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お金

ビル・ゲイツ氏の慈善団体、過去 10 年の教育分野への資金援助の失敗を認める 33

ストーリー by reo
ネバーランドがないならネバーランドを作ればいい 部門より

eggy 曰く、

世界最大の慈善基金団体、ビル & メリンダ・ゲイツ財団は、2000 年より教育分野に多額の資金援助を行ってきたが、成果が出なかったことを認め、今後の援助のあり方を方向修正するとのこと (The Wall Street Journal の記事本家 /. 記事より) 。

2000 年以降、財団は 50 億ドルを教育奨学金として融資し、2004 年には学生数の少ない学校を奨励して、1 億ドルを投じてサンディエゴ、デンバー、ニューヨークなどの都市に 20 余りの小規模な高校を創設すると発表した。だが結果は期待を下回り、大学に進学する確率は 10 % 程度しか上がらず衝撃的な影響を及ぼすまでに至らなかった。この結果を受け、ゲイツ氏は行政が教育に支出する経費は年間で 6 千億ドルであるのに対し、慈善団体が教育に出資している額は 100 億ドルにも満たないとし、慈善団体に期待しすぎてはならないと論じている。また過去 10 年の慈善事業が結果を出せなかったことから、今後は学校レベルで出資するよりも学校教育に関する研究に出資するのだという。財団は今後 5 年間で 3 億 350 万ドルを投じて、教室のマネジメント・明確な目標・生徒によくある間違いに関する分析と指導方など、効果的な教育方法を体系的に学校教育に活かせるかどうかの調査を行うのだそうだ。 7 都市の 3,000 の小学校で行われる 13,000 の授業を録画し、クラスが本題に集中するまでのスピード、生徒のやる気や集中力を観察したり、直接生徒に質問することでクラス運営に効果的な方法に関する情報を得るのだという。

だが、教師に参加してもらうには「現状維持」を望むであろう教職員組合を説得しなくてはならない。プロジェクトに参加することで「教師失格」のレッテルを貼られる可能性もあるため、教師らが怖じ気づくのではないかの不安もあるようだ。それでもゲイツ氏は「プロジェクトに参加する地域の先生方の多くに、この (プロジェクトに参加した) おかげでもっと良い仕事ができるようになったと言って貰えるのが、我々の夢である」と語っている。

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  • 7 都市の 3,000 の小学校で行われる 13,000 の授業を録画し、クラスが本題に集中するまでのスピード、生徒のやる気や集中力を観察したり、直接生徒に質問することでクラス運営に効果的な方法に関する情報を得るのだという。

    これってマイクロソフトがやってるユーザビリティー テストその物じゃないのか。
    確かにその手のノウハウを生かすのは良いかも。

  • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 10時44分 (#1993536)

    10%も進学率があがったってすごくね? と思った。
    彼が大学全入時代がお望みなのか。

    • Re:これで失敗なのか (スコア:2, すばらしい洞察)

      by upken (38225) on 2011年07月28日 11時40分 (#1993580)

      何%から10%に上がるかによって、難しさは変わると思います。
      0% → 10% 簡単
      80% → 90% 困難

      また、日本の入試制度と違って行く気があれば入れる(卒業できるかは不明)ので、純粋に意欲や家庭環境・経済力の方に要因があるのではないかと思います。
      奨学金を取れるレベルまでいくほどの学習効果がないと、進学率はこれ以上上がらないのではないでしょうか。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        成功したことにしたいのか失敗したことにしたいのかに合わせて目標を後から決める(ただしあたかも最初から決まっていたかのように、世界一優秀な官僚の能力を惜しみなく投入して粉飾する)という日本的発想から抜け出せてないよ。
        大学進学率が何%上がれば成功なのかという目標が先にあって、それを達成できなかったというシンプルな話でしょ。

        • by upken (38225) on 2011年07月28日 12時42分 (#1993645)

