kaho (2741)の日記

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オーストラリアが砂漠な訳

kaho による 2005年01月26日 20時30分 の日記 (#277831)

Science Blogよりオーストラリア原住民が森を焼いたから砂漠になったという話があった.
誰もが知っているようにオーストラリアの中央部は今や完全な砂漠なのだが,5万年前には緑なす大地だった.
今はオーストラリア中央部にはエアー湖のようにほとんど干上がってしまった塩湖くらいしかないが,この湖も6万年前は定期的なモンスーンによる雨で水をたたえていた.
この5万年の間に大型の鳥類や19種類の有袋類,3mにもなるワニや小型車くらいのカメなど大型動物の85%は絶滅した.

このような急激な砂漠化を解明するためにCU-Boulder's Institute of Arctic and Alpine ResearchのMiller氏らが気候をシミュレートしてみたところ,森林があれば生物層と大気で水分の循環があって現在のような乾燥した状態よりも倍の降水量が内陸部で予測されたという.
このような,自然のプロセスでは説明できない砂漠化はオーストラリアに定住していたヒトによる意図的な燃焼ではないかという.
5万年前を境に池の堆積物にススが多く含まれており,これからも大規模な火災か植物層の燃焼が支持されるが,雷などによって起こる火災は自然のサイクルの中にあるだろうからやはりヒトによるのではないかということだ.

20世紀でも燃料とするために樹木を伐採したためにアフリカで砂漠化が進んでしまったということもあり,一つの教訓としてこういう可能性は記憶しておく価値がある.ただし,ヒトはそれほど塩分の濃い水には適応していないのでオーストラリア内陸部で定住できたとするとかなり限られた地域にしかいなかったのではないかという気もする.
内陸部の特定の箇所が砂漠化した時にそれが引き金になって全体が砂漠化するというシナリオがどの程度あり得るのかという点が気になるところだが,その当時の人口などのデータが少ないだろうからこれもシミュレーションでやるしかなさそうで,推測の屋上屋を重ねるだけになってしまうのが残念だ.

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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