エイズ治療用の飲み薬に感染予防の効果 35
ストーリー by reo
プロセスよーし 部門より
プロセスよーし 部門より
ある Anonymous Coward 曰く、
国連合同エイズ計画 (UNAIDS) と世界保健機関 (WHO) は 7 月 13 日、エイズ治療用の飲み薬の服用でエイズウイルス (HIV) 感染が 6 割から 7 割予防できることが明らかになった、と発表した (J-CAST の記事、WSJ 日本語版の記事より) 。
アフリカのケニアとウガンダで HIV 陽性と陰性の組み合わせをもつ異性愛カップル約 4700 組に対して臨床試験が行われた。陰性のパートナーは、1 日 1 錠の抗ウイルス薬テノホビルを飲むか、テノホビルと別の抗ウイルス薬のエムトリシタビンの合剤を服用するか、または偽薬を飲むか、の 3 通りに分けられた。その結果、テノホビル群で 62 %、合剤群で 73 % の感染率の減少が確認できたという。また別の研究グループによるボツワナでの臨床実験でも合剤群は 63 % の感染率減が確認できたとのこと。
2007 年の AFPBB ニュースの記事でもテノホビルによる感染率減少の話題がある。
人道的にどうなのこの実験 (スコア:1, 興味深い)
偽薬を掴まされた群は(結果論とは言え)高い感染リスクに晒されたわけだが。
ああパートナーの調達は自前なのか。じゃあ爆発しろ
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:1)
リスクに晒されたどころか、感染率が計算できてるということは実際に感染したってことじゃないかと思います。国連やWHOが絡む以上は非人道的な調査計画ではないと考えると、
・感染者が来院した機会などを捉えて調査対象になってもらい、パートナーの感染の有無を検査し、薬を渡して追跡調査した
・渡す薬は3種類あって、うち一つは偽薬であることは説明した
ってことなんですかね?
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:1)
父親が陽性でも、なんとか母親が感染する前に子供を作る方策を考えざるを得ない状況にアフリカはなってる。
「国連合同エイズ計画」ですからー (スコア:0)
「温暖化担当大臣」とか「ネット流出担当課」を彷彿とさせるんですが。
「対策」ってつけないの?>訳語として定着してるみたいだけど
Re: (スコア:0)
Re:「国連合同エイズ計画」ですからー (スコア:2)
あ、そうか。
SEO対策はGoogleがやることだと思ってた。
Re: (スコア:0)
エイズ関連はアフリカが多い気がするんだよね…エイズ予防の塗り薬とプラセボと何もなしを実際に比較したってのを何年か前に見た覚えがある
Re: (スコア:0)
処女がレイプされるよりマシ、くらいの感覚なんじゃないの?
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
可能な限り人道的と思われる調査方法。
(1)無料でHIVの検査を実施。検査結果はきちんと伝える。
(2)片方に感染の見つかったカップルに、何の薬かは伝えずに治験に参加して貰う。
(3)一定期間後、再度検査を実施。感染の有無と性交渉の有無を調べる。
確かアフリカとかで感染者が多いのは、啓蒙活動が行き届いておらず、
感染が分かっててもヤっちゃうからでしたよね。
つまりそこを利用したのではないかと。
#無知な素人の浅はかな考えですが。
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:2, 参考になる)
被験者たちが言うならわかりますが、外部の人間がとやかく言うことじゃないでしょ?>人道的
(snip)
あちらでは感染を承知で「将来のエイズ予防に役立つなら喜んで実験台になる」という認識かもしれませんね。
こちらの常識をあっちの常識に当てはめてはいけませんよ。
これを
被験者たちが言うならわかりますが、外部の人間がとやかく言うことじゃないでしょ?
