von_yosukeyan (3718) の日記

2002 年 12 月 28 日
午前 02:05

名誉毀損

NTT

■名誉毀損
人は、基本的人権を享受し、その妨げを受けない。犯罪を犯す自由が存在しないように、自由は常に他人の権利との侵害しない限り行使することができる。

表現の自由、そしてそこから導き出される表現の自由もまた、他人の権利を侵害しない限り、その行使は自由であるが、権利侵害を行うことは許されない。名誉毀損の概念は、人権を制限するものではなく、人権を守るためのものである

■関係条文
・基本的人権の不可侵性(憲11条)
・権利の保持責任と濫用の禁止(憲12条)
・個人の尊重、公共の福祉(憲13条)
・表現の自由(憲21条)

・名誉毀損罪(刑230条)
・阻却特例(刑230条の2)
・侮辱罪(刑231条)
・親告罪規定(刑232条)

・不法行為(民709条)
・非財産的損害(民710条)
・名誉毀損(民723条)

■名誉毀損罪
名誉毀損罪(刑230条)は、名誉毀損の基本的概念を含んだ刑法上の規定である。名誉毀損は、人の名誉感情を保護するもので、その性格上告訴がなければ公訴を提起できない親告罪(刑232条)とし、また公共の利害に関する事実であることが証明されれば、罰せられない(刑230条の2)

刑法230条
第一項 公然と事実を摘示し、人の名誉を既存した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する

「公然と」とは、不特定多数に対して事実の摘示があったことを指し、例えば雑誌に名誉を毀損する内容を記述した場合などが代表的であるし、噂話のように少数の人間に対して話した場合にも、それが伝播する可能性が存在すれば公然性がある。むしろ、故意に不特定多数に事実の摘示の意思が存在しなくても、結果的に不特定多数への事実の摘示があれば公然性が存在すると言える

「事実」とは、具体的に人の名誉を侵害するような具体性のことであり、人の名誉すなわちある人の社会的評価を低下させるようなことがらのことである。

「人の名誉」とは、特定性を指す。例えば「銀行員は知能指数は低い」といった場合には、事実の摘示は存在するが個別に人を特定できないので人の名誉を侵害したとはいえない。また、氏名など具体的に指すことがなくても、「○○大学出身で、××支店に勤務しているみずほ銀行員」というように、容易に人物を特定可能な場合には特定性が存在するといえる

■侮辱罪との関係
侮辱罪とは、人の社会的評価を低下させるような事実の摘示がなくても、人を公然と侮辱した場合に罰せられる罪で、しばしば名誉毀損罪との競合が問題になる。名誉毀損は、人の社会的評価を保護するもので客観的であると言えるが、侮辱罪は名誉感情自体を保護するためのもので主観的なものであると言える。侮辱罪の構成要件は、事実の摘示を除いて名誉毀損罪の構成要件が適用される

■阻却特例
刑法230条の2は、犯罪行為と選挙で選ばれる公務員(議員や首長など)に対する行為であれば名誉毀損としない。ただし、この適用要件には微妙な違いがある

まず、第二項が定める犯罪に関する事実の摘示は公訴の提起に到っていない場合に関しては名誉毀損としないと定めている。公訴が提起されていれば名誉毀損に該当しないことは明らかであるが、公訴が提起されればそれまでの間の事実の摘示に対して遡って阻却することであり、犯罪行為が存在しない場合には名誉毀損は成立する

第三項の公職にある者に対する事実の摘示は、事実の真否が判断し真実であった場合には罰しないとする。第二項が、犯罪行為の証明があれば阻却されるのと同じと考えても差し支えない

■名誉毀損と民事訴訟
名誉毀損は刑法上の罪を構成するのと同時に、民事上の損害賠償権及び権利侵害の停止を求めることができる。権利侵害の構成要件は、刑法上の名誉毀損罪の構成要件が類推適用され、名誉毀損罪としての公訴が提起され、またそれが確定していなくても名誉毀損の事実があれば求償権及び停止請求を行うことができる

名誉毀損は、709条及び710条の規定のほかに特殊不法行為として723条は救済処置として損害賠償のほかに、損害賠償と名誉回復のための措置を裁判所が行えると規定している。後者の具体的な例が、謝罪広告などである

プロバイダー責任法に関しては後ほど

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