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Mc.N (3705) の日記

2004 年 08 月 27 日
午後 11:33

PWC+PWCX の配布が中止になったらしい

本家KernelTrap でも話題になっているが Philips のチップを使用した USB Camera(Logitec 社の QuickCam 4000 やCreative Labs 社の Webcam Pro Ex が有名) のドライバである PWC+PWCX の配布が中止してしまった。 Linux Kernel のメンテナーが Kernel から削除したことが原因らしい。
メンテナーの削除理由は PWC の特殊性にある。PWC を動作させるためには source を公開していない binary だけのドライバである PWCX を使用しなければならないからだ。このことより Kernel メンテナーとの折り合いが付かず結局、Kernel module から PWC を削除せざるを得ない状況になったらしい。PWC の作者はこのやり取りに嫌気が差したらしく PWC+PWCX の公開を中止したのが今回の経緯。彼の web page の一文

So what can you do about it? Not much, unless the kernel maintainers ease up a little, and stop being such fundamentalistic turds.

が全てを物語っている。

ただ彼にも言い分がある。元々 Philips のチップは仕様が公開されておらず、彼は Philips 社と NDA を結んで開発を続けてきた。NDA の情報を守るためには sourece を公開することは出来ず、binary のみの公開にせざるを得ない状況にあったのだ。

今回の件は非常に残念なのだが、私は Kernel メンテナーも PWC 作者も責めることは出来ない。彼も苦渋の選択で公開していたに違いないし、Kernel メンテナーも source の無いコードをこれ以上組み入れることは出来ないと判断したのも Linux Kernel のポリシーに反すると判断せざるを得なかったわけで、これも苦渋の選択だったに違いない。

PWC の作者は今回の被害者はユーザーだとしている。ただ今回の加害者も実の所、ユーザーなのかもしれない。

ちなみに source があるのと無いのとでは開発速度に格段の差が付く。セキュリティ面で確認出来るのは source から追うのが最も効率出来だし、内部構成がガラガラ変わり続けていく Linux Kernel に於いて source が無いのは明らかに致命傷である。

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Update(04.09.02):
どうやら PWC+PWCX の最終バージョン(最終と言って良いだろう)が download 出来るようになっています。作者の気が変わらない内に入手しておくことをお勧めします。
やっぱり NDA が相当引っかかっているらしい。流石に NDA に対しての経済的ダメージは誰も補完してくれないのは確かだし、損するのが作者というのもおかしな話だ。多分、ユーザー一人一人が Philips 社と NDA を結べば source を共有出来るのだろうけど、それこそNDA汚染だ。

PWC については USB統合スレの一連の流れが面白いかも。

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