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NTT

Ledの日記: ウイルス作成罪でなくても器物損壊罪 6

日記 by Led

モデしてしまったので日記で。

ウイルス作成罪のこのコメント。

1. 「ウイルス作成罪にならなくても器物損壊罪になる可能性がある」を問題にしているように読み取ったが、そんな場合は存在して当たり前のような気がする。たとえば、作ったソフトウェアが「ウイルス」に該当しなくても、誰かのマシンの上で rm -rf / やっちゃった(または人を間違えさせて実行させた)場合とか問題なく当てはまるような気がする。

2. そもそも、裁判をやるときは検察が最初に罪名を決めてから起訴するもんじゃないのか。裁判中に罪名が変わるなんてどういう手続きをするんだろう。いつかの飲酒運転の裁判とか、危険運転に問うのが難しそうだから別の罪名にせよと裁判官から検察に言っていたとかいうニュースがあったような。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2011年05月29日 10時23分 (#1960995)
    器物損壊は親告罪だから誰でも告発できるし実際に「ウイルス」を実行する必要すらないウイルス作成・提供罪とはまったく脅威が違う。
  • by Anonymous Coward on 2011年05月29日 13時58分 (#1961081)

    このコメントは高木氏の主張が前提になっているので、まず高木氏が言っていることを理解する必要があります。

    高木氏が問題にしているのは、過失で問題のあるプログラムを作ってしまったあと、公開継続で有罪になるようでは、ソフトウェア発展の障害になる、という点です。この問題に関する高木氏の論理は、

    1. 公開を継続した時点で未必の故意の可能性がある。
    2. 法学的に正当な解釈とされる(B)解釈では、ウイルス作成罪の「人の電子計算機における実行の用に供する目的で」という目的要件があって、一定の悪意が前提となるので、構成要件に該当せず、罪にならない。
    3. でも(A)解釈が採用されたら単に公開継続で有罪にされるのではないか。大丈夫なのか。

    という論理になってます。

    しかし、この論理を目的要件が存在しない器物損壊罪にあてはめると、バグで器物を損壊するプログラムを作ってしまったときに、発覚した時点では過失でも、公開を継続したら罪に問われることになるわけです。したがって、(A)解釈を採用されて有罪にされることを心配する前に、別の罪で有罪にされることを心配するべきということになります。

    実際には、単に公開を継続した場合、不作為犯が成立するかどうかという問題があってそれほど単純な話ではありません。不作為犯で有罪にするにはかなりの条件をクリアする必要があります。が、ソフトウェア作成者側から高木氏のような主張をしていると、器物損壊罪の成立を防ぐためには公開をやめることが義務だ、ということになってしまい、不作為犯成立の条件を容易にしてしまう可能性があります。

    ついでに言っとくと、コメントでの架空のやりとりは、裁判ではなく、取り調べ段階でのやりとりを想定しています。

    • by Anonymous Coward

      ひとつ書くのを忘れてました。表のストーリーのコメントで主になっているのは、高木氏の「(A)解釈を採用している法律関係者が多いのでは」という危惧の否定です。

      バグで問題のあるプログラムを作ったらどうなるのか、という疑問に対して「それ故意じゃないから」で罪にならないという法律関係者がいて、(B)解釈を採用していれば落とせる話なのにそうしないのは(A)解釈を採用しているからではないか、と高木氏は言っています (セキュリティホールmemoの人もそう思っているっぽい)。それに対して、「故意不成立で他の罪もまとめて落とすのはメリットがある。したがってそれは(A)解釈を採用しているという根拠にはできないよ」、という話ですね。

      • このコメント(#1960860) [srad.jp]のご本人でしょうか?コメントありがとうございます。

        まず最初に、「『「故意が成立しない」で落とすのは(A)解釈』という主張」が誤りである可能性については、「そうかもしれない」と思います。高木氏自身、2011年02月09日のエントリでの記述は

        「いえいえ、故意がなければ犯罪ではないです」という反論をした法律家は、(A)解釈を念頭に置いている疑いが濃い。

        という表現であり、確信しているというわけではないようですし。また、このコメント(#1960860) [srad.jp]の

        前後の事情から、未必の故意が成立すると考えるのが適切になる場合もあるわけで、「可能性があるか」と質問されれば、「可能性はある」と答えるのは別に不思議ではないです。

        という部分については特に異論はありません。

        しかし、私の日記エントリに頂いているコメントやコメント(#1960860) [srad.jp]で、そのほかの部分が、私にとってとても不思議なものでした。以下の3つのポイントについてお付き合いいただければ幸いです。

