ほんのちょっぴりリクエストがあったので書いてみる。メーデー特別企画。何の関係もないが。
なお、以下はわたしの個人的な見解であり、他の編集者はどう思うか分からないし、まして/.Jの公式見解でもないことをお断わりしておく。またタレコミとコメントは違うということもお忘れなく。
生タレコミを読める身分になってみると、ネタはおいしいのに内容がまずいために採用しにくいものにしばしば出くわす。
もちろんタレコミ文に不備があれば、編集で補うようにする。しかしペン入れの必要のないタレコミに比べ、即決しないため他の編集者が読むまで待ってしまう。そうすると採用が数時間から下手をすると数日遅くなる。その間に旬を過ぎてしまったり、同ネタのタレコミが集まり、せっかく最初にタレコんだのに却下扱いになることもある。
これはつまらない。
まずいタレコミにはいくつかポイントがあるが、大きく分けて
に分類できる。
1. 日本語の問題
基本的なことだが、文体は統一しよう。短いタレコミ文の中で「ですます調」と「であるだ調」が混在しているのはみっともない。「~だそうです」という伝聞調、「~のようです」という憶測調や「~と思います」という感想調の乱発も感心しない。はっきり「○○によると△△です」と言い切ること。伝聞であっても、それを事実と信じた以上は責任を持って断定をする。公開文章のいろはだ。
ただ、自分の意見や感想部分は、それが感想であることを分かりやすくするために感想調にするといい。事実関係と意見はちゃんと区別しよう。
2. 体裁の問題
/.Jのタレコミに使えるHTMLはあまり多くない。ちゃんと調べた訳ではないが、おそらく使えるのは以下の通りだろう。
このうち、アンカー以外は一切の属性が無視される。アンカーにしても有効なのはhref属性だけだ。
さて、/.Jの横に再現なく広がるレイアウトのためだろう、やたらと改行やパラグラフの多いタレコミが目立つ。しかしたかだが100文字前後の短いタレコミ文のなかで改行やパラグラフを多用するのは、冗長性を増すばかりで感心しない。
また太字、斜体、強調も控えた方がいい。ごく短いタレコミ文で強調する必要は少ないし、必要があったとしても文章の不備に起因するからだ。記事のメール配信には反映されないため、わたしやOliver氏が担当だとまず削除されると覚悟しよう。
文章でメリハリを付けるように心掛けて欲しい。
3. 引用の問題
引用をする場合は必ずブロック引用か鍵括弧を使う。ブロック引用は/.Jで唯一使える引用を意味するHTML要素、鍵括弧は日本の言論出版界で慣例として引用時に用いるものだ。引用部を斜体にする人もいるが、根拠に乏しい。
また引用部分の元記事に占める割合、タレコミ文に占める割合も考慮する。著作権法上、引用が認められているのは、引用元を明示した上で、引用元の一部を引用先の従として使う場合だけだ。
引用元の明示方法だが、URL直書きはやめよう。URL直書きは、「朝日新聞」と書く代わりに朝日新聞社の住所を書くようなものだ。URL自体には用がないのだから、アンカーに埋め込む方がいい。
埋め方も工夫して欲しい。/.Jでは記事中のリンク一覧を抜き出して別途表示する機能がある。ここに「記事」や「こちら」が並んでしまうと役に立たない。「○○の記事」と記事提供元を含めたり、「こちら」の代わりにリンク先のタイトルを使うといいだろう。
4. 取材の問題
なるべく一次ソースに近付く努力をする。例えばYahoo!ニュースは他所のニュース配信を受けてただ転載しているだけの二次三次リソースだ。また日経系やImpress Watchシリーズの記事は企業のプレスリリースを元にしていることが多い。参照元としてこれらを挙げていると、一次リソースにあたっていないと一発で分かる。Watchシリーズはまだ独自の味付けをしようとするからいいが、特に付加情報がないなら、必ず一次リソースをあたろう。
ちなみに日本語であるというのは付加情報になりうる。一次リソースが英語の場合などは日本語二次リソースで構わない。またasahi.comのように賞味期限があるもの、Yomiuri Onlineのように頻繁にURLを変えるものなどは、二次リソースでもやむを得ない場合もある。
なお、リソースが報道機関である場合は、複数をあたろう。例えばasahi.comの記事ならMainichi InteractiveとYomiuri Online、Sankei Webも見るといい。ZDNNの記事ならWatchシリーズやCNET (たいていZDNNの翻訳違いがある)、MYCOM PC WEB、ASCII24も見るという具合だ。記事の偏りをなくすことができるし、同業他社との差別化を図った付加情報があるかもしれないからだ。
…と、徒然に書き連ねたが、k3c氏のタレコミを読んだ方がよほど役に立つかもしれない。まぁ自戒を込めたメモということで。
【今日の点取り占い】
嵐を呼ぶいかれたうぐぅ
6点
長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds
