パスワードを忘れた? アカウント作成
297678 journal

yasuokaの日記: 「璽」はめったに見ない漢字なのに、どうして常用漢字なのですか?

日記 by yasuoka

前田富祺の『常用漢字最新ハンドブック』(明治書院、平成23年1月)を読んでいたところ、質問6の「璽」はめったに見ない漢字なのに、どうして常用漢字なのですか?に対する以下の【答え】が気になった。(p.31)

「璽」は「ジ」と読み、この字には印、印形、玉などの意味があります。たしかに日常生活で目にすることのあまりない字ですが、これは、憲法に使われている漢字です。憲法は全日本国民が読めるということが前提なので、憲法に使われる漢字は、すべて常用漢字表に入れて、読めるようにする努力目標としています。同じように普段あまり目にすることがないけれど常用漢字表に入っている「朕」(チン)という字も、憲法に使われている字です。「朕」は天皇が用いた一人称代名詞で「私」という意味です。「璽」も「朕」も、天皇が憲法を公布した文書の中に使われています。「璽」は「御璽」として出てきますが、天皇の印形、印が押されていることを意味します。

日本国憲法の上諭のことを言ってるのだと思うのだが、だとすると、「詢」が常用漢字に含まれていないことの説明がつかない。そもそも昭和21年4月27日付の常用漢字表1295字には、「璽」も「朕」も含まれていなかった。これに対し昭和21年6月4日、内閣官房総務課は、「璽」「朕」「虞」などの追加を提案している。ただし、この時「詢」は提案していない。この結果、当用漢字表に「璽」「朕」「虞」などは追加されたが、「詢」は収録されなかった。

一方、「帝国憲法改正案」の枢密院への「諮詢」は、昭和21年4月17日・5月27日・10月12日におこなわれており、これを内閣官房総務課が知らなかったはずはない。その意味では、少なくとも内閣官房総務課は、日本国憲法の上諭までを常用漢字に含める意図はなく、単に当時の時点で法律に必要だった漢字として、「璽」や「朕」を提案したのだと考えられる。

この議論は、yasuoka (21275)によって ログインユーザだけとして作成されたが、今となっては 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

日本発のオープンソースソフトウェアは42件 -- ある官僚

読み込み中...