numaの日記: 日本海大海戦/二百三高地/連合艦隊
正月中、田舎に帰ったら、その間まったくネットにつなげられなくなってしまいました。おかげで、とても心安らかに過ごせましたとさ。それで見たのが以下のDVDです。
- 「日本海大海戦」(東宝・1969年)
べつに「坂の上の雲」ドラマ化記念というわけでもないけれど、とりあえず。
この作品では、日露戦争開戦から日本海海戦に至るまでの経緯を、多くのエピソード(知っている人にはお馴染みの)をまじえて描き、いよいよクライマックスの海戦へ突入という、非常にわかりやすい作りになっている。映画制作は明治百年という記念の年で、当時を知る人も多く、観客たちが“日露戦争”の名とともに記憶するエピソードを丹念に描くという方針で作られたらしい。
もちろん1本の映画としてまとめるには省略されているエピソードも多いわけで、仁川沖海戦や黄海海戦は絵一枚で説明し、蔚山沖海戦に至っては上村中将の雑談のみというシンプルさ。“海戦”を描く映画としては、少なくとも黄海海戦と、それに対する反省の日本海海戦の作戦への影響とか、通商破壊戦への対抗策としての第二艦隊の行動と蔚山沖海戦に至る経緯とか、取り上げて欲しいテーマは多いんですけど。まぁ、そんなの誰も見ないか。
そうやってエピソードを積み上げてきた結果、敵艦見ゆ→連合艦隊出撃→対馬沖海戦となるわけで、この辺の高揚感は最高。軍艦マーチがあれだけ気持ちいい映画も珍しい。
海戦シーンは、“特撮の神様”円谷英二の最後の映画作品であり、見応え十分。この当時は飛行機がなかったので(あぁ、もちろんライト兄弟の初飛行の後だよ。でも、その場に飛行機なんぞいなかったのも事実)、映画での目線も艦上からのものに限られているのが芸の細かいところである。
ちなみに、記念艦〈三笠〉で上映されている映画は、東映の「日本海大海戦 海ゆかば」という作品(のダイジェスト版)です。これは、日本海海戦の映画としては最新作(といっても20年以上前)になるのですが、他の映画との差別化を図ろうとしたのか、〈三笠〉艦内での描写が中心で、海戦がどう進行していて、状況はどうなっていて、……みたいな話はいっさい無視して、ひたすら艦内だけで話が進んでいきます。おまけに〈三笠〉艦内での水兵たちの内部抗争が描かれるに至っては、「さすが東映」としか言いようがない……。
- 「二百三高地」(東映・1980年)
「日本海大海戦」でも描かれていた旅順攻防戦を描いた作品。公開当時に見たはずだが、いまの今まで見直していなかったのは、トラウマ的記憶があったためか。若き日の印象はともかく、いま見ても、十分に通用するいい映画だと思いますよ。
この作品の一番の見どころは、なんといっても夏目雅子さんです。とても綺麗で、可憐で、健気で、(以下、賛辞を300行ほど書き連ねたつもりになって、全部省略)…な夏目雅子さんを見ただけで、この作品を見た意味があるというものです。
……さて、旅順といえば乃木将軍の拙劣な指揮というのが定番でありますが、最近いろいろ勉強した結果、あの戦いではだれがやっても大規模な犠牲が出るのはしようがなかったのではないか、という説に賛同しつつある私です。もちろん、映画の中でも描かれているように、司令部をあまりに後方に設置した結果、最前線の状況変化に追随できなかったとか、“乃木式の精神主義”が悪影響しか残していなかったとか、伊地知参謀も派閥人事で選ばれただけで、大した能力はなかったとか、そもそも当時から日本軍の参謀は馬鹿ばっかりだったとか、いろいろ非難されるべき点はあるわけではありますが。
この辺の話は、旅順の10年後の第1次大戦で、ヨーロッパ全土に拡大して再現されてしまったのでした。弾薬を大量消費して、莫大な犠牲者を出して、得られた結果はわずかな前進があればいい方、という…。実際のところ、19世紀後半からの武器の進歩(ボルトアクション・ライフルと機関銃)や築城技術の発展により圧倒的に防御側有利になっていて、第1次大戦後半にそれを打開する手段(戦車と浸透戦術)が発明されるまでは、どうしようもなかった、ということらしい。
第1次大戦での状況を知りたい、という方には、メル・ギブソン主演のオーストラリア映画「誓い」(1981)をお勧めします。ベストかどうかはともかく、まぁ、とりあえず入手しやすいようなので。この映画、なにやら青春群像映画として売られてはいるようですが、なんせ原題が“Gallipoli”だ。どうしたって楽しい映画になりようがない。 ガリポリといえば、中西輝政著「大英帝国衰亡史」でも「英国のガダルカナル」と表現されているくらいのものだが、映画を観ても旅順攻防戦にしか見えないのであった。いつも陽気なオーストラリア人でも、ガリポリの名を出すと暗い顔をするという話が、まるで嘘に思えないのでありました。
- 「連合艦隊」(東宝・1981年)
「日本海大海戦」の最後の1つ前のシーンでの会話を、さらに拡大した結果がこのザマだよ、という映画である。
映画では戦艦〈大和〉を中心として第2次大戦全体を描いているわけだが、同様の映画「男たちの大和/YAMATO」とは、やっぱり違いますなあ。「連合艦隊」は、痩せても枯れても東宝映画なのに対し、「男たちの大和」は、良くも悪くも東映映画(角川春樹製作という意味では、昔の「角川映画」でもある)なんですなぁ。
※もう少ししたら書き足す。
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