von_yosukeyan (3718)の日記

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価格誤表示

von_yosukeyan による 2004年04月27日 12時56分 の日記 (#214784)
NTT

この辺のスレッドから

うーん、まず民133条の解釈から
民133条は、条件付法律行為に関する条項である。条件付法律行為とは、例えば「vonsukeが司法試験に合格したら、PowerBookG4を譲渡する」といった法律行為である。類型の一として、停止条件付法律行為がある。これは、「vonsukeが大学に在学中はPowerBookG4を貸与するが、卒業ないしは退学した場合には返却すること」といった法律行為を言う
民133条の不能行為とは、停止条件が実現不可能な場合を言う。例えば、前述の例で言えばvonsukeが大学に在学していないにも関わらずPBを貸与した場合などである

では、今回の価格誤表示の問題は法律的にどのように処理されるのだろうか。こういった法律行為に関し、表意者(意思表示を行った者)が内心の意思と、実際に表示した意思が異なっている場合には、心裡留保(民93条)と錯誤(民95条)の問題になる

心裡留保は、例えば冗談で「100円でPowerBookG4を売るよ」といったように、表意者が内心の意思と表示意思が一致していないことを知っている場合を言う。心裡留保の場合には法律行為は有効に成立する。なぜならば、帰責事由は表意者に存在し、取引の相手方を保護する必要があるからである。一方で、相手方が悪意である場合には無効となる(民93条但書)

錯誤とは心裡留保とは異なり、表意者が内心の意思と表示意思が一致していないことに気づいていない場合をいう。例えば、アルカリ電池だと思って買ったのに実はマンガン電池だったとか、値札を100ドルと表示すべきところを100円と表示した場合などである。こういった場合には、その法律行為は無効となる。ただし、表意者に重大な過失がある場合には、その限りではない(表意者自らが無効を申し立てることはできない)

今回のケースは事実関係をよく知らないので何ともいえないんだけど、錯誤無効が成立する可能性が高いのではないかと思う。従って、先に代金を支払った場合(例えば振込やカード決済を行なった場合)には、代金の返還を請求することができる。ただし、これは債務不履行の問題ではなく、不当利得の問題となる

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