Science Blogにコンゴのゴリラが増えつつあるという記事があって読んでみたが,希少種の保護のために行われている努力について自分が不勉強であったことを痛感した.
コンゴでも内戦が起きており,治安状況は最悪なのだが,タイトルだけを見たら「治安が悪すぎて密猟者も活動しなくなったのでは?」などと軽く考えてしまったが,そうではない.
Wildlife Conservation Society (WCS)の調査隊の活動は治安が悪いことで難しくなっており,5年前にはこのKahuzi-Biega国立公園の境界を引こうとしていた10人の調査隊が反政府軍によって殺されてしまったのだそうだ.
しかしそれで怖じ気づくことなく,放っておけば密猟者となるかもしれない反政府軍とも交渉して危険を顧みず保護のために活動しているという.
その結果2000年には120-130匹だったと考えられるゴリラが現在168匹観測されたという.しかも多くの群れに乳児のゴリラがいて,これからも増えることが期待できるそうだ.
この2000年の数は1996年の245-270という数字から内戦の進行によって減った数だけにまだ回復とまではいっていないし,絶滅の危機にあることは変わらない.
また,この地域のゴリラは世界に4種類存在するゴリラの亜種の中でも最も調査がされていないものであり,学術的な価値も高い.
こういった活動は一方で内戦において政府側に利用されたりする可能性もあり,一面だけみて賞賛することは片手落ちだが,自己犠牲の払ってもある目的のために邁進する姿というのは胸を打つものがある.
関係ない話だが,イタリアのサッカーは勝っている時には忌々しいが負けた時は美しく思える(アメリカワールドカップやEURO2000の決勝とか)のも自己犠牲の精神をそこにみるからだよなあ,と思っていたりする.
にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー