von_yosukeyan (3718)の日記

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Mondex

von_yosukeyan による 2004年06月21日 19時05分 の日記 (#228956)

どうも、電子マネーとか電子通貨といわれると、漏れはMondexをまず最初に思い出す

Mondexとは90年代に英ナショナル・ウェストミンスター銀行が提唱した電子通貨規格のことである。ナットウェストそのものが、99年にロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に買収され消滅しているので、それ自体が懐かしい存在なのだが

Mondexは、電子通貨の本命として英中央銀行のイングランド銀行や、決済大手Mastaercardなどの支援を受けて大々的に実験が繰り返されたのだが、ついに一般的に普及することも無く、ほとんど忘れ去られている。実際のところ、まだサービスはやっているのだが

Mondexは、接触型ICカードを使用してICカードそのものに通貨価値を持たせるという、世界で最初のオープンループ型電子マネーで、単に支払いだけに対応できるだけでなく、専用の携帯型端末機を使って個人間でも通貨価値の交換が可能なシステムだった

Mondexが普及しなかった理由は、最大の特徴であるスタンドアローン性にあった。Mondexは、通貨価値の発行者(オリジネーター、Mondex Inc)が個々のカード発行者(イシュアー、ナットウェスト、ミッドランド銀行など)を通じて、消費者に行き渡る。消費者は、小売店にMondexで支払いができるだけでなく、個人間の価値交換も可能という画期的なものだった。カードそのものに、価値情報が記録されており、中央サーバーが不要なアーキテクチャーのため、個人間でも専用の携帯端末機があれば価値交換が可能という特徴があった

問題は、このMULTITOSを使用した接触型ICカードにあった。決済端末は嵩張るし、カードとセットで所持していれば財布を携帯するのと代わりがない。またカードそのものには、個人認証などの機能がなく、ICカードのアプリケーションを書き換えるといったことができない(カードそのものを交換する必要がある)ために柔軟性が欠けた

電子マネーの本命と見られていたMondexだが、株式の大半がMastercardに売却された後に、ライバルのVISAインターナショナルがJavaCard仕様を策定してから風向きが変わり始める。JavaCardは、アプリケーションの書き換えが自由でカードにクレジットやポイントカード機能など様々なアプリケーションを搭載することができるなど、Mondexに対して高い優位性があった。最大の特徴は、既存の決済インフラをそのまま流用可能な点で、VISAとMasterの提携によって序所にMondexは鬼っ子扱いとなっていった・そのJavaCard仕様も、カード単価の高さから切替が進まず、本格普及はカード単価が下落し、カード偽造被害が拡大するようになった00年代に入ってからだ

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