>「将来のエイズ予防に役立つなら喜んで実験台になる」
ってそのまま議論が循環してしまいそうなのですが。
人道的にやるなら人体実験の前に、動物(HIVだからサル以上の人間の近縁種)でやるだろ、ってググったら2007年の記事
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2285483/2161374 [afpbb.com]
だから、実験の手続き的には問題ないかもしれない。
「臨床試験が、4大陸で実施」だから、(貧しい)アフリカに限ってやったわけでもないようだ。
でも、HIVはまだ治療方法が確立していないのがもやっとする。
WSJの記事の次の文章
バトン氏は「予定より1年半も早く試験を終わらせた。差があまりにも顕著だったからだ」と述べた。同氏によると、偽薬の投与は14日に打ち切られ、どちらかの抗レトロウイルス薬を服用する機会が与えられる予定だという。
読めば、科学的確証が得られるまで十分なデータを集める、という実験目的よりも
被験者を危険性から解放すべきだ、という立場みたいだし、
実験そのものの実施が人道的にオールクリアなものでもないのでしょう。
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:1)
んなこたあない。
被験者は、いわゆる「人道的」や「人権」などの知識が充分でないかもしれないでしょ。
外部からクレームすることにも意味はある。
のであれば、可能性のある対応はとにかく何でも行うべきなのでは。
「実験」とかやってる場合なのか。
Re: (スコア:0)
敢えて「津波から逃げるのに車を走らせている中」に例えるなら、
第一のグループには山側へ進む道へ、
第二のグループにはそのまま平地を進む道へ、
第三のグループには海岸線へ進む道へ誘導したところ、
第一グループでの生還率はA%、
第二グループでの生還率はB%、
第三グループでの生還率はC%だった。
的な。
やっぱり非人道的な感じが。
Re: (スコア:0)
どういう方法だと「より人道的」と言えるのか、ぜひ意見を聞きたいところ。
批判だけなら民主党でも可能
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:4, 興味深い)
ええと読んですぐ理解できるサイトとか見つけられなかったんでアレですけど、
治験・臨床試験におけるガイドラインってのがWHOなり、各国の当局なりが出していて、
その中で人道的見地から説明+同意を取ることや、プラセボについて十分な理解を得ることなどが謳われています。
「人道的かどうかなんてのは被験者だけが言えば良いことで、世界的に共通の見解なんて無いよ」というのは少なくとも医薬品の臨床試験においては当てはまりません。
(それを踏まえた上で、WHOなんて無視しようぜ!という別の意見はあってもおかしくありませんし、どの国も必ず100%守れているかと言えばそういうワケでもありません、念のため)
ので、そういう観点からの最低レベルでは、タレコミ文からは
・偽薬、つまり効果が無いグループに当たるかもしれないこと
・新薬、つまり効果があるか無いかも不明で、未知の副作用があるかもしれないグループに当たるかもしれないこと
・極端な話「接触を持たない」という最も良いかもしれない予防法が他にあること
これらを説明し、被験者の了解を得ることが必須となります。
……それとは別に、
感染の危険がある夫婦を目の前にして、接触スンナ!ではなく薬飲んで接触してね、って頼むのは人道的か、という観点もあります。
感染予防を科学的に調査するためには避けられないこととは言え、議論の余地がある部分でもあります。
#同様のことはプラセボを使用すること自体にも言えて、
#FDAあたりは「プラセボを使用しないんなら科学的なんて言えないじゃん!」くらいのことを言ってますが、
#やはり既存の効果的な治療法がある時に新薬のために無治療群に置かれかねないのはどうよ、という議論が絶えません。
#もちろん偽薬群を置かずに既存薬と新薬との比較試験というのも未だに行われるのですが……。
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:1)
ググったら、日本語訳が引っ掛かった
http://homepage3.nifty.com/cont/34_1/p7-74.pdf
現場の人間ではないので
>> FDAあたりは
のくだりや、
>> もちろん偽薬群を置かずに既存薬と新薬との比較試験というのも
>> 未だに行われるのですが……。
「未だに行われる」と、過去はともかく、現在は主流では無い表現になった背景は判らないのですが。
振り返って、今回の試験、エイズ感染リスクを考えると、偽薬を対照としたのは、倫理的に妥当と言うのは抵抗を感じます。 治療薬では無く、予防薬として、現在「確立された有効な」ものが無いから、指針に反しては居ないということなんでしょうけど。
Re:人道的にどうなのこの実験 (スコア:1)
#うまくまとめられず長くなってしまったんで、最初のリンク先だけ読めば十分かも。
本命のガイドラインはICH-E10って奴なんですが、軽くググるだけだと本の紹介ばっかりだ(--;)
プラセボについてだけ言えば、以下のページがざっくり説明してくれています。
http://medical.radionikkei.jp/suzuken/final/021024html/index_3.html [radionikkei.jp]
心情から言えば、比較するなら「現存する最善の治療 vs 新薬」が良いですよね。
しかしそれは「現存する最善の治療」が本当に効果がある場合のみ、意味を持ちます。
日本でも、新薬A承認→新薬BについてAと比較して承認→新薬CやDについてAやBと比較して承認……
とやっていったあげく、後からの調査で最初のAに効果が無い、BやCやDもほぼ効果なし、
という結果が出て承認取り消しになったことがありました。
アルツハイマー+プラセボでググれば色々見つかるかな?