          >大学進学率が何%上がれば成功なのかという目標が先にあって、それを達成できなかったというシンプルな話でしょ。
          それは結果ですよ。
          その目標値は何%だったんでしょうか?何%から何%へあげるものでしょうか?
          また、その目標値はそもそも達成可能な数値だったんでしょうか?
          ソース読んでも、俺の貧弱な英語力でななめ読みした限りでは発見できませんでした。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            達成可能な目標を正確に設定することが主目的な人たちはそういうことを知りたがるんだよね。

            極論すれば目標を達成できたかどうかなんてことは、どうでもいい話。
            大事なのは結果と目標の差分を分析して、それを次の行動計画に組み込むこと。
            結果が出た時点で全部終わりって案件なら話は別だけどさ。

            • by upken (38225) on 2011年07月28日 15時38分 (#1993804)

              ははは。後半の言いたいことはわかります。
              民主党の答弁を聞いているようで楽しいです。
              到底不可能な目標を設定して意味があるんでしょうか。
              目標をクリアできる根拠があったうえで目標を設定していると信じたいです。

              # 極論すればマニフェストを達成できたかどうかなんてことは、どうでもいい話。

              親コメント
              • by Anonymous Coward

                あんたの主張に従うなら、民主党のマニフェストの数字は妥当だったのか、
                その数字の根拠に無理がなかったのかを検証しないといけないんだろ?
                そんなの意味あるのかって話だよ。

                最初の話に戻るなら、彼らのやったことが進学率の向上に効果があったかどうかを
                検証することには意味がある。しかし彼らの目標設定が妥当だったかどうかなんて
                大した意味のある議論じゃないと思うって話だ。

                あんたはそうは思わないってのはよく分かったよ。
                民主党が達成可能なマニフェストを作れるよう、しっかり応援してやれ。
                彼らも根拠があって目標を設定してると、信じたいんだろ?

              • by Anonymous Coward
                目標を達成する義務や道義があるはずの政治団体と、そのようなものがあるとは思えない慈善団体を、同じライン上で評価しようとすること自体が疑問ですね。
              • by upken (38225) on 2011年07月28日 18時47分 (#1993959)

                なんか自分の発言で変な方に向かってしまったな。すまん。

                話を戻すと、そもそも達成しなくて良い目標だったら、「失敗した」という評価も妥当でないわけで。
                そういう意味で、達成するつもりの目標だったと思う。
                やり方に問題があったことを客観的に受け止められるのは羨ましい。

                親コメント
              • by upken (38225) on 2011年07月28日 19時33分 (#1993997)

                この慈善団体(の職員)はスポンサーの意向に沿って活動する義務がありますよ。
                スポンサーの意向にそぐわない結果になったので方針転換したのでしょう。

                親コメント
              • by Anonymous Coward

                >目標を達成する義務や道義があるはずの政治団体と、そのようなものがあるとは思えない慈善団体を、

                それはきわめて日本的な発想ですね。
                あちらではある程度以上の慈善団体は「目標」を明確にして寄付を募集しますし、
                そのためのマネジメントを行うために、それなりの人材も投入します。
                日本の手弁当のイメージがあるなら改めるべきです。

      • by Anonymous Coward
        え?
        ポイントじゃないでしょ?
    • by grobda (4894) on 2011年07月28日 13時20分 (#1993703)

      元々行政の支出が6000億ドルで、それに100億ドル(未満)出しただけで10%上がったんだから、素直にすげーと思うが。
      6000億ドル→n%
      6100億ドル→n*1.1%
      仮に元の大学進学率が30%だとしたら、100億ドル追加投資で33%になったわけだよね?
      理解合ってる?

