kaho (2741)の日記

新しい原人の論文が発表され,Natureのサイトではお祭り騒ぎになっている.
日本語でもアサヒ・コムに割と適切な解説があったので発見の要旨まではここでは触れない.

ただしいくつかの間違いは指摘しておくと

オーストラリアとインドネシアの研究チームが同島の洞穴から、女性と見られる1人分のほぼ全身の骨格や、別個体のあごの骨などを発掘した。

というが,別個体で見つかったのは小臼歯であってあごの骨ではない.またそれはより古い地層からのものだ.

歯の形や、頭骨の形態などが原人と共通なため、原人に近い新種とされた。

これも私が読む限りは歯や顔の形はむしろホモ・サピエンスに近く,骨盤(の寛骨)や下あご(chin)のないあごの骨,突き出た目の上の骨などが原始的な形態だったようだ.

しかし,そもそもホモ・エレクトスはジャワまでは行っていてもそれ以上は移動していないと思われていた.
ではどうしてこの地域で発掘が行われるようになったかと言うと,6年前に80年前の石器が発見されたからだという.「そんなばかな」と行って発掘を行ったら,80万年前どころかたった3万8,000年から1万8,000年前の骨をみつけたということらしい.

高温多湿な環境でよく見つかったと思ったが,保存状態はやはりあまりよくなく,化石化していない「マッシュポテトのよう」な骨で,危うく発見を逃してしまうところだったようだ.
それだけにDNAの抽出は(今のところ)できず,ホモ・エレクトスの子孫かどうかも他のホモ属が見つかっていないからというだけの推論の段階だ.

化石の形態からもこの種が何歳くらいの個体だったか,どの系統に属するのかといったことが更に明らかになって行くと思うが,教科書すらも書き換えられることになりそうだ.

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