yourCat (4820) の日記

2004 年 03 月 15 日
午前 01:20

ことえり4三国志辞書

ことえり、あるいはMac OS Xと日本語について、続ける。
日本でも馴染みの深い中国の古典『三国志』を交換可能なデジタル・テキストにしようとすると、固有名詞に使う漢字が圧倒的に足りない。例えばATOK用の三国志辞書を見ると、多くの字がカタカナで代用されている。OS Xになり、Unicodeなら中国語 (特に繁字) から借用すればよいと期待していたが、OS X v.10.3では、三国志辞書に使う文字のほとんどがヒラギノPro書体で日本語として網羅されていた。気を良くしてことえり4に移植しようと思ったら、既にあった
新しく再生できるようになった文字は、そのほとんどが「新JISで追加された文字」と説明されている。「新JIS」とは新JIS面区点、追加された文字は第3水準および第4水準、つまりJIS X 0213:2000 (以下0213) ということになる。

0213とMac OS Xの関係については小形克弘氏による担当者インタビュー記事が詳しい。かいつまんでいえば、OS Xでは0213をUnicodeで再生しようとしていた。もっとも、v10.1以降のヒラギノPro書体はAdobe-Japan1-5ベースであり、その範疇で0213を再生しているようだ。Adobe-Japan1-4段階でProフォントはUnicode互換文字は9,772字に過ぎない。それにも関わらず10.3付属のSafari 1.1では、それまではなかった0213が、利用可能文字コードに現れている。実は、同じ小形氏の連載で、OS Xは0213をサポートしない旨も紹介されているが、これは10.0.4までのAdobe-Japan1-4準拠での話だ。Appleの1-4から1-5へのシフトは、0213を扱うためだろう。

いずれにせよ、OS X v.10.3あるいはことえり4では、三国志をかなりのところまで日本語で再生できる。ただ、これらが果たしてどの程度交換可能なのかは、まだよく分からない。同じく小形氏の記事でMSは0213に消極的であることが紹介されている。Unicodeと0213の対応が取れないためだ。やはりOS Xの0213実装は、現状では交換符号としてよりも、DTPなど表現者寄りの閉じた手段だと見た方が良さそうだ。Webなどを通じた公開文書に用いる場合は、ヒラギノPro書体を埋め込んだPDF書類とするのが安全だろう。

ところで、インタビュー記事に参照リンクがあるZDNet MacWireの記事『Mac OS X 日本語フォントはいかにして生まれたか 前・中・後編』を、ITmediaは引き継がなかった。MacWireの記事は、日本の読者に向けた貴重な情報が多かったが、その多くがこうして捨てられてしまった。MacWireはファイルメーカーProでコンテンツを管理していたようだが、それが仇となってITmediaへ変換するのを見合わせたのだろうか。WayBackMachineで見ることはできる。

【今日の点取り占い】
焼きたてお兄ちゃん(ひげ部所属)
7点

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。

※ただしPHPを除く -- あるAdmin

処理中...