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 18時05分 (#1993920)

        はっきりは書いてないけど、WSJの原文の文脈からだと、「全米で進学率が10%上がった」というんじゃなくて、20の少人数制高校など重点的に投資したところで、投資しなかった場合に予想されるのに比べて10%くらい上がったんじゃないか、っていうことなんじゃないかな、と読みました。その地区で毎年10000人高校に入ってて30%進学していたのが、300人の少人数制高校を作ってその100%が進学するようになったら、トータルでは進学率約33%、10%の改善になりますよね。けれどもそれを全米にスケールするにはちと効率が悪い、ということかと。

        アメリカの学校予算は自治体ごとなんですが、日本のような全国共通の教育基準というのが無いせいか、予算が減ると内容が歯止め無く悪くなります。教員が減らされ、教える教科が減らされ、それでも予算が不足すると学校の開いている日が減ります (教員の給料がフルに払えないということで、週休3日とかになる。) こんな状況で個別に改善してゆこうとすれば、(行政の予算に比べて)ちまちま金を入れていても焼け石に水です。なので、よりレバレッジの効く教育工学などに投資しようというのは正しい理屈ではあります。

        教員組合は… どうなんですかね。いくつかの州では、学校でのドラッグの蔓延が問題になって、教員に対するドラッグ検査をしようとしたけれど、組合が強硬に反対している、という話もあります。私は教育の自治っていうのはある程度必要で、国家権力の言いなりじゃまずいと思ってるんですが ("The spirit of resistance to government is so valuable on certain occasions that I wish it to be always kept alive." --Thomas Jefferson)、子供不在の闘争はやめてくれって感じです。

        親コメント
    • by Anonymous Coward
      進学率ではなく進学する確率なので10%あがったわけではないのでは?
      • by Anonymous Coward

        元のニュースで言えば

        "But the overall impact of the intervention, particularly the measure we care most about—whether you go to college—it didn't move the needle much," he says. "Maybe 10% more kids, but it wasn't dramatic. . . . We didn't see a path to having a big impact, so we did a mea culpa on that." Still, he adds, "we think small schools were a better deal for the kids who went to them."
        なんだが、うまく訳せない。please

        • by Anonymous Coward

          割合の意味合いじゃないかにゃー

    • by Anonymous Coward

      すごいかどうかとか支出に見合った結果かどうかの議論はあってしかるべき。少なくとも財団内部ではね。

      だが、これを「失敗を認める」って言うのは成功へのハードル上げ過ぎだな。

      • by torigasira (9469) on 2011年07月28日 11時43分 (#1993582)

        >だが、これを「失敗を認める」って言うのは成功へのハードル上げ過ぎだな。

        営利団体や行政では手を出しづらい実験的な事を試みて、
        期待してたほど成果が上がらなかっというデータを公表してくれたという点で、
        大きな成果を残した慈善事業だったのではないかと思います。

        #資金を集めるために目的がずれていってるように見える一部のNPO法人とは格が違うなーと

        親コメント
      • by Anonymous Coward
        むしろ日本(とくにお役所がらみ)の失敗へのハードルの高さは異常。
        • そうですね。東大法学部卒のキャリア様が何かをした場合、

          • 数値が大幅に上がった場合→大成功と発表
          • 数値が少し上がった場合→成功と発表
          • 数値が同じまたは下がった場合→一定の効果は上げたと発表

          という風にしていますから。一方、同じキャリアでも東大法学部卒でないと村木厚子さん [wikipedia.org]みたいな目にあわされます。

          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 10時50分 (#1993541)

    行政が教育に支出する経費は年間で 6 兆ドルである

    6000億ドルでしょ?

    It's worth remembering that $600 billion a year is spent by various government entities on education, and all the philanthropy that's ever been spent on this space is not going to add up to $10 billion. So it's truly a rounding error.