5. (スコア:1)
Re:5. (スコア:1)
で、話を「ここを直せば採用率があがる」に絞ったので、鮮度は取り上げなかったんです。他にも養成講座で取り上げていないポイントはあります。
もちろんニュースですから鮮度は大事です。しかし鮮度だけなら、多くの記事が既報案件を扱っているので、ニュース・サイトには適いません。二番煎じをする価値は、その後の雑談によって決まります。記事がまずいと不満コメントが多く付き、結局ストーリーの価値が落ちてしまうでしょう。
後、泣き言になりますが、編集者のマン・パワー・リソースは不足気味です。タレコミの不備を補おうとすれば、取材を含めて30分~1時間はかかるため、結局鮮度は落ちてしまいます。タレコミニスト側で後10分余計に時間を掛けてくれたら、結果として鮮度があがるのではないかと期待しています。
あえて反論すると、 (スコア:1)
古いのは下の方にとっとと消えてしまうという現在の仕様だと、
どうしても一発ネタか身近なニュースソースからのものになりがちで、
あんまり文章に気を回したりとか、できにくかったりするんですよね。
#そもそもほとんど採用されてない人間が言うのも何ですが。(^^;
Re:あえて反論すると、 (スコア:1)
たまにエアポケットのように記事掲載の間隔が開くことがあって、トップに長時間居座る記事が現れます。こういう記事はストーリーの伸びがいいですね。最近では『不滅のサンドイッチ』 [srad.jp]が、小ネタにも関わらず129コメントもつきました。この観点から、現状よりもう少しトップ落ちを遅らせたいところです。/.Jは雑談してナンボですから。
かといってアクセスしても新しい記事がないと寂しいし、トップに記事が多すぎて重いのも厭だし。悩ましいところです。セクションをもっと有効活用すればいいかなと思っていますが。
ちなみにトップの最低記事数はユーザ設定で変えられるですが、デフォルト値は10件 (最大30件の1/3) です。
文章力は慣れが一番大きな要因ですが、タレコミのような文章を書く習慣は、売文業でもなければなかなかないでしょう。馴れない類いの文章を書くにあたって、養成講座が役に立てばと思います。強制でもお願いでもないので、自分に都合のいいように解釈してください。
#fluffy_nnsさんのタレコミは、とある特徴から特に楽しみにしています ;)
Re:あえて反論すると、 (スコア:1)
まぁ、これは思いつきなんですけど、日本版独自にエントランスを別々に分けても
良さそうな気がするんですよね。つまり今みたいな新しい記事がどんどんと放り込まれるタイプと、
それ以外にやりとりが活発な記事がトップにくるタイプとか、
最新の書き込みがあった記事がトップにくるタイプとか、
あと、yahooのトップみたいなデザインで記事のディレクトリ検索ができるトップとか……、
みたいな感じで。
「それがスラドだ!」とか言われたらそれまでなんですけどね。(^^;
ぁぅ(爆)
Re:あえて反論すると、 (スコア:1)
現実的には、slashcodeベースで運営しているので、slashcodeにない機能を実現するのは大変でしょう。エントランスを複数タイプ持つのは、おいそれと実現できなさそうです。グラフィカル・モードとライト・モードのように、HTMLテンプレートの差し替えだけで対応できる場合はいいのですが。
slashcodeを使うサイトで「最新のコメントTop10」を実現しているところがあります。詳しくはわたしの日記 [srad.jp]をどうぞ。
デザインは違いますが、トップ・ページではなく古いストーリー [srad.jp]をブックマークすると、そんな感じになりますね。スラッシュボックスを使わないのであれば結構お勧め。ちょっと味気ないけれども。
極めて個人的な応用編 (スコア:1)
Re:極めて個人的な応用編 (スコア:1)
家で取っている新聞が朝日新聞なので、asahi.comで確認、Mainichiにあたるというパターンが多かったです。Sankei Webは前のデザインが最悪でほとんど役に立たなかったのですが、リニューアルしてぐっとよくなりました。Yomiuri OnlineはGoogleで検索したときに一番よく引っ掛かるので、古い記事が役に立ちます。新しいとURLがころころ変わるし。
日本語の問題は微妙ですね。苦労して表現を選んでも、そこまで気にして読んでもらえなかったりして。…
タレコミ記事のできるまで (スコア:1)
で。リライトつうと非常に語弊があるんだけど,新聞記事から拾ったネタをストーリーにする場合。ネタそのものは(おもしろおかしい)でも,ネタ元の記事の構成は非アレゲ的なので,そこを直そうと思ったわけです。
で,どうしたか。つうと,ネタ元の記事(こんなの [twics.com])から,事実関係はそのままにして,書き方をすべてひっくり返したのでした。
たとえば,「小谷真理さん勝訴」は山形330万賠償に,「「聖母エヴァンゲリオン」などの著作で知られる」という解説部分は,『伽藍とバザール』の翻訳で知られる…なんてぐあい。
