nq (16642) の日記

2004 年 12 月 22 日
午前 01:16

理系ブログに再度コメント

元村記者はいいことを考えていると思うが、結局、基礎科学の価値がいま一つ理解していないように思う。今後に期待。以下のコメントを投稿。

「恐るべき発展」から批判を読み取れというのは無理があると思いますが、それはさておいてもまだ、異論があります。

> 重点分野を4件指定して、そこに金を集中投資しようというものです。
> 基礎研究も大切だ、ということは強調されていますが、実際には基礎研究の中でも
> 重点分野以外には金がいきにくい構造になっています。

「基礎研究も大切だということが強調」されているとは絶対にいえません。
基本計画では、重点4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテク材料)は、まさにすぐに役立つ「技術」として求められており、基礎研究はそれを支える道具という考え方に支配されています。基礎研究は応用に役立つための限定的な「基礎」であり、本来の意味の基礎科学研究は軽視されています。その結果として重点分野以外に金がいかなくなるのは政策上必然です。
これでは、基礎科学は弱体化していくでしょう。

> ただ、計画がなかったら(あるいは基本法がなかったら)、科学技術はこれほどまでの地位を勝ち得たでしょうか。

地位を得たとは、「公共事業」のような利権を生む分野になったという意味ですね。
しかし、このことで、「科学」が地位を得たとはいうのは、詭弁です。湯川秀樹がノーベル賞を受賞したとき、新幹線が開通したとき、アポロ計画が人を月に送り届けたとき。そのほうが、よほど科学技術が人々の心の中で高い地位を得ていたと思います。

> 一方で、税金をじゃぶじゃぶ入れて、日本の存在感(あるいは知名度)が世界に浸透したことや、
> それがノーベル財団の耳目を集めたことが、受賞者の続出とまったく無関係だとは思いません。

これは非常に重大な発言です。
白川氏、田中氏は意外な受賞と報道されていましたし、小柴氏の業績は存在感、知名度とも「計画」発足以前から文句なしで受賞は時間の問題と思われていましたから。いくら応用技術に金を注ぎ込んでもノーベル賞受賞に影響があったとは思えません。
「無関係でない」という (報道されない) 証拠をご存知なのでしょうか?
  (さかんに受賞運動をされた方もいる、という噂は聞いていますが、そのことではないですよね?)

> 1期と2期の計画でもってがむしゃらに肥料をまいて耕した畑に3期で何を植え、どう育て、収穫物を何に生かすのかという長期的(5年ではおさまらない)なビジョンです。

  少量品種を化学肥料づけで促成栽培しようとした、という意味では正しいのかも知れませんが、到底「耕した」とはいえないと思います。このあと何を重点分野として推進するのか、という議論だけでは今までと本質的に変わりありません。 そうではなく、どうしたら、科学がかつての地位を取り戻せるのか、科学者、技術者(「理系」!)が尊敬を取り戻せるのか、というのが最も重要な課題だと思います。
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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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