    ("大学に進学する確率は 10 % 程度しか上がらず衝撃的な影響を及ぼすまでに至らなかった"って、「確率」とか「衝撃的」とか、微妙な日本語だな。)

    • Re: (スコア:0, オフトピック)

      おっとご指摘 thx です。修正しました。

      --
      Hiroki (REO) Kashiwazaki
  • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 12時08分 (#1993604)
    やる価値はあるけど、遠くから巨視的に観察して統計的にどうの、って手法で見えてこない部分にやばいものが含まれてる気がするな。

    >プロジェクトに参加することで「教師失格」のレッテルを貼られる可能性もあるため、教師らが怖じ気づくのではないかの不安もあるようだ。

    そりゃそうだろ。これまで排出した子は教育失敗でしたごめんね、で済むわけがないのに。
    工場の生産ラインを効率化しましょうってのと同一視してんじゃないかね。
    現場でのあれが無いこれができないそれに困ってるってのをまず解消する努力はしたほうがいいんじゃないの?
    日本とは状況が違って、現場はなに不自由なく教育できてるが成果が上がらないというなら、教員の人材に問題があるといえるけど。
    • by Anonymous Coward

      > やる価値はあるけど、遠くから巨視的に観察して統計的にどうの、って手法で見えてこない部分にやばいものが含まれてる気がするな。
      私には思いつかないのですが、統計的に見えないやばいものというのは何でしょう?

      > そりゃそうだろ。これまで排出した子は教育失敗でしたごめんね、で済むわけがないのに。
      > 工場の生産ラインを効率化しましょうってのと同一視してんじゃないかね。
      今までの教育は失敗でしたごめんね、と謝ってでも、これからの子供達の教育の質を上げる方が有益でしょう。

      > 現場でのあれが無いこれができないそれに困ってるってのをまず解消する努力はしたほうがいいんじゃないの?
      > 日本とは状況が違って、現場はなに不自由なく教育できてるが成果が上がらないというなら、教員の人材に問題があるといえるけど。
      何不自由なく教育できて教育の成果が上がらないのならば、教員の人材の質よりも先にシステムを見なおすべきです。
      教師に教育の成果を上げるインセンティブがないシステムがより本質的な問題でしょう。

    • by Anonymous Coward

      > そりゃそうだろ。これまで排出した子は教育失敗でしたごめんね、で済むわけがないのに。

      済むよ。というか古今東西学校教育の方針変更のしわ寄せで子供が苦労してもごめんねも言わずに済んでますよ。

      これが悪いと言ってるんじゃないよ。方針を変更してごめんねで済まない(賠償金?)場合のことを恐れたら、誰も好き好んで新しいことをしなくなるという副作用が待ってますよ。

  • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 13時43分 (#1993727)

    別の調査では、高校レベルの教育に金を突っ込んでもさほど効果は上がらないが、
    幼児教育への投資はより有効だそうです。

    • by Anonymous Coward

      おっしゃるとおりで、幼児教育や小学校教育に投資をする方が効果が出るという調査がたくさんあります。
      また、投資対象も学校の設備等ものへの投資は効果が低く、教員の質を上げる(単純に給料を上げるということではない)ことの効果が高いとか、貧困層が住む地域への投資の方が効果が高いなどの調査があります。

      ・低年齢のうちは環境要因が大きい。
      ・環境要因のうち教育をする人材が重要。
      ということでしょう。

      また、教育社会学では昔から熱心に調査がされてきている分野ですが、貧困層では親が十分な教育の方法を知らないことが多く、家庭での教育が十分でないとい

  • by Anonymous Coward on 2011年07月28日 23時26分 (#1994144)

    これだけの金額をOLPCプロジェクトに寄付していればどれほど多くの成果をあげていたことか。
    どうしてすでに実績があり、成果が期待できるプロジェクトに投資しないのか理解に苦しむ。

    • by Anonymous Coward

      OLPCってMicrosoftの協力を拒んだんじゃなかったでしたっけ。
      Windowsの提供を断ったとか何とか。

      で、OLPCプロジェクトの具体的な成果って何でしょう。
      貧困率は改善しましたか? 高等学校への進学率は向上しましたか?

  • by Anonymous Coward on 2011年07月29日 8時20分 (#1994219)
    慈善事業の成果を査定するなんて、日本じゃ「慈善事業にはそぐわない」とか言われて全部ウヤムヤ。
    使途さえ不明とか。
typodupeerror

普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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