        まずお断りしておかなくてはならないことがあります。あなたと私では常識として認識していることがらが随分と異なる可能性があります。心を通じ合わせるのには相当な困難が予想されますが、私の能力の範囲でできるだけ省略をせず、全力で記述します。誤解を避ける目的で冗長に書くので長文になりますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

        まず、お話の前提となっている高木氏の主張については以下のエントリを読んでからお返事をしております。

        1. 2011年05月27日『ウイルス罪法案、バグ放置が提供罪に該当する事態は「ある」と法務省見解』 [takagi-hiromitsu.jp]
        2. 2011年02月09日『ウイルス作成罪創設に向けて国民に迫られる選択』 [takagi-hiromitsu.jp]
        3. 2011年01月23日『このまま進むと訪れる未来 岡崎図書館事件(15)』 [takagi-hiromitsu.jp]
        4. 不正指令電磁的記録作成罪法案の問題構造, 2011年1月24日 [aist.go.jp]

        なお、(A)解釈および(B)解釈の定義は上記4.のPDFファイルを読んで理解した内容を元に書いています。

        ・理解したいポイント1.高木氏の主張の確認
        まずは親コメントから。

        表のストーリーのコメントで主になっているのは、高木氏の「(A)解釈を採用している法律関係者が多いのでは」という危惧の否定です。

        ここは高木氏の主張を誤解されていると思います。2011年01月23日のエントリを読むと高木氏の主張は、

        • 法律関係者にとってホットな話題でなくなってしまった後で、
        • あまり立法経緯に詳しくない現場関係者(警察官など)が誤解に基づいて、
        • 立法時点の意図で犯罪でなかったはずの行為(ハードディスク消去プログラムの配布)を、
        • 裁判を経ずに犯罪にしてしまう(逮捕した後で不起訴処分)

        ことを心配しているのだと思います。そして高木氏の主張は、そのような誤解の発生しうる(ように見える)条文を避けてほしいというものであると私は思っています。

        ・理解したいポイント2.器物損壊罪が成り立つと困る理由について

        私の日記エントリにも記述しましたが、何らかの手段で他人の電磁的な記録を消去したような人物がいた場合、ウイルスを使ったかどうかに関わらず器物損壊罪(か、まだ刑法に書かれていない新しい罪)に問われるのが法のあるべき形として私は納得しています。ここで、a. 他人に迷惑なコンピューターウイルスを作成した罪、と、b. 他人のコンピューターに不正な記録を残した罪、についてa.とb.は直感的には別個の罪であり、別々に量刑を検討するべきだと私は考えています。従いまして、このコメント(#1960860) [srad.jp]にある

        ウイルス作成罪が成立しなくても、他の罪で有罪になったのでは意味がありません。

        という点が私には何を仰ってるのか良く分かりません。同様に、

        しかし、この論理を目的要件が存在しない器物損壊罪にあてはめると、バグで器物を損壊するプログラムを作ってしまったときに、発覚した時点では過失でも、公開を継続したら罪に問われることになるわけです。したがって、(A)解釈を採用されて有罪にされることを心配する前に、別の罪で有罪にされることを心配するべきということになります。

        という部分も私にとっては理解が難しい部分です。器物損壊には「目的要件」が存在しないかもしれませんが、器物損壊罪には器物損壊罪の要件があるはずで、それを適切に判断することになぜ影響するのでしょうか。もしかして、有罪・無罪を決定する際にある種のフローチャートのようなものを想定されていて、一度「故意と異なる基準でウイルス作成罪を判定するべきだ」と高木氏が言うと、「高木氏は他の罪についても故意の判定はしない」という前提なのでしょうか?あなたや高木氏を含めて誰もそうは思っていないだろうという気もしていますが、念のため。

        ・理解したいポイント3.その他

        また、次の部分も私にとっては論理の流れが不明瞭です。

        ソフトウェア作成者側から高木氏のような主張をしていると、器物損壊罪の成立を防ぐためには公開をやめることが義務だ、ということになってしまい、不作為犯成立の条件を容易にしてしまう可能性があります。

        頂いたコメントのとおりに法律専門家の間で話が進むものだとすると、この話の進め方は私にとってとても不思議です。「ソフトウェアの配布の際は(分かりやすい)説明をつけることが義務だ」という話の流れにはなりようがないのでしょうか?

        以上、3点でした。
        # これを書いている間に随分勉強になった気がします。

        親コメント
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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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