最大の購入先のドイツが『プーマ装甲車(31トン)空輸できねえんじゃ買わねえよ!』と激怒してるらしいです。

    http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/1419560/ [iza.ne.jp]
    でもって開発予算超過で各国に追加資金出してくれ、と要請してるらしい。往くも地獄戻るも地獄…
    C-Xはこれでも順調にきてるほうですね。

    F-35開発炎上 [srad.jp]とか、P-8ポセイドン哨戒機の開発難航とか、飛行機の開発計画って額が半端じゃないだけに怖いですね。どんなデスマなんだろ?

  • 機動性は (スコア:3, 興味深い)

    by 90 (35300) on 2010年01月26日 12時48分 (#1708597) 日記

    どうなんでしょう? 時期輸送戦闘機として、あのCF-1に負けない運動性を備えていて欲しいものですが…

    • Re:機動性は (スコア:3, おもしろおかしい)

      by oguma (17986) on 2010年01月28日 10時54分 (#1709782)

      どうなんでしょう? 時期輸送戦闘機として、あのCF-1に負けない運動性を備えていて欲しいものですが…

       XC-2の空虚重量が60.8t(予定)で、エンジンはCF6-80C2×2ですから、推力は27,900kgf×2。
       推力重量比は0.92ですね。

       ブルーインパルスで使っているT-4練習機の推重比は0.91だそうですから、機体強度が保てばアクロバットもできそうですね。

      --
      Nullius addictus iurare in verba magistri
      親コメント
  • 飛行機が速くなっても (スコア:3, すばらしい洞察)

    by NOBAX (21937) on 2010年01月27日 20時27分 (#1709515)
    政府が派遣命令を出すのに、モーレツに時間がかかっているので、
    あまり意味がないような気がしますが。
  • 関連ストーリー (スコア:2, 参考になる)

    by jasnabe (19987) on 2010年01月26日 12時37分 (#1708588) 日記

    防衛省の公式発表はまだ無いようなので、記事作成支援に関連ストーリーをどうぞ。

    川崎重工、次期固定翼哨戒機試作1号機を披露 [srad.jp]
    次期固定翼哨戒機が初飛行 [srad.jp]
    ボーイング 787型機、2年遅れでようやく初試験飛行 [srad.jp]
    救難飛行艇「US-1A改」初飛行に成功 [srad.jp]

  • A400Mの方が人柱 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by pongchang (31613) on 2010年01月26日 16時31分 (#1708737) 日記
    旧来のコンセプトを突き詰めたものとA400Mを評しているけれども、西側最大のターボプロップTP400をわざわざ1機種のために開発したり、人柱度は、A400Mの方が上だと思う。
    B767で使い慣れたCF-6に、XP-1では取り組んだ光ファイバーによる操縦系も、XC-2ではフライバイワイアーで取り入れていないなど、堅実度はXC-2の方が上と思う。
    • by yasuchiyo (11756) on 2010年01月27日 21時04分 (#1709532) 日記

      旧来のコンセプト云々ってのは先端技術を使ってるかどうかで決まるのではないでしょう。
      XC-2が新しいのは、自衛隊ユースを考慮してSTOL性能と長距離高速巡航性能の両立を図って作られたってところだと思います。
      この手の輸送機で、民間航空路線を民間機と同じ速さで飛べるってのは、他にないとのことですが。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年01月27日 20時33分 (#1709519)

       C - X = XC
        Google 電卓機能について

    そうじゃないんだよGoogle……

    #そして「C - X = XC」をググったら「次期輸送機CX、初の試験飛行に成功」がトップに出ました。

  • by t_a_b_a (32874) on 2010年01月27日 21時00分 (#1709531) 日記

    現在C1が飛んでいる地域におりますが、今よりやかましくなるんかなあ?

    • by Anonymous Coward on 2010年01月27日 21時11分 (#1709540)
       民間機なみに静かだそーです。ボーイング767と同じエンジンで同じ数なので、同じくらい?
      親コメント
      • by t_a_b_a (32874) on 2010年01月27日 22時18分 (#1709568) 日記

        そうですか、767も飛んでますがC1は訓練の為かそれより低空を飛ぶんで…
        おまけにタッチアンドゴーとかよくしています。
        他にも短距離着陸とか(たしか1000m以内だったか)緊急離陸とかの訓練してるんで。
        実際かなりエンジン吹かすので現状かなりうるさくって

        親コメント
        • C-1のJT9Dはバイパス比低くて中央のコアからの排気があまり覆われませんし、
          フラップも4重隙間式ファウラーという凝った構造だから風切り音が大きいのかもしれませんね。
          XC-2はC-1より機体規模ははるかに大きいですが機体規模の差ほどには騒音は増えないかもしれません。

          親コメント
          • by t_a_b_a (32874) on 2010年01月27日 23時11分 (#1709594) 日記

            参考になりました、ついでに聞きますが短距離離着陸能力に差はあるんでしょうか?
            なぜか、このご時世に滑走路が延長されたので気になって

            親コメント
            • 最近伸びたというと2000から2500mになった美保ですが、それはともかく、
              防衛庁(当時)の要求性能では26トン積んで6500km、もちろんJASDFの基地から使えないと無意味ですから、
              少なくとも2000mの入間から離陸して上記の条件を満たすことを要求しているはずです。
              立川からでもC-1のペイロード/レンジ程度でいいなら何とか離陸できるんじゃないですかね。
              そういう風に使うのは勿体無いので素直にC-130なりCH-47なり呼んだ方がいいでしょうが。

              親コメント
          • 自己レス。
            C-1にJT9D積んだら大変。C-1に積んでるのはJT8D。

            親コメント
    • by Anonymous Coward on 2010年01月27日 23時11分 (#1709593)

      参考になるかわかりませんが、同時開発されている次期哨戒機がウチの真上を飛んだときは、
      案外静かでしたよ。
      P3Cより静かだったので、ほんとにジェット機なのかい?と思ったくらい。

      #プロペラ機と言えども、C-130は案外うるさい。

      親コメント
  • by nox_dot (11614) on 2010年01月27日 21時52分 (#1709555) 日記

    > かつレシプロ機を上回る高速巡航能力で民間航空路を利用できることを要求されており
    なるほど、マッハ0.8で巡航できる事には、こういう意味があるわけですね。勉強になります。
    米軍機みたいに、世界のあちこちを頻繁に飛び回る訳じゃないので、慣れた民間航路を飛べるのは、正しい選択ですね。

typodupeerror

※ただしPHPを除く -- あるAdmin

読み込み中...