なので純粋に科学的には「新薬は偽薬と比較して優位性が認められなければ有効とは言えない」となります。
しかし一方で、例え被験者の同意があろうとも(*)、疾患を持つ患者に偽薬を投与する
(=他に治療法があるのに無治療を選択する)というのは倫理性にもとる、という考え方があります。
(*) 当事者の同意があれば倫理性はクリアできる、というのは誤りです。
ここでいう倫理性というのは他者から見てどうか、国際社会から見てどうか、という話。
もっと砕いた表現をすると「本人がどうあろうとグロい行為は見たくないよ!」
つまり現地の歴史や文化があろうとも殺人や乱交や麻薬は止めさせよう、ってのの親戚みたいなもんです。
そこで各国色々「これなら偽薬使ってオッケー、これなら偽薬使わなくてもいいよ」ってラインを設けています。
例えば放置しておいても半年やそこらなら悪化しない疾患の試験なら偽薬使って問題ないですよね。
一方で、「薬飲まなきゃ死ぬ」って人に偽薬込みの試験させるわけにいきません。
倫理性ももちろんですけど、臨床試験ってのは自分の意志で参加するものですから、そもそも立候補が居なくなっちゃいます。
肺結核の人に「この抗生物質飲んでね、偽薬かもしれないけど」とか
糖尿病の人に「このインシュリンの注射打ってね、偽薬かもしれないけど」とかやるわけにいきません。
そこで今回のケースですが、この場合問題となるのは「当事者にとって、無治療というのがどの程度の意味を持つのか」です。
おそらく先進国でやるならば今回のデザインは認められないでしょう。なぜなら、予防手段なり治療手段なりが複数あり、
しかもそれを実施するだけの力(簡単に言えば金と時間)が参加者にあると思われるからです。
しかし今回の土地の場合、もしこの試験が無かったら、ほとんどの人は予防手段を選ばない可能性があります。
もしそうなのであれば「試験に参加して偽薬グループとなっても、試験に参加しなかった人との感染リスクの差はほぼ無い」
と判断された可能性があります。……あくまで可能性ですけどね。
#あくまで「もし言い訳するなら」という観点で書いてます。正直私も疑問を感じているのは前のコメントにもある通り。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
> WHOなんて無視しようぜ!
水道水の放射性物質基準ですねわかりますん
Re: (スコア:0)
素人による補足情報
基本的には薬の試験には対照群(プラセボ)必須ですが,
がん治療の場合には症状が深刻だから
プラセボで死なせる(というか治療放置?)のがダメということで,
プラセボはやらないのだ,と製薬関連の知人が言ってました
Re: (スコア:0)
だとしたら問題ですけどね。
そもそも騙す必要などありませんし、通常の臨床試験の手順に沿っていれば何の問題もないのですけどね。
対照群を設定して偽薬を与えることが非人道的と言い出したら、世の臨床試験はほとんど全て非人道的ということになってしまいます。
ゴムを使え (スコア:1, すばらしい洞察)
子作りが目的でないなら、必ずゴムを使え!
使い方を間違えなければほぼ100%の予防効果がある。
# この調査結果にゴムの使用率って要素は不要なの?
Re:ゴムを使え (スコア:1)
というか、UNAIDSのプレスリリース [unaids.org]にもあるように、
The Partners PrEP trial, conducted by the University of Washington’s International Clinical Research Center, followed 4758 sero-discordant couples (in which one person had HIV infection and the other did not) in Kenya and Uganda. Couples received counselling and free male and female condoms. The uninfected partner took a once-daily tenofovir tablet or a tenofovir/emtricitabine tablet or a placebo pill. There were 62% fewer HIV infections in the group receiving tenofovir and 73% fewer HIV infections in the group that took tenofovir/emtricitabine than in the group receiving the placebo.
