昼3時くらいにやってたワイドショーの合間に入る生CMみたいな感じで、下のような情景を頭に思い描いて下さい。どんな(ひどい)味なのか、想像しながらだと、より頭に焼き付くことでしょう。
「エバラからの新提案。らっきょうの自然な風味をそのままに、クリーミーで使い易いペースト状に仕上げました。今夜は、家族でらっきょう鍋なんていかがでしょう? 作り方はとっても簡単。お鍋にエバラクリーミーらっきょうペーストを味付けに、ひとびん丸ごといれるだけ。新製品、エバラのクリーミーらっきょうペースト、是非一度お試しください」
まあまあかな。いくらでも下品版への改造は可能だろうけど、まぁ講義で使うにはこの程度に抑えておく方が。
【追記】トリインフルエンザ(H5N1)の追加に伴い、以下に改変
日暮里のジジィがケツをさすってトリップ
うん、なかなかの出来。
今の版についている(そして各国版でも現在使用されている)スイングバイのアニメGIF(似非シミュレーション)を作ったのは、実は私です。でも、専門は物理でなく、生物学関連です。このスイングバイに関する問題は、ウィキペディアにおける科学諸分野の正確性についての試金石になると考えて、参加した次第です。
その後2005年11月には、野尻ボードで記事が改善された、と発言している方がいることを知って、少し安心しています。逆に、上のコメントのように、以前の議論だけを取り出されると、今の版にも正確性に重要な問題点があると指摘されてるようで、どうしたものか困っているのですが…
#逆に、改善された内容が「間違っている」という誤解を広めてしまうのではないかと。
あまり知られてないこともあり、野尻ボードの方々もご存知なかったとしても仕方ないのですが、そもそもウィキペディアは、博士以上を執筆者とする伽藍モデルの百科事典プロジェクト、Nupediaの失敗の反省をふまえて、バザールモデルで立ち上げられたものです(以前つけたコメント)
言い換えると、野尻ボードの発言に見られるような正確性を重視するプロジェクトが当然先に考えられたのだけど、ほとんど記事が集まらなかった、という現実があったわけです。そこで、記事数(いいかえるとGFDL文書)を集めるために、門戸を広げたバザール方式が採用された、というわけです。
野尻ボードで問題が上がったときには、一人の「とおりすがり」さんが突撃をかけて、他のオープンソースプロジェクトでもおなじみの「問題あるなら気づいた人が直せよ!」発言をやっちゃったおかげで、「野尻ボード vs ウィキペディア」みたいな対立の構図になっちゃいましたが、もちろん多くの参加者はそんな何の得もなり対立なんぞ望んじゃいないわけです。むしろ、鈍い歩みではあるけれど、問題ある記事を修正し、ブラッシュアップするという建設的な方向への努力が行われて、今ある記事の姿に至ってます。
結果的にみると、問題ある(と思われる)版は2004年7月から2005年1月にかけて記載されており、その後2005年4月までかかって問題のない(と思われる)版に落ち着いた、という感じだと思います。これを遅いとみるか早いとみるか、ですが、もちろんこの短い期間にも、問題ある版の内容がコピペされ、伝播されるという「実害」があったことを考えるならば、遅きに過ぎた、と評価する人がいることは否定できません。しかし、これまで前例のないプロジェクトであり、また事件であったことを考えるなら、そしてウィキペディアというものの生命の長さを考えるなら、(それなりに時間はかかったけど)きちんと修正が行われた、という、ウィキペディアにおいて「科学的」な正確性検証が行われた事例として評価してもいいのではないか、と私はそう考えています。
バザール方式では当然、正確性についての問題が生じるだろうことは当初から予想されてましたが、まずは記事が集まってから、と割り切ることでスタートされ、現状のような記事の蓄積にいたってるわけです。今後、この中から有用な文書を取り出していく作業が必要になってくるのは、見識ある参加者みんなが認識していることで、査読や秀逸な記事の選考などのプロセスも行われています。しかし、これらはまだ十分機能してるとは言いがたい状況にあり、今後は外部専門家による査読制度などの導入についての動きも持ち上がってくるのではないかな、と思っています。
私は野尻ボードの方々と分野は違えど、一応は、まぁ研究者&大学で講義を行う身、いわば専門の科学者、という点では同じ境遇でもあります。実際、自分野でのウィキペディアの項目には、どっから手をつけていいかも判らないような、思わず頭を抱えたくなる記事もあり、放置しているものも多いですが、「一種の啓蒙活動、社会貢献だ」と割り切りながら、執筆に参加しています(研究者評価にはつながんないですけどね)。もちろん、そうするのが偉いとか偉くないとか、そういう問題ではないですが、個人的には「他の科学分野の記事には負けねーぜ。周りの分野がみんな充実して、自分の分野だけヘタレになるのは嫌だもんね」とか思ってます。
計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである