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yasuokaの日記: X'masと英語教育

日記 by yasuoka
X'tmasとX'masで宮田幸一の名が現れたので、『英語教育』のQUESTION BOXをチェックしていたところ、1954年3月号p.376のQ.117に、宮田幸一の以下の回答を発見した。

X'masのような略字は,實は,私も昨年の暮に初めて新聞や街の廣告で見受けて不思議に思つていたところです。お尋ねに接して昨年9月に日本に來たアメリカ人に聞いてみたら,「いや,實は,私も日本に來て初めてこういう書き方を知りましたよ」といつていました。そしてことばを續けて,「ほんとに不思議なことです。しかし,日本で見たり聞いたりする英語は不思議なことだらけですので,別に氣にもとめていませんでした」といつていました。

それは、そのアメリカ人が、19世紀の英語文献とかを読んでいなかったというだけのことだろう。以前、ゆれるX'masにも書いたが、X'masは19世紀のイギリスで当たり前に用いられていた表記で、和製英語というわけじゃない。しかし、この回答を見た読者たちは、その後あちこちにX'masネタを投稿し、X'masに対する言葉狩りを始めたようである。その一つ、1960年10月31日の『朝日新聞』夕刊p.2を見てみよう。

X'masは英語でない  横須賀市 馬島太郎
クリスマスが近づくと、宣伝物や広告に、X'masという文字が目につくようになる。ところが、英米の辞書にはXmasという単語は出ているがX'masは全然でていない。X'masは、日本人が作った和製英語なのだろう。英語学の先生のなかにも、X'masとXmasはどちらも正しい、と教えている人もあるが、英米にない単語を英語として教えるのはよくないと思う。とくに、大会社の広告担当の人の注意を喚起したい。

再び書くが、X'masは19世紀のイギリスで当たり前に用いられていた表記で、和製英語というわけじゃない。ところが、この和製英語というネタを『新英和中辞典』が拾い上げてしまったために、どうやら日本では「X'masと書くのは間違い」ということになってしまったようだ。そもそも正しくChristmasと書けばいいのに、なぜX'masとXmasとの間でこだわるんだろう?

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