それから,「自分のホームページに…」のところは,ハッキリしなかったので引用としてまとめ。出版社の賠償云々は,アレゲ度が低いのでばっさりカット。
次に,ことのあらましをまとめて,報道には無い参考サイトをgoogleで引っ張ってきて追加。このとき2chの山形板は,わざと無視する。つうか風聞の伝聞と中傷が主体なので,記事に使うのは難しいのだ。結果的には,参考になるところをコメントで補足してもらえたし。
それから,文末に書いた自分の意見を全面削除。いろいろ書いてみたけど面白くないし,オリバー氏の一言に期待したため。ほんとは,ビビリもあったな。
かくして,タレコミは採用された。というわけ。
けっこう気になるのが他にタレコミは無かったのか。なんですけど。
採用率アップの基本は,人の書かないネタを見つけることだと思う。
斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
Re:タレコミ記事のできるまで (スコア:1)
そうですね、…やはりタレコミがかぶった時は「同ネタで複数タレコミをいただいた」をつけた方がタレコミニストには親切と。覚えておきます。
本能の赴くままに (スコア:1)
で、乱文乱筆になったり尻切れトンボだったりで
かなりむらがあると自覚しております。
あとは、そぐわないかなと思いつつ実験的に
タレコんでみたりして、採用されればこの手のも
OKなのねと確認したりしてたりします。
こんな感じなんで、50/50ぐらいの採用率ですし
テーマに一貫性が無いのが私の特徴でしょうか。
IDENTIFICATION DIVISION.
AUTHOR YUKI-KUN.
Re:本能の赴くままに (スコア:1)
#アレゲの意味が不明瞭だからいけない :)
せんせー、ためになりました (スコア:1)
日本語の問題なのですが、「ですます調」より「であるだ調」の方がタレコミしやすいかな。「ですます調」は文末をすっきり整えるのが大変。私は「ですます調」なのですが、ハッキリ言って失敗したなと思っています。
「伝聞調を乱発」って私の事ですね。反省。
体裁の問題は、私の場合、最近は事実と感想の間に<BR>を入れるだけにしています。トップページに記事が10も載るのですから、できるだけ縦に長くならないようにすべきでしょう。
取材の問題は、おっしゃるとおり。一次ソースに近付くだけでなく、足りない部分は自分で調べるようにすると、採用率も上がるだろうし、勘違いタレコミも防げます。新鮮さも大切だけど、人がタレコまないものを探してきて良く調べてからタレコむのが一番のコツですね。編集者のコメントがつかないぐらい詳しく書くと採用率がいいような気がします。
でも、採用率の高さとコメント数の多さは必ずしも関係しないというのが、タレコミの難しいとこ。
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Team Slashdot Japan [tripod.co.jp]に参加しよう。
Re:せんせー、ためになりました (スコア:1)
わたしはそういう知識があったので、最初のタレコミ [srad.jp]から「であるだ調」にしていました。ちなみに憶測調になっている部分は、一次ソースがわたしだからです。
やはりそれだけしっかりとしたネタなのだし、掲載するだけでいいという手軽さもあって、採用しやすいですね。
URL直書き (スコア:0)
たとえば
http://www.jr-central.co.jp/mtr.nsf/frame/copyright
スラッシュチームの方でそこまで面倒見てくれる余裕はないでしょ?
Re:URL直書き (スコア:1)
なので、httpのh抜きをしないと…ってこれは冗談。
「リンクが許可制なのでトップから辿るように」と書くか、編集者向けにリンク許可が取れない旨およびリンクしたかったURLを併記してもらえると助かります。
#そういえば昔、本家/.がMicrosoftと揉めた [hotwired.co.jp]のは、
#この類いの話の拡大版でしたね
タレコミ投稿ページへ掲載してみては (スコア:0)
スラッシュドットジャパンのタレコミ [srad.jp]からこの文章が参照できるようになっていると、多数の人が幸せになれると思います。検討していただけないでしょうか。
Re:タレコミ投稿ページへ掲載してみては (スコア:1)
日記やコメントでは書式を選べるにも関わらず、タレコミではHTML形式しか選べないことなど、FAQ的に取り上げた方がよい事柄はいろいろありそうです。わたしもタレコんでいた頃は、些細なあれこれにつまづきましたし。…
タレコミ・ページにもFAQが欲しい、という意見として伺っておきます。
FAQの充実は/.Jシステム側で大きな課題と認識していて、それもあってわたしも個人的に/.Jの使いこなし方について覚書をするようにしています。いずれ叩き台にしあげ、SourceForge.jpの方で議論してもらってFAQの充実を図れたらと思います。