そもそもゴムを使えと指導し、さらに無料でゴムを配った上でさらにプラセボを用いたランダム化二重盲検試験を行っています。
よく勘違いされるのですが、ランダム化比較試験の対照群は、完全なプラセボではなく、その時点での標準治療でなければなりません。
HIV感染の予防は「コンドームを使え」というのが標準でしたから、さらにそれにHIV薬を加えることで追加の効果が期待できるか、というのが今回の試験で明らかにしたいことです。
抗HIV薬にも副作用があり、HIVに感染しなかったが腎不全になったとか、気持ち悪くなるので結局のめなかったとか、そういうことがあれば予防効果は実際にはありません。コンドームにさらに抗HIV薬を追加して効果があるかどうかは、「コンドーム(+偽薬)」という現状の標準治療と比較することによって初めて明らかになります。もちろん、これは現状の最良の予防策をとっているわけで、そうでなければ倫理的に臨床試験の実施は許されません。
もちろん、有意な結果が出た以上、偽薬に割りつけられた群にも今後は実薬を提供される機会が与えられなければなりません。抗HIV薬の値段を考えると、どのくらいの意味をもつのか分かりませんが。
# アフリカだからできたとか言っている方もいらっしゃいますが、これはCDCの試験 [cdc.gov]ですから当然アメリカ合衆国でIRBを通しているはずです。
Re: (スコア:0)
スキンなんだけど~♪
破れてるのさ~♪
Re: (スコア:0)
>使い方を間違えなければほぼ100%の予防効果がある。
理論的にはそうなんだけどね、現実は3-14%/年位で失敗するらしい。(破損とか脱落とか)
1年って何回なのかは不明だけど、日本人の平均が4ー50回とか、外国の平均が100回ちょいだとか、
そういう世界らしい。
ま、0には何を掛けても0だけどな!
入手方法は? (スコア:0)
お医者さんいけば処方してもらえるのかな?
やっぱり個人輸入とかになるんだろうか……
#パートナーとの信頼関係がどうなるかは別として常備しておきたい……
Re: (スコア:0)
ちゃんと調べてないけど、個人輸入での購入は可能みたいですね。
この用法は、医療機関でHIVリスクのある針刺し事故があったときにも用いられるので信頼度は高いですが、
ED薬と違い若干副作用が出やすく、検査抜きでの長期服用は勧められません。
あと、感染行為後1-2時間以内に飲まないと効果が出ません。
Re: (スコア:0)
医療機関では想定されるトラブルですし、下手すると患者が被害に
逢うことも考えられるので、過剰なほど整備されているのでしょうね。
#エイズ感染者と思われる人とxxx(あくまでトラブル)があった。
すぐに針刺し事故と同等の検査と治療をしてくれ、
とお願いしたら対応してくれたりするとありがたいのだが……
で、偽薬の効果は? (スコア:0)
とあるけど具体的な数字が無いようだけど
Re: (スコア:0)
「偽薬グループに比べて」減少なんだから偽薬グループを100%とした場合の数値でしょ。
なんらかの絶対値に対して減少したなら「73ポイント減少」のように書かれるはず。
Re:で、偽薬の効果は? (スコア:1)
すっごい簡単に書き換えると
カップルが三万組いて、一万組ずつ3つのグループに分けたとして、
偽薬:100人が感染
A群:38人が感染
B群:27人が感染
といった感じですかね。
で、不明なのは「カップルのうち感染した割合はどのくらい?」といったところでしょうか。
つまり偽薬グループは一万組がスタートだったら9000人が感染したのか9人で済んだのかは不明、と。
副作用は? (スコア:0)
# あるいは感度が良くなりすぎて短時間で終了、深い満足感で2回戦不要とか。
なぜアイコンが赤十字? (スコア:0)
ストーリのどこにも赤十字社の名前は出てこないんだが。